【ゲネプロレポート】3日間中、最も長いステージが幕を開ける！　舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2

3月1日（金）より東京・天王洲 銀河劇場にて、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2が開幕した。

今年で12年目を迎える舞台『弱虫ペダル』シリーズ。今作も鯨井康介が演出を務め、西田シャトナーの脚本と独自の表現技法“パズルライドシステム”を駆使し、熱い戦いが繰り広げられる。

メディアクトでは、初日に先立って開催されたゲネプロの様子をお届けする。

前作では、インターハイ本戦1日目の激戦が描かれた。主人公の小野田坂道（演：島村龍乃介）が所属する総北高校は王者・箱根学園や、怪物・御堂筋翔（演：新井將）を擁する京都伏見高校と接戦を繰り広げ、3校同着の結果となった。インターハイ2日目は、3日間の大会中もっとも長いステージだ。長く辛い道のりだからこそ、各校の絆や選手それぞれの強さがより眩しく光っていた。
総北高校はインターハイ優勝に向けて好調なスタートを切ったかのように思われたが、レース直後、田所迅（演：滝川広大）が体調不良に陥る。葛藤を抱えながらも、田所を置いていく決断を下したのは山本涼介が演じる巻島裕介。その意見を振り切り田所を迎えに行こうとする小野田。二人の意見は正反対のように見えるが、どちらも根底にはチームを思う強い気持ちがある。

最終的には巻島からの信頼を背負い、小野田は田所を迎えに走る。その背中は、実物よりもずっと大きく見えるだろう。前々作の「The Cadence！」ではフレッシュさも残っていた島村だが、今作では頼もしいという表現がよく似合う。どんどん成長していく島村自身と小野田の姿が重なり、胸が熱くなるファンも多いのでは。

砂川脩弥が演じる今泉俊輔の成長も必見。何度も心が折れそうになりながらも、金城に支えられながら走り続ける今泉。エースとして着実に成長し続ける姿に、鳴子章吉（演：北乃颯希）と合わせて3日目への期待が高まる。

ライバル校、箱根学園のメンバー達も熱い走りを見せる。
エーススプリンター新開隼人を演じるのは村上渉。開幕直前に新開を演じることとなったが、百成瑛の思いとともにレースを走り抜けた。

新開に憧れるスプリンター泉田は、前作に続き青柳塁斗が熱演。更にパワーアップした筋肉は彫刻のような美しさで目を奪われる。

荒北靖友（演：相澤莉多）は今作ではアシストのアシストに専念し、今作ではアシストのアシストに専念していたが、野獣のような気質が垣間見える表情の作り方に注目したい。クライマーの東堂尽八と真波山岳は、前作から引き続きフクシノブキと中島拓人が演じる。レース中の姿はもちろん、兼ね役にも注目したいところ。王者・箱根学園を束ねる福富寿一を演じるのは髙﨑俊吾。福富は、1年前のインターハイでの金城真護（演：川﨑優作）とのあるできごと以降「最強のチームを作り上げて正々堂々と勝負して勝つ」ことが贖罪になると考え、誓い通り最強のメンバーと共に今大会に挑んでいる。
チームを背負いながらも1人の自転車乗りとして戦う福富と金城の勝負も、今作イチオシの名シーンだ。

「6枚が揃って完成形」という金城の言葉を体現するかのような走りを見せた総北、ハコガクに比べ、京都伏見の走りはあまりにも対照的だ。非情な作戦を使って貪欲に勝利を追い求め続ける御堂筋を、今作でも新井將が怪演。圧倒的な存在感と異質さを纏う御堂筋の姿を見ていると、水田（演：田口司）が心酔するのも頷ける。

御堂筋の走りも声も表情も、何もかもが人間離れした異質さを感じさせる。しかし今作では、そんな御堂筋の内面に深く迫るシーンも。生きた人間の温度を感じさせる新井の芝居に、心が揺さぶられる。そんな御堂筋に反発しながらも寄り添う石垣を演じるのは、鐘ヶ江洸。矛盾を抱えながらも御堂筋という才能が開花するための礎になろうとする姿は、どこまでも真っ直ぐで眩しい。

また、ペダステならではの楽しみ方も忘れてはならない。おなじみの彼ら、彼女らは今作でも健在だ。レース中に選手を拍手で応援できるシーンもあったりと、溢れ出る思いをリアルタイムに選手に伝えられるのは嬉しいポイントである。2時間15分の公演時間は、どんな瞬間も見逃すことのできない楽しさに溢れている。

それぞれの思いを賭けて走り抜けるインターハイ2日目Zの結果は、その目で見届けて欲しい。

記事：水川ひかる／撮影：ケイヒカル