【インタビュー】「度肝を抜く比嘉中です」二階堂 心+益川和久 「テニミュ」4thシーズン 青学(せいがく)vs比嘉
1月11日(土)、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs比嘉が、東京・日本青年館ホールを皮切りに開幕する。本作は、2021年7月に始まった『テニミュ』4thシーズンの6作目。ついに全国大会に出場した青学(せいがく)と、沖縄代表のダークホース・比嘉が熱戦を繰り広げる。今作から青学(せいがく)はキャストを一新。新青学(せいがく)として初の本公演となる。
メディアクトでは、比嘉中の部長・木手永四郎役の二階堂 心と甲斐裕次郎役の益川和久に対談取材を実施。稽古の様子から、比嘉中に対して感じていること、自らの「反骨」エピソードなどについて語ってもらった。
――はじめに、本作へ出演が決まったときの気持ちからお聞かせください。
益川和久(甲斐裕次郎役):僕は、テニミュボーイズとしてミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく) vs 氷帝に出演していました。そのときは何人ものキャラクターを演じてとてもやりがいがあって楽しかったのですが、甲斐くんを演じられると決まって「この役だけにすべてを捧げられるんだ!」とわくわくしたのを覚えています。
二階堂 心(木手永四郎役):まずは、ほっとしました。新テニミュ(ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stage)で木手として出演していた僕を応援してくれていたファンの方々が「木手くんを比嘉中のメンバーに会わせてあげたい」と言ってくださっていると聞いていたので、ご期待に応えられて本当によかったです。引き続きこの役を演じられることになって、比嘉中メンバーのみんなには感謝しています。
――メンバーを得てあらためて比嘉中の木手として舞台に立つのは、どのような気持ちですか?
二階堂:お披露目会では、万感の思いを込めて高らかに「比嘉中、そろいました!」と宣言させていただきました(笑)。ひとりで比嘉の色を出すのはとても大変だったので、みんなでチームカラーを出せるのがとても心強いです。
――現在稽古中とうかがっています。お2人それぞれ、ご自分の役はどのように作っていっていますか?
益川:僕は武術太極拳を長い間やってきています。競技は違っても、全国大会の優勝を目指す意識や、対戦相手との1点の攻防による心情の変化は、共通するものがあると思うんです。動きの他にも、そういう気持ちの面を重ねて細かく演じていけたら、と思っています。
二階堂:そう、彼はラリーのときの動きのキレがすごいんですよ。テニミュボーイズでの経験に加えて、筋肉の使い方がうまいんだと思います。
木手は、礼儀やルールにのっとった上で、皮肉など相手が嫌がることを言ったりする人ですね(笑)。全体的に荒っぽいところのある比嘉中の中でも、彼は少し特殊な存在だと感じています。新テニミュよりも前の時系列での話になるので、より青くささを出していけたらいいなと思っています。また、勝利への強い渇望の気持ちを持っている人なので、チームのみんなと一緒にやっていきながら、木手のその飢えのようなものを引き出していきたいです。いろいろな技をメンバーに教えたリーダーという立ち位置の自覚を持って、より彼の内面を掘り下げていけたらと思っています。
――稽古をしている中で、お互いをどういう役者だと感じていますか?
