【インタビュー】KIMERU×渡辺コウジ×牧田哲也×登野城佑真、それぞれの新発見とは?|ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~対談インタビュー

インタビュー

ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~が、7月4日(木)より東京・天王洲 銀河劇場にて上演される。

原作は、鉄道路線を擬人化した鉄道コメディ漫画『青春鉄道』(あおはるてつどう)。ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』シリーズ(通称:鉄ミュ)最新作となる本作は、2023年12月に上演されたスピンオフ「~地下の中心で愛をさけんだMétro~」から約半年ぶり、2023年6月・7月に上演された本公演第5弾「~鉄路にラブソングを~」から約1年ぶりの、本公演第6弾となる。

メディアクトでは、本作に出演するKIMERU(銀座線 役)、渡辺コウジ(北陸新幹線/丸ノ内線 役)、牧田哲也(北陸本線/東武日光線 役)、登野城佑真(日比谷線 役)の4名に対談インタビューを実施。本作の魅力や役作りへの思い、稽古場の様子、公演に向けての意気込みなどを聞いた。

KIMERU×渡辺コウジ×牧田哲也×登野城佑真インタビュー

――今作への出演が決まった際のご感想は?

牧田哲也(北陸本線/東武日光線 役):僕はすごく嬉しかったです。自分が前回から2作続けて演じさせていただだく北陸本線という役は、今までやってきたどの役柄とも重ならない印象だったので、自分でも「どうなるんだろう」という不安半分、ワクワク半分でスタートしました。でもやり終えてみればとても居心地が良くて。作品自体も楽しかったので、この役、この座組でまた作品を作れることが嬉しかったですね。
今回、新たに東武日光線という役もいただいたことも嬉しいです。1つの舞台でメインの役を2つ演じるということもなかなか無いですし、どういう感覚なのかなというところも楽しみで。……(KIMERU・渡辺に)あのちょっと、そこ何をこそこそ喋ってるんですか?

KIMERU(銀座線 役):いや、うちらはいつも3役4役やってるねって。

牧田:うわ、先輩に鼻で笑われた(笑)。サブキャラを含めた兼役なら、それこそ4役同時に演じたこともあるんですが、そのときはそれぞれイメージが違う役だったんですよね。今回の北陸本線と東武日光線はどちらもメインキャラクターですし、演じ方によっては似た感じの雰囲気も出てきそうなので、どんなふうに演じ分けるかという点も含めて今探っていっている段階ですね。


――渡辺さんはいかがですか?

渡辺コウジ(北陸新幹線/丸ノ内線 役):僕も出演すること自体はとても嬉しいんですが、ちょっと不安を抱えている部分があって。

KIMERUなになに?

渡辺:北陸新幹線と丸ノ内線って、両方とも長く演じさせていただいているので……自分の中で、伸びしろをどう出していこうかという深刻な課題が生まれているんですね。

一同:(笑)

渡辺:まだまだあるとは思うんですけど、お話をいただいたときに真っ先に浮かんだのが「底力をどこまで出せるだろうか」という点でした。ただまあ、今回から初参加のフレッシュなキャストたちがいたり、初めてのやりとりが描かれたりもして、その辺りに大きく救われてもいます。自分の中では不安と楽しみが入り混じっている状態ですが、楽しみの方が断然大きいので、この感覚もお客様にハッピーの一部として伝えていけたらいいなと思っています。


――KIMERUさん、いかがですか?

KIMERU僕は今まで全ての本公演に出演させていただいているので、今回もちゃんと呼んでいただけて嬉しいなっていうのが最初の感想でした。鉄ミュではここ数年ずっと2役以上を同時に演じていたので、1役のみでの出演自体がすごく久しぶりで、なんというんでしょうか。今、妙に物足りなさを感じています。

渡辺:あ、それ分かる。急に兄弟がいなくなったような感じがするよね。大家族だったのに、急にひとりぼっちになっちゃったみたいな。

KIMERUそれ。単純に登場シーンも減るし、絡む相手も一気に減るし、自分の中で妙にソワソワするというか、物足りない感じがするんですよ。今までずっと2〜3人背負っていたのに、分身がいなくなったような……。駅で一気にお客さんが降りちゃったみたいな。この感覚は、他の作品で感じたことが無いですね。

渡辺:このシリーズでしか味わえない感覚だと思います。

KIMERU兼役というと一般的にはメイン+サブキャラクターを演じますが、鉄ミュの兼役はメインキャラクターばかりなんですよね。重ためなお話もやらせてもらっているキャラクターたちなので、よけいに「何か欠けている気がする」と感じます。だから僕今、楽しいんですけど、同時にちょっと寂しいんですよ。


――稽古の中で寂しさとも向き合っていく感覚でしょうか。

KIMERU心の隙間をみんなに埋めてもらいます。

牧田:舞台作品のインタビューで「心の隙間を埋めてもらう」ってなかなか聞かないよ(笑)。

渡辺:いや〜、でも「鉄ミュ」あるあるだよ本当に。

――登野城さんは、最初にお話いただいたときいかがでしたか?

