【ゲネプロレポート】舞台『人を殺して何が悪い?』主演にプロレスラーの朱里を迎えて上演!

リリース情報

舞台『人を殺して何が悪い?』が、10月30日(木)より東京・シアター・アルファで上演された。

本作は、映画監督・演出家の浦川公仁が映画用に執筆した脚本をもとにした作品。2025年3月に朗読劇として初演され、8月にはリバイバル上演を経て、今回が3度目の上演となる。主演にはプロレスラーの朱里を迎え、チームKとチームEによるダブルチーム制で上演される。

メディアクトでは初日に先駆けて行われたゲネプロ公演の模様を、劇中写真とともにレポートする。

※本記事には物語の核心に触れる内容が含まれます。未観劇の方はご注意ください。

物語は、薄暗い部屋で椅子に縛られた6人の男女が目を覚ますところから始まる。

彼らは、睦(演:服部武雄)を中心とする映像制作会社のメンバー。表向きはCMやテレビ番組を制作しているが、裏では非合法なアダルトビデオの制作や、強引な性産業で荒稼ぎする反社会的な企業だ。
犯人が誰なのか見当もつかないほど、恨みを買う要素に事欠かない彼ら。混乱の中で互いを罵り合っていると、凛としたパンツスーツ姿の女・真美(演:朱里)が現れる。

真美は、陸たちがかつて親友・久秀を自殺に追い込んだとして、彼らを監禁したと告げる。

解放されたいなら、カメラの前で全員が久秀殺人の罪を認めるか、無実であることを納得させてみろと迫る真美の言葉を合図に、彼女が圧倒的に優位な擬似裁判が始まる。

進行とともに、彼らの過去と隠された真実が暴かれていく。

死の恐怖にさらされた人間たちは次々と本性をさらけ出し、互いを追い詰めていく。そこに浮かび上がるのは、人間の醜さと弱さ。見ている側も胸が締めつけられるような苦しさを覚えるのは、キャストたちの生々しい演技があってこそだ。

それぞれが一見では読み取れない裏の顔を持っている点も興味深い。
たとえば、須藤 公一が演じる佐田は臆病で早口なオタク風の男だが、常に一歩引いて全体を観察している様子が垣間見える。

藤二郎(演:井上肇)は、若さと傲慢さを前面に出す反抗的な男だが、その実、恐怖を暴力で覆い隠す防衛本能が見え隠れする。
天真爛漫な望美(演:野口涼)もまた、その笑顔の裏にどこか狂気じみたものを抱えている。

中でも、服部武雄が演じる睦の存在感は圧倒的だ。取り乱すメンバーが多い中で、睦はわずかな言葉と視線だけで周囲を支配する。真美にも一歩も引かない胆力を見せ、リーダーとしての威圧感と支配力を放つ。視線ひとつ、呼吸ひとつで場を制する演技は見事であり、終盤で見せる冷酷さが剥がれ落ちる瞬間には思わず息を呑む。

そして、物語の核となる真美を演じるのは、スターダムのトップレスラー・朱里。
“モノが違う女”の異名を持つ彼女は、鍛え抜かれた身体と存在感を武器に、密室に渦巻く狂気をさらに加速させていく。その凛とした強さと、怒りの奥に潜む痛みが、舞台に深みを与えている。

本作では、俳優陣が人間のむき出しの感情を体現し、物語の密度をどんどん高めていく。
ほとんどセットの変わらない舞台空間で繰り広げられる会話劇は、生の演技の力を実感させる。声の温度、呼吸、沈黙。そのすべてが観客の心を揺さぶるだろう。

タイトル『人を殺して何が悪い?』は、あまりにも挑発的で強烈だ。
もちろん、殺人は罪である。しかし、善悪の境界が曖昧になるほどの真実を突きつけられたとき、果たして私たちは即答できるだろうか。

「殺人は罪か?」「愛は正義か?」――常識では測れない問いの答えを、どうか劇場で確かめてほしい。

取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル

■公演情報
舞台『人を殺して何が悪い?

出演者:
朱里(スターダム) 須藤公一(太田プロ) 服部武雄(GFA)
※TEAM K / E 共通で出演
TEAM K 樋口みどりこ(吉本興業) 宮下誠 井上肇(プレミアムエンターテイメント) 野口涼
TEAM E 長尾長幸(劇26.25団) 八角麗子(宝井プロジェクト) 夜凪つむぎ 渡良瀬眞椰

公演スケジュール:
10月30日(木) 19:00 [K]
10月31日(金) 19:00 [E]
11月1日(土) 13:00 [K]/18:00 [E]
11月2日(日) 13:00 [E]/18:00 [K]
11月3日(月) 休演日
11月4日(火) 19:00 [E]
11月5日(水) 14:00 [E]/19:00 [K]
11月6日(木) 14:00 [K]

※上演時間:80分予定

劇場:
シアター・アルファ東京
https://www.alpha-tk.com/

チケット情報:
◆席種
S席8,000円A席6,000円(税込)
◆販売開始
9月15日(月祝)20:00~ https://ticket.corich.jp/apply/402332/002/

◆お問い合わせ先
https://x.com/hito_waru
urakawafilm@gmail.com