【インタビュー】舞台『歌舞伎町シャーロック』インタビュー。架空の町・新宿區歌舞伎町を舞台にしたアニメの舞台化(シャーロック・ホームズ役の新木宏典さん、ジョン・H・ワトソン役の鈴木裕樹さん)
2019年10月より2クールにわたり放送されたアニメ『歌舞伎町シャーロック』。架空の町・新宿區歌舞伎町を舞台にしたコメディありサスペンスありの独特なストーリーが人気を博しました。
同作を原作とする舞台『歌舞伎町シャーロック』が、2024年5月にIMM THEATERにて上演されます。
今回メディアクトでは、俳優集団D-BOYSの同期として芸能活動20周年を迎えたシャーロック・ホームズ役の新木宏典さん、ジョン・H・ワトソン役の鈴木裕樹さんに行なったインタビューをお届けします。
――『歌舞伎町シャーロック』への出演が決まったときの気持ちを教えてください。
新木:原作のアニメを見ているときから好きだったので、お話いただいた時はすごく嬉しかったです。実はアニメ放映時から鈴木と「これ舞台化すると面白いよね」って話してたんですよね。ただ僕の中では、シャーロック役はビジュアル的に自分じゃない可能性が高いなと客観的に思っていて。なんとなく頭の中で、演出家として携われたらどう演出するだろうとか考えてました。
鈴木:そんなところまで考えてたの?(笑)
新木:うん(笑)
鈴木:でもまさにそうなんですよ。アニメやってるときに新木さんから「こんな作品やってて面白いから見て」という話しがあって。今回出演が決まったときは本当にびっくりしましたし、嬉しかったですね。
――舞台化を期待されていることはアニメ放送時から周りに話されていたのでしょうか?
新木:周りには話してないですね。鈴木には、脚本書けば? って話はしてました。いわゆる2.5次元作品の脚本が書けるようになったら面白いねって。
鈴木:(脚本のお仕事)お待ちしておりまーす!(笑)
――『歌舞伎町シャーロック』という作品やキャラクターの魅力を教えてください。
新木:魅力。
鈴木:語ってやってください(笑)
新木:まず、原作のシャーロックホームズについて鈴木がすごく詳しかったんですよ。登場人物とかの知識もあって。
鈴木:月並みですけどね。題材にした映画とかをいくつか見ていたので。
新木:知識が幅広いなと。僕は人や店の名前とか、覚えるの苦手なので。
鈴木:長い横文字は難しいからね。
新木:でも、一緒に見てるときに鈴木みたいに原作を知ってる人は考察するんだって発見があって。原作を知ってる人も楽しめる作品になってるのが面白いなと思います。昔からのミステリーを原作にしながら、きちんと現代ものとして作り上げられているなと感じました。
鈴木:アニメ、コメディ、そしてミステリーとしても面白いですね。シャーロックホームズを知らなくても楽しめるし、知ってる人もモリアーティが少年なんだ、みたいなアニメならではの部分とかを楽しめる、クオリティの高い作品だと思います。
――アニメでお気に入りのシーンはありますか?
新木:落語好きなシャーロックが、早口で落語をやるシーンが個人的に好きですね。それを言えてる声優さんもすごいなと。
鈴木:落語のときめっちゃ声変わるのすごいよね! 本当すごいよあれ。違う人が喋ったのかなと思ったもん。
新木:あれは声優さんならではだよね。
鈴木:ワトソンでいうと、何気ないシーンが全部気になりますね。ワトソン役の声優の中村さんの卓越したスキルだと思うんですけど、「ああ(良い声)」みたいな絶妙なリアクションが、人が良くて周りに振り回されるワトソンを一番表しているなって。なので、自分が舞台で演じるってなったらどう表現しようかなとよく見ています。
――2022年ぶりに、再び共演が決まった時の教えてください。
新木:2年ぶりだしそんなに空いてる感じもしないですね(笑)でも嬉しいです。俳優集団D-BOYSが結成20周年で、20年間同じプロダクションで同じグループで続けられているということがありがたいですし、ワタナベエンターテインメント制作の作品であれば共演もできなくはないと思うんですけど、そうでない制作会社で共演するっていうところがやっぱり嬉しいですね。
鈴木:やりたいって言ってできるわけじゃないしね。
新木:そう。それぞれが活動し続けてきたからできることだからね。幸せなことですね。
鈴木:2022年の舞台『漆黒天』のときは十数年ぶりの共演で、すごい気合入れていったんですよ。今回もまた共演できるってなって、一番最初にくるのはやっぱり嬉しいって気持ちでしたね。お芝居をする相手として仲が良い、気が許せるという関係性ではすでにあるので、こうやって共演するのが普通になっていくといいなと思います。これからもっといろんな共演が増えていくといいなって。
新木:え、僕は鈴木がそう思ってないだろうなと思ってました。前占いで言われたんですよ、一緒に仕事していてはだめだって(笑)鈴木は僕と離れることを意識してるし、僕も鈴木と一緒にいると鈴木を根腐れさせてしまうって(笑)
鈴木:占いですよ、占い(笑)
新木:お互いにとって離れたほうがいいって結果だったから、当分共演はないだろうなって思ってたら結構早くあってびっくりしました(笑)それに、そんな未来のことポジティブに考えてくれるんだって意外ですね。
鈴木:関わり方が変わっていけばいいんじゃないですか。俺が甘えず、自立した状態でね、共演できれば(笑)
――役者としてお互いの尊敬するところはどこですか?