登野城佑真(日比谷線 役):僕はもう、ひたすら嬉しかったです。前作から約半年の期間で、またこうして日比谷線として呼んでいただけることが幸せだし、ミュージカル『青春鉄道』の新たな世界線に加われることも楽しみです。ただやっぱり、地下鉄スピンオフ(〜地下の中心で愛をさけんだMétro〜 2023年12月上演)のときに一緒だった東西線と南北線が今回いないのは寂しいですかね……。今作が初共演のキャストの方も多いですし、僕自身が鉄ミュの本公演に出演するのも初めてなので、そこはちょっと緊張しています。でも他のキャラクターとの会話シーンもたくさんあるので、日比谷線の新たな一面をお見せできることが嬉しいです。


――ありがとうございます。先ほど兼役について話題に上がりましたが、今回2役を演じられる牧田さんに向けて、先輩であるKIMERUさん、渡辺さんからアドバイスはありますか?

KIMERU基本的には、役者として演じ分けを楽しめばOKだと思います。もし早替えがあるなら、衣裳さんやヘアメイクさんと段取りをしっかり共有しておいた方がいいかな。鉄ミュってオムニバス形式で、新しいシーンが次々に襲ってくるから、段取りが命なんですよ。

渡辺:物理的な意味で、大変なことになるからね。

牧田:今のところ激しい衣裳チェンジは無さそうなんですけど、出番が来るタイミングをまだうまく把握できていないから、その辺気をつけようと思います。「あれ、次いつだっけ……あ、やばい!」みたいになるのが怖いですよね。

KIMERUそうそう、本当にそれがあり得るから。前回も裏で「あっ、衣裳間違えた!」って慌てる場面があったし。

牧田:それ、慣れた頃に来そうなやつだ! 稽古も通しじゃなくて抜き稽古(シーンごとに分けて行う稽古)が多いから、意識して流れを頭に入れとかないといけないですね。

渡辺:家で「1人通し」をやるといいよ。まずオープニングをやって、舞台袖に戻って着替えて、このシーンで出て……っていうふうに、舞台裏の段取りまで通して自分の出番をイメージトレーニングしておくの。俺も早替えが怖いなと思って始めて、いつもやってるよ。これやると結構ミスが軽減できるから。

KIMERU分かる。僕はカラコンも変えてたから、やっぱりシミュレーションを大事にしてた。鉄ミュの段取りは「寿限無」並の記憶力勝負なんですよ。

渡辺:あとは健康に、怪我なくやってこう。


――牧田さん、アドバイスを受けていかがですか?

牧田:そうですね。想像はしていましたが、やっぱりそこに気をつけなくちゃいけないんだなって身にしみて感じました。というか俺も、前回の北陸本線役の衣裳替えで、ガウンを着たり脱いだりシャツで出たりと、ちょっと混乱したのを思い出しました。今度は、衣裳じゃなくて役が変わるってことですもんね。それは間違ったらほんとに取り返しがつかないし、怖いかも……。

渡辺:とくに今回マッキー(牧田)は、小道具も使っていろんなチャレンジするじゃない? 舞台袖までしっかり段取りしておくといいよ。

牧田:分かりました、しっかりシミュレーションします。

――ありがとうございます。次に、役柄について伺います。今作で演じる役について、過去の公演や今回の稽古を通して、新たに発見したことはありますか?

登野城:日比谷線は、前回の地下鉄スピンオフでは周りのみんなに絡まれてぐったりするシーンが多くて、常に疲弊感が漂っていたんですが(笑)、今回はそこから更に関係性が広がって、新たな表情が出てきたと思います。(今回の)稽古の中で、日比谷線を演じていると、メトロとは別の庭に行ったときの彼を感じる瞬間があるんです。目配りの仕方や、話し方、座り方……いろいろな「居方」が自然と変わってくるので、随所で新しい日比谷線と出会えるのが、今すごく楽しいです。


――お客様も、日比谷線の新たな一面を見つけることができそうですね。

登野城:そう思います。前作で主に意識していたのは、共通点の多い千代田線とどう違いを出していくかとか、先輩にあたる銀座線や丸ノ内線との距離感や接し方をどう見せていくか、ということでした。その点、今回共演する路線は、対等というか、結構距離感が近い路線たちなので、仲の良さをたくさん出していけると思います。お客様にも「日比谷線ってこういうところもあるんだな」と発見していただけると嬉しいです。

