【ゲネプロレポート】本田礼生×赤澤燈×加藤良輔が挑む"未完の物語"をめぐる制作会議!舞台「クリエイターズハイ!!!」開幕

本田礼生×赤澤燈×加藤良輔の三人芝居「クリエイターズハイ!!!」が、10月12日(日)東京・シアターサンモールにて開幕した。



本作は、東映プロデュースでおくるオリジナル脚本の三人芝居。とあるアニメ制作会社の会議室を舞台に、未完の原作をアニメ化するため奔走するプロデューサー、原作を"守ろう"とする編集者、そして原作を"超えよう"と挑む脚本家の三者が織りなす、熱き"制作会議の物語"だ。
本田礼生×赤澤燈のコンビは、これまでにも二人芝居・三人芝居に積極的に挑戦してきた。今回は新たなキャストとして加藤良輔が加わり、脚本に「牙狼<GARO>ハガネを継ぐ者」「死ぬほど愛して」の吉﨑崇二、演出に舞台「よんでますよ、アザゼルさん。」「バックステージ オン ファイア」の川本成を迎え、ユーモアと情熱に満ちた渾身の一作を贈る。
メディアクトでは、初日に先立ち公開された公開ゲネプロの模様を取材した。
三人芝居「クリエイターズハイ!!!」ゲネプロレポート
舞台、マンガ、アニメ、ゲーム、小説……愛するコンテンツとの向き合い方は人それぞれで、人に合わせる必要はない。ただし、それが「プロジェクトを成功させるため」に集められた「クリエイター同士」となると、話は変わってくるだろう。
アニメ制作会社で働く若者・成瀬歩(演:本田礼生)は、伝説的な少年マンガ『鋼のフウヤ』のアニメ化プロジェクトでチーフプロデューサーに抜擢された。原作者の"伊集院先生"は、数々のヒット作を生み出した大物マンガ家。だが、人気作『鋼のフウヤ』の休載中に、惜しまれながらこの世を去った。
未完のままの『鋼のフウヤ』には、原作者が遺したとされる走り書きのメモがあり、コアなファンの間ではその内容が話題となっていた。今回のアニメ化にあたっては、このメモをもとに展開の"続き"を補完し、未完の物語を無理のない完結に導くことが肝になる。






成瀬は、『鋼のフウヤ』の担当編集者であった三宅慎太郎(演:赤澤燈)と、アニメ業界では有名な売れっ子脚本家の有馬俊介(演:加藤良輔)に協力をあおぎ、物語の"続き"を探るための制作会議をひらいた。
脚本家の有馬は、生粋のアイデアマン。ほとんど単語の羅列でしかない「原作者のメモ」をもとに、ダイナミックなオリジナルストーリーを次々と考案してくる。一方、原作を深く愛する編集者の三宅は、「展開がめちゃくちゃ」「世界観を理解していない」「行動が全くキャラクターらしくない」と怒涛のダメ出しを叩きつける。
板挟み状態になった成瀬は、空中分解しそうなプロジェクトをなんとか成功させようと、原作愛を頼りに全力で二人にぶつかっていく。
成瀬と三宅は筋金入りの原作ファンであり、議論を重ねるうちに、有馬も急激に原作への愛を深めていく。それぞれが原作を愛しながら、プロとしての自身の役割とも向き合い、プロジェクトを最高の形で成し遂げようと奮闘する。三者三様の立場から意見をぶつけ合う彼らのやりとりは、コミカルながらも熱く、ハッとさせられるセリフも多い。
原作の「再現」と「再解釈」。この2つの要素は、真逆のベクトルを向いているように見えて、そのじつ、良質なメディアミックスには欠かせない両輪といえる。どちらにも妥協せず「良い作品」をつくるには、一体どうしたらいいのか。
クリエイターと作品のファンが避けて通れないテーマに、本作はズバリ斬り込んでいく。
テンポよく軽やかに進むストーリーに導かれ、観客はいつの間にか、思いもよらぬ「創作」の深淵にたどり着いていることだろう。
熱演を見せる3名のキャスト、本田、赤澤、加藤は、いずれも多くの2.5次元舞台で活躍している実力派だ。俳優として、メディアミックスのど真ん中で芝居と向き合ってきた彼らが演じることで、物語に独特の厚みが加わっている。
(ちなみに、3人の表現力に裏打ちされた、贅沢なまでの「劇中劇」もおすすめだ。その中では、驚くようなアイデアにあふれた小道具の使い方も楽しめる。)
コンテンツの愛し方は、人それぞれで自由なもの。でも愛しているからこそ、譲れない思いをはじめ、ままならない「不自由」が生まれることもある。そうしたジレンマも含め、「作品を愛する」という行為のすべてを肯定してくれる——そんな一作だと、筆者は感じた。
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三人芝居「クリエイターズハイ!!!」は、10月12日(日)〜19日(日)東京・シアターサンモール、10月23日(木)〜 25日(土)大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01にて上演される。
取材・文:豊島オリカ










三人芝居「クリエイターズハイ!!!」 実施概要
■タイトル 三人芝居「クリエイターズハイ!!!」
■脚本 吉﨑崇二
■演出 川本成
■出演 本田礼生 赤澤燈 加藤良輔
■日程・会場 <東京公演> 2025年10月12日(日)~10月19日(日)
シアターサンモール (東京都新宿区新宿1-19-10)
<大阪公演> 2025年10月23日(木)~10月25日(土)
扇町ミュージアムキューブ CUBE01 (大阪府大阪市北区南扇町6-26)
■公演特設HP https://toei-stage.jp/creators-high/
■公式X @Toei_stages (https://x.com/Toei_stages)
■企画・プロデュース 東映株式会社