益川:自分の得てきたスキルや経験を、惜しみなく誰にでも伝授してくれる人です。苦労して身につけたものを自分だけのものにしないで、年下や、まだ経験の浅い人たちに教えてあげられる。その姿がかっこいいです。
二階堂:うれしい回答だね!(笑) かず(益川)は、とてもやりやすい相手です。常に相手に対して敬意をもって接している。先ほど言ったことと重なるのですが、体のさばき方がすごいという、目に見える部分だけではなく、内面も信頼できる役者ですね。幼なじみ役の相手が、かずでよかったなぁ…と感じています。
――では次に、比嘉中全体のことをうかがいますね。チームとしての特色や、稽古中に気づいたことなどを教えてください。
二階堂:チームナンバーの振り付けがとてもボリューミーなのですが、振りを覚えるのが歴代最速だとほめていただきました! ビシッと決めて終わったとき、稽古場にいたスタッフの皆さんがわあっと拍手してくださったんですよ。
益川:一生懸命になるあまりに視界を狭めないようにしているので、1番ふざけているように見えるかもしれませんね(笑)。でも、全員責任感がとても強いんですよ。「やってやるぞ!」という気持ちが前面に出ている人ばかりです。
二階堂:お披露目会の稽古を経て、本公演の稽古をしている中でもどんどんその気持ちが高まっていっています。相手を尊敬する気持ちは絶対に持ちながらも、信念を曲げたり譲ったりすることはない。そういう、反骨精神を持った人が集まっていると感じます。
稽古をしていて思うのは、部員たちと彼らを演じる役者たちには「反骨精神」という共通点があるなと。比嘉中の部員たちは、絶対的な自信を持っていて「見返してやる」という気持ちを強く持っていますよね。僕自身、とても厳しい野球部に身を置いていたので、比嘉中顧問の早乙女先生(早乙女晴美/鷲尾 昇)が課す練習メニューに理解はしつつも、人間として彼を心から好きになれない気持ちが分かるように思えます。永四郎は、先生の厳しさに耐えられる反骨精神を持った人たちを集めたのではないかな、と。その気持ちの強さが、自信を持って自分たちの強さを全国に知らしめてやる、という意識につながっていると感じています。
益川:うん、負けるなんて少しも思っていない。永四郎に教えてもらったものに自信を持っていて、だからこそ試合の中で自分の想像と違う方向になっていってしまったときは、本当に焦って苦しくて…。稽古で演じながら「甲斐君はこんな気持ちだったんだ」と体感できた瞬間でした。
二階堂:それから、特色で言えば比嘉中はちょっと特殊な自主稽古をしていて…「バーニング稽古」っていうんですけれども(笑)。
――バーニング稽古とは(笑)?
二階堂:青学(せいがく)のタカさん(河村 隆役・坂上翔麻)の“バーニング”が由来なのですが、例えばラリーを打ち合ったりナンバーを歌ったりするときに、役作りや細かいお芝居はせずに120パーセント以上の力でやるんです。とにかくありったけの力以上のものを出して全力で。そうやって何もかもを吹っ切ってすべての力を出すことで、今まで見えてこなかったものが見えてくるんですよ。
益川:それから、試合の対戦相手になりきっての稽古もしています。向こう側からは自分がどう見えているのか、どんな気持ちなのか…。中でも、1番ノリノリなのは田仁志(田仁志 慧役・平川聖大)役の聖大です。あの大きい体でリョーマ(越前リョーマ役・竹内雄大)の動きをコピーしてラリーをしたり、ちょっとかわいい動きをしてみたりしています(笑)。
※田仁志 慧の「慧」は旧字体
二階堂:あれは相当おもしろいね!(笑) 聖大がやるリョーマの動きがおもしろくて、稽古場には笑いが絶えません。
――皆さんの仲の良さが伝わってきます。先日は、比嘉中メンバーの皆さんで水族館に行かれていましたね。
二階堂:演出の三浦さん(三浦 香)から「みんなで沖縄に行ってきなさい」と言われていたのですが、スケジュールの都合で難しくて。行き先をいろいろ検討した結果、僕の運転で水族館に行くことになりました。
益川:車にぎゅうぎゅうに詰め込まれてね。水族館に着いたら、聖大がすごく酔っていて(笑)。
二階堂:そう、「車に乗っている時はスマホを見るな」って言っておいたのに! 水族館では酔ってずっとしょぼくれていたので、見張るために帰りは助手席に乗せました(笑)。
――皆さんでどこかに行く機会がまたあるといいですね。これまでのお話の中で、強い気持ちと反骨精神、という言葉が何度か出てきました。ご自身も、これまでの人生の中で「這い上がってやる」というような反骨の気持ちを持ったことはありますか?
