【ゲネプロレポート】「ようこそ、人生“最期”の謎解きへ」舞台「誰ソ彼ホテル」開幕!

レポート

舞台「誰ソ彼ホテル」が2025年4月24日(木)、東京・飛行船シアターにて開幕した。

原作「誰ソ彼ホテル』は、SEECによる脱出アドベンチャーノベル第4弾。キャッチコピーは「ようこそ、人生“最期”の謎解きへ」。2025年1月にはテレビアニメ化もされ、今まさに注目を集めている本作が、満を持して舞台化を果たした。

本レポートでは、初日に先立って行われたゲネプロ公演と囲み取材の様子をお届けする。物語の核心に触れるネタバレは避けているが、できる限り真っさらな気持ちで観劇したい方は、公演を観た後に読むことをおすすめする。

舞台は休憩なしの約2時間。

昼も夜も存在せず、薄紫と橙が入り混じった、どこか幻想的な黄昏が続くこの世とあの世の狭間。そこに建つのは、不思議なホテル「黄昏ホテル」。このホテルには、生と死の狭間で彷徨う魂たちが訪れる。自身の行き先を見失った、あるいは思い出せない魂が羽を休めるために滞在する場所だ。

物語の主人公は、自分がなぜ生死の狭間にいるのかを思い出せない少女・塚原音子(演:生田輝)。彼女は、ホテルの支配人(演:青地洋)の計らいでホテルマンとして働くことになる。個性豊かな従業員たちとともに、彼女と同じく記憶を失った宿泊客をもてなす中で、音子自身も少しずつある野望を抱くようになっていく——。

果たして、音子は生と死の境界にあるこのホテルから、無事に帰ることができるのか──。

音子はマイペースで常にやる気のなさそうな目をしているが、実は行動力と胆力を兼ね備えた女子高生。可愛らしさとカッコよさが同居する魅力的なキャラクターだ。物語の中心人物である彼女は2時間にわたりほぼ出ずっぱりの登場だが、生田輝が演じることで、その存在感はより一層際立ち最後の一瞬まで圧倒的なパワーで観客を惹きつけていた。

黄昏ホテルの先輩従業員・阿鳥を演じるのは中本大賀。顔立ちやスタイルの良さといった原作の設定に見事に説得力を持たせていた。中本はこれまで一癖ある役柄やクセの強い人物を演じる印象が強かったが今作では真面目でスマートな一面を丁寧に演じている。ホテルマンらしい指先まで美しい所作からも、役作りの丁寧さが伝わってくる。

同じくホテルの従業員であるルリ(演:小川華果)は厨房を担当。常に不機嫌そうな表情を浮かべ、音子に対しても辛辣な態度を見せるが、美少女好きの音子からは可愛がられているという関係性が面白い。今作が初舞台となる小川は、怒った表情すらも魅力に変えるルリを瑞々しく演じていた。

本作の鍵を握る宿泊客の一人、大外聖生を演じるのは阿部快征。チェックイン時は探偵を名乗り、著名な外科医を両親に持つという彼は、物腰柔らかで身なりの整った知的な青年に見えるが、どこか底知れぬ雰囲気を纏っている。それを言葉でなく“空気”で表現する阿部の演技力が光る。

さらに、宿泊客の中には、国民的女性アイドルグループ「365シスターQ(通称:サンキュー)」のセンター・金子このみ(演:横野すみれ)の姿も。完璧なビジュアルはもちろん、阿鳥がサックスを演奏する彼女のライブシーンは本作の大きな見どころの一つだ。

このホテルに滞在しているのは、人間だけではない。頭部が火の玉で構成された支配人(演:青地洋)をはじめ、山羊のような角を持つバーテンダー・瑪瑙(演:大湖せしる)、猫とメガネザルを足して割ったような顔を持つ常連客・切子(演:岡部直弥)など、非人間の存在も多数登場。いずれも高い再現度で、観客を幻想世界に引き込んでくれる。

脚本・演出は山本タクが手がけ、原作の魅力を余すところなく舞台へと昇華。原作への深いリスペクトが随所に感じられ、作品を初めて触れる観客でもすんなりと物語に入り込める構成となっている。音子の視点を通して進むため、事前知識がなくても安心して楽しめるだろう。

さらに、飛行船シアターの天井までを使い切った映像演出も、本作の大きな魅力。座席の位置によって異なる景色が楽しめるため、リピーター観劇もおすすめだ。演出・照明・音楽が一体となって構築する幻想的な世界観は、まさに舞台でしか味わえない体験といえる。

特に終盤、“地獄の門”のシーンは圧巻。臨場感と迫力に溢れ、観客を物語の核心へと引き込む演出となっている。原作ファンも、初めて本作に触れる方も、それぞれの視点で楽しむことができるだろう。

ゲームでは画面上のキャラクターにしか注目できなかったが、舞台ではセリフがない時の表情やしぐさにも注目できるのが醍醐味。誰がどんな想いを抱えているのか、目線一つで感じ取ることができる。

本作の大きな魅力といえば、原作にもある“マルチエンディング”の要素。舞台版でもTRUE END/ANOTHER ENDの2パターンが用意されていることが、4月24日に発表されたばかりだ。音子たちがどんな結末を迎えるのか。ぜひ劇場で、その目で確かめてほしい。

取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル、一斗

公演情報

舞台「誰ソ彼ホテル」

【開催時期】2025年4月24日(木)~5月4日(日)

※1 開場時間:開演45分前予定
※2 未就学児童入場不可

【会場】飛行船シアター
〒110-0015
東京都台東区東上野4-24-11

【キャスト】
塚原音子:生田輝
阿鳥遥斗:中本大賀
大外聖生:阿部快征
瑪瑙:大湖せしる
ルリ:小川華果
支配人:青地洋
切子:岡部直弥
金子このみ:横野すみれ

【スタッフ】
原作:ベノマ玲・SEEC
脚本・演出:山本タク
制作:HIKE
主催:舞台誰ソ彼ホテル製作委員会

【チケット価格】
S席(1階席前方) 休日12,000円(税込)/平日11,000円(税込)
A席(1階席後方) 休日10,000円(税込)/平日9,000円(税込)
2階席 休日8,000円(税込)/平日7,000円(税込)

【チケットスケジュール】
ムビステFC先行・キャストFC先行:2月28日(金)12:00~3月9日(日)23:59
2.5フレンズ先行:3月14日(金)12:00~3月23日(日)23:59
プレイガイド先行:3月28日(金)12:00~4月6日(日)23:59
一般発売:4月11日(金)10:00~

■舞台「誰ソ彼ホテル」公式X
@TKH__Stage
https://x.com/TKH__Stage

■「誰ソ彼ホテル」公式HP 
https://se-ec.co.jp/appgames/tasokarehotel/

■「誰ソ彼ホテル Re:newal」公式HP 
https://se-ec.co.jp/appgames/tasokarehotel-re/

■TVアニメ『誰ソ彼ホテル』公式HP
https://anime-tasokarehotel.com/

ⓒSEEC/舞台誰ソ彼ホテル製作委員会