【ゲネプロレポート】『美男高校地球防衛部 LOVE！LOVE！』on STAGE　アニメ2期を中心に描かれる！

『美男高校地球防衛部 LOVE！』がオリジナルアニメとして放送された2015年から10年。アニメ2期を原作とした『美男高校地球防衛部 LOVE！LOVE！』on STAGEが、10月9日（木）にヒューリックホール東京にて開幕。

愛の戦士「バトルラヴァーズ」に変身して戦う地球防衛部と、2期から登場する「ギャラクシーアイドル」VEPPerとの因縁を軸に、舞台オリジナルストーリーが展開される。愛と笑いと熱さに包まれたゲネプロの様子をお届けする。

＜ゲネプロレポート＞

考えるな、感じろ――それはアニメ1期から受け継がれてきた『美男高校地球防衛部』シリーズの醍醐味だろう。その“防衛部らしさ”で構築された本作は、舞台ならではのメタな視点や仕掛けを取り入れつつ、どこまでもラブ&ピース、そしてときどきバトルな世界線が広がっていた。バトルラヴァーズの大きな愛とハッピーが劇場を包み込み、気づいたときには、主人公の実家が営む温泉「黒玉湯」に浸かったかのようなポカポカした気持ちに。身も心も“ととのう”コメディステージに仕上がっていた。

本作は舞台オリジナルストーリー。ストーリーの詳細はここでは言及しないでおくが、配役に記載があるように、高橋翔太が演じるサウナ怪人とバトルラヴァーズとの戦いが描かれる。バトルラヴァーズがサウナ怪人とどう戦うのか、そこにVEPPerの2人がどう関わってくるのか。原作ファンならきっと予想がつくだろうが、そこに舞台ならではの表現方法が重なって生まれる質感や、客席を巻き込んでの一体感は、アニメとはまた違った面白さと興奮を感じさせてくれた。

例えば、バトルラヴァーズといえば男子高校生とは思えぬキュートな変身バンクが見どころの一つ。当然、舞台では一瞬で変身することはできないため、どんな演出で制服姿からバトルコスチュームに変身するのか、「ラブメイキング！」の瞬間を楽しみに待っていた。その演出は、「なるほどそう来たか！」と口元がニヤつくのを抑えきれなかったほど。アナログに振り切った演出は変身バンク以外でも随所に散りばめられており、それがそのまま作品の持つアットホーム感を引き出していた。初めて観るはずなのに、懐かしい。眼前で繰り広げられる男子高校生たちのわちゃわちゃした様子も相まって、強制的に頭が空っぽになっていく感覚が忘れられない。後半にはボリュームたっぷりのライブパートもあり、小難しいことを手放した頭には、彼らの“愛”がぎゅぎゅっと詰め込まれていった。

主人公・箱根有基役は広井雄士。熱血な役から気弱な役まで幅広くこなす広井の元気でかわいいに振り切った芝居が心地よい。相手を見つめる際の曇りなき瞳の説得力が抜群で、兄・箱根強羅（君沢ユウキ）が弟を過保護気味に溺愛するのも頷ける。中本大賀は由布院煙のやる気のない気怠げな雰囲気とやる気になった際のギャップで魅せ、184cmとスタイル抜群の佐藤たかみちが演じる鬼怒川熱史は育ちの良さを感じさせる気品が漂っていた。お金に目がない鳴子硫黄を演じたのは新納直。幼い頃からやっていたという剣道仕込みの美しい所作が、硫黄の合理的でクールな一面とマッチ。アクションも得意とする今井俊斗が演じる蔵王立は軽やかさが目を引き、幼馴染の硫黄とのコントのようなやり取りも軽快に演じきっていた。

そんな防衛部と敵対するのが、VEPPerの2人だ。別府月彦役を有馬爽人、別府日彦役を高橋祐理が演じる。好戦的に思ったことをすぐ口にする日彦と、悪意をオブラートに包む月彦とのバランス感や、やけに近い距離感は、観ていて思わずドギマギしたほど。2人のアイドルナンバーも作中で何度か披露されるので、こちらもお楽しみに。

VEPPer2人が憧れる存在であり有基の兄・強羅は君沢のはまり役といえるだろう。薪割りのシーンで、爽やかに飛び散る汗の幻覚が見えたのは筆者だけではないはずだ。ベテランならではの存在感で、ウォンバット役の麦人（声の出演）、ダダチャ役の安元洋貴（声の出演）とともに作品の土台を支えていた。さらに、安瀬尾栞・サウナ怪人役の高崎翔太、倉田達蔵役の竹内雄大が、人間ドラマの側面で作品に深みを与える。

高校生たちの葛藤を軸にドラマを描きながらも、決してシリアスにはなりすぎない。次の瞬間には、ツッコミどころ満載のハイテンションな男子高校生“風呂”ライフが転がるように展開していくので、その勢いに振り落とされないようにご注意を。さらに回替わりゲストとして、松井健太、磯野大、赤澤燈、宇野結也、川上将大、樋口裕太の出演も決定。何か起こしてくれそうな顔ぶれが揃っているので、ゲストと防衛部との掛け合いにも期待が高まる。

『美男高校地球防衛部 LOVE！LOVE！』on STAGEは10月9日から13日まで上演。愛の戦士「バトルラヴァーズ」の大きな“LOVE”を受け取ってみてはどうだろうか。

取材・文：双海しお／写真：ケイヒカル

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