【インタビュー】「どこまでも青くてフレッシュで尊い作品です!」舞台『アオペラ』星元裕月・常盤みつる

インタビュー

11月8日(金)、東京・シアターHにて舞台『アオペラ』が開幕する。本作は、「青春」×「アカペラ」をコンセプトにした音楽原作プロジェクト「アオペラ -aoppella!?-」の舞台版。アカペラに懸ける高校生たちの物語と、生のアカペラ歌唱がみどころになっている。

メディアクトでは、アカペラグループ「FYA'M'」の綾瀬 光緒役の星元裕月と深海 ふかみ役の常盤みつるに対談インタビューを実施。お互いへの印象や、歌唱稽古でのエピソード、歌が自分に与えた影響などについてたっぷりと語ってもらった。

――はじめに、本作へ出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

星元裕月(綾瀬 光緒役):声だけで作るアカペラを題材とした舞台だとお聞きして、はじめは「自分につとまるのだろうか?」と少し心配になりました。でもそれ以上に「前代未聞だ! これが成功したらきっと、舞台業界の新しい扉が開くに違いない」と思って。その作品とその瞬間に自分が立ち会えるのだとしたら大変光栄なことだ、と出演を決めさせていただきました。今は、この大きなチャレンジに楽しみな気持ちでいっぱいです。

常盤みつる(深海 ふかみ役):僕はオーディションでこの役をいただきました。決まった瞬間はとてもうれしかったのですが、初の舞台出演ということでだんだん「本当に僕でいいのか…?」と、うれしさと不安が入り混じるようになって。でも、選んでいただいたからには全力を出して、皆さまにいいものをお届けしたい! という気持ちになりました。

――ご自分の演じるキャラクターについてどのように感じていますか?

星元:光緒は、見た目から本当にかわいいですよね。自分のことをかわいいとちゃんと分かっていて、小悪魔的な要素もあります(笑)。男女問わずどんなキャラクターでも、美しさや何かが突出して秀でた人物には「きれいなバラにはトゲがある」という言葉に表されるような部分があると思っているのですが、光緒はまさにそういう子ですね。

公式YouTubeにあるさまざまなストーリーを観て「心の中に1本の筋がしっかりと通っている」と思いましたし、FYA'M' の結成秘話では「普段はあんなにツンツンしているのに本当はみんなのことが大好きなんだ」と。そんな光緒を見ていて、デビューしたての素直ではなかった頃の自分とリンクする部分がたくさんあると感じて…。それから、ふかみの本質を見抜いて磨きをかけるのが好き、という部分に関しても共感する点が多いです。性格などは私自身と異なる点も多いですが、さまざまな面で共感できるので運命的なものを感じているんですよ。この出会いに感謝しています。

常盤:ふかみは物静かな人ですね。でも、多くを語らずとも、考え方にはしっかりと筋が通っているし信念を持った人だと感じています。それから、きれいなものが好きで、そのきれいなものを吸収したいと思っている。僕も日ごろから、感情や感覚などさまざまなものを体に入れるにあたってはできるだけきれいなものをと思っているので、ふかみのような人間でありたいと願っているんです。自分の中に取り入れた“きれいの種”を育てて大きくしていけたら、彼にもっと近づけるかなぁ…と感じています。

――お2人でお出かけされたりもして仲を深めている様子をSNSで拝見していますが、お互いをどのような人だと感じていますか?

星元:見た目はちょっとクールですが、とにかく優しい人です。親睦を深めるための初めての集まりでは、どういう人だか分かりきれなかったので「もっとちゃんと話したいな」と、日を改めて1対1で会ってお話をすることにしました。

たくさん話をして分かってきたのは、優しいからこそ、自分のことよりも人の気持ちを考えて、感情の先回りをしてしまう人なんだな、ということ。自分がどう思われているかを考えすぎてしまったり、考えを譲ってしまったり。そういうところが、どこまでも人間らしくて素敵だなと感じています。そうかと思えば、24歳らしい年相応な部分もあったり(笑)。

これから本格的な稽古に入るにあたって、きっとこの人は座組のみんなに愛されるだろうな、と。今作は彼にとって初舞台なので「私が支える!」とまで言ってしまってはおこがましいのですが、せめて、しんどいことや弱音なども気兼ねなく話してもらえる存在でありたい、と思っています。

常盤:まず、こうして気にかけてくださるのがすごくうれしいです。1対1でお会いしたその日に、僕の心の扉を開けてくださったんですよ。まだ2回目の対面だったというのに! 本当に信頼しきっていますし、これからの稽古でたくさんお世話になるだろうと今から感じています。ゆづさん(星元裕月)がいてくれてよかった、と言える存在です。

実は僕もはじめは、ゆづさんを「クールでさっぱりしている人なのかな?」と思っていたんですよ。でも、まったくそんなことはないし、よく喋る方です(笑)。頼りがいがあるのに、ふにゃっとしていてかわいい面もあって、最強のお姉さんですね!