KIMERU:僕はですね、最近新たに感じた「愛」があります。僕が過去に鉄ミュで演じさせていただいた「愛重めの3役」(銀座線、西武池袋線、常磐線)って、いずれも固定の人物や路線に対して「この人!」と定めて愛を注ぐ形で描かれていたし、そう思って演じてきたんですね。でも前回の地下鉄スピンオフで、銀座線として地下鉄メンバー全員を目の前にしたときに、銀座線から全員に向けた「家族愛」みたいなものを感じたんですよ。それは僕にとってもすごく大きな発見でした。
僕は2019年の西武スピンオフ「〜すべての路は所沢へ通ず~」と前回の地下鉄スピンオフと、2作のスピンオフを経験させていただきましたが、あの2作を経ることで、僕自身もお客様もビジョンが明確化された部分があると思います。僕は今まで、舞台上にいないメンバーのことを「だけど本当はいるんだよね」くらいの感覚で想像していたんですが、今はもう明確にそのメンバーたちの顔と声まで浮かぶんですよ。
スピンオフを経ることによって、ミュージカル『青春鉄道』の世界が僕たちの中にもお客様の中にも深まって定着していると感じます。あそこで彼らへの理解が深まったおかげで、お客様も今回出てこない地下鉄メンバーのことを想像しながら観てくださるだろうなと確信できるし、改めてスピンオフ公演の重要性を実感しています。

牧田:顔や声が、具体的に想像できる感覚ですか?

KIMERUそう、そこにいるみたいに想像できちゃうのよ。路線ごととかチームごとの連携があるじゃない? それがより明確化されるというか、「◯◯がいるだけで、いつも一緒にいる□□を思い出す」みたいな感覚がある。それが、この8年演じてきてどんどん強くなってきてるんだよね。

牧田:それも、他の作品ではなかなか無い感覚ですよね。前回はいて、今回はいなくて、でも関係の深い路線がそこにいるから存在感は感じ続けて……っていう経験を繰り返していくことで、どんどんイメージが鮮明に強化されていくんだ。ということは、今後も新しい路線が入ってくればくるほど、新たな部分に愛着が生まれていくんですね。

KIMERU:本当にそうだと思う。たとえば、全然知らない地域の電車について、鉄ミュで初めて触れるじゃない? その後ニュースとかでその路線の名前を聞くと「あ、あいつだ!」って親しみ深い気持ちになるんだよ。
「(北陸新幹線の)渡辺コウジ、いま水に浸かってるけど大丈夫かな?」って心配になったし、何を見ても「あいつ今日は名古屋で止まっちゃってるのか」とか「また猪ひいてるよ〜」とか思っちゃう(笑)。自分が乗ってる電車が遅延しても、仲間の顔が浮かんでくるから「あ〜、あいつだったらしょうがないか」って許せちゃうんですよね。

渡辺:分かるなあ。共演してる路線にもあるし、自分が演じている路線に対してもあるよね。僕は自分が乗ってた丸ノ内線が止まっちゃったとき、周りの乗客に対して「皆さん、本っ当に申し訳ない」って気持ちでいっぱいになりましたもん。

KIMERU僕も、西武デパートの紙袋を持ってる人を見かけると「ご利用ありがとうございます」って本気で思う。

登野城:僕はまだ歴が浅いけど、それでもやっぱり、丸ノ内線が遅延したときに「日比谷線だったら何て声かけるかな。大丈夫?って言うのかな」という言葉が頭をよぎりました。

牧田:そうなんだ……! まだ自分の生活圏内の路線を演じたことがないからあんまりそういう経験なくて。

KIMERU今回、東武日光線を演じるでしょ? そしたらもう、東武日光線に乗ってるお客さん全員に対して「ありがとうございます」って気持ちが湧いてくるよ。鉄道って身近な存在なので、存在感が日常に入り込んでくるんですよね。鉄ミュに出て世界の見え方が変わりましたよ。


――渡辺さんは、役に対する新たな発見はありましたか?

