【インタビュー】松島勇之介「番ボらしく楽しみます!」劇団番町ボーイズ☆結成10周年記念公演「蚕は桑の夢を見る」
7月25日(木)、東京・CBGKシブゲキ!!にて、劇団番町ボーイズ☆の結成10周年記念公演「蚕は桑の夢を見る」が開幕する。本作は、養蚕農家を生業とする7人兄弟の物語。山あいにある村で、奇妙な風習を代々受け継いでいる“神原家”の習わしと、糸を取るために養われている蚕のように外の世界には出られない兄弟それぞれの生き方を描く。
脚本は堀越涼(あやめ十八番)、演出を松崎史也が務める今作は、番町ボーイズ☆の7人全員が出演。“蚕影様”(こかげさま)と呼ばれる立場の長男・一夜(ひとよ)と、話の語り部である四男の幸四郎は、菊池修司と松島勇之介が役替わりで演じる。
メディアクトでは、松島勇之介・西原健太・矢代卓也の3名に鼎談取材を実施。10周年記念公演の本作の脚本とそれぞれの役に対して感じていることや、役替わりの芝居に関して、番ボらしさとは? などについて語ってもらった。
――劇団公演としては2022年3月の「逃げろ、逃げるな。」以来の本公演です。今のお気持ちをお聞かせください。
松島勇之介(神原一夜役・神原幸四郎役/役替わり):僕は、劇団番町ボーイズ☆と10神ACTORとのコラボ公演・舞台「クローズZERO」(2019年5月)以来になるので…5年ぶりですか。しかもそのときはまだ、番ボの劇団員としての出演ではなかったので、今回どうやって稽古に入ろうかな、と緊張しています(笑)。でも緊張はしているものの、番ボの“外”で携わらせていただいたたくさんの作品で学んで培ったものを、この作品で出したい気持ちもあります。こういうものを得てきたぞ! と(笑)。
西原健太(神原三鶴役):緊張してるの?(笑) 前回の「逃げろ、逃げるな。」は番ボの全員が出演しての作品ではなかったので、全員でとなると本当に久しぶりですね! 10周年の記念公演ですし、「メンバー全員で作り上げる」という気持ちの入った作品になると思います。勇之介が言うように、メンバーそれぞれが外部で経験をしてきた色々なものを持ち帰ってくるこの現場は刺激になりますね。
矢代卓也(神原研吾役):僕は、劇団番町ボーイズ☆NEXT第2回公演「ギブアップダンス!!!」(2021年2月)以来なので3年半ぶりです。そのときは、番町ボーイズ☆NEXTのメンバーたちとの公演だったので、番町ボーイズ☆としての公演は久しぶりです。外部の作品では「はじめまして」の方たちと作り上げていくことが多いのですが、すでに関係性ができているメンバーでの稽古と作品作り。今からとても楽しみですね!
松島:もちろん「良いものをみんなで作りたい」と思っていると同時に、僕は「負けたくない!」の思いも強いです。同じ役を演じる菊池修司だけではなく、みんなに負けたくなくて!(笑) みんなもそう思っているでしょうし、その思いの相乗効果で、よいものになると確信しています。
――次に、本作の脚本についてお聞きします。レトロで古めかしくも美しいセリフ回しが特徴的な脚本の作品です。初めて脚本を読んだとき、どのように感じましたか?
松島:これまで触れてこなかった時代と傾向の作品ですね。一族は敬虔(けいけん)なカトリック教徒でもあるので、その点でも初めて知る言葉ばかりです。
西原:脚本を開いて、冒頭から「この単語、どういう意味だ?」と調べまくりました(笑)。
矢代:ね、「これがずっと続いていくのか…?」とはじめは焦りました(笑)。でも、言葉を調べながらこれからどんどん読み込んでいきます!
――演じる役についての印象はいかがですか?
