加藤将「エナジードリンクのような作品です!」インタビュー「超ハジケステージ ボボボーボ・ボーボボ」

インタビュー

10月23日(水)、東京・シアター1010にて「超ハジケステージ ボボボーボ・ボーボボ」が開幕した。本作は『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2000年代はじめに連載されていたギャグバトル漫画『ボボボーボ・ボーボボ』(澤井啓夫作)の舞台化作品。舞台化発表、キャスト発表、ビジュアル発表…と、そのたびにSNSで大きな話題を呼んでいる。

メディアクトでは、主役のボボボーボ・ボーボボを演じる加藤将にインタビューを実施。開始直前に加藤は「本気で喋れるコンディションを作りたいので」と、用意されたものとは別の椅子を物色し始めた。どうやら、へこみ具合や座り心地が気になるようだ。集中して喋れると見込んだ椅子を発見すると加藤は腰かけ、熱のこもったインタビューが始まった。作品や共演者に対して思うこと、コメディ作品への芯の通った強い思いなどについて語った様子をお届けする。

――はじめに、本作主演のお話が来た時のお気持ちからお聞かせください。

大好きな作品なのでうれしかったと同時に、「ボボボーボ・ボーボボ」を舞台化? どうやって? と思いました(笑)。絶対におもしろくなるのは分かっているのですが、舞台で表現するには難しそうなことがたくさんありますしね。

キャストが発表されたとき、役者仲間たちから「ぴったりだね」と言われました(笑)。自分ではわからないのですが、どうやら僕は日常から何かが少しおかしいらしいんですよね…。でも、僕はその「少し変わっている」と言われている部分を武器にしていきたいと思っているんです。この仕事は、これまでの人生で感じたことや経験が反映されると思うので、よく言われる“一般常識”にとらわれたくない。自分で、自分の常識を作っていけばいいんじゃないかって。

本作は、セリフなどの物量がとても多い作品ですし、これからの稽古でも苦労すると思うのですが、稽古を終えるころには自分でも「ぴったりだ!」と思えるようになっているんじゃないかなと。僕は、皆さんを引っ張っていくタイプ(の座長)ではないので、首領パッチ(演:稲荷卓央)と一緒にみんなでいいステージを作っていけたらと思っています。

――原作の漫画・アニメと、ご自分が演じられるキャラクターについて、どのように感じていますか?

ボーボボの好きなところは、仲間を見捨てないところです。途中で仲間に対していろいろとあるけれども(笑)、仲間がいるからこそ最後のボスにも勝てましたし「やっぱりジャンプの主人公だな」と感じます。僕も、これまで出会った人たちや仲間を大事にしているので、その点がとても共感できます。

――これから、どのように役作りをしていこうと考えていますか?

まずは体作りです! ビジュアル撮影のときは、他のお仕事との兼ね合いで身体を大きくできなかったので、今はずっと食べまくっています(笑)。お芝居面での役作りのほかに、観てくださる原作ファンの皆さまのためにもやはりビジュアルも近づけたくて。150キロくらいないと難しいなぁ…と思っているのですが、そこまではちょっと難しいですね(笑)。これから鍛えまくって、特に腕を太くしていきたいです!

――ビジュアル撮影のときのエピソードを教えてください。

体作りの話からつながりますが「体を大きくする代わりに腹筋と“くびれ”はしっかり作ろう!」と。短い期間で腹筋とくびれを作り上げられたので、僕は腹筋の才能があるかもしれません。以前に他の舞台でも、中学生の役を演じるのに腹筋と胸板をバキバキに作り上げてしまって、「それ以上筋トレをしないように」と制作さんに怒られたことがあります(笑)。

撮影時のことで言えば、首領パッチのビジュアルは衝撃的でしたね。僕が生まれたのと同じころから役者をされているベテランの稲荷卓央さんが、身長の高さを合わせるために正座をして撮影されているんですよ。それから、口だけ出ているソフトン(演:小松準弥)も!(笑) どれも、完全に完璧ではなくいい意味でおもしろく、バランスよく作っていると感じました。

今回の衣装を担当してくださっている加藤佑里恵さんに「カトショはいつも衣装の股を破る」と言われてしまって(笑)。本番では破れないような素材で作ってくださっているのですが、ビジュアル撮影や衣装付き通し稽古のときにはつい破ってしまうんですよね。破れてもおもしろいとは思うのですが、本番では破らないようにしたいです!(笑)

