【レポート】『デスノート THE MUSICAL』2025年版キャストでの歌唱初披露!

『デスノート THE MUSICAL』の制作発表が、2025年10月9日に東京・品川プリンスホテル クラブeXで開催された。
本作は、2003年12月から2006年5月まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、映画やドラマ、アニメなど多彩なメディア展開を遂げてきた人気漫画『DEATH NOTE』を原作とするミュージカル。2015年に日本で世界初演されると瞬く間に観客を魅了し、再演を重ねてきた。海外でも高い評価を受け、いまや世界中から注目を集める大ヒット作となっている。








報道陣に加え、抽選で選ばれた観客も招かれたこのイベントでは、キャストによる歌唱披露と登壇者挨拶が行われた。
歌唱披露には、夜神月役の加藤清史郎と渡邉蒼、L役の三浦宏規、レム役の濱田めぐみ、そしてリューク役の浦井健治が登場。
披露された楽曲は、月が新世界の神になることを誓う「デスノート」、月とLの心理戦の幕開けにふさわしい「ゲームの始まり」、そしてリュークとレムが人間という存在について語り合う「哀れな人間」の3曲。それぞれが圧巻の歌声で作品世界を描き出した。






10年前の初演を日生劇場で観ていたという加藤は、「今はとても緊張していますが、加藤清史郎の夜神月を世界に発信できることを嬉しく思っています。あの時は、まさか自分がここに立つとは思っていませんでした。10年前の自分に『今のうちに歌っておけよ』と言いたいです」と笑顔を見せた。

渡邊は、実の父から数年前に「お前は夜神月をやるんだよ」と言われていたという。「父に報告したら本当に喜んでくれて、『絶対大丈夫だ』と言ってくれました。一番身近で待ってくれている人がいるので、全力を尽くしたいです」と意気込みを語った。
三浦は「気づけば初日まであと1カ月半。稽古も順調に進んでいます。一足先に楽曲をお届けできたことで、さらに身が引き締まりました」とコメント。会見中にはLの独特な座り方を披露する場面も。