松島:今回、菊池修司くんと役替わりで、神原家の長男・一夜(ひとよ)と四男の幸四郎(こうしろう)を演じます。幸四郎は、今までやらせていただいたいろいろな役や、自分自身にも近いものを感じていますが、一夜は弟たちに冷徹で厳しく、横柄な人物です。こういう役は初めてなので、どう演じよう? と。でも、一夜が周りに冷徹なのは全部家族のためであって、それを口には出さないだけなんじゃないだろうか…とも考えていて。長男である立場で、自分が家族を引っ張らないといけない、と責任感と深い愛情を持った人物なのかもしれません。いろいろと試して挑戦しながら作っていこうと思っています。
西原:僕が演じる三鶴は、表に立って目立つ人物ではないのですが、サポートをしたり、縁の下の力持ちの役割を持っていたりします。そういった意味では、自分に近しいものを感じていますね。普段はコメディリリーフ的で少しひょうきんな人物や、変わった人物を演じることが多いので、今回は力を抜いた自然なお芝居ができそうです。
矢代:研吾は、他の兄弟たちよりも荒々しく、少し凶暴な面も見える人物です。自分自身がそういう面は持っていないので、脚本を初めて読んだときは「できるかな…?」と思ったのですが、1度みんなと本読みをしてみたら「やりやすい」と感じて。不思議な感覚でした!
松島:うん、今までに見たことのない卓也だったけれども、しっくりきてるって思った。
矢代:そう? みんなと一緒での本読みだったから、みんなのおかげでもあると思うよ!
――今作は、松島さんと菊池さんが役替わりという珍しいキャスティングです。西原さんと矢代さんは、お2人のお芝居をどのように見ていますか?
西原:勇之介は“陽”、修司は“陰”のイメージを持つ役者という、正反対の特性があります。今回2人が演じるうちの一夜は“陰”の人間なので、それを勇之介が演じると聞いたときは「どんな感じになるんだろう?」とわくわくしました。
矢代:最初の本読みは、勇之介くんが幸四郎、一夜を修司くんという配役でやったのですが「すごいしっくりくる!」と感じて。だからこそ、配役を逆にしたときにどうなるのかな? と、さらに楽しみになりました。
松島:僕自身も楽しみです。役が入れ替わることでまったく違う2本の作品を見ているような気持ちになるのではと感じますし、ぜひ両方のパターンで観ていただきたいですね!
――役替わりの稽古にどのように臨んでいこうと考えていますか?
松島:客席からはよく修司くんのお芝居を観ていましたが、共演は久しぶりですね。プランとしては、修司くんとは違うアプローチで演じたいな、とは思っていて。話し合った方がいいのか…いや、逆に話し合わない方がいいのかな? どちらにしても、稽古場にはずっと一緒にいるし一緒に稽古することになりますね。引っ張られないようにしなきゃ、と気を引き締めています。
西原:勇之介と修司から受け取るものがまったく違うと思うので、お芝居の詰め方が大変になるでしょうね。温度間や“間”なんかも。
矢代:役替わりの2人の芝居を受け取る他に、僕が「ここは難しい」と思っているのが、開幕してすぐの冒頭です。とても緊張感があって、ひとり1人の語りかけの中で、どこか1カ所がほころんだら一気に崩れていってしまうようなシーンで。
西原:そう、台本の中にギミックがたくさん仕掛けられているので、それをどう表現しようかな…と。
松島:堀越さんの美しい脚本と、松崎さんの美しい演出に乗らせていただいて、僕たち番町ボーイズ☆はのびのびとお芝居を楽しめたらと思っています。10周年にふさわしい脚本と演出で、素晴らしい作品になるはずです。楽しみですね。
――ではあらためて、10周年の番町ボーイズ☆についてうかがいます。“番ボ”の良さや特性はどこにあると感じていますか?