益川:僕は、武術を始めたのが同年代の子たちよりも2年ほど遅かったんです。だから、すでにできている輪の中に入っていけなくて…。母もそんな僕を心配してくれて、口添えをしようかとなったときに「みんなを抜かしてこの中で1番になるまで待って」と話をしました。それからは、友達と遊ぶことも何もかもを捨てて、武術の鍛錬だけにすべてをかけるようになったんです。そういう、絶対に強くなるという気持ちの持ち方は、彼らと似ていると感じています。
二階堂:新テニミュ(ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stage)に出演が決まって、稽古をしていた頃ですね。2020年のはじめ頃から始まったコロナ禍の影響もあって、お仕事の量が激減してしまっていたときに新テニミュでの木手役という大きなチャンスをいただいて。「この機会を絶対に次につなげなければ後はない、這い上がらなければ」と心に決めました。僕自身は右利きなのですが、左でラケットを振る練習、歌のためのボイストレーニング。たくさん食べて筋肉をつけて、そこから徹底的に絞っていく厳しい体作りもしました。とにかく必死でしたね。その必死さがあったからこそ、それ以降のお仕事につながりましたし、今回のようにまた木手役を任せていただけることにもなったのかな…と。あの時がんばってよかったと今は思います。
――最後に、ご自身の役回りや本作の見どころと、ファンの皆さんへメッセージをお願いします!
益川:左利きの甲斐くんが、右手でラケットを握っているとき。それから、右手から左手にラケットを持ち替えたとき。両方の感情の動きをぜひ見ていただけたらと思っています。ぜひ劇場でご覧ください!
二階堂:みなさん、度肝を抜くことになると思います。歴代の先輩方と、青学(せいがく)をはじめとした対戦校それぞれにリスペクトを払いつつも「自分たちが1番だ」と自信を持って稽古に励んでいるところです。部長として、キャストのみんなを見ていても自信の強さは伝わってきますし、試合の結果はすでに知っている方でも「どうなるんだろう?」と思ってしまうほどに、熱いものをお届けできるはずです。そう思っていただけたら本望ですし、それを目標にしていきたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください。劇場でお待ちしております!
取材/文:広瀬有希、撮影:ケイヒカル
ヘアメイク:中元美佳(EKAmake)
【公演概要】
ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs比嘉
原 作 許斐 剛『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
脚本・作詞・演出 三浦 香
音 楽 坂部 剛/Yu (vague)
振 付 遠山晶司(梅棒)/YOU
主 催 テニミュ製作委員会
協 賛 ファミリーマート
出 演:
<青学(せいがく)>
越前リョーマ役:竹内雄大、手塚国光役:寺田友哉、大石秀一郎役:藤本力翔、
不二周助役:橋本勇大、乾 貞治役:世良大雅、菊丸英二役:長嶺龍汰、
河村 隆役:坂上翔麻、桃城 武役:有岡歩斗、海堂 薫役:渡邊 樹、
堀尾聡史役:大山蓮斗、加藤勝郎役:加藤央睦、水野カツオ役:中川湊斗
<比嘉>
木手永四郎役:二階堂 心、甲斐裕次郎役:益川和久、平古場 凛役:桜井 一、
知念 寛役:坂田大夢、田仁志 慧役:平川聖大、不知火知弥役:高岩芯泰、
新垣浩一役:津山晄士朗、早乙女晴美役:鷲尾 昇 ※田仁志 慧の「慧」は旧字体
<不動峰>
橘 桔平役:熊沢 学
<六角>
葵 剣太郎役:宮脇 優、佐伯虎次郎役:松永有紘、黒羽春風役:桐田伶音、
天根ヒカル役:栗原航大、樹 希彦役:森下紫温、木更津 亮役:岸本舜生、
首藤 聡役:中嶋 健、オジイ役:うじすけ
<立海>
真田弦一郎役:速川大弥、柳 蓮二役:梶山武雅、柳生比呂士役:中山清太郎
<テニミュボーイズ>
徳田海斗、樋口明志
公演日程
東京公演 2025年1月11日(土)~1月19日(日) 日本青年館ホール
大阪公演 2025年1月25日(土)~2月2日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
東京凱旋公演 2025年2月8日(土)~2月15日(土) TACHIKAWA STAGE GARDEN
チケット料金 7,800円(全席指定/税込み)
お問合せ ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/contact/
公式サイト https://www.tennimu.com/
テニミュ・モバイル https://sp.tennimu.jp/
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会