【ゲネプロレポート】 ミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇が開幕

レポート

平成から令和へと誠を受け継ぎ、長年愛されてきた「薄ミュ」シリーズ。その最新作となるミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇が、6月20日(金)に開幕した。シリーズ出演8年目となる樋口裕太が挑む「真改 藤堂篇」は、多くの「薄ミュ」ファンが特別な想いを胸に観劇に臨むのではないだろうか。本記事では、初日公演に先立ち実施されたゲネプロの様子をお届け。ひとつの集大成ともいえる本作の見どころをレポートする。

物語は藤堂平助が試衛館を訪れるところから始まる。その門を叩いた彼は、のちに特別な絆で結ばれる山南敬助(輝馬)や原田左之助(川上将大)、永倉新八(小池亮介)らと言葉や木刀を交える。

藤堂は物語を通して、自分の居場所を探し、迷い、自問自答し続ける。そんな彼にとって、大きな意味を持つ大切な人たちと出会いの場面から幕が開く本作。その構成は、人懐っこく、人情味あふれる藤堂に実にぴたりとはまり、まさに藤堂らしさ満点。改めて本作は「真改 藤堂篇」なのだと、OP曲「春夏秋冬」のイントロを耳にする前から胸にじわりと込み上げてくるものがあった。

雪村千鶴(岡田真祐子)と出会い、慕っていた山南が苦悩の末に変若水を飲み、思想の違いから新選組を離れて御陵衛士の道を選び……。激動の時代のなか、藤堂も平穏でいられるわけもなく、つねに悩みながら一歩ずつ道を確かめるように彼は歩みを進めていく。

意思を貫く隊士や、ゆるぎない想いを抱く鬼が多く登場するなか、自分には何ができるのか、自分はどうしたらよかったのか。悩むことをやめず、ときに後悔をしながらも進んでいく藤堂の姿が印象的だった。胸に抱える不安や悩みを、素直な言葉で千鶴に伝える藤堂の姿は、ともすれば弱い人のようにも見えてしまう。しかし、それこそが藤堂平助という男の強さなのだろう。まっすぐに感情を乗せる樋口の熱演によって、藤堂の弱さと表裏一体の強さというものが、序盤から丁寧に描かれていった。

そして、そんな藤堂の背中に寄り添い、彼が選ぶ道を見守り続けるのが千鶴だ。岡田が演じる千鶴は、芯があって頑張り屋さんといった印象が強く、思わず応援したくなる健気さが漂っていた。

最年少幹部で気さくな人柄の藤堂は、出会ってすぐに年齢の近い千鶴に名前で呼んでほしいと声をかける。これまでも「千鶴」「平助君」の呼び方に悶えてきたファンは多いだろうが、「真改 藤堂篇」で目にする2人の名前の呼びあいは別格。お互いに敬語なしでフランクに会話を交わす年相応なやりとりはかわいらしく、会えなくなったはずの2人が仲間のはからいで久々に言葉を交わすシーンは糖度高め。生きるか死ぬかの世界の中で、思わず口元がニヤついてしまうキュン要素もしっかりと感じさせてくれた。

スピード感ある藤堂と相性のいい移動式セットをすべて捌け、広い舞台上で大輪の桜を背負いながら繰り広げられる2人の斬りあいは圧巻。樋口や輝馬は以前、1回ごとに本気で斬りあっているため、細かなタイミングもそのときどきで違うのだと語っていた。簡単には死ねない羅刹となった者たちが命をかけて戦うとき、命は軽くなるのではなく、よりいっそう重く感じられるのだと、2人の鬼気迫る殺陣に鳥肌が立ったほどだ。一方の鬼との共闘では、藤堂の人柄があってこそ引き出せる風間の表情にもぜひ注目を。

歌に関しては、これまでの歴史を随所に感じさせ、長くシリーズを応援してきたファンは懐かしさを抱くようなナンバーも。斎藤一(大海将一郎)がセンターという珍しい布陣となった筋肉にフィーチャーした楽曲から、病に伏せる沖田総司(北村健人)が近藤勇(井俣太良)を慕って歌い上げる切ない楽曲、山崎烝(田口司)が自らの使命を命を賭して全うする楽曲、近藤が万感の志を託し、それを受け取った土方歳三(久保田秀敏)が涙を飲み込み歌い上げる楽曲などなど。今作もバラエティに富んだ楽曲が物語を彩る。千姫(斉藤瑞季)の力強い歌声と千鶴のしなやかな歌声とのハーモニーが楽しめるのも本作ならではの見どころだ。

