【ゲネプロレポート】シリーズ最新作となる舞台『魔法使いの約束』きみに花を、空に魔法を 前編が、9月6日に東京・天王洲 銀河劇場にて開幕

リリース情報

本作は原作ゲーム『魔法使いの約束』のメインストーリー第1.5部『きみに花を、空に魔法を』にあたるストーリーを舞台化した作品。前編・後編の2部作のうち、不穏の始まりを告げる前編を、これまで紡がれてきた「まほステ」の世界観を踏襲しながらも、さらに壮大に描き出していた。

本記事では初日先立ち実施されたゲネプロ公演の様子を劇中写真とともにお届けする。

<ゲネプロレポート>

魔法使いたちの世界へと続くエレベーターが映し出され、賢者の魔法使いとして真木晶(演:大森夏向)がモノローグを語る。これまで上演した祝祭シリーズやエチュードシリーズを通して浸透したこの「まほステ」らしさを、本作では一度手放す。そんな印象を抱く幕開けから、すでに大いなる厄災による“異変”は始まっていたのかもしれない。

物語の始まりを告げるのは、多くの謎を抱えた不気味な人形使いのオヴィシウス(演:内藤大希)と、清らかな歌声のなかに寂しさを滲ませる魔女のターリア(演:綾凰華)。彼らが歌い上げる不穏なナンバーに導かれるように、各国で異変が起こるところから物語が動いていく。奇しくも、まもなく五カ国和平会議の式典が開催されるというタイミング。中央の国の王子アーサー(演:北川尚弥)を中心に式典の準備が進む裏で、オヴィシウスと5人の魔女たちは「嫌われ者が報われる話をしよう」と、恐ろしい“人形劇”の開演を告げるのだった。

全3章で描かれた原作メインストーリー1部で、バラバラだった賢者の魔法使いたちが賢者のもとでようやく円を成した。続く祝祭や任務のなかで絆を深め、賢者の魔法使いという役目を背負っていった21人に、本作では大きな試練が襲いかかる。

クスッとできるやり取りや、可愛さに頬が緩む瞬間ももちろんあるが、作品を覆っているのはこれまでにない緊張感だ。どこにも安全な場所がない。強くて好戦的な魔法使いだけでなく、戦いを好まず魔法使いとしてもまだまだ若く未熟な者たちまで、否応なしに戦いに巻き込まれていく。非情にも思える展開が立て続けに起こるのと同時に、本作はそこに生まれる魔法使いたちの心の機微も丁寧に拾っていく。

例えば、最年少のミチル(演:弦間哲心)の強さへの憧れと諦めの間で揺れ動く苦悩や、そんなミチルとリケ(演:新谷聖司)との友情。ミチルとは対照的に揺るぎないヒースクリフ(演:内藤光佑)への忠誠心から突き進むシノの決意。元相棒であるネロ(演:坪倉康晴)とブラッドリー(演:中村太郎)や、因縁で結びついたカイン(演:岩城直弥)とオーエン(演:神永圭佑)、“約束”で縁が結ばれたミスラ(演:鮎川太陽)とルチル(演:大海将一郎)。愛憎で結びつくムル(演:橋本真一)とシャイロック(演:山田ジェームス武)に、賢者を守る役目を任されたレノックス(演:白柏寿大)とそれを見守るファウスト(演:矢田悠祐)、嫌われ者の気持ちに共感して悲しむクロエ(演:皆木一舞)と寄り添うラスティカ(演:森田桐矢)……。21人それぞれの魔法使いの“心”が浮かび上がる。

「魔法は心で使うもの」。これは作中で何度となく登場する言葉だ。激しいバトルの只中にあっても、その中心にあるのはやはり“心”。本作もまたその在り方を丁寧に映し出していた。21人それぞれの“心”が浮かび上がり、重なり合った先に立ち現れる物語の深さは、観客に妄想を広げさせ、どっぷり浸ることができる余韻と奥行きを与えてくれる。

