【ゲネプロレポート】美しい音楽に彩られた『No.6』の世界を堪能して ミュージカル『No.6』レポート
11月8日(金)から東京・天王洲銀河劇場にてミュージカル『No.6』の公演がスタート。初日に先駆け行われた、公開ゲネプロの様子をレポートする。
原作はあさのあつこの小説で、2011年にはテレビアニメも放送され人気を博した本作。
人類が科学の粋を集めて作り上げた理想都市「No.6」。そこで暮らす優秀な少年・紫苑(今牧輝琉)が、嵐の夜にネズミ(古田一紀)と名乗る少年と出会ったことで、美しい街「No.6」の裏に隠された過酷な真実を知ってしまう……というストーリーだ。
ネズミは「No.6」にある矯正施設から脱走した犯罪者。びしょ濡れで血だらけのネズミと出会った紫苑は、部屋にあった救急箱を器用に使い、ネズミの怪我を介抱するが、翌朝になるとネズミは紫苑の前から姿を消していた。
4年後。それまで高級住宅街「クロノス」に暮らしていた紫苑は、犯罪者を匿ったことがきっかけで、母親と共に下町・ロストタウンに引っ越す羽目になっていた。優秀な学校に進学する予定もなくなり、ロストタウンでは公園管理の仕事をしている紫苑。その公園である日、変死体が発見される。紫苑は事件の容疑者として連行されかけるが、すんでのところで救出してくれたのが、4年前に出会ったネズミだった。
純粋無垢でお人好しな紫苑と、クールで頭の切れるネズミ。正反対な二人だが、それゆえに惹かれ合い、お互いにとって唯一無二の存在になっていく。
紫苑は生き延びるため、全てを捨ててネズミに連れられ「No.6」の外に出る。「西ブロック」と呼ばれる外の街は、美しい「No.6」とは正反対。スラム街のような無法地帯だった。
唯一の肉親である母親・火藍(入江加奈子)や幼馴染の沙布(熊谷彩春)と再会するため、紫苑とネズミは、西ブロックで出会った情報屋の少年・イヌカシ(日暮誠志朗)、元新聞記者の力河(吉野圭吾)と共に、No.6の真実に迫っていく。
一方その頃、沙布はとある目的のために「No.6」の矯正施設に拉致され、身柄を拘束されてしまう。矯正施設では「No.6」の中枢部が、秘密裏にとある恐ろしい実験を行なっていたのだった。
はたして、紫苑は「No.6」に無事に戻ることができるのだろうか?
本作はミュージカルとなっており、特にネズミの歌声が物語後半の重要なキーとなるのだが、演じる古田は圧巻の美声。歌のパートだけではなく、セリフを言う際の声の抑揚の付け方も美しく、「普段は俳優として舞台に立つこともある」というネズミのキャラクター設定に説得力を与えている。
また、主人公である紫苑を演じる今牧も、過酷な運命に抗いながら、時に狂気的なほどに仲間を思い突き進む紫苑の姿を、真っ直ぐに演じていた。
追っ手から逃げたり、矯正施設に潜入したり、回転する巨大なセットの上を駆け回るアクションシーンは迫力満点。一方で、紫苑とネズミが二人きりで心を通わせるシーンはひっそりした静かで美しい空気感で、「静」と「動」のバランスも見応えがあった。
公演は11月17日(日)まで天王洲銀河劇場で行われたのち、11月22日(金)〜24日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでも上演される。少しダークで美しい『No.6』の世界に、ぜひ足を運んでみてほしい。
取材・文:井上明日香/写真:ケイヒカル
ミュージカル「NO.6」
原作:あさのあつこ「NO.6」(講談社)
脚本・演出・音楽:浅井さやか(One on One)
ステージング・振付:當間里美
期間:
【東京】 2024年11月8日(金)~11月17日(日)
【大阪】 2024年11月22日(金)~11月24日(日)
チケット:
9,800円(全席指定/税込)
サイドシート:9,800円(全席指定/税込)
ローソンチケット https://l-tike.com/play/mevent/?mid=730010
銀河劇場チケットセンター https://www.gingeki.jp/
キャスト:
紫苑 今牧輝琉
ネズミ 古田一紀
沙布 熊谷彩春
イヌカシ 日暮誠志朗
楊眠 泰江和明
白衣の男 藤原祐規
<アンサンブル>
元榮菜摘 山﨑感音/池田航汰 石野滉貴 田代 明 松島朱里 村田一紗 山川大智
火藍 入絵加奈子
力河 吉野圭吾
協賛:ローソンチケット
美術:久保田悠人
照明:大波多秀起
音響:門田圭介(K2sound)
映像:O-beron inc.
衣裳:ヨシダミホ
ヘアメイク:瀬戸口清香
歌唱指導:カサノボー晃
アクション指導:六本木康弘(ジャパンアクションエンタープライズ)
舞台監督:久保健一郎
技術監督:堀 吉行
編曲:関向弥生
演出助手:長谷川 景
制作協力:アンデム
票券:Mitt
宣伝美術:江口伸二郎/奈良友里花
宣伝写真:川面健吾
主催:ミュージカルNO.6製作委員会(ネルケプランニング・講談社・アイア)