【イベントレポート】演劇に関するトークをはじめ、短編演劇やゲームコーナーまだ盛沢山『赤澤燈と田口涼の演劇深掘りイベント(仮)』

レポート

11月9日(土)東京・雷5656会館で『赤澤燈と田口涼の演劇深掘りイベント(仮)』が開催されました。

演劇に関するトークをはじめ、サポートアクターの阿瀬川健太さんと山咲和也さんの短編演劇やゲームコーナーなど、内容は盛りだくさん。約120分とは思えない濃い時間となりました。

メディアクトでは陳内将さんをゲストに招いた第1部の様子と、イベント後に実施したインタビューをお届けします。

イベントレポート

開演時間を迎え、まずはXでも公開されていたティザー映像が流れました。

赤澤さん、田口さんは「ついにこの日がきました!」「僕らもどんな風になるかわかりません!」と笑顔で登場。観客席からも笑いが起こり、和やかな雰囲気の中イベントが始まりました。

続けて、ゲストも登場しました。第1部のゲストは、赤澤さんと田口さんの先輩でもある陳内将さん。多くの現場を共にしている3人の間にはお馴染みの安定感があり、全力で楽しむことの出来るあたたかい雰囲気が会場に流れていました。

役者の陳内さんについて、田口さんは「目が良い。涙なんかもぎらぎら映える」、赤澤さんは「人柄が役によく出ている。包容力があって、真面目な役者さんだと思います」と語りました。陳内さん自身は「完璧主義者ですね。歩幅を数えたり、どこを見て喋るかも決めたいタイプです。でも、いろんなことを経験したりいろんな人と接するうちに少しずつ変わってきました。最近は余白を残した方がいいこともあるな、と気が付き始めましたね」と自分のことを振り返りました。

長く演劇界の前線に立ち続けている3人は、少しずつ変化を見せる演劇界に感じることも多くある様子。

「若い人は特に、毎日変わって当たり前ですよね。でも、変えない美学もある。どちらにも触れられることが嬉しいです。昔に比べると演出家さんも丸くなったと感じることも多いですね」と語ったのは陳内さん。これを受けて、赤澤さんと田口さんも過去の現場について振り返ります。

「まだ全然芝居が出来ていなかった頃の親睦会で、演出家さんに『運転は免許がいるのに何で役者は免許いらないんだろうな』と言われた」と赤澤さん。田口さんは「通し稽古が終わった後に、『田口君以外は全員良かったです』と言われた」など、それぞれの苦い経験を語りました。そうした経験があったからこそ今がある、と振り返る3人。今だから話せる裏話を聞くことが出来るのも、このイベントならでは。

トークを交えつつ、早速1つ目のコーナー『深掘り演劇トーク ぶっちゃけそこんとこどうなの?』が始まりました。

『ヒマな時にスタッフさんが座ることができていない』という田口さんのトークテーマに対しては、役者ファーストで扱ってもらうことも多いが、休憩できる時には休んで欲しいという3人の優しさが滲みます。

赤澤さんは『本読みってぶっちゃけいりますか?』と攻めたテーマを議題に。「本読みって緊張するんですよ。役者によってバラつきがあるし、最初から手の内を明かすのも難しい」と持論を語りましたが、「でも演出家さんが本読みを見ていろいろ考えたりスケジュールも決まるよね」という陳内さんの意見を受け、最終的に「本読みは、いります!」という結論に落ち着きました。

続くコーナーは、『阿瀬川と和也、演出つけてよ』です。

陳内さん、赤澤さん、田口さんがそれぞれ魔女1、魔女2、魔女3に扮し、シェイクスピアの『マクベス』の一幕を演じます。口頭のみで台詞を伝えられましたが、見事に一幕を演じる3人。それに対し、阿瀬川さんが演出をつけます。「思ったより出来ていて安心した」「動かないという選択に意味があるよね」などのコメントは、現場ではよくあるものの様子。「こういう演出家さんいるな」というコメントも3人から零れました。

演出家からの指示を受けてのTAKE2はがらりと雰囲気を変え、続く「コメディ調で」という指示にも全力で応える3人の姿が印象的でした。

現場ではどのように芝居が作られていくのか、創造の過程を覗くことの出来るコーナーとなりました。

続けて、阿瀬川さんと山咲さんによる短編演劇が披露されました。

『バイト』『遊び』『演劇警察』の3編を15分に渡って演じた2人。短い時間の中にストーリー性も笑いもぎゅっと詰め込まれており、観客席からも拍手が起きました。田口さん曰く「演劇力が高い2人」のお芝居を、もっと見たくなったという方も多いのでは。

最後は、『真実を掘り当てろ! 演劇それ正解』のというコーナーです。ある議題に対して「正解だと思う」回答を提示し、全員が一番納得した回答を選ぶというゲーム。陳内さんと山咲さん、赤澤さんと田口さん、阿瀬川さんの2チームに別れて討論が行われました。

