【インタビュー】雷太・島田惇平・中尾暢樹インタビュー|完全オリジナルストーリーで描かれる新たな『Burlesque KUROTOKAGE』

インタビュー

2026年、『Burlesque KUROTOKAGE -after die- ~new museum party~』が上演される。

本作は、江戸川乱歩の傑作『黒蜥蜴』をベースに、2025年に上演された『Burlesque KUROTOKAGE』のその先を描く完全オリジナルストーリー。前作の世界観を継承しながら、新たな物語として再構築された意欲作だ。

前作に続き、脚本はエスムラルダ・演出は劇団鹿殺しの丸尾丸一郎が担当。さらに、雷太、島田惇平に加え、新たに中尾暢樹を迎え、3名の俳優による交互配役という挑戦的なスタイルで上演される。

密室性、仮面性、そして記憶と錯覚――。複雑に絡み合うテーマを軸に、観客を“物語の内側”へと引き込む濃密な演劇体験が展開される。

メディアクトでは、本作で黒蜥蜴、明智小五郎、Xという重要な役どころを交互に演じる雷太、島田惇平、中尾暢樹にインタビューを実施。作品への思いや役作り、そして三人芝居ならではの魅力について語ってもらった。

――前作は非常にきれいな形で完結していましたが、その続編が制作されると聞いた時のお気持ちはいかがでしたか?

雷太:前作はバーレスクの要素を取り入れつつも、『黒蜥蜴』という原作をベースにした作品でした。原作があるからこそ、それを読みながらイメージを膨らませることができたんです。

でも今回は完全オリジナル。黒蜥蜴や明智が「もしこうだったら」という発想からエスムラルダさんが物語を書いてくださっていて、「想像からこれほどの作品が生まれるんだ」と脚本の持つ力を感じました。前回の壮大な物語を経て、新しく立ち上がる。その世界を僕たちがどう表現できるのか今から楽しみです。

島田:実は前回の打ち上げで、雷太と一緒にプロデューサーへ「もう一度『黒蜥蜴』をやりましょう」とお願いしたんです。再演はしないとおっしゃっていたので、「違う形でもいいからやりたい」と。

ただ僕は、前作を二人芝居としてやるようなイメージだったんですよ。それが蓋を開けてみたら完全新作。情報解禁の時は、お客様と同じくらい驚きました。

アフターストーリーなのか、妄想なのか、夢なのか。その答えは僕自身もわかっていません。でも黒蜥蜴や明智という魂の輪郭は確かに存在しています。その輪郭があるからこそ、完全オリジナルでも自然と台詞が出てくるんだと思います。

僕は今回初めて明智を演じますが、とても楽しみです。さらに今回はXという新たな役も登場します。「そういう役を持ってきたか!」と思わせる、役者魂を燃やしてくれる存在ですね。

――中尾さんは今回から作品に参加されます。出演が決まった時のお気持ちを教えてください。

中尾:実は前作はまだ観ていないんです。先に観てしまうと前任の方のイメージに引っ張られてしまう気がして。まずは自分なりの役を作りたいと思い、あえて観ないようにしていました。だからこそ、自分の中で役が完成したら前作を観るのが楽しみです。

また、僕は三人芝居や交互配役の経験があまりありません。本読みの段階から役を入れ替えながら進めているのですが、「そんなアプローチもあるのか」と驚くことばかりです。三者三様の表現を間近で見られるので、とても刺激を受けています。

稽古初日からものすごいエネルギーを浴びましたね。特に島田さんの黒蜥蜴を目の前で見た時の衝撃は大きかったです。パッションがすごくて、「負けていられないな」と思いました。

――交互配役ならではの面白さや難しさを感じる部分はありますか

雷太:黒蜥蜴も明智もXも、本当に魅力的なキャラクターです。まるで怪獣のような三人が同じ空間に集まる。アートでありながらエンターテインメントでもあるそんな作品になる予感がしています。

僕は丸尾さんと出会ってから、「役を楽しむ」という感覚をたくさん引き出していただきました。さまざまな役を演じる面白さはもちろん、お客様をどう楽しませるかという視点も学ばせていただいています。今回はかなりハードですが、それを超えるわくわくする感覚がありますね。

島田:たぶん3日目くらいで喉が終わっているんじゃないかなと思います(笑)。

ひと役だけでも相当なカロリーを使うのに、それを交互に演じるわけですから。今はまだ稽古序盤ですが、すでに全力です。冒頭からラストまで爆発的なエネルギーで進む作品なので、最終日には干物みたいになっているかもしれません(笑)。

