【インタビュー】石川凌雅「多くの可能性と挑戦を…」初の時代劇『忠臣蔵』に向けて

2025年12月12日(金)に明治座にて開幕する舞台『忠臣蔵』。本作で大高源吾を演じる石川凌雅は、これが初の時代劇出演となる。初めての時代劇作品へ臨むにあたっての気持ちや、役への印象、準備していることなどについて話を聞いた。
――はじめに、本作ご出演のお話が来たときのお気持ちから教えてください。
時代劇ジャンルの作品に出てみたいと思っていたのでうれしかったです。それと同時に、小さいころに祖父の家で、みんな揃ってテレビで時代劇を見たことを思い出しました。だから僕の中で時代劇は、お茶の間の空気を感じるあたたかいもの、というイメージがあります。その中でも「忠臣蔵」は大作ですし、歴史のある作品です。楽しみであると同時に大きなやりがいを感じています。これからにつなげていくためにも責任を持って演じていきたいです。
――そんな歴史のある大作を、同じように歴史のある明治座で上演します。2023年の年末にも別作品で明治座の舞台に立たれていますが、劇場への印象はいかがですか?
入り口から、歴史を感じさせてくれる劇場です。舞台に立てば「これまで、いろいろな人の思いがここで渦巻いていたんだ」と感じますし、それが時にはプレッシャーに、そして大きな力にもなりました。不思議な感覚に包まれる劇場ですね。
――今作ではベテランの方々とも共演されます。中でも大石内蔵助役の上川隆也さんにはどのようなイメージを持っていますか?
制作発表の会見でのお言葉から、芯からぶれない律義さを感じました。作品を背負っていく覚悟も感じましたし「男って、こうやって見せていくんだ…」と。大先輩に対して“男”などと言うのは失礼になってしまうかもしれませんが、男の背中を見られたように思います。稽古はこれからなので、あの律儀でまじめな方とお芝居で触れあっていけるのが楽しみです。


――石川さんと同じく若手の方もたくさん出演されます。共演を楽しみにしている、今注目の方はどなたですか?
矢頭右衛門七役の唐木俊輔さんは、舞台へのご出演が初めてと聞いています。自分が初めて舞台に立ったときのことを思い出しますし、どのように成長を重ねていくのかを、稽古しながら近くで見られるのがとても楽しみですね。それから、寺坂吉右衛門役の財木琢磨さん。本作の事前殺陣稽古で殺陣の動きを拝見して、身のこなしに驚きました。ただ刀をうまく振っているのではない。お芝居としての殺陣なんだと感じて。これから稽古に入っていく中で、セリフや感情が乗っていけばさらに気持ちのこもった殺陣になるのだろうと思いますし、それをそばで感じながら一緒に稽古をできるのが楽しみです。
――殺陣の話が出たので殺陣について少しお聞きしますね。事前の殺陣稽古ではどのようなことをしているのでしょうか。
僕が多く出ているジャンルでの殺陣と時代劇の殺陣とは、本質的には変わらないと思うのですが、本作ではリアルな命のやり取りを想定しながらの殺陣をつけていただいているように感じます。これまでに感じたことのない臨場感やリアルさですね。
それから個人的には、今まで両手で刀を握ることがなかったので今回は新鮮な気持ちでいるんです。新たに殺陣を学び直す機会として、初心にかえって挑戦していこうと思っています。

――今回演じられる大高源吾は『忠臣蔵』の中でも非常に人気のある人物です。脚本を読んでどのようなイメージを持ちましたか?
血気盛んな武士たちの中において、葛藤などの人間味が特に深く描かれている人だと感じました。冷静で雄弁で、周りを器用にまとめあげる。でも不器用な部分もあり、その波の起伏の大きさが、彼の人間らしさを感じさせてくれます。いわゆる「キャラ立ち」をしていて存在感のある人物ですね。組織は全員が同じ役割ではなく、今作においては彼のように情報を駆使して動くようなタイプも必要だと思うので、物語の中で存在感を発揮していきたいです。
まだ本格的な稽古に入る前ですが、今は準備として当時の文献を調べるなどしているところです。さまざまな角度から物語や彼について知りたくて。それらを噛み砕いて取りいれた上で新たな解釈を持つことで、稽古をしながら多くの可能性を広げていきたいと思っています。
でもまだ、稽古がどうなるのか…それから、公演を終えて自分の中にどのようなものが生まれるのかは、何が発見できるのかは今の段階では未知です。僕にとって初めての時代劇ですからね。だからこそわくわくとして楽しみでもあり、気を引き締めて取り組みたいと思っています。
――ご自身の中に何が生まれるのか楽しみですね。2019年の初舞台から6年、2022年の初座長の舞台から3年が経ちました。2022年の当時は将来について「誰かの記憶に一生残る表現者に」と言っていましたが、あれから多くの舞台を経て変化はありましたか?
いえ、それは当時と何も変わりません! どの作品でも、誰かの心と記憶に残るものを、と思いながら舞台に立っています。もちろん今作でもそのつもりでいます。
――最後に、本作への意気込みとファンの皆さんへメッセージをお願いします。
制作会見やパンフレットの撮影のときに、上川さんから強い気迫を感じました。これからの稽古と本番を通して、その気迫がより濃くなっていくと思うんです。役としても役者としても、その気迫に押されるだけではなく、押し返すくらいの強い気持ちで臨んでいきたいです。その自分の姿勢がカンパニーにとってよい影響となって、作品がより彩られればという気持ちを持って全力で挑んでいきたいと思っています。

今まで描かれてきた『忠臣蔵』とはまた違った、令和の今だからこそ、そしてこの座組だからこそ伝えられる可能性を求めながら共演者の皆さまと鎬(しのぎ)を削って良い作品にしていきたいです。劇場でお待ちしております!
取材/文:広瀬有希・写真:ケイヒカル





<公演概要>
【作品】 『忠臣蔵』
【演出】 堤 幸彦 【脚本】 鈴木哲也
【出演】 上川隆也 藤原紀香 立石俊樹 藤岡真威人 崎山つばさ
岐洲 匠 石川凌雅 近藤頌利 藤林泰也 唐木俊輔
財木琢磨 松田賢二 徳重 聡 珠城りょう 高橋克典
俊藤光利 日向野祥 真島光平 和田有徳 横山一敏
【公演日程】
★東京公演 2025年12月12 日(金)~28 日(日) 明治座
<アフタートーク>
12月14 日(日)16:00開演:上川隆也 崎山つばさ 岐洲 匠 松田賢二 珠城りょう
12月23 日(火)16:00開演:髙橋克典 立石俊樹 藤岡真威人 近藤頌利 徳重 聡
12月25 日(木)16:00開演:藤原紀香 石川凌雅 藤林泰也 唐木俊輔 財木琢磨
★名古屋公演 2026年1月3 日(土)~6 日(火) 御園座
<アフタートーク>
1月5日(月)11:00開演 立石俊樹 岐洲 匠 藤林泰也 財木琢磨 珠城りょう
★高知公演 2026年1月10 日(土) 高知県立県民文化ホール
<アフタートーク>
1月10日(土)16:00開演 藤岡真威人 崎山つばさ 石川凌雅 近藤頌利 唐木俊輔
★富山公演 2026年1月17 日(土) 富山県民会館
★大阪公演 2026年1月24 日(土)~27 日(火) 梅田芸術劇場メインホール
★新潟(長岡)公演 2026年1月31 日(土) 長岡市立劇場
【公式HP】 chushingura-ntv.jp
【企画・製作】 日本テレビ