渡辺:僕の場合は自分自身というよりも、共演しているみんなの新たな一面を見る機会が増えたなと思います。たとえば、今回マッキーが演じる北陸本線の表情や演じ方、こだわりがたくさん見えてくるのが楽しいです。役としても「前作では背中しか見えなかったけど、話すときはこういう表情をしていたんだな」と思うし、役者としても「マッキーってこういうところにこだわって演じているんだ」と新たな面を発見できる。
日比谷線だったら、眼鏡の触り方を見て「あ、今ここにこだわり始めているな」と気付いたりします。そういう、2度目以降に見えてくる二面性のようなものや、稽古の中で変化していくこだわりと成長の過程を見られるのが楽しいです。役が増えることで見えてくる二面性もあれば、同じ役だからこそ見えてくる二面性もあるし、稽古の度にこの仕事の面白さを実感しています。

KIMERU鉄ミュの場合、過去か未来かの時間軸でもまた変わってくるよね。そのキャラクターの内面も、周囲との関係値も。

渡辺:同じキャラクターでもこのときはこうする、この相手だったらこう変わる、みたいな変化を発見できるのは、やっぱり楽しいですね。

牧田:僕はもともと北陸本線のことをちょっと不思議で掴みどころのない役だと感じていたので、彼が弟と面と向かったときに、どんな感覚を持ってどんなふうに話すのかずいぶん考えたんですね。まあ実際に演じてみたら意外とスムーズに対応できたんですが、やっぱりまだ掴みきれない感覚があって、「この役は本当に難しいな」と思っています。
北陸本線には欠落している部分があって、他人の感情がよく分からない部分があるんです。他人が泣いてるとか、悲しんでいるというときに、なんでそうなっているのかっていうのが全然分からない。それでいて、意外と真っ当な言葉を発したりもする、と。
今回もいただいた台本を読んで、演者の僕としてもこれは「分からない」っていう解釈だけでは消化できないぞ、と思ったんですね。それで、リアルな北陸本線の歴史を前回よりさらに深掘りして調べてみて、作られた当時の時代背景や、戦争のことや、鉄道が普及した全体の流れや、そういったものをひっくるめて考えた結果、北陸本線というキャラクターは、どこか悟りを開いた仏様のような感覚を持っているんじゃないかと思いました。
そういう悟りを開いた感覚と、欠如している感覚と、彼がどちらも持っているとして、演じる際にどちらを打ち出していったらいいんだろう……とまた悩み始めてしまって。

――今まさに探っている状態なのですね。

牧田:そうですね。「分からない」だけで済ませてしまうと中身が無い人物に見えてしまう可能性があって、それは良くないと思うので。北陸本線やその周囲との関係性を、ただ「そういうものだから」と割り切って演じるのではなく、彼なりに経験して感じたことを踏まえた上で、どの方向へ落とし込んだら良いのか考えながら稽古しています。

渡辺:そういう意味では、北陸新幹線にとっても底知れない人なんですよ、兄さん(北陸本線)って。改めて考えてみると、演者としての僕とマッキーも芝居でがっつり絡むの初めてなんですよね。もしかしたら、そのたどたどしさが反映されるのも良いのかもしれないね。

牧田:そうかもしれないですね。先ほど、「スピンオフや過去公演を経てこんなふうになってきたよ」っていう話を聞いていて、みんなでこの作品を演じてイメージがもっと構築されていったら、僕自身にもまた新しく見えてくるものがあるのかなって思いました。今までサラッと演じていたものに「ん?」って引っかかれば、そこから違う視点が生まれるし。そういうプラスアルファが積み重なって、どんどん新しい作品になっていくのかもしれないですね。

――ありがとうございます。続いて稽古場の様子について伺いたいのですが、何か印象的なエピソードはありますか?

KIMERU鉄ミュはオムニバス形式の作品なので、稽古も結構細かいチームに分かれておりまして。まだ、みんなに会えていないんです。でも「ハッピーレール大作戦」という副題どおり、カンパニー全体にハッピーが充満している感覚はあります。

渡辺:充満してますね。とても良い雰囲気でやらせていただいてます。

牧田:僕は今回、東海道本線と、それを演じる鯨井康介くんの新たな一面を見ましたよ。

KIMERUクジラちゃんの?

牧田:そう。東海道本線って、いつも「兄さぁーん!」って感じでおちゃらけてるじゃないですか。ちょっと面白い感じでみんなに突進していく印象だし、鯨井くんも人を楽しませるのが好きで、役者としてもそういうふうに振る舞うことが多いですよね。でも今回の台本では、東海道本線がまじめな一面も担っているんですよ。
鯨井くんって照れ屋さんで、まじめなことをやるときにちょっと照れてしまうみたいなところがあって。僕自身も恥ずかしがり屋なんで共感するんですけど、今まさに稽古でその辺をどう演じていくか試行錯誤している最中なんだなって感じています。
だから今回はお客様もきっと、今まで見たことが無かった東海道本線の表情を見られるんじゃないかな。で、僕はそれを舞台上で間近に見られる瞬間があるはずなので、そこも楽しみながらやっていきたいです。