星元:最強なんだ!?(笑)

――本格的な稽古の前に、すでにすてきな関係性ができていますね! 現在はみなさんで歌の稽古に入っているとお聞きしています。

星元:彼はすごいですよ! 彼が出してくれるパーカッションの音があるから、私たちも安心してそこに乗っていけます。縁の下の力持ち、という言葉がぴったりですね。舞台の上でこの才能が光り輝くだろうな、と感じています。

常盤:ゆづさんの歌声には、温かみがあります。アカペラの1番の魅力は、“人の声”だと思っていて。楽器などでは出せない人間の声ならではの温かみがアカペラの魅力だからこそ、その人の魅力が直結してくるんじゃないかなと。ゆづさんの温かい歌声は本当に魅力的なので、いてくれてよかったなぁ…と思っています。

星元:そうなんだ? うれしい。先日、舞台オリジナルアカペラ楽曲の「響」(舞台公式サイト・マーベラス公式YouTubeにて配信中)を歌ったのですが、みんなの歌声を聴いていると泣きそうになるんですよ。役者は、オーディションがあれば選ばれるために相手と戦うし、そこには勝者と敗者が生まれてしまいます。周りはみんな戦友であり、お互いを高め合うライバルでもあり…。そんな世界の中で、この瞬間だけは“共演者”でもなく“仲間”や“ファミリー”として手をつないだ、と感じるんです。どこまでもみんなの声が好きで、一緒に同じゴールを目指している。

私がみんなの声を聞いてそう感じているのがお客さまに伝われば、きっとお客さまにとっても、見たことも聞いたこともない世界が広がるのだろうなと。それを届けられるのが、とても楽しみです。そして、それらの曲の地の部分を作ってくれているのがパーカスの彼なので、やっぱり彼ありきだな、と思っています。

常盤:ありがたいお言葉ですね! 先ほど言ったこととつながるのですが、歌声にはその人の内面が乗る感覚があります。それは直接耳には聞こえてこないかもしれないですけれども、その人の人柄やバックボーンが、聴いてくださる皆さまの心に届いてくれたら…と思っているんです。さまざまな魅力を持つこの座組の1人ひとりが、それぞれの思いを持って音を重ねていけば、きっと素晴らしい音楽になるはずです。それがアカペラの魅力であり、本作の魅力であると感じています。

星元:稽古が毎回おもしろくて楽しいんですよ。もちろんたくさん間違えもするんですけれども(笑)、それを乗り越えてできたときの喜びは何にも代えがたいものがあります。チームごとにさまざまな案を出し合いながら作り上げているのですが、先日佐奈ちゃん(佐奈宏紀/是沢 舞斗役)と柊(桑原 柊/紫垣 明役)が「俺たちは新しい練習方法を生み出した!」「リルハピには教えたくないけど…もう教えちゃった!」なんてすごく自慢げに言っていたりね(笑)。

常盤:楽しい稽古場ですよね、毎回が“気づき”です。特別に大きな何かが起こるわけではないけれど、音を合わせたときに「こうなるんだ」と気づいて、それが毎回新鮮で。クオリティが上がっていくたびに違うように聴こえるので、その体験がこれから何度もできるんだと考えると、わくわくが止まりません。

――これから本格的な稽古に入るとのことですが、稽古で楽しみなことは何ですか?

星元:みんなと青春時代の日常を過ごせること、かな。私はちゃんとした青春を知らずに10代を過ごしてきたので、そういう日々をみんなと過ごせたらいいな、と。例えけんかをしたとしても、それも成立してしまう仲間たちだと思うし、そういうこともあってこそ、この舞台『アオペラ』の座組だと思うんです。もちろんみんなもう大人なのですが(笑)、甘える時は甘えて、頼って…、そうやって一生ものの絆ができるような仲になれたらいいですね。

常盤:みんなの声を浴びながらいいものを作っていく過程が、1番楽しみです。キャストそれぞれの人となりや、キャラクターそれぞれの深いところなど、作りながら見えてくるものがたくさんあると思います。それから、自分自身にも新しい発見ができるんだろうな、と。稽古の最後、そして舞台の千穐楽、最後を迎えたときにどんな僕たちがいるんだろう、と考えると楽しみでなりません。1日ずつ、気づきを大事にしながら日々を過ごしていきたいです。

――おふたりの所属するFYA'M' とリルハピの違いや、推しポイントを教えてください。

星元:リルハピは、元気があって澄んだ歌声のチームです。対して私たちのFYA'M' は、ちょっと大人の雰囲気があってR&B的なイメージがあるかも…? 色気やかっこよさなど、少年たちがちょっと背伸びをして「大人」を表現しているのがいいな、と感じています。