「実はこの猫背の姿勢は、役が決まる前から練習していたんです。でも実際にやってみると本当に大変で……。(Lを演じた)小池徹平さんもこうしていたと思うと、僕ももっと鍛えて、この姿勢でもしっかり声が出せるようにしていきたい」と、先輩への敬意を見せた。
初演から夜神月を演じ、今回は死神リュークとして出演する浦井は「夜神月から転生いたしました、死神リューク役の浦井健治です」とユーモアたっぷりに挨拶し会場の笑いを誘った。「当時、濱田めぐみさんに『この月、ムカつくわ〜』って言われていたんです(笑)。(リューク役の)吉田鋼太郎さんに『いつかお前リュークやれよ』と言っていただいていたので、その夢が叶いました」と感慨深げに語った。さらに、「アニメで月を演じたマモちゃん(宮野真守)に『リュークやるんだよ』と報告したら、『リュークやるの!?』と驚かれました」と、宮野のモノマネも交えて笑いを誘った。
ミサミサこと弥海砂役の鞘師里保は、ツインテールに透け感のあるゴスロリ調衣装で登場。「私自身も10年前まではアイドルをやっていましたが、ツインテールでステージに立つタイプではなかったので(笑)、大丈夫かな、務まるのかなと不安もありました。でも作品が大好きだったので、お話をいただいたからには全力で挑戦しようと思いました」振り返る。
作品の魅力について尋ねられると、濱田は「この作品は、ほかのミュージカルとはちょっと毛色が違うんですよね。感覚が違うというか……。グランドミュージカルには普遍的なテーマがあると思うんです。愛だったり、母性だったり。この作品も、観る人によって受け取り方が変わる作品だと思います。見始めたら目が離せない、不思議な吸引力があるんです」と、その独特な魅力を語った。
浦井は「夜神月とLの心理戦はもちろん、この作品は内面を抉るような心理描写や、それぞれが掲げる正義の群像劇でもあります。それが、いまの時代にこそ大切なテーマだと思うんです。さらに“家族愛”も描かれていて、ミサとレムの“愛の受け渡し”のような関係性もとても美しい」と続けた。
夜神総一郎役の今井清隆は、「歌い始めた瞬間に一気に世界が変わる。そんな音楽の力を感じます。ストレートプレイのように芝居を丁寧に作り上げている部分もありますが、音が入ることで一気に世界が広がるんです」とミュージカルならではの醍醐味を語った。
それぞれの役を演じるうえで一番意識していることについて聞かれると、加藤は「(月が)共感できない人物になってきました」と率直に切り出す。そのうえで月が持つ愛や感受性、執着心がどこからきているのかを意識していると語り、最後は「今はそう考えていますが、1ヶ月半後にはどうなっているかわかりません」と役作りの途中であることを真摯に明かした。
同じく月を演じる渡邉は、「悪役と思われがちな部分もありますが、月の根本にあるのは“抑圧された中で生きてきた人間”なのではないかと思っています」と分析。「最初の、まだ純粋で綺麗だった部分をどう創り上げていくかが重要だと感じています」と語った。
浦井は「人間ではない存在として、言葉の選び方を大切にしたい。いろいろな時代から受け継がれてきたものを意識しつつ、人間とは違う位置から発する言葉がテーマになると思います。ハードルは高いですが挑戦したい」と語った。
濱田は、「死神って一体何だろう? と考え続けています。人間の五感ではない別の感覚で世界を感じる存在として、リアリティのある存在の仕方を模索しています」と切り出す。「目や鼻があっても、それはあくまで形でしかない。だからこそ、相手の言葉にどう反応するかを大切にしています」と、レムを長く演じてきたからこその深い思索をのぞかせた。
鞘師は「真っ直ぐ信じる心を忘れずに演じたい」と意気込みを見せた。「何かを、誰かを信じる気持ち。何が好きで何が嫌いか。私自身は普段悩むことが多いのですが、ミサにはそうした迷いが見えません。そのまっすぐさ、キラキラとした強さを大切にしたいです」と役への愛情をのぞかせた。
夜神月の妹・粧裕を演じるリコは、「難しい事件や戦いの中でも、粧裕が登場するシーンは自然と笑顔になれるような場面が多いです」と語り、「粧裕の明るさや純粋さは、月にとっても大きな存在だと思います。私にとっても兄や父はとても大きな存在なので、常にそんな存在が側にいてくれていることを意識しています」と、家族への信頼を滲ませた。
今井は「今回はとにかくおじいちゃんに見られないように(笑)、若々しく演じたいと思っています」と笑いを誘い、会場を和ませた。
稽古はまだ始まったばかりだというが、会見は和やかな空気が漂っていた。互いに信頼を寄せ合うキャストたちの言葉からは、すでに強い結束と作品への深い愛情が感じられた。
10年の時を経て新たに生まれ変わる『デスノート THE MUSICAL』が、どのような“新世界”を描き出すのか、期待は高まるばかりだ。
『デスノート THE MUSICAL』は、2025年11月24日から12月14日まで東京・東京建物 Brillia HALLにて上演。その後、大阪・愛知・福岡・岡山での公演も予定されている。
取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル

















■公演概要
『デスノート THE MUSICAL』
原作:「DEATH NOTE」(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス)
脚本:アイヴァン・メンチェル
作曲:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ジャック・マーフィー
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
演出:栗山民也
日程:
2025年11月24日(月・振休)~12月14日(日)
東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
2025年12月20日(土)〜23日(火)
大阪府 SkyシアターMBS
2026年1月10日(土)~12日(月・祝)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2026年1月17日(土)・18日(日)
福岡県 福岡市民ホール 大ホール
2026年1月24日(土)・25日(日)
岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ 大劇場
キャスト:
夜神月:加藤清史郎 / 渡邉蒼
L:三浦宏規
弥海砂:鞘師里保
夜神粧裕:リコ (HUNNY BEE)
死神レム:濱田めぐみ
死神リューク:浦井健治
夜神総一郎:今井清隆
俵和也 / 石丸椎菜 / 岩橋大 / 大谷紗蘭 / 小形さくら / 尾崎豪 / 上篠駿 / 川口大地 / 神田恭兵 / 咲良 / 田中真由 / 寺町有美子 / 照井裕隆 / 藤田宏樹 / 増山航平 / 町屋美咲 / 松永トモカ / 望月凜 / 森下結音 / 安福毅 / 德岡明 (スウィング) / 森内翔大 (スウィング)




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