【インタビュー】「目が離せなくなる、存在感のある役者に…」有澤樟太郎デビュー10周年記念コンサート特別インタビュー

役者・有澤樟太郎がデビュー10周年にあたり10月18日から10周年記念コンサート「有澤樟太郎 10th Anniversary Concert 〜ARIPA! 2025〜」を開催する。
2015年にデビュー後、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ、そして近年では舞台『キングダム』、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』、ミュージカル『HERO』、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』といった大作への出演が続き、活躍めざましい有澤。10年を振り返るとともに、コンサートへの意気込み、ファンへの思い、これからについてなどの話を聞いた。


――デビュー10周年おめでとうございます。10周年記念コンサート「有澤樟太郎 10th Anniversary Concert 〜ARIPA!2025〜」の開催にあたり、デビュー作の舞台「K」第2章 -AROUSAL OF KING- (2015年)から振り返ってお話をうかがっていきます。
デビュー作の「K」では、アンサンブルとして初めて舞台に立たせていただきました。台本の覚え方をはじめとして、何から手を付けたらいいのか分からないほど未熟だったのですが、アンサンブルだけで台本5ページ分くらいを任されるシーンがあったりと、とにかく一生懸命でした。あのころに出会った近藤頌利くんなど「K」のメンバーは、今でも特別な存在です。
ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』(2015年・国見英役)は、オーディションで「まさに国見だ」と選んでいただいてうれしかったのを覚えています。若手が多く集まって「みんなで1から作り上げていこう!」という熱い気持ちと、まるで学生時代を思い起こさせる雰囲気のある座組でした。ミュージカル『刀剣乱舞』(2016年~・和泉守兼定役)では、初めての殺陣に苦労しました。毎日どこかしらが筋肉痛になって(笑)。立ち方から始まって、歌も含めて何もかも、それまで自分が培(つちか)ってきたものが通用しない…。でも、稽古と公演を重ねていくたびに役をどんどん好きになって「この役をずっと演じていくんだ」と思うようになりました。
そして、初主演の「SLANG」(2019年・バク/新堂紡役)を経て翌年のことです。コロナ禍が始まって、自分にとって大きな節目になると感じ、すべてをかけて挑んだブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー Season3』(2020年・ベルナルド役)が全公演中止になってしまって。ショックでしたね…オーディションに臨むにあたってものすごく稽古しましたし、役を頂いてからも本当に稽古を積み重ねていたんですよ。歌もダンスも、それからバレエにも1年くらい通って。作品も役も確かな手ごたえを感じていた作品でした。あのころの自分に恥ずかしくないように、今も努力を重ねていると言っても過言ではありません。
――ここ数年では『ジャージーボーイズ』『キングダム』『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』『キンキーブーツ』といった人気作・大作への出演が続いています。これらの作品に出演して、以前と物の見方が変わったことや、お芝居に対しての考え方の変化はありますか?
以前は、演じる役に自分の人柄を乗せたくないと思っていたんです。特にデビューしてから6年目くらいまでは、役作りにあたって、どれだけ「自分」を消せるかを重要視していました。でも徐々に考え方がかわってきています。最近で言えば特に影響が強かったのが『キンキーブーツ』(2025年/主演・チャーリー・ブライス役)ですね。とんちゃん(東啓介/チャーリーWキャストの愛称)が演じればとんちゃんの個性が乗ったチャーリーに。僕が演じれば僕の人間性が乗ったチャーリーになる。作品のメッセージが「ありのままを受け入れる」だったこともあり、僕も自分らしく役を生きていけばいいんだなって。お客さまもそれを受け入れてくださっているのが伝わってきましたし、役作りをする上で「その人らしさ」を乗せてもいいんだと思うようになって。
お芝居は、人間がやることに意味があると思うんです。だからこそ、演じるその人がどう生きてきたか、人間らしさをこめることが大事なんじゃないかと思うようになりました。
変化と言えば、お芝居をより楽しめるようになりました。初めの頃はやっぱり、必死でしたからね(笑)。僕は野球部だったので例えが野球になってしまうのですが、セリフ覚えも役作りも、ひたすらやりこむ「100本ノック型」でした。失敗することが怖くてただただ練習を重ねる。でも今は「それよりももっと大事なことがある」と思うようになって失敗が怖くなくなりました。
それから、楽しみ方が変わったように感じます。以前は、自分で疑問を感じたら自分で解決して完了させていました。でも今は、共演者の方々と一緒に作っていくのが楽しい。それに、舞台の上でもひとりじゃない。共演者の方々のやりとりで、毎回違った新しいものが生まれます。お客さまもそれを楽しみにしてくださっていると思いますし、僕自身もお客さまの反応がとても楽しみなんですよ。同じことをやっても、回が違えばまったく反応が変わりますし、特に海外で公演をおこなった時には大きな驚きがありました。日本ではお客さまが号泣されるようなシーンなのに大爆笑!(笑) 感じ方や文化が違うんだと感じましたし、そういう反応の違いも新しい発見です。
最近は翻訳劇で外国人の役を演じるケースが多いので、役を通して文化の違いを感じることも多いです。身のこなしから衣装の着こなし、身体づくりや考え方…。学ぶことが多いですね。