新木:役者としてねえ……。
鈴木:聞いておこう。
新木:僕とは違う部分を尊敬するし、憧れます。とても文学的なんですよね。知識をしっかり持ってる。
鈴木:そんなことないですけどね(笑)
新木:僕が持たなすぎるんですけど(笑)文系的発想を持ってて、頭の良い回答ができる。アプローチが僕と大きく違うから、僕が出す答えと違うところにたどり着いているのがすごく面白いです。
鈴木:尊敬するところですよね、たくさんあります。ストイックだとか、ファンのみなさんが思う部分は本当にそうなんですよ。あと、すっごく周りから尊敬されている、というところを尊敬しています。本当にものすごい尊敬されてるんですよ。それってすごいなと思います。現場での振る舞いとか人との接し方なんですかね?
新木:それは俺めちゃくちゃ下手だよ(笑)
鈴木:周りはそう思ってないんだよ!
新木:そうなんだ(笑)
鈴木:コミュニケーションを深く取る取らないじゃないと思うんです。新木に何気なく言われた一言が刺さるとか、多分ですけど。そういうところが、コミュニケーションが上手ってことになるんじゃないかな。仲良くしようぜ! っていうのが良いこととも限らないから。いや本当に、異常に尊敬されてますよね。なんでこんな尊敬されているか知りたいです。
――20年前の、お互いの第一印象を教えてください。
新木:ひよこみてえなやつ。
鈴木:そうねえ(笑)髪型がね。
新木:カットモデルをやってから、ミュージカルテニスの王子様のオーディションに来たんですよ。ぼろっぼろのデニム履いて、白Tシャツにひよこみたいな頭で(笑)
鈴木:カットモデルされたばっかりでね(笑)新木さんは「眠い」って言ってたよね。オーディション会場でみんなギラギラしてるのに、一人だけ関西から来たロン毛の兄ちゃんが眠いって言っててなんか変わった人だなって。
新木:本当に眠かったの(笑)バイトして移動してオーディション参加してたから。でも鈴木もダルそうでしたよ(笑)
鈴木:なんでだろ、髪型が気に入らなかったのかな(笑)いやでも俺はだるそうじゃないよ、一生懸命やってたと思うよ。
新木:のほほんとしてたよね。「おはよ~」みたいな。
鈴木:オーディションってのがどんなものか、そもそもあんま分かってなかったよね。
新木:テニスの王子様のオーディションで、D-BOYSのみんなが参加してたんですよ。東京に住んでる子たちは演技レッスンを受けてたから顔なじみだったんですけど、僕は大阪に住んでたので参加できてなくて。鈴木はみんなと仲良くワイワイしててリラックスしてる感じがあって、僕はそこに馴染めてなかったです(笑)
――20年経った今の印象はいかがですか?
新木:もったいないなーと思います。鈴木のリスペクトする部分にも入ってくるんですけど、基礎スキルが高いんですよ。なんでも器用にできてしまう。男前だし、本当はイケメン路線でいることのできた人(笑)
鈴木:どっかでね、踏み外したのかな(笑)
新木:本当に。素材はね、そうだったんですよ(笑)テニスの王子様受かってD-BOYSの追加メンバーに入って、事務所やテニスの王子様で出していたブロマイドや写真集もすごい売れてたのを覚えてます。
鈴木:塩コショウが一番美味いみたいなね、感じですよ。
新木:公演がまだ始まってすらいない初日でブロマイドすっごい売れてたよね。
鈴木:あんまり覚えてないな。
鈴木:僕は、こいつすげえな、天才だなって思ってました。素質があって才能があって、売れてく人ってこんな人なんだなって。それから人生ゆえに紆余曲折はあったかと思いますが、だからこそより深みのある役者でいられてるってのもありますよね。
鈴木:いろんな道があったでしょうね。俺は、新木は大人になったなと思います。昔はとんがってたけど。今は尊敬することばかりです。行動力とか、いろんな事考えてるとことか。でも逆に、一番大事な部分はそんなに変わってないとも思いますね。変わらず優しいですし。大切な部分が変わってないからずっと一緒にいられているのかもなとも思います。
――若いころに喧嘩やぶつかりあいなどはありましたか?