――脚本を読んだ感想はいかがですか? ネタバレにならない範囲で本作の観どころも教えてください。

とにかくボリュームと情報量がすごいです。お客さまは大満足していただけると思いますよ。(脚本・総合演出の)川尻(恵太)さんが「前半でどれだけお客さまを麻痺させられるかだ…」って(笑)。いい意味でカオスですし、「これを飲んだら気分がよくなるよ!」というエナジードリンクのような作品になると思います。

――今作の座組は、稲荷卓央さんのような大ベテランの役者さんやアーティストの方、お笑い芸人の方など、さまざまな経歴を持つ方々で構成されていますね。

いろいろな方が集まっているので、チームとしておもしろくなるんじゃないかなと。皆さんにお力を貸していただきながら、自分なりのスパイスを利かせて何かを残せたらいいですね。

先日の本読みのときに、稲荷さんのすごさを間近で感じさせていただきました。まだ稽古には入っていない段階なのに、稲荷さんの首領パッチはすでに世界観が成立していたんです。本気で悲しんで本気で怒っている、その切り替えがすさまじくて。僕もこうありたい、目指したい、と強く感じました。それに、本当にベテランの方なのに僕に対してもとても丁寧に接してくださって…。いい作品にするために、これからさらにコミュニケーションを取っていきたいです。

今作では、稲荷さんをはじめとした共演の皆さんはもちろん、制作スタッフの方々に対しても「この出会いがあってよかった」と強く感謝しています。実は、30歳を超えてからようやく「もっと人のことを知りたい」と思うようになったんですよ。たくさんの人ともっと話して、もっと好きになって、人間力を高めていけたらと思っています。

――これからの稽古への意気込みや、本作へどのように取り組んでいこうかというビジョンをお聞かせください。

原作と台本を照らし合わせて「ここが見どころになる」と思ったシーンをピックアップしていたら、つい徹夜してしまいました(笑)。原作漫画のファンの方、アニメだけを見ていた方、アニメにも漫画にもまったく触れてこなかった方…本作を観てくださる方は、それぞれだと思います。原作ファンの方の思いを大事にして、喜んでもらえるようにしながらも、ときには原作にないセリフや言い回しをすることがいい効果を生むケースもあると思うんです。大変ではありますが、挑戦と調整を重ねながら頑張っていきたいですね。

歌唱とともに、バトルシーンが多いので「喉をつぶすかもしれないなぁ」とも思っていて。ほかの作品では、声帯の調整のために40分くらいかけてしっかりアップしているのですが、今作ではもう声帯は捨てます!(笑)

――本作は“ギャグバトル”というカテゴリーの作品です。人を笑わせるというのはとても難しい表現だと言われていますが、コメディやギャグの舞台表現についてどのように考えていますか?

「笑わそう」と狙って笑わせるのではなく、真剣にお芝居をしているけれどもお客さまは笑っている、というのが理想です。例えば、2018年に出演したシェイクスピアの「夏の夜の夢」(ライサンダー役)。ストーリーの中で、登場人物たちの好きな相手が、妖精の媚薬の影響でごちゃごちゃに入れかわってしまうんです。「僕は本気で想っているのに、どうして君は応えてくれないんだ!」と、本気で困っている様子にお客さまは大笑い!(笑) コメディのお芝居はその作品が初めてだったので、「こうありたい」という考え方の基礎となりました。

それから、絶対にこれだけは破ってはいけないという自分へのルールがあります。「勝手な自分の判断でその世界観を壊さない」。例えば時代劇でのコメディだったとしたら、突然スマホなどを登場させたらおもしろいしうけると思うんです。でもそれは、脚本や演出としてきちんと計算されている場合に限ります。役者として、アドリブや自分の判断でやってしまっては、その後のシーンに影響が出てきてしまう可能性が大きい。観てくださっているお客さまにとっては、世界観を壊されてしまうことにもつながりかねません。

自分としては絶対的なそのルールでいつもお芝居をしているのですが、僕は他の人とは感覚が少し違うところがあるようなので、周りから突っ込まれてしまうこともあります(笑)。でも、自分の中ではその世界観の中で生きているし、しっかりとお芝居を成立させているんですよ。今年の5月に、本作と同じく川尻さんが脚本・演出をされたオリジナルのコメディ作品に出演させていただいて、そこでも僕は自分の中のルールに従って、“その世界に生きている人”としてお芝居を通していました。

でも今回は、「どうやってこの世界観をつかんで、その中でお芝居を成立させたらいいんだろう…」と考えているところです。俳優としてこの作品に携わらせていただいているからにはあきらめたくないのですが、頭がおかしくなりそうですね!(笑)。

――しっかりとした信念を持ってコメディに取り組まれているのですね。そんな加藤さんが今、お芝居が楽しいと感じるのはどんなときでしょうか?