登野城:チームで分かれて稽古している分、僕はまだお会いしたことがないキャストの方がたくさんいらっしゃるんですよね。でも、今までずっと客席から見ていたキャラクターたちを同じ稽古場やステージの上で見ることができると思うと、本当にワクワクします。稽古場ってやっぱり、誰よりも間近に共演者のお芝居を見ることができるチャンスの場なので、これから稽古が進んでいって皆さんと合流するのがすごく楽しみです。
たまたまなんですが、今回から参加する新キャストの方々が全員、過去にお仕事でご一緒したことのある方ばかりだったんですよ。役は違えど、見知った仲間と青春鉄道の世界観で新たに一緒に芝居できるというのは、とても幸せです。

渡辺:ハッピー溢れてるね、いいね! 僕のは稽古と直接関係ないんですけど、毎回キャストが稽古場に入ってくるときのファッションを見るのが楽しみです。今日のとの(登野城)とかKIMERUもそうだけど、みんな奇抜な服着てくるから気になっちゃって仕方ないの、最近。

KIMERU俺は奇抜じゃなくて派手なだけ! 今日は銀座線のカラーをイメージしてるんだよ。

渡辺:マッキーの服も、光沢すごいな、あっかるいなあ〜!って。

牧田:ぼくも今日は東海道カラーです。

渡辺:ああ、そうなのね!

牧田:……いや、たまたまです。

一同:(笑)

渡辺:(高崎)翔太とかもさ、稽古初日に何かこう、ワイシャツを斜めにして結んできたじゃない。

牧田:たすきがけね。

渡辺:僕はあれ「忍者ファッション」って呼んでるんですけども(笑)。もう、気になり始めたら楽しくなってしまって、毎回役者のファッションチェックをしています。

KIMERUこんな感じで、和気あいあいと楽しく稽古しています! 脚本・演出の川尻恵太さんが、面白いところをどう見せていくかっていうのをずっと考えながらやってくださっているので、その影響もあるのかも。印象的な出来事でいうと、とあるシーンを面白くしようということで渡辺コウジが後から追加で起用されたんですが、「やっぱり茶化しすぎは良くない」ということで結局クビになったりしましたね。

渡辺:あれ俺のせいだったの!?

KIMERUそうだよ?(笑) 鉄ミュは、笑いの部分とそうじゃない部分のバランスを取るのがなかなか難しいですね。面白さはブラッシュアップしていきたいけど、実際の鉄道の歴史も背負っているから、笑わせれば良いっていうわけじゃない。そのさじ加減が悩ましい。

牧田:確かにそうだなぁ。単純に面白くすればいいってわけじゃないんですよね。

KIMERUその辺りも含めて、川尻さんとみんなで一緒に話し合いながら作り上げていく作業が楽しいです。ときには登場シーンをクビになったり、提案したネタがボツになったりしつつ、新しく生まれるものもたくさんあって。原作には無い部分も盛り込まれているので、原作のファンの方たちが舞台を見て「ああ、こういう表現もありなんだな」って感じてくださったら嬉しいし、ぜひ楽しみに観に来てほしいです。

渡辺:なるほど。それで言うと、僕はすごく辛い調味料みたいな役割というわけですね。

KIMERUいいえ違います。

渡辺:違ったか〜(笑)。

――お話を伺っているだけでも、とても楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。

KIMERUやかましいくらいですよ。顔合わせのときからきいきいきゃあきゃあ、動物園みたいで。

渡辺:KIMERUはわりと飼育員みたいになってるよね。

KIMERU(5月に行われた)シアターHのオープニングイベントに出演したときなんか、それはもう猛獣たちが暴れて暴れて……。

登野城:僕、YouTubeで見ましたよ。

KIMERUほんと? あれ大丈夫だった? そのとき僕がMCをさせてもらったんですけど、皆がやかましいからもう「うるさーい!」「黙れ―!」ってずっと言ってて……それが記事になったんですけど、新劇場開業イベントで出演者相手に叫びまくるって記事になるの謎すぎると思って。


――様々な意味で、名MCでしたね。

KIMERU迷うほうの「迷MC」じゃないですか?(笑)

――そんなKIMERUさんですが、これまでピラミッドの頂点にいらっしゃった銀座線に、今作では初めて先輩が登場するということで。

KIMERUそうなんですよ!

――心境はいかがでしょうか?

