【インタビュー】舞台シリーズ「狂音文奏楽 文豪メランコリー」脚本・演出の磯貝龍乎、芥川文役の三浦海里、津島美知子役の長江崚行に思いを聞く

2026年1月、東京・草月ホールにて、文豪メランコリーシリーズ第3弾『BUNGO’S WIVE』が上演される。
近代文学の文豪とその人間関係を独創的な切り口で描いてきた舞台シリーズ「狂音文奏楽 文豪メランコリー」。前作までは文豪たち自身に焦点を当て、彼らの葛藤やドラマを“演劇×音楽”で立ち上げてきた。しかし第3弾となる本作では視点が一転。文豪を愛し、支え、ときに翻弄された“妻”たちが主役となる。歴史の陰で語られることの少なかった女性たちの愛と苦悩が、激しくも切ないロックサウンドとともに描かれる。
メディアクトでは、脚本・演出を手がける磯貝龍乎、芥川文(芥川龍之介の妻)役の三浦海里、津島美知子(太宰治の妻)役の長江崚行の3名にインタビューを実施。作品への思いから互いの印象まで、終始和やかな空気の中で語ってもらった。


――今回、文豪たちではなく“その妻たち”に焦点を当てた作品として描こうと思われた理由をお聞かせください。
磯貝: もともと妻の視点で描く作品をやりたくて、長いあいだ伏線を張っていたんです。文豪の妻たちって、これまであまりスポットが当たってこなかった存在ですよね。だからこそ、その視点だから描けるエピソードがきっと面白いと思っていました。
皆さんそれぞれ推し文豪がいると思いますが、その文豪たちのダメなところまで含めて愛してもらいたいというのも、この作品のコンセプトです。
ちなみに『文豪メランコリー』というタイトルは、崚行が考えてくれたんですよ。
長江: そうなんです。「文豪なんとかのなんとか、みたいなタイトル案ない?」って相談されて(笑)。葛藤という意味を持つ“メランコリー”がしっくりきて、提案しました。
磯貝: オファーもずっとしていたので、今回ようやく名付け親が出演してくれるのが嬉しいですね。

――この作品の魅力や、テーマを教えてください。
磯貝: ぱっと見は怒れる文豪の妻たちが旦那の悪口を言う話に見えるかもしれません。でも最終的には“こんな捉え方をすると、あなたの人生がもっと輝きますよ”というところに落ち着かせたい。ただスカッとするだけでなく、救いになるような要素もある作品だと思っています。
――三浦さん・長江さんのおふたりをキャスティングした決め手は?
磯貝: 最初から、トリは崚行にお願いしたいというイメージがありました。照明のプランまで浮かんでいたくらいです。崚行がこう動いてくれたら可愛いな、というのもずっと考えています。文メラが始まった頃から声を掛け続けていて、今回ようやく出演が決まったので、こちらの気合いも一段階上がりましたね。素晴らしいものを一緒に作りたいと思っています。
海里くんは前回も出演してくれましたが、初日の盛り上がりが本当にすごくて…! 一人だけ妻役で登場したんですが、15秒くらい歓声が止まらなかったんです。台詞が聞こえないくらいの歓声に包まれる現象が起きていて。
受け入れてもらえるのか期待と不安が半々だったんですが、「任せてよかった」と心から思いました。信頼できる役者の一人で、今回も楽しみです。
――ご出演が決まったとき、最初にどのようなお気持ちになりましたか?
三浦: 前作に参加したとき、「とんでもない世界観の、今までにない作品だな」と衝撃を受けたんです。ハンドマイクで芝居することも、ヒールを履くのも初めてで。
その頃から龍乎さんが「妻の目線の作品をいつかやりたくて」と話していたので、“いつか妻メインの作品をやるんだろうな”という予感はありました。だから今回それが実現したのは、すごく嬉しいですね。
実は今回の妻役の皆さんとは初共演なので、どう化学反応が起きるのか楽しみです。
長江:磯貝さんの作るものって、いつもワクワクさせられるんです。でもずっとタイミングが合わなくて…。ようやく磯貝さんの世界観に飛び込めることが、本当に嬉しい。
彼の真面目な脚本も観に行っていますし、僕自身も将来脚本や演出など“ものづくり”に興味があるので、何歩も先を進んでいる先輩の背中を間近で見られるのは貴重です。きっとたくさん学ばせていただけるんだろうなと思っています。
三浦: 崚行くん、本当に年下ですか?
磯貝: 人生何周目のコメント?(笑)こんなに言葉を持っているって、本当に素晴らしいよ。俺は人生一周目なのでね。
三浦: だろうねえ!(笑)