新選組や鬼、千鶴の父・雪村綱道(川本裕之)といった面々はおなじみの顔ぶれが揃う。これまで彼らが何度も演じてきた役とあって、それぞれの完成度の高さはあえてここで触れずとも伝わるだろう。主演の樋口を筆頭に、キャスト陣はすでに肌に馴染んでいる役を“演じる”というよりも、“自然とその役を纏って”舞台に立っていた。カーテンコールで「春夏秋冬」のワンコーラスを歌い終わえたキャスト陣が最後に刀を構えた瞬間、集大成を見届けられたのだという一抹の寂しさと満足感が胸を満たした。

現キャストで観られる最後の「薄ミュ」となるが、主演の樋口は初日前日にSNSで全員が命がけで戦い輝く姿を楽しんでほしいと綴っていた。上演時間は約2時間45分(途中休憩を含む)。迷いのなかで大切なものを見極め、覚悟を決めた藤堂平助と千鶴の物語を、ぜひ笑顔で見届けてほしい。そんな終わり方が、このミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇にはふさわしいのではないだろうか。

取材・文:双海しお/写真:ケイヒカル

■来場者限定イベント

◆アフタートーク
【対象公演および登壇者】6/23(月)12:30樋口裕太、岡田真祐子、輝馬、井俣太良、横山真史6/25(水)12:30久保田秀敏、田口司、佐々木喜英、川本裕之、斉藤瑞季6/27(金)13:00北村健人、大海将一郎、川上将大、小池亮介、末野卓磨
※対象公演のチケットをお持ちのお客様のみご参加いただけます。終演後にそのままご着席の上お待ちください。
※登壇者は予告なく変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。

◆スペシャルカーテンコール
対象公演限定で、通常のカーテンコールの後、スペシャルカーテンコールとして特別楽曲を披露します。
スペシャルカーテンコールでの楽曲中は動画&写真撮影が可能です。
ぜひ「#薄ミュ」「#藤堂篇」をつけて、SNSへ投稿してください。
投稿可能サイト・SNSはこちら
https://www.jasrac.or.jp/information/topics/20/ugc.html

上記の投稿可能サイト・SNS以外につきましても、写真および「無音(音声オフ)」の動画であれば投稿が可能です。
※営利目的での撮影・使用は固くお断りいたします。営利を伴わない個人的な使用の場合のみ、SNS等にもご掲載いただけます。

【対象公演】
6/20(金)18:00
6/21(土)18:00
6/23(月)18:00
6/25(水)18:00
6/26(木)18:00
6/29(日)12:00

【公演詳細】
ミュージカル『薄桜鬼 真改』藤堂平助 篇

公演日程:
[東京公演]2025年6月20日(金) ~ 6月29日(日) | 東京・天王洲 銀河劇場

スタッフ:
脚本・演出・作詞:毛利亘宏
音楽:坂部剛
振付・ステージング:本山新之助
殺陣:六本木康弘

出演:
藤堂平助 役:樋口裕太
雪村千鶴 役:岡田真祐子

土方歳三 役:久保田秀敏
沖田総司 役:北村健人
斎藤一 役:大海将一郎
原田左之助 役:川上将大
永倉新八 役:小池亮介
山崎烝 役:田口司

山南敬助 役:輝馬
近藤勇 役:井俣太良

風間千景 役:佐々木喜英
天霧九寿 役:横山真史
不知火匡 役:末野卓磨
雪村綱道 役:川本裕之
千姫 役:斉藤瑞季

アンサンブル:
笹原英作
齊藤大士
鼓太郎
滝山翔太
寒川祥吾
坂本和基
橋本征弥
相田真滉

料金:
S席(1階席):11,500円(税込/全席指定)
A席(2、3階席):9,000円(税込/全席指定)
ボックス席:9,000円(税込/全席指定)
※お席によりましては舞台・演出が見えにくい可能性がございます。
見切れ席:8,000円(税込/全席指定)
※一部の公演のみが対象となります。
※舞台・演出が見えにくい可能性がございます。

その他、チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

チケットトレード実施期間:
出品・申込開始:2025年5月17日(土)12:00 ~ 各公演日の5日前 昼11:59まで

チケプラTrade:
https://trade.tixplus.jp/artists/tour/11984

■公式HP: https://www.marv.jp/special/m-hakuoki/
■公式X(Twitter): https://x.com/m_hakuoki

■公演に関するお問い合わせ:
マーベラス ユーザーサポート https://www.marv.jp/support/st/