KIMERU今までずっと原作サイドからも「女帝でいてください」とオファーされていたんですが、ついにその先輩が登場するということで、とても楽しみです。銀座線としても、ある種の心地よさがあるんじゃないかと思っていて。というのも、先日クジラちゃんと話していたことなんですが、僕らの世代ってもうどの作品に行ってもキャストの中で先輩ポジションになることが多いんですね。クジラちゃんは別の2.5次元作品で演出家も務めているし、とくに後輩を意識する場面が多いのかも。「鉄ミュは俺が後輩ヅラして甘えられる、貴重な場所なんだよ」なんて冗談めかして言っていたんですが、ああ分かるなぁって思ったんですよ。

銀座線にとっては、今回登場する東武伊勢崎線(演:二葉 要)がその対象に近いのかなと思うんです。

――今までの銀座線が見せなかった感情ですね。

KIMERUそうですね。今までは出てこなかった。何か、「自分がしっかりしなきゃ」という感覚からちょっと離れられる、心地いい関係性なんですよね。

渡辺:銀座線としては、もっともっと近づきたいと思っていると。

KIMERUいや、そういうことではないかな。

牧田:さっきからなんか違うなあ(笑)。

KIMERUなんとも言えない相手なんだよ。いつもの自分でいたい、でも後輩ヅラができるのは心地いい……みたいな二面性で、今は葛藤しています。

――なるほど。皆さんも、他の路線相手に後輩ならではの心地よさを感じられることはありますか?

渡辺:……。

登野城:……。

KIMERU銀座線は恐怖政治ですからね。

渡辺:甘えられる感じじゃないですね。

登野城:恐怖です。

一同:(笑)

牧田:先輩後輩とはちょっと違うんですが、僕はやっぱりコウジさんから「兄さん」って呼ばれるのが違和感あって、面白いなあと思います。

渡辺:うん、そこは俺も不思議な感じがする。

牧田:コウジさんの方が年上だし鉄ミュでも先輩なので、妙な感じしますよね。それから、もう一方の東武日光線の役にも北陸とは違う関係があって、こっちはこっちで興味深いです。役的にもキャスト的にも、東武っていうくくりの中では自分が年上ポジションになるんですが、俺も日光線もそんなにバンバン仕切る方ではないし、メンバーみんなしっかりしてるし。「先輩として何かそれらしいことをした方がいいのかな?」と思いつつも、「うーん、まいっか」みたいな感じで稽古が進んでて。まあ、気がついたことがあればそのときに言えばいいのかなというスタンスでいるんですが、おそらく日光線もそういう感覚あると思うんです。そんなふうに役とリンクするのも面白いですね。

登野城:日比谷線の場合は、「甘える」っていう感覚とはまた違って、日光線をはじめとする地下鉄以外のメンバーに対して、何か休憩中にふぅっと一息ついて休めるような感じがあるんですよね。それはちょっと、後輩の安心感に近いですかね。

KIMERU休憩所とか、社員食堂に来るみたいな感覚なのかな?

登野城:そうですね。メトロの輪を抜けて休憩所に来て、ふぅ、みたいな。メトロでは上から3番手なので、その中にいるときは「しっかりしなきゃ」って思ってるし、みんなに絡まれてぐったりしながらも頑張ってるんですよ。で、そこから抜けて食堂に来ると、ふわっと喋ったことにふわっと返してくれるゆるい関係性の仲間がいて。日比谷線としては、そこで一息ついたら、また気を引き締めて「よし、じゃあ頑張ろう」っていう気持ちになれる感じです。

KIMERU同僚的な存在の路線に癒やされてるんだね。

登野城:はい。日比谷線も僕も、癒やされてます。

――現実社会でもたくさんの方が共感しそうな感覚ですね。ありがとうございます。ちなみに、今作にはシリーズに新たに参加されるキャストの方々もいらっしゃいますが、先輩である皆様から「鉄ミュを楽しむためのアドバイス」を贈るとしたら、どんな言葉になりますか?

KIMERU遠慮しない。自由。みんな自由で!という感じです。

渡辺:うん、本当にそうだね。

KIMERU役者としての先輩後輩を変に意識したり、遠慮したり、そういうのをしないことがこの作品では大事だと思います。舞台上でもプライベートでも、自分の役どころを自由に楽しんでもらうのが一番いいです!

牧田:あと、役作りで気になることが出てきたら、路線の歴史を調べてみるのがおすすめです。僕ら役者は「お客様を笑わせなきゃ」って焦ってしまったり、難しく考えちゃったりしがちなんですが、やっぱり一番大事なのはそのキャラクターを掴むことだと思います。鉄ミュの場合、キャラクターの個性や関係性は現実の歴史に根ざしている部分が大きいので、自分が演じる路線の背景を掘り下げてみると、彼らの思いや意図も自然と見えてくるんですよ。
お客様を楽しませるのももちろん大事なんですが、キャラクター本人のことをよく知って、自分の中で「これだ」と思うものを表現すれば、それだけで場面がちゃんと成立するケースも多いです。この作品のお客様は、本当にすごく真摯にそれを汲み取ってくれるから。歴史を調べて原作を読み込んで、積極的に情報を深掘りしてみることで、自分もより楽しく演じられると思います。


――なるほど、ありがとうございます。登野城さんはいかがですか?

