【ゲネプロレポート】バロック音楽劇『ヴィヴァルディ―四季―』ドラマコンサート 開幕!

2025年5月8日(木)より、東京・新国立劇場にて、バロック音楽劇『ヴィヴァルディ―四季―』ドラマコンサートが開幕する。
メディアクトでは、初日に先駆け行われたゲネプロの様子をお伝えする。
舞台はバロック時代である1700年代。本作のテーマとなっている「四季」など、数々のクラシック音楽で歴史に名を残す「アントニオ・ヴィヴァルディ」と、その父「ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ」の半生が、ドラマ仕立てのコンサートにて描かれる。


床屋でありながら、自らがヴァイオリンの才能を有するジョヴァンニ(演:石井一孝)。息子であるアントニオ(演:矢田悠祐)にも音楽の才能を見出し、音楽家として成功させることを目標に奔走する。
ヴァイオリン奏者であるアンナ・マリア(演:北翔海莉)は、ピエタ慈善院にてアントニオに師事する。二人は次第に想いを寄せていくが、司祭であるアントニオは妻を迎えることができない。そこでマリアは、自身も音楽の道を進み、一生を音楽に捧げようと決意する。


アントニオはその才能から次第に有名になり、オペラ界への進出をも試みる。アントニオは、アンナ・ジロー(演:辰巳真理恵)を歌姫として迎え入れ、オペラ界でも成功を収める。
しかし、アントニオは、オペラ界で成功するにつれ、徐々にジローに傾倒していく。
そんな中、劇場地主の貴族で音楽家兼弁護士のマルチェッロ(演:北翔海莉)の画策により、司祭という身分にあるアントニオが女性であるジローを連れ歩いていることが、スキャンダルとして取りざたされる。これにより、アントニオの人気に翳りが見え始める。また、これを一因に、今まで一枚岩となって音楽を作り上げてきたジョヴァンニとアントニオが決別してしまう。


しかし、アントニオは、ジョヴァンニがいなければ満足のいく音楽活動ができなかった。親がなく、ジョヴァンニとアントニオの親子関係に憧れていたフランコ(演:宮原浩暢)の説得もあり、二人は和解するものの、ジョヴァンニも寄る年波には抗えず、マリアにアントニオを託して、この世を去る。
本作は、伝統的なクラシック音楽を題材とした作品であるものの、親子の関係性や、アントニオを巡るマリア、ジローとの三角関係等、現代にも通ずる人間模様も描かれており、親しみやすいストーリーだった。
また、キャスト陣の歌唱力も圧巻だった。






ジョヴァンニを演じる石井の、会場中に響き渡る力強い歌声からは、ジョヴァンニが息子の才能を信じていることが説得力を持って伝わってきた。
アントニオを演じる矢田の、色気の溢れる歌声からは、マリアやジローに惹かれていく様子がありありと感じられた。
アントニオの歌姫となるジローを演じる辰巳の透き通るような高音は、歌姫然としており、アントニオがジローに傾倒した気持に共感できる気がした。
北翔と宮原は、ナレーター以外にも、男性役(北翔)や老人(宮原)など、複数の役を演じる。二人の歌から圧倒的な歌唱力を感じられることは勿論だが、美しさや切なさが心を打つ楽曲から、陽気でコミカルな楽曲まで、幅広い楽曲を楽しめる。役毎に異なる演じ分け、歌い分けにも是非注目してほしい。

更に、本作で欠かせないのが花井悠希、林愛実、山本有紗による、ヴァイオリン、フルート、電子チェンバロの演奏だ。誰もが耳にしたことのあるヴィヴァルディの楽曲や、本作のために書き下ろされた楽曲など、60曲ほどの楽曲が奏でられる。特にチェンバロは、ピアノの前身となった楽器であるが、実際にアントニオ・ヴィヴァルディの活躍したバロック時代に盛んに使われていたものであり、現代日本で耳にする機会は少ない。その貴重な音色と合わせて、作品全体を鮮やかに彩る演奏も、是非楽しんでほしい。












取材・文:大崎みき/写真:ケイヒカル
【公演概要】
バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサート
原案:伊藤 大
上演台本・演出:岡本さとる
音楽:中村匡宏
企画・製作:アーティストジャパン
出演:石井一孝、矢田悠祐、宮原浩暢、辰巳真理恵、北翔海莉
演奏:花井悠希、林 愛実、山本有紗
日程:2025年5月8日(木)~5月11日(日)
会場:新国立劇場 小劇場
料金:S席9,500円 A席8,500円(税込・全席指定)
取り扱い:アーティストジャパン、イープラス、ローソンチケット
お問い合わせ:アーティストジャパン 03-6820-3500 https://artistjapan.co.jp/
公式サイト:https://artistjapan.co.jp/vivaldi-drama-concert2025/
公式エックス:https://x.com/aj_vivaldihttps://x.com/aj_vivaldi