【稽古場レポート】舞台『忘却バッテリー』小手指高校VS帝徳高校の練習試合をレポート!

高校野球を舞台とした大人気マンガ『忘却バッテリー』が、ついに舞台化し新たな一歩を踏み出す。2018年から「少年ジャンプ+」で連載され、累計閲覧数4億を突破した原作は、魅力的なキャラクターや高校野球のリアルな部分を描き、ギャグとシリアス要素の絶妙なバランスなどが人気を博し多くの読者を魅了してきた。
舞台版では、バッテリーの 2 人、清峰葉流火役を田中涼星、要 圭役を荒牧慶彦が演じる。脚本・演出を手がけるのは、『HUNTER×HUNTER』THE STAGEやLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」などを手がけ、青春と冒険を鮮やかに描いてきた山崎 彬。東京・大阪で2025年10月に上演される本作は、球場の緊張感と人間ドラマをどれほどの熱量で表現するのか、早くも注目が集まっている。
初日まで3週間を切った稽古場には、キャスト陣の真剣なまなざしと白球を追いかけるような躍動感が満ちていた。メディアクトでは、小手指高校VS帝徳高校の練習試合の現場の様子をレポートする。






稽古場に足を踏み入れると、揃いの練習着に身を包んだキャスト陣が真剣な空気の中で稽古を重ねていた。
この日は、国都英一郎(塩田一期)の提案で実現した帝徳高校と小手指高校による練習試合の場面から稽古がスタート。
強豪・帝徳の圧に小手指メンバーが思わず気圧される一方、清峰、要、藤堂 葵(上山航平)、千早瞬平(櫻井圭登)ら“ハイパーつよつよ1年生”の登場に、監督の岩崎 勤(細見大輔)が震え上がる。コミカルなやり取りと緊張感の対比がおもしろい、見どころ満載のシーンだ。
強豪校を前に必死に胸を張ろうとする山田太郎(納谷 健)の姿も印象的で、その佇まいがひと際かっこいい。テンポの良いセリフが次々と交わされ、舞台の空気がすでに完成形へと近づいているのを肌で感じた。
今回の舞台セットは、緩やかな斜度を持つ回転盆が中心。キャストたちはその上を軽やかに駆け抜け、バッティングやキャッチボールを繰り広げる。ステージを駆ける姿は爽やかでありながら熱気を放ち、本物の高校球児さながらだ。
小手指ナインをはじめ大人数が舞台セットを交差する中、ひとりひとりの細かな導線や所作を、脚本・演出の山崎 彬氏と振付・ステージングを担当する浅野康之氏が丁寧に調整していく。
休憩時間になっても、稽古場の集中は途切れない。櫻井や上山、細谷らは浅野氏のもとへ駆け寄り、真剣な表情で先ほどの動きを確認していた。塩田はバットを手放さず、鏡の前でフォームを何度も確かめる。空気を切るバットの音が遠くまで響き、仲間から“強くて優しい最高の男”と評される国都そのものの姿を感じさせた。





休憩が明けると、いよいよ小手指と帝徳の試合シーンへ。小手指ナインが守備につき、田中がピッチャーマウンドへ、荒牧が捕手の構えを取る。田中の全力投球フォームは目を奪われるほど完成度が高く、長い手足から繰り出される一球は清峰そのもの。140キロ級の剛速球が観客席まで届きそうな迫力を帯びていた。
上山のフルスイングは藤堂らしく力強く、思わず見惚れるかっこよさ。櫻井が鋭い観察眼でコースを見極めるシーンも印象的で、それぞれの所作からすでにキャラクターの個性が立ち上がっていた。
「監督のハートを撃ち抜く方法」をめぐっては、「ショットガン使いますか?」「バットを銃に見立てては?」など、自由な発想の意見交換が次々と飛び出す。櫻井は提案された動きをすぐに取り入れ、コミカルなシーンであっても全員が一切手を抜かず、作品をより良くしようという熱意が稽古場全体に満ちていた。
続くシーンでは、マウンドに清峰、打席には国都が立つ。






これまで帝徳打線を圧倒してきた清峰が、要を思うあまり投球に迷いを見せる――そんな心の揺れを、田中は視線ひとつで鮮やかに表現してみせる。
荒牧演じる要は、すでに役が完成しているかのよう。稽古当日、舞台にいたのは“主人格”側の、どこかいい加減で間の抜けた要だった。「よろ乳首」「ムリリンモンローです!」といった要語録が次々飛び出すギャグパートでも、芯の通ったキャラクター像が揺るがない。リードする荒牧を軸に、チームが自然とまとまっているように見えた。
音楽や効果音に合わせて台詞を微調整していくキャストの表情は、終始真剣そのもの。しかし荒牧が要らしいアドリブを差し込んだり、原作から抜け出したかのような監督・岩崎のコミカルな演技に笑いが起きる場面もある。オンとオフの切り替えが鮮やかで、稽古場は真剣さと和やかさが同居し、チームとしての絆が垣間見えた。
動線を一通り確認しながら、違和感があればその都度、山崎が「今のは自然でよかった。これでいこうか」と声をかけ、意見を交わしながら微調整を重ねていく。台詞の間や細部まで丁寧に確認していくものの、キャスト陣の芝居はあくまで自然体。小手指ナインがそこに実在しているかのような臨場感に包まれた。衣裳やメイク、照明が加わったとき、どんな完成図が浮かび上がるのか、想像するだけで胸が高鳴る。


本作は、怪物バッテリーの2人を中心に、かつて彼らに敗れて道を閉ざした者や、ライバル心を燃やす者たちが交錯しながら描かれる青春ストーリーだ。稽古場ではキャストもスタッフも、それぞれの思いを胸に作品づくりへと真摯に向き合っていた。幕が上がるその時、観客の前にどんな物語が立ち上がるのか――舞台『忘却バッテリー』の開演が待ち遠しい。
取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル





















公演概要
舞台『忘却バッテリー』
日程・劇場
【東京】2025 年 10 月 10 日(金)~10 月 19 日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪】2025 年 10 月 25 日(土)~10 月 26 日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホール
原作 みかわ絵子 『忘却バッテリー』(集英社「少年ジャンプ+」連載)
脚本・演出 山崎 彬
音楽 和田俊輔
出演
清峰葉流火 役 田中涼星
要 圭 役 荒牧慶彦
藤堂 葵 役 上山航平
千早瞬平 役 櫻井圭登
山田太郎 役 納谷 健
土屋和季 役 伊崎龍次郎
国都英一郎 役 塩田一期
巻田広伸 役 松田昇大
桐島秋斗 役 二階堂 心
岩崎 勤 役 細見大輔
江口 航 長田健一 清水玲雄 立花 涼 羽場奎斗 山﨑千紘 嵯峨のん 澤田理央
主催 舞台『忘却バッテリー』製作委員会
最速先行 2025 年 6 月 26 日(木)12:00~7 月 7 日(月)23:59
少年ジャンプ+にて実施
一般発売 2025 年 9 月 7 日(日)10:00
チケット料金 12,000 円(税込/全席指定)
◆公式サイト https://boukyaku-stage.com
◆公式 X https://x.com/boukyaku_stage(@boukyaku_stage)
ハッシュタグ:#舞台忘却バッテリー
◆公式 Youtube https://www.youtube.com/@boukyaku-stage
◆コピーライト
©みかわ絵子/集英社・舞台『忘却バッテリー』製作委員会
©みかわ絵子/集英社
©みかわ絵子/集英社・KADOKAWA・MAPPA