登野城:僕はもう逆に、皆さんのアドバイスを受け止める側として聞いていました。

KIMERU遠慮しなくていいんだよ。

登野城:いやいや(笑)本当に勉強になります。前回の地下鉄スピンオフは、オムニバスとは言え中心に1本ストーリーが通っていたじゃないですか。だから、ぽんぽんぽんとお話が切り替わっていく本来の鉄ミュのスタイルに参加するのって、僕は今回が初めてなんですね。今日皆さんのお話を聞きながら、「ああそうか、そういうふうに楽しめばいいんだな」とか、「ここに気をつけなくちゃいけないんだな」って、改めて思いました。
ただやっぱり、新キャストの皆さんよりは1回分先輩なので、役立つことがあれば稽古の中で共有していきたいです。僕自身ももっともっと楽しみたいし、一緒に頑張ろうね!という気持ちでいます。

渡辺:僕はKIMERUくんの思いに近くて、「素を出したもん勝ちだよ」って伝えたいです。もちろん役を作る上でいろいろ作り込んでいくのは当然なんですが、鉄ミュに関してはとくに、自分の素を見せ合って芝居をしていくのが良い方へ向かう近道だと思うんですよ。遠慮しないで素を見せて、みんなで輪になっていろんなバリエーションにトライしていくことで、面白い作品が出来上がるんじゃないかと思います。そうやって良いものを作り上げていけたら嬉しいですね。

KIMERUそうそう、チーム戦だから。みんなで楽しんでいこうね!


ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~は、7月4日(木)~7月15日(月・祝)東京・天王洲 銀河劇場にて、7月19日(金)~7月21日(日)兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeにて上演される。

取材・文:豊島オリカ/写真:ケイヒカル

【公演概要】

■タイトル
ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~

■原作:『青春鉄道(あおはるてつどう)』(KADOKAWA/カドコミ、COMIC BRIDGE連載中)
■原作者:青春(あおはる)
■主催:ミュージカル『青春鉄道』製作委員会(マーベラス/ネルケプランニング/KADOKAWA)
■協賛:ファミリーマート

■キャスト:
東海道新幹線 役 永山たかし
銀座線 役 KIMERU
東海道本線 役 鯨井康介
京浜東北線 役 高橋優太
東武東上線 役 高崎翔太
宇都宮線(東北本線)・山陰本線 役 稲垣成弥
北陸新幹線・丸ノ内線 役 渡辺コウジ
山陽新幹線 役 八神 蓮
山陽本線 役 吉澤 翼
北陸本線・東武日光線 役 牧田哲也
日比谷線 役 登野城佑真
武蔵野線 役 佐藤祐吾
岩徳線 役 佐川大樹
東武伊勢崎線 役 二葉 要
東武野田線 役 大野紘幸

<東京公演ゲスト>
北海道新幹線 役 輝馬
有楽町線 役 石田 隼

<兵庫公演ゲスト>
りんかい線 役 山本一慶

アンサンブル
兼次要那 能代谷和輝

アンダースタディ
佐藤祐亮

Staff
原作 『青春鉄道(あおはるてつどう)』(KADOKAWA/カドコミ、COMIC BRIDGE連載中)

原作者:青春(あおはる)
脚本・演出・作詞:川尻恵太 (SUGARBOY)
音楽:あらいふとし+ミヤジマジュン
振付:EBATO
舞台美術:秋山光洋(n10design)
照明:大波多秀起(デイライト)
音響:相川幸恵(エディスグローヴ)
映像:ワタナベカズキ
衣裳:ヨシダミホ
ヘアメイク:瀬戸口清香
演出助手:長谷川 景
舞台監督:田中 翼(capital inc.)
宣伝美術:西本恵理子
宣伝写真:宮坂浩見

■日程/劇場:東京公演:2024年7月4日(木)~7月15日(月・祝)天王洲 銀河劇場
《イープラススペシャルデー》
◇7月7日(日)18:00公演はイープラススペシャルデーとなります。
イープラス会員(無料)ならどなたでもお申込みいただけます。
詳細・お申込みはこちら
https://eplus.jp/aoharutetsudo6-2024_epsd/
https://eplus.jp/kashikiri/
※チケットのお申込み・ご購入に際しましては、下記の「注意事項」をよくお読みの上、同意された方のみご利用ください。
ご来場前に必ず公演公式サイトにて最新情報をご確認の上、ご来場くださいますようお願いいたします。

