【ゲネプロレポート】演劇『ライチ☆光クラブ』2025開幕! 牧島輝「僕たちも14歳に戻ってワクワクさせられた」ゲネプロ&囲み会見

レポート

2025年1月10日(金)、東京・IMM THEATERにて演劇『ライチ☆光クラブ』2025が幕を開けた。
原作は、古屋兎丸が2005年に発表した漫画作品『ライチ☆光クラブ』。4度目の舞台化となる今作では、脚本・演出を劇団時間制作の谷碧仁が務め、少年たちの生々しい感情を会話劇として作り上げた。

メディアクトでは、初日に先立ち実施されたゲネプロ公演と囲み会見の様子を劇中写真とともにレポート。

舞台となるのは、工場の黒い煙に包まれた町「螢光町」。
その片隅の廃工場に集う少年たちは「光クラブ」を名乗り、崇高な目的のために“ライチ”という甘美なる機械(マシン)を創り上げる。

光クラブのメンバーは大人になることを拒み、永遠の美を夢見てひとりの美しい少女を捕獲しようと企てる。
ライチが少女カノン(演:菊池日菜子)を連れてきたことが、崩壊の始まりだった。
少年たちの純粋な欲望は狂気を孕み、裏切りや依存、嫉妬が顔を出し始める。

愛とは、希望とは、永遠とはなにか。少年たちの剥き出しの心が行き着く先とは――…。

会場に足を踏み入れて、まず目に入るのは彼らの秘密基地であるセットだ。錆びついた壁や重い鉄の扉が退廃的な雰囲気を醸しており、彼らにとって光クラブが現実とは切り離された唯一の楽園だということがわかる。原作を知らなくとも、異質な世界観に一瞬で引き込まれるだろう。

また、この世界観を描くために重要な要素のひとつは“美少年”だ。儚さや狂気、少年性が生み出す危うげな色香に心を掴まれているファンも多いだろう。舞台化にあたって期待、あるいは不安を抱くファンも多かったかもしれないが、心配はいらない。ステージに現れた彼らは、原作からそのまま飛び出してきたかのような姿をしていた。

ゼラを演じる牧島輝は、無二のカリスマ性を放っていた。発言や眼差しひとつで光クラブのメンバーを動かす姿は、まさに“皇帝”。玉座があまりにも似合い過ぎるが、今作では新たなゼラの魅力を知ることができる。観劇前のファンは、新しいゼラに出会えることを楽しみにしてほしい。

常にゼラに寄り添うジャイボ(演:中山咲月)は中性的な美しさに目を奪われる。華奢な体躯や妖艶な表情が、ジャイボの孕む狂気を加速させる。

岐洲匠が演じるタミヤは、真っ直ぐな眼差しが印象的。光クラブを創設したリーダーであるタミヤは、ゼラに唯一異を唱える存在。岐洲自身の誠実さが役と重なり、タミヤの姿をより輝かせていた。

タミヤは、いわばこの世界における“善”である。光クラブにおいてはゼラが絶対的な存在であるが、彼が正しいとは限らない。誰に感情移入をするかで善と悪が大きく反転する。どの登場人物の目線で物語を見るかで、感じ方も大きく変わるだろう。一度では到底味わい尽くせない奥行のある脚本は、谷碧仁によるもの。

今作は、原作では描かれていなかった登場人物の背景や心情が深掘りされていることが印象的。ゼラをはじめとした少年たちがなぜ光クラブに集うようになったのか、家庭環境や家族構成などが明らかになる。

原作を知る者は驚く点も多いかもしれないが、光クラブのメンバーが生きた人間として描かれている点こそが今作の大きな魅力だ。少年たちの生々しい感情や闇を描く谷の脚本の妙が光る。

もちろん、大本のストーリーは変わらない。『ライチ☆光クラブ』の魅力を大切にしたうえでの肉付けは、多くのファンに愛されてきた原作と歴史への敬意を感じた。原作ファンも安心して観劇できるだろう。

今まで何度もメディアリミックス化、舞台化を繰り返してきた『ライチ☆光クラブ』だが、今作はそのどれもと違った新しい作品に仕上がっている。この制作陣だからこそ生まれた世界を、ぜひ楽しんでほしい。

演劇『ライチ☆光クラブ』2025は、2025年1月26日(日)まで東京・IMM THEATERにて上演される。

【囲み会見】

――出演が決まった時のお気持ちは?