――公開されたビジュアルも大きなインパクトがありました。衣装にはどのようなイメージがあるのでしょうか。
磯貝: テーマは怒りや復讐、逆襲。「今までの私たちじゃないぞ」という攻めた雰囲気を出したくて、髪型やメイクも派手めに寄せています。それぞれ衣装にも明確なコンセプトがあって、崚行に関しては特に足の筋肉の美しさを見せたくて……この綺麗なフォルムを見よ!という気持ちで網タイツにしました。バックライトを当てた時に美しいシルエットになると嬉しいですね。
海里は足が細く綺麗なのであえて見せるスタイルにしていますが、根が男の子なので少しガニ股で歩く癖があるんです(笑)。そこは直していきたい気持ちもありつつ、そうした男の子らしい部分も魅力なんですよね。
仕草は海外寄りというか、ビヨンセのようなダイナミックな動きも取り入れてほしいと思っています。女性の強さと、その奥にある弱さや脆さ、そんな部分に共感していただけたら嬉しいです。
――文豪の妻を演じるにあたって、楽しみなポイントは?
三浦: 前作の時、龍乎さんに「無理に女性らしくしなくていいよ」と言われたのが印象に残っています。必要な部分はありますが、声を高くするとか、いわゆる女性的な喋り方は求められていなくて。今回も芥川文という人物と、三浦海里自身が良いバランスで溶け合えたらと思っています。
今作のベースがどうなるかはこれからですが、一度演じた身として、烏滸がましいですが稽古で何か指針を示せたらいいな。……忘れていたらすみません(笑)。
長江: 僕にとっては未経験のジャンルですね。時代背景としてもそう遠くない過去を生きた人たちですが、共感できるところもあれば、価値観や性別が違うゆえに理解しづらいところもある。どの時点の彼女を切り取るのか、磯貝さんと話しながら作っていきたいです。
これまでもクラシカルな女性役を演じたことはありますが、今回は“怒り”や“叫び”が前面に出る。その場合、無理に女性らしさを芯に置く必要はないのかなと。叫びの先に、結果として女性的な何かが滲み出てくれたらいいなと思っています。まだ稽古が始まっていない分、余白があって、今は自由に想像を広げて楽しんでいるところです。ずっとわくわくしています。


――これから稽古が始まる中で、楽しみにしていることを教えてください。
長江: まず、磯貝さんの演出を直接つけてもらえるのが楽しみです。プレイヤーとしての彼が、クリエイターとしてどう舞台上に変換されていくのか。海里くんを含め、初めてご一緒する方も多いので、どんな化学反応が起きるのかワクワクしています。まだお客様の熱量も生で体感していないので、それも楽しみ。磯貝さんの脳内を覗けるのが嬉しいですね。
三浦: 龍乎さんを本当に尊敬しているので、尊敬する人が集めたキャストのみなさんと作品を作れるのが光栄です。個人的には、ゲストとの掛け合いがどうなるのか楽しみですね。夫役を演じてくださる橋本真一さんとは初めましてなので、妻と夫が出会ったとき何が起こるのかワクワクしています。楽曲も絶対に格好いいですし、内容もキャストも何もかも楽しみです。
前回出演した時、価値観が大きく変わったんです。実は役者を続けるか悩んでいた時期に、たまたま龍乎さんとお会いする機会があって……その後にこの作品に声をかけてくれました。文メラに出演したことで「もう一度頑張ろう」と思えた。だから今回は、その恩返しのつもりでもあります。
――とても仲の良さそうな雰囲気が伝わってきますが、改めてお互いの印象をお聞かせください。
長江:磯貝さんって、世間のイメージだと「舞台に出てくると何か面白いことをしてくれそう」という印象が強いと思うんです。でも実はとてもシャイで、緻密に計算するタイプで、勉強家。まだまだ知られていない魅力がたくさんあります。脚本・演出を始めたことで少しずつ“本当の磯貝さん”が世間にバレ始めた気がしますが、今回の作品を通してもっと伝わればいいなと思います。10年一緒にいますが、いまだに未知数な人ですね。
海里くんは、実は今回がほぼ初めまして。衣装合わせで少し挨拶したくらいなんですが、磯貝さんが選んだ人なら安心だな、と。僕自身、人見知りが激しいんですが、今日もこうして楽しく話せていますし、このチームで作る作品はどう転んでも楽しいものになると思っています。
三浦:龍乎さんは、僕が出会った中でもトップクラスに“変な人”なんですよ(笑)。
磯貝:いやいや、海里も一緒だよ。
三浦:いや、それは(磯貝さんに)失礼です(笑)。龍乎さんってシャイで、すごく真面目で、びっくりするくらい腰が低いんです。本当ならもっと天狗でもいいのに、人柄が素敵すぎて。引き出しも多くて、本当に大好きな先輩。尊敬していますし、「使ってもらえて嬉しいです」といつも思っています。
崚行くんは今回が初めましてですが…お喋りがうまくて、現場を仕切ってくれそう。前作で反橋さんが担っていたポジションをやってくれそうな予感です。年下ではありますが、勝手に頼りにさせていただこうと思っています。
磯貝:崚行とは10年くらいの仲ですね。もう年下だとは思っていなくて、不安がまったくない。任せられる、丸投げできるという信頼感があります。言葉も素敵だし、演技もダンスも切れ味がよすぎる。コメディもできるし、歌も芝居も素晴らしい。本当に何でも任せられる男の子です。
海里くんは一見“ぶっ飛んでる”ように見えて、実は礼儀正しくて真面目。引き出しも多く、人を楽しませたり乗せたりするのがとても上手です。仲良くしてくれてありがたいですし、見ての通りかわいい。本当にかわいげのある子なんですよ。
長江:わかります! 名前はいろんなところで拝見していましたが、お芝居を見る機会がなくて。今日話してみて、この人は信頼されていて、中心に立って周りを引っ張っていく人なんだなと感じました。


