【インタビュー】舞台『魔道祖師』邂逅編(藍思追役 安藤夢叶・藍景儀役 土屋直武)

さまざまなメディアミックス展開をしてきた『魔道祖師』が、世界初の舞台化。原作は、作家の墨香銅臭(モーシャントンシウ)により、中国のオンライン小説サイトで連載されたBLファンタジー小説。
作中では、法術を使う者が妖魔や邪鬼を退治する架空の古代中国を舞台に、強い絆で結ばれた魏無羨(演:金子隼也)と藍忘機(演:廣瀬智紀)の激動の運命が描かれる。
メディアクトでは、藍思追役の安藤夢叶と藍景儀役の土屋直武にインタビューを実施。お互いの印象から、“にこいち”である2人の役作り、今作への意気込みなどについて語ってもらった。


――ご出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。
土屋:まさかというか…、世界的にこんなに愛されている作品が日本で舞台化するということにまず驚きました。中国の文化などを取り入れた作品に出演したことがないので、殺陣や所作などを含めて新しいチャレンジですし、いろんなものを学んで自分の役や演技の幅を広げられる機会だと思いましたね。
安藤:今まで出演したことがないジャンルの作品ですし、この中で自分がどこまでできるのかなとワクワクドキドキする皆さんと初めて共演する機会をいただけたことがうれしかったです。爪痕を残したいとも思いましたが、正直少し怯えました(笑)。今は稽古の中で楽しさをたくさん見つけられているので、ワクワクが勝っています。
――脚本を読んだ感想はいかがでしたか。
土屋:主演の隼也が、本当に大変だろうなって思いました(笑)。セリフ量も多いし、ト書きの中での動きも多いんです。脚本の面白さは観劇していただけたら伝わると思いますが、僕たちもそこをしっかり咀嚼して解釈して、この作品を面白いものに創り上げていきたいと思います。
隼也は今回が初舞台ですが、彼に「また舞台をやりたい」と思ってもらえるように支えていきたいですね。魏無羨は一番動くキャラクターですが、その大変さが表立たず軽やかに表現できたら、彼にとっても作品としてもより魅力的になると思いますし、カンパニー全体で支え合って創り上げていきたいです。
安藤:魏無羨が人と関わり合っていく中で、いろんな人に作用していく姿が面白いと思いました。藍忘機の心の壁をずっと叩く姿も可愛いですし、それを受けて藍忘機がだんだん心を開いていく姿も素敵ですし……。たとえば原作の春画のシーンだったり、声は出せなくても心の中で盛り上がってくださるお客様がたくさんいらっしゃると思うんです。「ここで心臓が高鳴るんだろうな」というシーンもたくさんあって、お客様の姿も想像できて楽しみになりました。


――漫画、アニメ、実写ドラマなど様々なメディアミックスが展開されている今作ですが、舞台だからこそ楽しみにしているところはありますか。
安藤:僕たちでいうと、ちょっとしたオフ芝居ですかね。目を合わせたり、“にこいち感”が出せたらいいなと思います。脚本の中では詳しい描写やセリフがないところを、舞台だからこそ伝わる空気感で大事にしたいと思っています。
土屋:もちろんアニメやドラマもそれぞれの良さがある中で、音や映像、照明を含めて、今まで見たことがない原作の解釈をお見せできるのではないかなと思います。
稽古を重ねる中で、自分たちはどう動いていこうかと考えられるのが舞台ならではの良さだと思います。
――原作では“にこいち”の藍思追と藍景儀ですが、お2人は今回が初共演ですね。藍思追と藍景儀のように仲良くなれそうですか?
安藤:そうですね!ご飯とかに行ったりして、少しずつ仲良くなれていると僕は思っています。片思いかもしれないですけど(笑)。
土屋:いやいや(笑)。あんでぃは他の舞台に出演していたので合流が少し後だったんですが、合流してすぐに「飯行こう!」って誘ったりしました。仲良しですよ!
――あんでぃという呼び方に、早くも仲の良さが表れているのでは?
安藤:そうですね。僕も実はなおでぃって呼んでいて…
土屋:なんでよ、俺の「でぃ」どこからきたの?(笑)
安藤:確かに(笑)。本当は直武くんって呼んでいます。いつかなおくんって呼べるようになりたいな。
――今日呼んでみるのはいかがですか?
安藤:まだ恥ずかしいです(笑)!
土屋:最後にどうなっているか、今から楽しみですね。
安藤:土屋さんになってるかも…。
土屋:それ絶対喧嘩してるじゃん!(笑)千秋楽を迎えた時にどうなっているか、楽しみにしていてください。