――デビュー10周年にあたり、記念コンサートを開催することになりました。ファンミーティングなどのイベントではなく、なぜコンサートの開催を決められたのでしょう?
この3年ほどは、お芝居に集中するために、いろいろなイベントの開催を控えさせていただいていました。その間にも、ミュージカル作品への出演が増えていくにしたがって持ち歌が増えていって。いろいろなミュージカルを経験して、歌の中での遊び方や、新しい歌い方を覚えて、歌うことがさらに楽しくなってきたところで「ちょうど10周年のタイミングだし、大々的にコンサートを開催したらどうだろう?」と思い開催を決めました。
セットリストもいい感じになっていますよ! 僕もそうなのですが、アーティストさんのコンサートやライブに行くと「この曲は絶対に聴きたい!」と思う曲があるじゃないですか。僕も、ファンの皆さんにそう思っていただきたいので、楽しんでいただけるセットリストを組んだつもりです。順番も含めて、曲の流れもアツいです(笑)。曲を並べてみてあらためて「濃い10年だったなぁ!」と感じましたし、自分の歩いてきた軌跡を感じ取ることができました。そして、10周年の記念コンサートではあるのですが、「11 年目につながるコンサートにしたい」とも思っていて。僕を10年応援してくださっている方も、最近興味を持って下さった方も、皆さんに楽しんでいただけるイベントにしたいと思っています。
――ファンの皆さんが楽しんでくれることを考えたセットリストなのですね。そんなファンの皆さんは、有澤さんにとってどんな存在ですか?
僕は、誰かに必要とされたり頼られたりすることで「生きている」と実感します。ファンの皆さんが僕を必要としてくださり、あたたかいメッセージを送ってくださったり、僕を支えにしてくださっている、と聞いたりもしています。舞台や何かのイベントがあれば駆けつけてくれたり…。それが本当にうれしいですし、それを生きがいにして役者の仕事を続けていられます。ファンの皆さんからは、家族と同じくらいの力をもらえていると感じて、心から感謝しています。
――最後に、この先どんな役者になっていきたいですか?
存在感のある役者になりたいです。過去にしていただいたどのインタビューを読み返しても「存在感のある役者になりたい」って言っているんですよね(笑)。僕が好きな役者さんたちは、一度舞台に立てば、華があって、その人から目が離せなくなります。天性のものもあると思うのですが、そういう人たちはその天性に頼らずに努力をおこたっていないし、上に行けばいくほど自分と戦っています。そういった、尊敬する方々のように、努力を重ねながら存在感のある俳優であり続けたいと思います。
取材/文:広瀬有希・写真:ケイヒカル
■イベント概要
有澤樟太郎 10th Anniversary Concert 〜ARIPA! 2025〜
スケジュール
2025年10月18日(土)
[会場] AiiA 2.5 Theater Kobe〈兵庫〉
開場 17:15 / 開演 18:00
ゲスト 東 啓介
2025年10月24日(金)
[会場] ニッショーホール〈東京〉
開場 17:15 / 開演 18:00
ゲスト 牧島 輝
2025年10月25日(土)
[会場] ニッショーホール〈東京〉
開場 12:45 / 開演 13:30
ゲスト 阪本 奨悟
2025年10月25日(土)
[会場] ニッショーホール〈東京〉
開場 16:45 / 開演 17:30
ゲスト 三浦 宏規
2025年10月26日(日)
[会場] ニッショーホール〈東京〉
開場 12:45 / 開演 13:30
ゲスト 松下 優也
2025年10月26日(日) ※追加公演
[会場] ニッショーホール〈東京〉
開場 16:45 / 開演 17:30
<アクセス>
◯AiiA 2.5 Theater Kobe〈兵庫〉
◯ニッショーホール〈東京〉
料金
【指定席】8,900円(税込)
※3歳以下入場不可 / 4歳以上チケット必要
※別途手数料がかかります
チケット
■追加販売(先着) ※東京公演のみ
【販売期間】10月18日(土)10:00~
【URL】イープラス
※お一人様2枚まで
※クレジットカード決済のみ