自分の力を思い切り発揮できている、と実感しているときでしょうか。本作もそうですが、稽古の序盤は覚えることが本当に多くてとても大変です。でも、稽古が進んでいって本番を迎えるころには役と自分がなじんできますし、余裕も出てきます。そうなったときに、それまで自分が生きてきた中で得たものをうまく生かして出せていると感じると、やりがいを覚えます。

僕は太陽属性の人間ではありますが、実はネガティブなキャラクターを演じるのが得意で(笑)。それは、僕がこれまで得てきたさまざまな経験が生きているからこそだと思うんです。僕は、怒り、悲しみ、喜び、大切なものに対する愛…そういうさまざまな感情やパワーを、マックスの100パーセントではなく120パーセント以上にして表現できる自信があります。少し時間はかかるかもしれませんが、どんな役でも作りこんで演じられる。そう感じています。

それから、演出家さんから求められるお芝居に応えていくことも、決められているものをぶち壊していくのも、どちらも楽しいです。本作でも、川尻さんの想像を超えたお芝居でぶちかましていきたいですね!(笑)

――最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします!

原作漫画、アニメ、澤井先生のファンの皆さん、カンパニーのキャストそれぞれのファンの皆さん、それから僕を応援してくださっているファンの方々。皆さんに喜んでいただけるようにがんばります! 僕がやる意味のある、僕だからこそ表現できるボーボボを演じたいと思っています。ボーボボ×(かける)加藤将を、ぜひ楽しみにしていてください!

ヘアメイク:権田政剛
スタイリスト:藤長祥平

<公演概要>
タイトル:超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ

原作:澤井啓夫「ボボボーボ・ボーボボ」(集英社 ジャンプコミックス刊)
脚本・総合演出:川尻恵太(SUGARBOY)
出演:加藤 将/工藤晴香 樋口裕太 大澤駿弥(ORβIT)/
兎(ロングコートダディ) 小松準弥/稲荷卓央(劇団唐組)
立道梨緒奈 野本ほたる
中村哲人 砂川禎一郎 山科連太郎
重松直樹 田邊謙中 土井俊允 成田裕也 三原大和 福田真由 山内優里
ナレーション:太田真一郎

公演期間:2024年10月23日(水)〜10月31日(木)
会場:シアター1010(〒120-0034 東京都足立区千住3-92千住ミルディスⅠ番館 10F)
チケット(全席指定・税込):
超ハジケシート33,000円(最前列・特典付き)
〈特典内容〉終演後舞台上にて写真撮影(舞台セット+お客様のみ※キャスト登場はございません)
ボーボボ鼻毛アクリルキーホルダー
複製サイン入りブロマイド7枚セット(加藤、工藤、樋口、大澤、兎、小松、稲荷)
一般席 9,900円
チケットに関するお問い合わせ:Mitt 03-6265-3201(平日 12:00〜17:00)
公演に関するお問い合わせ:東映ビデオカスタマーセンター0120-1081-46(平日10:00〜
13:00、14:00〜17:00)
舞台公式サイト:https://bo-bobo-stage.jp
舞台公式X:https://twitter.com/bo_bobo_stage
ハッシュタグ:#ボボステ
主催:ボボステ製作委員会(東映ビデオ/東映アニメーション/アプル)
©澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会

<ライブ配信概要>
配信対象公演:10月28日(月)13:00公演(全景映像)
18:00公演(スイッチング映像)
視聴券:3,850円(税込)
10月28日(月) 13:00回/18:00回マチソワセット券:7,150円(税込)
※生配信終了後、ディレイ配信期間は購入した公演の映像を何度でも視聴いただけます。
販売ページ:https://live.tv.rakuten.co.jp/content/488902/
配信の購入期間:9月13日(金)17:00〜11月3日(日)20:00まで
ディレイ配信の視聴可能期間 : 11月3日(日)23:59まで