常盤:FYA'M' にはパーカス担当がいるので、ハネた感じを出せるのが特徴ですね。それからセクシー。元気なリルハピとは対照的で、聴いていて楽しいと思いますよ。

――次に、本作の根幹となるモチーフの「音楽」についてお聞きします。これまでに大きな影響を受けたり、救われたりした音楽についてお聞かせください。

星元:私は、浜崎あゆみさんがすごく好きなんです。彼女の作る歌詞には救われてばかりで…。どうお仕事をしていったらいいんだろう、どう生きていったらいいんだろう、と迷って立ち止まってしまったときにも、あゆさんの歌詞を聞けば「そうだよね」って。

さまざまな場面で、自分の言葉で全てを語るのではなく「この曲なら皆さんに私の気持ちを伝えられる」と、ファンクラブのブログに曲名を書いたり、Instagramの動画や写真にその音楽をつけたりもしています。

例えば、「NOW & 4EVA」や「The way I am」、「A Song for ××」。それらの曲には全部、私が生きてきて感じていること、考えていること、私からファンの方々へお伝えしたいことがすべて詰まっています。

役者人生のことでは「Aurora」。“なんだかんだやっていくんだね 終わりの鐘が鳴る日まで”、その歌詞に私の役者としての気持ちが映し出されています。終わりが来るその日まで、こうしてやっていくんだよなぁって…。

常盤:僕は、ZORNというラッパーの方のリリックに救われてきました。ラップというと派手で「ウェーイ!」というようなイメージがあるかもしれないのですが(笑)、ZORNさんは、家族やありきたりな日常や、身の周りの些細なことの大切さに気づかせてくれるんです。特に「いたいのとんでけ」という曲があって、その曲は最後に「こんなうた とどきませんように」という言葉で締めくくられていて。

本当につらかった頃に聴いたときには胸に響くものがたくさんあったのですが、今その曲を聴いても不思議と客観的な気持ちになれるんですよ。まさにリリックの「こんなうた とどきませんように」の通りになったというか。曲に書かれていたような状況から抜け出せて、元気になれたんだなぁ…と感じます。

星元:「歌」って、本当に救われるよね。それを舞台でやれるのはありがたいことです。

常盤:そうですね、救う側になれる可能性があるのかもしれない。

――お客さまにおふたりの気持ちが届くといいですね。最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

常盤:こんなにフレッシュなものがあるんだと思っていただけるように、純粋な青春をお届けします。本作は僕にとって初舞台なので、まだまだ分からないことだらけです。でも「自分が楽しまなければお客さまにも楽しんでいただけない」と思っているので、このアオペラの1ページを全力で楽しんでいきます。皆さまも一緒に楽しんでいただけたら何よりです。

星元:本作は青春群像劇でもあるので、最大の見どころである歌唱の他にも、バタバタわちゃわちゃとしたところも観ていて楽しいと思います。自分がまるで学生になったかのような気持ちになる、青春を追体験できる。どこまでも青くてフレッシュで、そしてどこまでも尊い作品です。声だけで紡いでいくアカペラの舞台、きっと前代未聞なことが起きるはずです。皆さまにも「自分も楽しもう!」というお気持ちで楽しんでいただけたらと思っております。ぜひ楽しみにしていてください!

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「インタビューは初めてで」と緊張しながらもしっかりとした口調で丁寧に語る常盤を、穏やかに、そして明るく支えながら作品への想いを熱く語る星元。ふんわりとした優しい時間が流れるインタビューとなった。「前代未聞」という本作、歌唱力に定評のあるキャストたちが劇場にどのようなハーモニーを響かせてくれるのか楽しみでならない。


取材・文:広瀬有希/写真:ケイヒカル

公演概要


【 Staff 】
原作 アオペラ -aoppella!?-
脚本・演出 元吉庸泰 / 音楽 桑原まこ / アカペラ監修 とおるす
主催:aoppella stage project

【 Cast 】
鈴宮 壱 役 長江崚行  丹波 燐 役 手島章斗  雁屋園道貴 役 宮島優心
四方ルカ 役 畠山理温  宗円寺雨夜 役 磯野亨 /
是沢舞斗 役 佐奈宏紀  綾瀬光緒 役 星元裕月  紫垣 明 役 桑原柊
宗円寺朝晴 役 内田将綺  猫屋敷由比 役 坂田隆一郎  深海ふかみ 役 常盤みつる /
辻堂颯太 役 眞嶋秀斗 ほか

【 Ticket 】
<チケット価格> 11,000円(税込/全席指定)
<チケットスケジュール> 
・一般発売(先着)10/5(土) 12:00~
https://l-tike.com/aoppella-stage

公式HP https://www.marv.jp/special/aoppella-stage/
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