新木:ないですないです。若い時の方がないですね。喧嘩してまで一緒に何とかしようという考え方を持ってなかったので。
鈴木:最近したね、そんな話。これから二人の縁が続くのであれば、二人でぶつかりあって何か作るとかも面白いよねって。
新木:D-BOYSも、グループとしての活動もいつの間にか少なくなった中で、ファンの方がつけてくださった「ズキアラ」というコンビ名が未だに呼ばれ続けてるんですよ。今回歌舞伎町シャーロック第一弾のキャスト発表で僕たちが発表されたとき、「ズキアラで舞台やるんだ」って喜んでくれるファンの方がいたってマネージャーが教えてくれました。ズキアラというワード自体が残り続けてるのってすごくありがたいなって。D-BOYSの名前が表立ったものではなくなっても、ズキアラは20年やってきたからこその一つのブランドとなっているんだから、2人で何かやってくってのは面白いよねって話はしてます。この年まで役者をやってきたからこその、プライドとかこだわりを持って作らなければならないと思っていて、。ここから一緒に何か作ることがあれば、意見の衝突や言い合いも出てくるぐらいのものづくりをしていかないといけないし、自然とそうなるといいよねって話はしましたね。
――20周年ということで、人生の半分をともに過ごしてきたお互いの存在を一言で表すと何になりますか?
鈴木:人生の半分……こわ!(笑)
新木:「反面教師」。僕と違う人で、こうはいかないし、こうはなれない。こうはならないじゃなくて、こうはなれない。鈴木だったらどういう風にできるかな、僕ならどうやれるだろうってことを考えられるんですよ。正反対の取り組みに自分の活動のヒントがある気がして、それが一緒に居続けられる要因にもなってると思います。ライバルとは違うし、後ろに立って背中を押すともちょっと違う。対等でありながらも、ストレスなく正反対にいられるのが鈴木ですね。
鈴木:一言で言うと……「ズキアラ」? ……これはちょっとね、説明しますね(笑)
新木:説明してください(笑)
鈴木:ズキアラって、自分たちが望んだだけではここまで続かなかったものだと思うんですよ。新木のことすごい好きだし、仲良くやってるし、一緒にいれて嬉しいんですけど。そもそもズキアラって誰がつけたのこれ?
新木:ファンだと思うよ。
鈴木:最初に言い出した人に何かあげたほうがいいんじゃない?(笑) そう、ズキアラって自分たちがつけたんじゃなくて、周りがつけてくれたものなんすよ。自分たちの力だけではできなかったもの。運命めいてて良いなと思ってたんですけど、こっからはただの運命じゃなくなっていったほうが面白いかなって、今思いました
新木:ジャストアイデアで喋ってるの?(笑)
鈴木:ジャスト(笑)運命っていうのもすごいなと思うけど、お互い40歳を迎えて、二人でいる意味が変わってきたら格好いいなって。未知数というか、無限ですね。
取材・文:岡 里衣奈/撮影:ケイヒカル
■タイトル
舞台「歌舞伎町シャーロック」
■日程
2024年5月17日(金)~5月26日(日)
■キャスト
新木宏典(シャーロック・ホームズ)
稲垣成弥(京極冬人)
設楽銀河(ジェームズ・モリアーティ)
佐倉初(メアリ・モーンスタン)
古畑奈和(ルーシー・モーンスタン)
日向野祥(小林寅太郎)
磯貝龍乎(ハドソン夫人)
鈴木裕樹(ジョン・H・ワトソン)
■チケット料金
特典付き:10,500円(全席指定・税込)(非売品クリアファイル、非売品2Lブロマイド付き)
一 般 :9,500円(全席指定・税込)
■公式サイト
https://kabukicho-sherlock.delight-company.com/
■公式X(旧:Twitter)
@ksstage_oa