――徐々に仲良くなっている途中だと思いますが、お互いの第一印象はいかがでしたか。
安藤:僕は直武くんのことを以前から知っていたんです。舞台を見に行った時に、お芝居が魅力的ですごく求心力がある方だと観客として感じました。実際に会うと、めっちゃ人見知りだと思いましたね(笑)。
土屋:そうだね、バレてたか…。
安藤:でも、役柄もあって仲良くしようとしてくれてるんだな、っていうのが伝わってきてすごく嬉しかったです。「人見知りなのに頑張ってくれるんだ」って…(笑)!
土屋:恥ずかしいな(笑)。僕は人としてはもちろん、役者としてもしっかりしているなって思いました。その第一印象は今も変わらないですね。一緒に稽古をしていく中で、一人の役者として素敵だと思うようになりましたし、あんでぃから学ぶところもたくさんあります。
直近の稽古中に、演出の伊勢さんのアドバイスに「うわ、おもしろっ!」て大声で言っている姿を見て、本当にお芝居が好きなんだなって感じました。稽古を通しながら毎回違う形で届けていくところも、すごくしっかりしてると思います。でも、ご飯に行ったりするとおちゃらけるタイプなんです。プライベートだとお茶目ですね、一気に弟みたいな感じになります。
安藤:嬉しい、口角下がらない(笑)


――安藤さんは、土屋さんにお兄ちゃんっぽさを感じるところはありますか?
安藤:まだないかな~(笑)!今は波長が合う同士っていう印象が強いんです。待ち時間の間も役同士の小芝居を挟んでくれたり、お芝居の範疇でふざけてくれるんですよ。僕から見た直武くんも、お芝居が好きな人っていう印象ですね。
――仲が良さそうな雰囲気が伝わってきますね。稽古場の雰囲気はいかがでしょうか。
土屋:今まで出会ったことがない稽古の進め方で、すごく新鮮です。『皆で創ろう』という意識がすごく強い現場だと思いました。たとえば他の現場だと、そのシーンに関係ない人は原作を読んだり稽古をしてることも多いんですが、この現場では全員がシーンを見ていることもよくあります。自分が出演していないシーンを見ながら伊勢さんの言葉を聞いていると、学べることが多いですね。皆すごく熱心ですが、始まる前にはじゃれたりもして、オンオフがはっきりした稽古場です。
――出会ったことがない稽古の進め方とのことですが、具体的に内容を教えていただけますか?
土屋:ワンシーンを何度も繰り返したり、その都度止めたりするんです。はたから見ると厳しい現場に見えるかもしれないけど、僕は反復することで早めにセリフも動きも入りました。僕は普段は全体を通さないとセリフなどが覚えづらいこともあるので、今回の稽古スタイルがマッチしていると思います。
安藤:伊勢さんの進め方、僕もすごくいいなって思います。隼也くんが初舞台だから、自分で気づけるようにアプローチをしてくださっているのかな。その都度止めて、「今の動きはすごくよかったよ。何でよかったかわかる?それがわかったら、他でも応用できるよ」って声をかけたり、気付かせようとしてくださる伊勢さんの姿がすごく素敵だと思います。
殺陣の六本木さんも、すごく柔らかい方です。いろいろなオーダーがあってもすぐに対応されますし、それを受けたアンサンブルの皆さんの対応もすごく早いです。役者としてはもちろん、いろんな作り手側の姿勢や取り組み方も勉強できる現場です。

――主演の金子隼也さんと廣瀬智紀さんの印象はいかがですか。
土屋:隼也は、すごく熱い人だと思います。ご飯に行った時に、「舞台を経験している2人から見てオレの印象ってどう!?」って聞いてくれたりするんです。初舞台は焦りや不安があると思いますが、それが見えないくらいの熱量がありますね。
伊勢さんがつけてくださっている演出も「絶対やってやる!」という姿勢で理解しようとして、毎回メモをとっているんですよ。主演の姿に感化されてカンパニーって出来上がっていくと思うんですけど、隼也の姿を見てまわりは引っ張られていると思います。本人は引っ張ってる意識は特にないと思うんですけど、その姿こそが、まさに主演だなって思います。
廣瀬さんはオーラがあるというか、そこにいるだけで空気が締まる方ですね。厳しさや怖さではなくて、お芝居で空気をきゅっと締める感じは自分にはまだ出せないので日々学ばせてもらっています。これから稽古場でご一緒する機会も増えることが楽しみです。
安藤:直武くんと同じで、隼也くんの姿は、僕を含めていろんな人に刺激を与えているんじゃないかと思います。今回の座組はお兄さん方が多いので、皆さん要領よくいろんなことをさっとされると思いますが、メモを取ったりという誰しもが最初に通る道にいる隼也くんの姿を見て、皆が一つになれるのではと思います。魏無羨みたいに明るい雰囲気も持ち合わせていて、一緒にいて居心地がいい人です。
廣瀬さんは事務所の先輩なんですけど、まだ2回くらいしかお会いできていなくて…。挨拶の時も僕は緊張していたんですけど、顔合わせ後にばったり会った時に冗談を言って和ませてくれたりするすごく優しい人です。舞台に立っている時は、衣裳を着ないでただ佇んでいるだけで藍忘機に見えるんです。オーラがすごくある方なので、今後一緒にシーンを重ねていくのも楽しみですし、仲良くなれたら嬉しいですね。