本作よりオズ役として新たに伊勢大貴が出演。腹の底に響くような声からは世界最強の魔法使いとしての威厳が感じられた。シリアスなストーリー展開も手伝って、北の国出身者らしいオズ像が立ち上がっていた。相変わらずひょうひょうと掴みどころのないフィガロ(演:和合真一)や、アクロバット多めで魅せてくれたスノウ(演:陣慶昭)&ホワイト(演:田口司)との年長者同士でのやり取りも必見。後編で描かれるであろうアーサーとの親子のような関係性もどう演じるのか楽しみだ。

そして圧巻はオヴィシウスたちの存在感と歌唱力。オヴィシウス役の内藤大希は2.5次元作品からミュージカル「レ・ミゼラブル」まで幅広い作品に出演。その経験値に裏打ちされた表現力と歌声で、賢者の魔法使いの強大な壁として立ちはだかった。元宝塚歌劇団雪組・星組の男役スターとして活躍したターリア役の綾凰華とのハーモニーも極上だ。

凛とした強さに正義感を滲ませるオーレオリン(演:七木奏音)は見事な肉弾戦も披露。七木の高い身体能力が際立った。オーレオリンとはまた違った戦闘狂的な強さを見せるバイオレット(演:野本ほたる)はミスラとのバトルが見応え抜群。ネロとのやり取りでその心が垣間見えるシアン(演:上杉柚葉)に、貴婦人の優雅さ漂うスカーレット(演:西葉瑞希)、あどけなさと危なっかしさが同居するビリジアン(演:今泉和歌子)。「まほステ」で一度にこれほど多くの魔女が登場するのは今回が初めて。彼女たちが加わったことで、より厚みを増したハーモニーは観客の心をこれでもかと揺さぶってくれることだろう。

作品ごとに進化していく映像演出に、POW-ers(パワーズ)と呼ばれるアンサンブルによってアナログで生み出される古代の魔獣たちが加わり、舞台ならではの表現がいっそう磨かれていた。21人の魔法使いと賢者は、5つの場所に分かれて戦いに身を投じている。すでにボロボロの者、大きな勝負に出ようとしている者、「大いなる厄災の傷跡」に苦しむ者……。彼らを待つ戦いの結末とは。そして戦いの後に“花”は誰から誰に送られるのか。後半のエピソードがどう描かれるのか待ち遠しいが、まずはこの前編で、賢者の魔法使いたちの“心”の物語に触れてみてほしい。

舞台『魔法使いの約束』きみに花を、空に魔法を 前編は、9月6日(土)から9月23日(火・祝)まで東京・天王洲 銀河劇場にて、9月28日(日)から10月5日(日)まで大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホールにて上演。

取材・文:双海しお/写真:ケイヒカル

■公演概要
舞台『魔法使いの約束』きみに花を、空に魔法を 前編

<日程・劇場> 2025 年 9 月~10 月
【東京】天王洲 銀河劇場
【大阪】箕面市立文化芸能劇場 大ホール
<原作> 『魔法使いの約束』/coly
<脚本・作詞> 浅井さやか(One on One)
<演出> ほさかよう
<音楽> 坂部 剛
<振付・ステージング> 本山新之助
<出演>
【中央の国】オズ:後日発表 アーサー:北川尚弥 カイン:岩城直弥 リケ:新谷聖司
【北の国】スノウ:陣 慶昭 ホワイト:田口 司 ミスラ:鮎川太陽 オーエン:神永圭佑 ブラッドリー:中村太郎
【東の国】ファウスト:矢田悠祐 シノ:田村升吾 ヒースクリフ:内藤光佑 ネロ:坪倉康晴
【西の国】シャイロック:山田ジェームス武 ムル:橋本真一 クロエ:皆木一舞 ラスティカ:森田桐矢
【南の国】フィガロ:和合真一 ルチル:大海将一郎 レノックス:白柏寿大 ミチル:弦間哲心
真木 晶(賢者):大森夏向
ほか
<協力> 一般社団法人 日本 2.5 次元ミュージカル協会
<主催> 舞台まほやく製作委員会
<公演に関するお問い合わせ> ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/contact/
◆公式サイト https://mahoyaku-stage.com/
◆公式 X https://x.com/mahoyaku_stage
Ⓒcoly/舞台まほやく製作委員会