中山:もともと作品を知っていたので、この舞台が決まったことが純粋に嬉しかったです。 自分が一番好きなジャイボを演じられることが嬉しかったのと同時に、どこまでジャイボに近づけられるのかという怖さや葛藤もありましたが、役をいただけたことが嬉しかったです。

岐洲:僕はオーディションが決まってから作品を読みました。タミヤを知れば知るほど自分に近いと感じることも多く、絶対に役を勝ちと勝ち取りたいと思いました。決まった際には「やっぱり俺でしょ」って思いました(笑)。

牧島:嬉しかったですし、ガッツポーズしました。僕がこの作品に出会ったは小学生の時でしたが、まさか自分がゼラを演じられるとは思っていなかったので非常に嬉しかったです。

谷:この作品のオファーをいただいた時には「自分ができること」と「この作品を裏切らないこと」を意識していました。責任を感じたことを覚えています。
役作りをするうえでこだわった部分は?谷さんは脚本、演出でこだわった部分をお聞かせください。

中山:ジャイボの美しい美少年という設定がすごくプレッシャーでした。甘いものを稽古初日から絶って、ずっとアーモンドを食べています。ジャイボに近づくためにストイックに頑張っています。

岐洲:自分らしくいることです。僕は漫画を読み過ぎず、頼らず、自分でタミヤを見つけていこうということを意識していました。

牧島:こだわりだらけです。見ていただけたらわかるように、学ランメガネに手袋に帽子と皆が揃うとすごく迫力があります。衣装も音楽もこだわっていますし、セットもすごいんですよ。どのセクションの方々もこだわり抜いていて、僕たちよりもお芝居をしているんじゃないかというくらいです。そのこだわりに僕たちが負けないよう、いただいたものを活かして前に進んでいくことを意識していました。

谷:会話劇する、というところがこだわりです。シチュエーションは変わりますが、群像劇といわれるものを自分の中で作りたい、エンタメを混ぜるということを意識していました。演出では俳優さんや各セクションの全員が極力クリエイティブにいられるようにと考えました。全員が全員、自分の中で創造性を持ってそれを集合させるという点に注力しました。

――稽古を経て感じた、本作の魅力を教えてください。

中山:原作にない台詞もあり、自分の知らない違う側面から見た『ライチ☆光クラブ』を見た気がして、これができるんだという喜びがありました。自分が知らないライチ光クラブが見れることが嬉しくて、稽古場でみんなが実際にその役を演じた時に、演じてないところからも『ライチ☆光クラブ』みたいだなって思って、すごく楽しい稽古でした。

岐洲:小道具からセットまで、本当にすごいんです。舞台上のセットを初めて見た時のことを今でも覚えています。「本当に秘密基地だ!」と思って、登りたくなったんですよ(笑)登ったらすぐに怒られたんですけど。僕たちも14歳に戻ってワクワクさせられたというか…、全員の力が重なって作り上げていくものだと感じました。大変なんですが、その大変さを皆で分け合ってすごい化学反応が起きたと思います。

牧島:『ライチ☆光クラブ』はすごくかっこいいと思うんです。見る人が作品を観ればちょっと妙な雰囲気や中二病感があると思うんですが…。誰しもが心の中に飼っている中学生の部分が、この作品を見るとくすぐられると思います。見てはいけないものを見てしまったワクワク感や中学生の時の好奇心など、嫌なことも含めて思い出すと明日からも頑張れるような作品だと思います。生きているな、と感じるんです。登場人物が生きているということを感じられる作品だと思います。

谷:全員が同じ方角を見ている一体感が相当強いので強みだな、と稽古の中で感じました。共感が作品の良し悪しの全てではないと思っていますし、俯瞰することでより作品の面白さを感じられると思います。今回は俯瞰で見ても、誰かに共感して見るのも面白いと思います。好きなキャラクターと嫌いなキャラクターの両方に共感しながら見ると楽しんでいただけるのかなとも思います。

――ご自身が演じる役と、似ている点を教えてください。

中山:ジャイボは恋に生きているけど、自分の中にはその感覚はないんです。一人の人間に執着するというのが課題でしたが、自由きままなネコのようなところは少し似ていると思いました。

岐洲:仲間思いのところや、人が好きだというところは似ていると思いました。

中山:確かに、タミヤだなと思うところがありました。誰かが一人でいたら、話の輪に加えるところもあったり…。

牧島:僕は帝王であるというところ、ですね。自分が帝王になるというか、周りが帝王にさせてくれたと思います。

岐洲:帝王側の意見ですね(笑)。

牧島:似ているというか、憧れる部分もありました。周りに囲まれてはやし立てられているところを見ると、いいな…と思ったり(笑)。

――ご自身が演じる役以外で好きなキャラクターは?