でも、それだけ燃やし尽くせる作品に出会えるのは役者冥利に尽きます。舞台上で燃えている僕たちを観ていただけたらうれしいですね。

――今回は完全オリジナルストーリーですが、前作との違いや注目ポイントを教えてください。

島田:原作や前作を知らない方でも十分楽しめる作品になっていると思います。本筋はオリジナルですが、物語を追いやすい仕掛けが随所に散りばめられています。もちろん楽しみ方は人それぞれですが、個人的には原作を一度読んでから観ていただくのもおすすめですね。

雷太:前作と比べると、黒蜥蜴と明智を取り巻く状況が大きく変わっています。怪しくも気高く格好良かった二人ですが、今回は一筋縄ではいかない局面に立っている。

ですが、そうした状態や、人間の泥臭い部分を演じることにこそ、役者としての面白さを感じています。理想的で格好良い明智像がどんな姿を見せるのか。必死さや脆さのにおいを、劇場で生々しく感じていただけたらと思います。

――中尾さんは今回、演出家の丸尾さんとは初めてご一緒されますね。

中尾:前回とはまた違う三人芝居で、三人それぞれのパッションやエネルギーが凝縮された作品だと感じています。

今回は二面舞台なのですが、僕自身その形式は初めてなので、立ち位置や動き方に悩むこともあります。そんな中で丸尾さんは、僕にない感覚や考え方をとてもわかりやすく言葉にして伝えてくださるんです。

まだ稽古序盤ですが、必要なことを的確に言語化してくれる方という印象がありますね。

島田:丸さんって、いい意味で演出家っぽくないんですよ(笑)。輪の中に入って、一緒に作品を探していくことを楽しんでくれる。

だから僕たちも挑戦しやすいんです。気が付くと、自分たちが予想もしていなかった場所に辿り着いている。台本を初めて読んだ時と今では、作品の印象もかなり変わっています。本番までにさらに変化していくと思うので楽しみですね。

雷太:必要最低限の空間の中で、どこまで豊かな表現ができるのか。というのも丸尾さんがされる演出の魅力のひとつで、僕たち役者にとっても非常い贅沢な挑戦ですよね。

島田:今回は思ったより舞台装置もありますよね(笑)。僕は椅子一脚くらいだと思っていました。でも丸さんは作品ごとに最適な空間を探す方なんです。この作品だからこそ、この空間が必要なんだという考え方は、ものづくりにおいてすごく大切だと思います。

――今回の座組だからこそ感じた、お互いの役者としての魅力を教えてください。

島田:暢樹とは今回が初共演なんですが、久しぶりにこんなにも真っ直ぐぶつかっていける俳優に出会いました。正解か不正解かではなく、「まずやってみる」という勇気がある。思ったことをそのまま出せる迷いのなさが魅力だと思います。

悔しい時にはちゃんと悔しがるし、誠実で真っ直ぐ。その姿勢が素敵ですね。

そして雷太は……ゲテモノですね(笑)。あまり言いたくないんですけど、これまで何度も刺激を受けてきました。雷太の芝居を見て「じゃあ僕はこうしよう」と発想をもらうことも多いですし、一緒にいるといつも子どもの喧嘩みたいなことができる。好敵手として、ずっと戦わせてもらっています。

中尾:僕から見たお二人も本当にすごいです。「そう来るの!?」と驚きの瞬間がたくさんありますし、お二人とも引き出しの数が本当に多い。

表現の方向性は違うんですけど、根っこの部分では通じ合っているものがたくさんあるんだろうなと感じています。稽古を見ていても驚きの連続ですし、まだそのエネルギーに圧倒されていますね。

雷太:僕はお二人とも以前から知っていますからね。暢樹とは相棒のような関係性の役を演じていて。こうして真正面からお芝居でぶつかり合うのは、実はほとんど初めてなので、ちょぴりどきどきしています。

彼は真っ直ぐさや少年の心をずっと失っていない。そのピュアさはきっとお客様にも伝わっていると思います。今回の登場人物たちは皆どこか拗らせていますが、その奥には純粋さもある。暢樹だからこそ、そんな部分を深く魅力的に表現されるのではないかと思います。

そしてJPさんは、本当に唯一無二の存在です。僕自身も唯一無二を目指してきましたが、JPさんのような方を見ると「もっと自由にやっていいんだ」と思わせていただける。こうした少人数作品で一緒に立てるのは本当に心強いですね。

――出演者が少ない作品だからこその緊張感もありますか?

