【インタビュー】『復刻 舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 ~奥の細道 地獄のランウェイ編~』松尾芭蕉の弟子の俳人・河合曽良を演じる田淵累生

『復刻 舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 ~奥の細道 地獄のランウェイ編~』が、2025年10月に東京・浅草の雷5656会館で“復刻上演”される。
原作は、集英社「ジャンプスクエア」で連載中、コミックス累計発行部数690万部を突破した大人気ギャグ漫画『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』。2015年の初舞台化以来、これまでに計4作が上演されてきた人気シリーズだ。
今回メディアクトでは、松尾芭蕉の弟子であり、奥の細道の旅にも同行した俳人・河合曽良を演じる田淵累生さんにインタビューを実施。役作りのこだわりや、カンパニーの雰囲気について話を聞いた。

―ご出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
前作を映像で拝見したとき、皆さんが全力で演じている姿に「こんなにとんでもない舞台があるのか!」と衝撃を受けました。全力で演じることがこんなに面白いんだ、と感じましたし、その作品に河合曽良として出演できることが本当に嬉しかったです。
なるせゆうせいさんの作品に出演するのは今回で3作目になりますが、なるせさんのワードセンスが大好きなので、またご一緒できるのもすごく嬉しかったですね。
―原作の好きなところを教えてください。
原作は小さい頃に読んでいて、爆笑していた記憶だけが残っています(笑)。笑っているのに、うまく言葉にできない面白さがあるんですよね。
印象的なのは、登場人物の表情がまったく変わらないのに、3コマ後には急にボコボコにされていたりするところ。無表情のまま尖ったセリフが飛び出す、その独特のテンポ感がクセになります。
「こんなお笑いもあるんだ!」と気づかせてくれた、僕にとって勉強になる作品でした。


―役作りで意識しているポイントを教えてください。
実はまだ合流して2日目で、昨日が粗通しだったんです。でも、すでに唯一無二の空気があるなと感じています。
松尾芭蕉と河合曽良は、原作のキャラクターに忠実でありながら、他のキャストの皆さんがそれぞれ役を広げてくださるからこそ『ギャグマンガ日和』の世界が成立している。まずは原作を大切に演じたいという気持ちがあります。
曽良って、実はすごく愛情深い部分もあるんですよ。芭蕉が良い俳句を詠んだらちゃんと褒めたりもするんです。今回はそういうシーンはないんですが、そうした愛情を感じられるような要素を、要所要所に入れていけたらと思っています。
―ご自身と河合曽良との共通点、または違うところを教えてください。
共通点、実はあまりないんですよね(笑)。最近出演した舞台「RE:VOLVER」は当て書きで書いていただいたんですが、僕って“柴犬・わんこ系”というイメージが強いみたいなんです。芭蕉をボコボコにしながらもしっかりついていくあたりは、少し近いところもあるのかなと思います。
家で一人でいるときの僕にも、ちょっと似ているかもしれません。自分を客観視しているような、どこかリアリストな部分ですね。

―コメディ色の強い作品を演じる上で、楽しみなことや難しさを感じていることはありますか?
そのまま演じても面白くないので、やっぱり“間”を意識することが大事だと思っています。難しさもありますが、同時に面白さも感じますね。
今回は唯一静かでツッコミ役のキャラクターなので、テンションの高い周りとのバランスに少し不安もあります。みんなの勢いに合わせるべきか、自分のペースを貫くべきか…今はその塩梅を模索しているところです。
―カンパニーの雰囲気はいかがですか? 特に注目している共演者さんは?
もう、めちゃくちゃすごいです(笑)。こんなに汗だくになりながら全力でやる舞台、なかなかないと思います。前半なんて声が大きすぎて何を言っているかわからないのに面白い、みたいな。とんでもない現場に来たな~って感じました。
僕の中で「この人がいれば舞台が面白くなる」「お笑いはこの人がいれば完成する」と思っているのが、宮下雄也さん、寺山武志さん、君沢ユウキさん。この3人がそろっていいのか!?って思いましたし、すごく信頼しています。昨日の通し稽古で確信しましたね。
雄也さんとは舞台「灼熱カバディ」でご一緒したんですが、役を逸脱しているのに成立してるんですよ。普通のお芝居ももちろんお上手ですし、役を大切にしながら面白いことができる人って本当に貴重で、天才だなと思います。
寺山さんはRock Opera『R&J』で共演しました。当時の稽古で急に記憶を失う芝居をされていて、目が覚めたら「ピカァ!」しか言えなくなるという(笑)。それがすごくツボで。「Club キャッテリア」でもご一緒しましたが、やっぱり天才です。
君沢さんとは舞台『弱虫ペダル』で初共演しました。僕が3分アドリブをすることになったんですが、その時に君さんは信号機をしつついろいろアドバイスをくれたんです。そもそもご本人がとんでもなく面白い方で、君さんがいる現場はいつも明るい。そんなイメージです。
他のキャストさんも芸人さんやお笑いを突き詰めている方々ばかりで、「そりゃ面白いに決まってる!」っていう期待感のある現場です。
―最近、笑顔になったエピソードを教えてください。
最近はありがたいことに忙しい日々が続いていて、少し疲れが出ていたんですが、この現場に来て本気で笑えたのが最新のエピソードですね。
あと、仲良くさせていただいている植田圭輔さんが稽古場でドリップ式コーヒーを淹れようとしていて…お湯に粉を直接入れてたんです。「おかしいですよ!?」って突っ込むまで気づかなくて…、それが最近一番笑った出来事ですね。
―忙しいときのリラックス方法は?
最近だと、どれだけ忙しくても植さんとご飯に行くようにしていました。焼肉によく行っていて、昨日もこの現場の何人かと一緒に行きました。僕にとっての最近のリラックス方法は焼肉ですね。

―最後に、舞台を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
今回の作品は、僕が出演してきた中でも“ナマモノ”ならではの面白さを強く感じられる作品です。原作を読んで笑える『ギャグマンガ日和』ですが、舞台で観るとまた新しい笑いに出会えると思います。
たとえばパンイチになる人もいたりして(笑)、現実ではあり得ないけれど、それも舞台だからこその面白さだと思います。現実からちょっと逸脱した、非日常の笑いを体験しに来てほしいです。
たくさん笑って、「これが舞台なんだ!」と感じてもらえたら嬉しいです。これまでいろんな舞台を観てきた方も、きっと価値観が変わると思います。面白かったら、ぜひ会場で思いきり声を出して笑ってください。それが僕たちの力になります!
取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル
『復刻 舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和
~奥の細道 地獄のランウェイ編~』 公演概要
原作 : 「増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和」 (集英社 「ジャンプスクエア」 連載)
脚本・演出 : なるせゆうせい
出演者 : 阿部丈二(演劇集団キャラメルボックス) 田淵累生/佐藤日向
イジリー岡田 君沢ユウキ 寺山武志 國島直希 田村侑久(BOY AND MEN)
織部典成 本間一稀/打田マサシ 参川剛史 福冨タカラ ソマオ・ミートボール/
宮下雄也
料金 : 全席指定 9,800円(税込)
会場 : 雷5656会館 ときわホール (〒111-0032 東京都台東区浅草3-6-1)
公演スケジュール : 2025年10月31日(金)~11月9日(日)
発売スケジュール :一般販売中
主催 : 『復刻 増田こうすけ劇場 舞台ギャグマンガ日和
~奥の細道 地獄のランウェイ編~』製作委員会
舞台公式HP : https://butai-gagmanga.jp/ 舞台公式X : @butai_gagmanga