――最後に、意気込みや作品を楽しみにされている皆さまへメッセージをお願いします。
三浦:楽しみ、の一言に尽きます。個人的には妻たちで夫を超えたいと思っていて、いつか妻と夫の全面戦争ができたら…という夢もあります。
前作を観た方も、初めての方も絶対楽しめる作品です。元気がない時こそ観に来てほしい。もちろん元気な時も、悩んでいる時も。新年一発目、エンジンをかけられるような作品にしたいです。
長江:発表後、本当に大きな反響をいただきました。僕のファンの方もそうじゃない方も、作品そのものに興味を持ってくださっているのを感じます。「どんなものが観られるんだろう」というワクワクは僕たちにとってプレッシャーでもありますが、その先頭に磯貝さんや大好きな先輩たちがいるので、必ず面白い作品になると確信しています。のびのびとやらせていただいて、細かな部分は磯貝さんにしっかり調整していただければと。目の前で起きるライブエンターテインメントをぜひ楽しんでください。劇場でお待ちしています。
磯貝:楽しみです!ファンの方々が支えてくださった作品なので、初めての方にも“癖になる”作品にしたい。いいパフォーマンスって、また観たくなるものじゃないですか。リピートしたくなるような作品を目指しています。年始一発目、その人の一年がもっと輝くような作品にしたいですね。…楽しみです!
取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル









公演情報
狂音文奏楽 文豪メランコリー『BUNGO’S WIVE』
■上演会場
草月ホール (〒107-0052 東京都港区赤坂7丁目2-21)
■上演スケジュール
<全12公演>
※( )内はゲストキャスト
1月17日(土) 13:00(校條拳太朗)/18:00(校條拳太朗)
1月18日(日) 13:00(校條拳太朗)/18:00(前川優希)
1月19日(月) 18:30(前川優希)
1月20日(火) 18:30(前川優希)
1月22日(木) 18:30(橋本真一)
1月23日(金) 13:00(橋本真一)/18:30(橋本真一)
1月24日(土) 13:00(反橋宗一郎)/18:00(反橋宗一郎)
1月25日(日) 13:00(反橋宗一郎)
出演者
※役の五十音順
芥川文 三浦海里(芥川龍之介の妻)
上田稲子 岸本勇太(萩原朔太郎の妻)
上野孝子 野口準(中原中也の妻)
谷崎松子 和合真一(谷崎潤一郎の妻)
津島美知子 長江崚行(太宰治の妻)
夏目鏡子 輝馬(夏目漱石の妻)
<ゲストキャスト>
※出演順
谷崎潤一郎 校條拳太朗
夏目漱石 前川優希
芥川龍之介 橋本真一
太宰治 反橋宗一郎
チケット
■チケット料金
・グランドプレミアム 11,000円
・プレミアム 9,000円
・レギュラー 8,000円
・メランコリックビュー(2階席) 7,000円
※全て全席指定・税込価格
★チケット特典
チケット料金+1,500円(あり・なし選択制)
※特典詳細はHP でご確認ください。
■一般発売
2025年10月28日(火)20:00~
※各種先行あり。詳細はHP でご確認ください。
スタッフ
脚本・演出 磯貝龍乎
制作 株式会社Ludera
企画・製作 株式会社wimpy/有限会社シーフォー
公式サイト
公演サイト:https://wimpy.site/bunmera_wive/
公式X: @bunmera
■本公演問い合わせ先
wimpy.stage@gmail.com