松島:やっぱり、言いたいことを言い合える関係なのはいいですね。ガシガシ芝居を詰めていけるように思っています。でも久しぶりなので、はじめに言ったとおりに緊張しているんですけれども!(笑)
矢代:確かに、言いたいことを言い合える関係なのでとてもありがたいですね。僕は、人と話すのが得意な方ではないので、思っていることをなかなか積極的に言いだせません。でも、このメンバーでいると素直に何でも言えるんです。お互いにそうであると、どんどんいいものが作り上げられるように思いますし、今回もたくさんディスカッションしていきたいですね。
西原:番ボが持っている特性のひとつに「公演のたびに違う演出家さんと脚本家さんをお迎えする」というものがあります。そのときどきで多くの経験ができるとともに、毎回変わる雰囲気やカラーに対応して舞台を作り上げてきた番ボのメンバーを誇らしく思っていますし、今回もそのチームワークを遺憾なく発揮していきたいです。
――西原さんは今作で番ボを卒業するとうかがっています。番ボでの最後の出演となる本作へどのように取り組もうと考えていますか?
西原:役者をやるために大阪から上京してきて、今まで夢中でお芝居だけを続けてきました。それこそ、芝居しかしてこなかったと言えるほどに。劇団番町ボーイズ☆10周年の節目の作品に、気心の知れた信頼できる仲間たちとスタッフの皆さんと一緒に、尊敬する演出家、脚本家の方をお迎えして公演ができることに、心から感謝しています。この感謝の気持ちを通して、観てくださるお客さまに、この作品のメッセージを伝えていけたらと思っています。
――では最後に、代表して松島さんから本作への意気込みをお願いいたします!
松島:劇団番町ボーイズ☆は、このたび10周年を迎えることができました。卓也と健太くんをはじめ、ずっと支えてきてくれたメンバーたち、スタッフの皆さん、そして何よりも、応援してくださる皆さまのおかげでここまで続けて来られたとあらためて感じています。
番ボは、それぞれが違う場所で得てきたものを持ち帰ってきて、他のメンバーに負けまいと切磋琢磨しあえる、とても強い集団です。でも、この場所をただ「帰って来られる場所」として現状を維持し続けるのではなく、もっともっと成長して、皆さまに「この人たちを応援していてよかった」と思っていただけるような集団にしたいと思っています。
本作は、番ボ10周年記念の集大成であると同時に、大きなチャレンジでもあります。僕の個人的なことで言えば、演じたことのないような役柄を演じ、菊池修司くんと役替わりで作品を作っていくのもチャレンジです。松崎さんと堀越さんという、10周年にふさわしい方々のお力を借りながら、この公演を番ボらしく。それと同時に新しい番ボをお届けできたらと思っています。僕たちは精いっぱい楽しみます。ぜひ期待して劇場に観に来てください!
取材・文:広瀬有希/写真:ケイヒカル
■公演概要
劇団番町ボーイズ☆結成10周年記念公演 『蚕は桑の夢を見る』
演出・脚本:
演出:松崎史也 脚本:堀越涼(あやめ十八番)
出演:
<出演者>
神原一夜 役 菊池修司 / 松島勇之介
神原影次 役 堂本翔平
神原三鶴 役 西原健太
神原幸四郎 役 松島勇之介 / 菊池修司
神原研吾 役 矢代卓也
神原睦 役 宮内伊織
神原末葉 役 坪倉康晴
※一夜役・幸四郎役を役替わり上演いたします。
会場:
CBGKシブゲキ!!
<スケジュール>
7月
25日(木) 18:30◇
26日(金) 18:30◆
27日(土) 13:00◆/17:00◇
28日(日) 13:00◇/17:00◆
29日(月) 休演日
30日(火) 18:30◇
31日(水) 14:00◆/18:30◇
8月
1日(木) 18:30◆
2日(金) 14:00◇/18:30◆
3日(土) 13:00◇/17:00◆
4日(日) 12:00◆/16:00◇
◇ 一夜役…菊池修司 幸四郎役…松島勇之介
◆ 一夜役…松島勇之介 幸四郎役…菊池修司