雷太:ありますね。人数が多い作品だと視線や意識が自然と分散される部分もありますが、三人芝居では視線ひとつにすら嘘がつけない。

しかも今回は交互配役なので、三役分の台詞や動き、関係性すべて咀嚼し成立させていく。そこには、また違う次元の緊張感がありますね。

島田:歌も変わりますしね(笑)。実質三パターン覚えなきゃいけない。

雷太:なかなかエッジの効いた作品になるかもしれないですね。

――稽古が始まったばかりですが、今の役作りの手応えはいかがですか?

島田:僕の中の黒蜥蜴は、とても純粋な存在なんです。純粋だからこそ感情の振れ幅も大きい。今はさまざまな感情が同時に生まれていて、落ち着く場所がないような感覚があります。

悲しい、嬉しい、苦しい――そういった感情を自分で整理し切らないまま舞台上で生きられたら面白いなと思っています。感情に翻弄されながら存在できる役になりそうで楽しみですね。

雷太:黒蜥蜴もXも、とても純粋な人物だと思います。誰かに認められたい、見てほしいという気持ちを真っ直ぐ持っているんです。大人になると人の目を気にしたり、自分で感情に蓋をしたりしてしまいがちですが、彼らにはそうした純粋さがどこか濁らず残っている。そこを楽しみたいですね。

僕自身は比較的理性的なタイプですが、彼らを演じることで突き抜けた感情を追体験できる。そこに改めてお芝居の深さを感じています。

中尾:僕は正直まだ全然掴めていません(笑)。

作品全体の輪郭もまだ掴めていないですし、Xという役もまさに模索している途中です。毎日難しいなと思っていますが、とにかくまずはやってみようという気持ちですね。

島田:僕らは良くも悪くも、いろいろな役を演じてきた経験があるので、「こう演じてやろう」と考えてしまう部分もあるんです。

――最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

島田:僕は演劇というものは、この先何十年、何百年経っても絶対になくならないと思っています。映画もSNSもありますが、最後は生身の人間が立つ演劇に戻ってくる。その理由を、この作品を観ればきっと感じてもらえるはずです。ぜひ劇場で、拗らせながらも純粋な三人の姿を見届けてください。

雷太:テクノロジーがどれだけ進化していこうとも、生身の人間が舞台に立ち、その身体や声をもってお客様と、そして作品と対峙する。そうして、お互いの想像力が交わったときに生まれるものには、何にも代えがたい価値が宿る。そう肌で感じています。僕自身、多くの舞台やショーに触れる中で、エンターテインメントが人の人生に触れ、何かを変える瞬間を何度も目にしてきました。今回の三人芝居、二面舞台、そして交互配役という挑戦を、ぜひ様々な角度から、今作をひとつの演劇体験として楽しんでいただけたらうれしいです。

中尾:今回、雷太さんと島田さんとご一緒して、演劇を普段観ない方たちにも「ぜひ観てほしい」と思いました。こんなにも格好良いお二人を、こんなにも近い距離で観られる機会はなかなかないと思います。僕自身も舞台上にいながら、その魅力に引き込まれています。稽古の段階から、お二人は汗も涙も鼻水も全部さらけ出しながら、本気で命を燃やしているんです。そんな姿を間近で見ていると、この劇場でそれを体感できるお客様が羨ましくなるほどです。三人それぞれの表現がぶつかり合う熱量を、ぜひ劇場で体感していただきたいですね。

取材・文:水川ひかる、撮影:田口真佐美

■公演概要
Burlesque KUROTOKAGE -after die-
~ new museum party ~

原作
江戸川乱歩

脚本
エスムラルダ

演出
丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

出演
雷太(黒蜥蜴・明智小五郎・X)
島田惇平(黒蜥蜴・明智小五郎・X)
中尾暢樹(明智小五郎・X)

※交互配役により、全4バージョンを上演

公演日程

【東京公演】
2026年7月1日(水)~7月7日(火)
六本木トリコロールシアター

【大阪公演】
2026年7月11日(土)~7月12日(日)
BLACK CHAMBER

チケット料金

【東京】
SS席
11,000円(税込)

SS席アフターパンフレット付
13,000円(税込・送料込)

S席
8,500円(税込)

S席アフターパンフレット付
10,500円(税込・送料込)

U-22
6,000円(税込)

【大阪】
S席
7,500円(税込)

S席アフターパンフレット付
9,500円(税込・送料込)

A席
6,000円(税込)

A席アフターパンフレット付
8,000円(税込・送料込)

2階条件付A席
6,000円(税込)

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