牧島:ニコです。忠誠心や、わかりやすいですが目に傷があるところがカッコいいなと思っています。

岐洲:ゼラが好きですね。一番強い、一番賢いところが好きです。

中山:僕はジャイボが好きだったのでゼラに対して思うところもありましたが、だんだんかわいく見えてきました。かわいそうでかわいいというか、意外と子どもっぽいと思うことが増えましたね。

牧島:最近僕に対して「かわいそう~」って言ってくるんですよ(笑)。

中山:顔面蒼白にしながらぽつんと物憂げにしていたり…そういうところを見ると、寄り添いたくなりますね。ジャイボ視点では何てひどい人間なんだって思っていたのに、見方が変わりました。

谷:デンタクが好きですね。自分は物書きなので、一つに執着して物を作るっていう姿が魅力的だと思っています。

――開幕に向けての意気込みをお願いします。

中山:『ライチ☆光クラブ』を初めて見た時は、時間の流れがゆっくりに感じるくらいの衝撃を受けました。なんていう作品に出会ってしまったんだろうと思いましたし、そういう気持ちを皆さんが劇場で味わってくれたらと思います。この舞台をきっかけに『ライチ☆光クラブ』がいろいろ展開していくことが楽しみですし この2時間が皆さんにとって永遠に続くように感じてくださったらいいなと思います。

岐洲:千穐楽まで、自分と稽古と仲間とスタッフさんを信じて、迷わずタミヤらしく演じられたらいいなと思います。

牧島:この取材が始まる前にデンタク役の(福崎)那由他くんに皆さんに伝えたいことはあるかと聞いたところ、「まだ2025年が始まったばかりなので、この1年を皆さんが健やかに過ごせますように」とハートフルなコメントをもらいました(笑)。演劇『ライチ☆光クラブ』を観て、2025年を健やかに過ごしましょう。よろしくお願いします。

谷:舞台上に載っているものがすべてですので、それを自由に感じていただきたいです。隣の方と感想を合わせる必要はありません。ご自身だけの特別なものになるように、誠心誠意を込めて最後までやれたらと思っています。よろしくお願いいたします。

オフィシャル写真

取材・文:-/写真:ケイヒカル

演劇『ライチ☆光クラブ』2025 ニコニコ独占生中継

【日程】
2025年1月26日(日) 18:30千秋楽公演

【配信視聴ページ】 
① 演劇『ライチ☆光クラブ』2025 ニコニコ独占生中継【視聴期間1週間】
⇒視聴URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv346345741

② 演劇『ライチ☆光クラブ』2025 ニコニコ独占生中継【視聴期間2週間】
⇒視聴URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv346345743
※視聴期間ごとに視聴ページが分かれております。

【配信チケット価格】 
【チケット販売ページ】:https://dwango-ticket.jp/project/yIF7tLtw1a
① 視聴期間1週間:3,800円(税込)
② 視聴期間2週間:4,500円(税込)
※別途チケットサービス手数料が、各チケット価格の10%かかります。

【配信チケット販売期間】
① 2025年1月5日(日)22時00分 ~ 2025年2月2日(日)20時00分
② 2025年1月5日(日)22時00分 ~ 2025年2月9日(日)20時00分

【タイムシフト視聴期間】
① 2025年2月2日(日)23時59分 まで
② 2025年2月9日(日)23時59分 まで

※期間中であれば何度でも、生放送終了後に番組を視聴することが可能です。
※上記期間を過ぎると、視聴の途中であっても番組を見ることができなくなります。

■概要
演劇『ライチ☆光クラブ』

■日程
2025/1/10(金) ~ 2025/1/26(日)

■会場

IMM THEATER (東京都)

■キャスト
ゼラ:牧島 輝
タミヤ:岐洲 匠
ジャイボ:中山咲月
ニコ:小西成弥
雷蔵:望月春希
カネダ:芳村宗治郎
デンタク:福崎那由他
ダフ:原嶋元久
ヤコブ:櫻井健人

萩尾先生・常川母:長尾純子
常川寛之:加藤 岳 伊奈聖嵐 ※Wキャスト

ライチ:尾関晃輔
カノン:菊池日菜子

■スタッフ
原作:古屋兎丸「ライチ☆光クラブ」(太田出版)
脚本・演出:谷 碧仁(劇団時間制作)
協力:一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会
協賛:株式会社セブン‐イレブン・ジャパン ぴあ株式会社
主催:ネルケプランニング

オフィシャルサイト:https://theater-litchi.com/
X(旧Twitter):https://x.com/theater_litchi

©古屋兎丸/ライチ☆光クラブ プロジェクト 2025