――お2人が演じる藍思追と藍景儀について、キャラクターの魅力や役作りのポイントを教えてください。
土屋:やっぱり、藍思追と藍景儀といえば“にこいち感”ですよね。伊勢さんからも「にこいちで動くから、2人のリアクションとかで空気を作っていこう」って言われています。もちろんそれぞれの良さがありますし、リアクションの仕方もまったく同じというわけではないので、そこを2人で話し合っていきたいし、逆に話さなくても通じ合っているように見せられたらと思います。
僕が藍思追を見た時に、同じタイミングで藍思追もこっちを見てくれていたっていうこともあったので、そういうやり取りをいろんなところで出していきたいと思っています。
安藤:2人の関係性を大切にしていきたいですね。僕は任務を全うするため莫夫人に接する時と、藍忘機に対してキラキラした目を向けている時などの違いを見せたいと思います。藍景儀に比べると藍思追は聡明で優しい、大人しいという印象を持たれていると思うんですけど、その中にある若さや無邪気さも大切にしたいです。かっこよくて落ち着いているというイメージと、可愛いイメージのギャップを探して深めていけたらと思っています。
――相手がキャラクターに似ていると思うところなどはありますか?
安藤:直武くんはすごくおっとりとしていて優しいので、藍景儀とは逆かもしれません。でも演じるとぴったりなので、本当にすごいなって思います!
土屋:確かに、そういう意味ではあんでぃも逆だよね。中身はそれぞれ逆なんですけど、お芝居に入るとしっくりくるんですよ。

――最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
土屋:初の舞台化ということで、告知の際の閲覧数やいいねの数に驚きました。世界中で愛されている作品なので期待値は高いと思っていたんですが、正直想像を超えていましたね。
ビジュアルが解禁されたことによって「早く動いている姿を見たい」とファンの方も思ってくださっているのではないでしょうか。第一弾の『邂逅編』からどんどん続いていく作品になって欲しいですし、皆さんにもまた見たいと思っていただけたら嬉しいです。
お客様にお届けした時に感動してもらえる作品にできたらと思っています、よろしくお願いします。
安藤:すっごく期待されているので、「その期待を絶対にこえてやるぞ!」と思っています。それは僕だけではもちろん無理なので、カンパニー全員で力を合わせて頑張っていきたいと思います。すごい方々が集まりましたし、舞台の上で坂部さんの音楽が混ざった時にどんな風になるのかっていうのも楽しみです。音楽はもちろん、服や髪が靡くさま、人の動きが組み合わさって出来上がったものを存分に感じていただけたら嬉しいです。舞台という生でしか味わえない魅力が詰まっている作品を、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。












公演概要

【 Staff 】
原作:『魔道祖師』墨香銅臭
脚本・演出:伊勢直弘 音楽:坂部 剛 メインイラストレーター:Gearous
【 Cast 】
魏無羨 役:金子隼也 藍忘機 役:廣瀬智紀
江澄 役:和田琢磨 藍曦臣 役:小松準弥
金凌 役:田村升吾
藍思追 役:安藤夢叶 藍景儀 役:土屋直武
聶懐桑 役:安井一真 金子軒 役:武子直輝
藍啓仁 役:村田 充
大塚優希 小野俊介 坂本和基 櫻原智美 鈴木翔流 仲島瑠太 広瀬 蓮 光永ヒロト 宮園博之 来夢

【 Ticket 】
<チケット料金(税込/全席指定)>
前方指定席(1階前方5列以内) ¥15,000
一般指定席 ¥12,500
注釈付き指定席(※) ¥9,800
(※)舞台・映像・演出の一部が見えにくい可能性のあるお席です。
お席によってはスピーカーが近く、音量が大きい場合がございます。
https://l-tike.com/mdzs_stage