『ふから始まる演劇に向いている人の特徴』というお題に対しては、「腹式(山咲)」「富裕層(陳内)」「フットワークが軽い(赤澤)」「フィクション好き(阿瀬川)」「不老(田口)」などの回答が出ました。

続く『かから始まる2.5次元が他の演劇よりも優れている点』という議題に対して、こちらも「可能性」「かつら」など、さまざまな回答が出揃います。「観客席にカントクがいる」とこのメンバーならではの回答もあり、観客席からも笑いが起こりました。

最後の議題は『ちから始まる許せない共演者の行動』については「調子に乗る」「ちゃんとし過ぎている」という対極のお題でディベートが行われましたが、最終的に選ばれた回答は「調子に乗る」でした。ちなみに3つの議題において、すべて陳内さんの回答が「それ正解!」に選ばれました。陳内さんのディベート力の高さが伺えます。

賑やかな空気の中、約120分のイベントはあっという間に終幕へ。

最後はゲスト座長の陳内さんの「本日はご来場、誠にありがとうございました!」の挨拶でイベントが幕を下ろしました。演劇愛に溢れたイベントは、今後もゲストを招きながら定期的に開催予定とのこと。続報を楽しみにお待ちください。

インタビュー

――今日のイベントの感想を教えてください

赤澤:まだ試行錯誤している感じではありますが、回を増すごとに言いたいことを言えるようになると思いました。今回も割と本心で話していましたけど、『こういうことを言えたら自分たちがいるフィールドがより良い環境になるんじゃないかな』という展望も見えました。

田口:詰めるところは詰めていきたいですね。今回は陳しゃんのおかげもあって、ゲストによっていろんな色が出るだろうなというのが見えました。何より和也と阿瀬川が受け入れられたことが、すごく嬉しかったですね。

赤澤:お客さんがいてくれないと、こういうイベントってできないところがあると思うんですが……。語弊を恐れずに言うと、お客さんはついていないけど素晴らしい俳優さんってすごくたくさんいると思います。和也と阿瀬川は、その中の2人なんです。そんな人たちの良さを広めていきたいと思っている田口くんが企画してくれているのは、ありがたいことだなとも感じましたね。

――このイベントを開催することになったきっかけを教えてください。

田口:何かイベントをやりたいと思っているところに、燈がちょうど同じことをしたいって言ってくれたんですよ。

赤澤:演劇について話せるようなイベントをしたいねって話してたんですよね。僕は芸歴が15年目になるんですが、今まで表立って演劇や本心について話すことは避けてきたんです。当たり障りのないことを言うこともありましたが、年齢的にもキャリア的にも、もっといろんなことを話してもいいんじゃないかなと思うようになったんです。

田口:燈がいることによって、今後ゲスト出演してくれる素晴らしい人たちも増えると思います。楽しみですね。

――今後はゲストに誰を呼びたいですか?

田口:それは、……いっぱいいますね。

赤澤:最初の方は、やっぱり近くにいる人たちを呼びたい。続けていけるのであれば、声優業をやられている方だったり、演出家の脚本家の方を呼びたいですし……。自分の先輩たちや、(松崎)史也さんも呼びたいですよね」

田口:次回の開催も決まっています。次回はもう「え!」って驚かれるようなゲストの方が決まっています。

――今後、イベント内でやりたいことを教えてください。

田口:舞台を作りたいですね。

赤澤:プロデュースしたいですね!キャスティングはこうなるよね、こういう作品にするんだったら演出家や音響、照明はこの人に頼んだら面白くなるよね、という話がしたいですね。せっかく演劇についてのイベントなので、阿瀬川と和也が今日演出をつけてくれたコーナーに僕達もゲストも参加して小さな演劇をする、ということもしてみたいですね。

田口:演劇をテーマにうたっているこのイベントのいいところは、そういう演劇中心の話をできるところですね。メイキングや芝居ができる過程も皆さんが楽しんでくれている時代だと思います。過程を見せながら、結果がこうです!というものをお見せできるというのもこのイベントならではと思います。

――最後に、ファンの皆さんに一言お願いします。

田口:まだまだ駆け出しのイベントです。僕たちがやりたいことも伝えたいこともたくさんありますが、ニーズに合わせて変化していく部分もあって良いと思いますので、皆さんの意見を聞くことのできる場所も作りたいと考えています。遠慮なくいろんな意見を教えてもらって、皆さんもスタッフさんもキャストも楽しめるイベントにしたいと思っています。応援よろしくお願いします。

赤澤:『なんとなくこういう話を聞きたいだろうな』というのをベースにしていますが、思わぬところにニーズがあると思います。今回は近い方にゲストで来てもらいましたが、これから続けていくとしたら、いろんな人に声を掛けていこうとも思っています。15年で築いてきた関係性だからこそ呼べる人がいると思うので、いつ貴方の見たい人が来るかわかりません!注目していただけると嬉しいです。

■概要
赤澤燈と田口涼の演劇深掘りイベント(仮)

11/9(土) 雷5656会館
13:30〜[ゲスト:陳内将]
17:30〜[ゲスト:古谷大和]