■チケット料金(全席指定/税込)
グリーン席/サイドシートグリーン席 11,000円
指定席/サイドシート指定席 7,000円
立見券 7,000円

【グリーン席とは】
1階エリア席でご観劇いただけます。
劇場にて、ダイカットシート(非売品)をプレゼントいたします。

【サイドシートとは】
舞台・映像・演出が見えづらいお席となります。
お席によりましては、スピーカーが近く、かなり音量が大きい場合がございます。
当日の座席位置の変更、返金対応など一切行えませんので、予めご了承いただいたお客様のみご購入ください。

■先行情報
<サイドシート追加開放・立見券販売決定!>
一般発売の好評を受けまして、サイドシートの追加開放販売および、立見券の販売が決定いたしました。販売ページの注意事項をよくご確認の上ご購入くださいますようお願いいたします。

■チケット取扱:
サイドシート:イープラス・チケットぴあ・ローソンチケット
立見券:イープラス、銀河劇場チケットセンター

【イープラス】
https://eplus.jp/AOHARU6/
ファミリーマート店舗

【チケットぴあ】
https://w.pia.jp/t/AOHARU6/
東京公演 Pコード:524-338
兵庫公演 Pコード:524-339
セブン-イレブン

【ローソンチケット】
https://l-tike.com/AOHARU6/
東京公演 Lコード:32945
兵庫公演 Lコード:54631
ローソン・ミニストップ店内Loppi

【銀河劇場チケットセンター】※東京公演のみ
https://www.gingeki.jp/(PC&スマートフォン)
03-5769-0011(平日10:00~18:00)

■発売日:2024年6月16日(日)10:00
※サイドシート・立見券につきましては、指定席の販売状況により順次販売を開始予定です。販売中のチケットの種類は販売ページにてご確認をお願いいたします。
<立見券とは>
券面に指定された番号の位置での立見観劇となります。
・東京公演:2階席または3階席後方エリア
・兵庫公演:3階席後方の半立見席(カジュアルシート)
(後ろに少し腰掛ける事の出来るバーがある場所でのお立見となります)
指定された立見位置以外でのご観劇は出来ません。また、折りたたみ椅子等のお持ち込みはご遠慮ください。
当日の席種や位置の変更、返金対応等など一切行えませんので、予めご了承いただいたお客様のみご購入ください。

【一般発売日】2024年6月9日(日)10:00~

<注意事項>
※フィーチャーフォンはご利用いただけません。予めご確認ください。
・出演者及び公演スケジュールは予告なく変更となる場合がございます。
・一度ご購入いただいたチケットは、キャンセル・変更、公演中止時以外の払戻は一切できません。
公演が中止になった場合には、公式サイト・公式X(旧Twitter)にて公演中止のお知らせ、払戻方法のご案内をさせていただきます。
・チケットは、紛失・盗難などいかなる場合においても再発行できませんので充分にご注意ください。
・営利目的によるチケットの購入、譲渡・転売行為は固くお断りしております。
・お席の場所によりましては舞台の一部が見えづらい場合がございます。
・未成年者は、必ず保護者の承諾を得てからチケットをご購入・ご来場ください。
・公演当日、劇場内の模様を撮影し、放送・配信・複製頒布等する場合がございます。
・車椅子をご利用のお客様や、ご観劇に際してサポートが必要なお客様につきましては、チケットを購入後、ご来場の1週間前までにネルケプランニングへご連絡ください。
<重要>
チケットは正規販売ルート(興行主催者、主催者より正式に販売許可を得たプレイガイド、ファンクラブなど)でご購入いただきますようお願いいたします。
チケットの譲渡・転売、及びそれを試みる行為は、いかなる場合も固くお断りしております。
正規販売ルート以外で購入されたチケットに関しては、その有効性を一切保証されておりません。
転売されたチケットは無効であり、ご入場をお断りさせていただく場合もございますので、ご注意ください。
また、営利目的の譲渡・転売等、チケットに関する不正行為やそれを疑われる行為が発覚した場合には本人確認を実施させていただく場合がございますので、予めご了承ください。

◆チケットに関するお問合せ
サンライズプロモーション東京 TEL:0570-00-3337 (平日12:00~15:00)

◆公演に関するお問合せ
ネルケプランニング
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■公式HP:https://www.marv.jp/special/aoharutetsudou/info.html
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