【ゲネプロレポート】『デスノート THE MUSICAL』夜神月役に加藤清史郎と渡邉蒼、L役に三浦宏規を迎えた記念公演

レポート

『デスノート THE MUSICAL』が11月24日より、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)ほかで上演される。

マンガ「DEATH NOTE」(集英社)を原作とした本作は、演出:栗山民也、作曲:フランク・ワイルドホーンによるミュージカル。2015年の初演後、2017年、2020年と再演を重ね、韓国やイギリスでも上演された人気作だ。今年は初演から10周年となる節目の公演となる。

キャストには、夜神月役に加藤清史郎と渡邉蒼、L役に三浦宏規、弥海砂役に鞘師里保、夜神粧裕役にリコ(HUNNY BEE)、夜神総一郎役に今井清隆が出演。さらに、初演で月を演じた浦井健治が今回は死神リューク役として登場し、レム役の濱田めぐみも10年ぶりに同役を務める。

メディアクトでは、渡邉蒼が夜神月を演じた回のゲネプロ公演をレポートする。

(※物語の核心的なネタバレは避けていますが、まっさらな状態で観劇したい方は観劇後にお読みください)

成績優秀な高校生・夜神月はある日、一冊のノート――DEATH NOTEを拾う。「このノートに名前を書かれた人間は40秒で死ぬ」と記されたそのノートは、死神リューク(演:浦井健治)が退屈しのぎに地上へ落としたものだった。

犯罪者を裁ききれない法律に限界を感じていた月は、テレビで幼稚園に立てこもる誘拐犯の名をノートに書き込む。すると誘拐犯は心臓発作で死亡。「自分こそが選ばれた存在であり、犯罪者のいない世界を創る“新世界の神”だ」と確信した月は、デスノートを使い犯罪者の粛清を進めていく。

ネット上では月を「キラ」と呼び称賛する声が高まる一方、警察は一切手掛かりをつかめない。そこへ、数々の難事件を解決してきた謎の名探偵・L(演:三浦宏規)が捜査に乗り出す。

やがて月は、Lに翻弄される苛立ちから「正義のための殺人」という当初の理念を見失い、彼を殺すことに執着していく。無実のFBI捜査官を皆殺しにし、自分に好意を寄せる少女・弥海砂(演:鞘師里保)までも利用して破滅へと追い込んでしまう。

渡邉蒼が演じる夜神月は、聡明で端正な好青年としての“表の顔”と、自己愛や承認欲求に満ちた“裏の顔”の二面性を繊細かつ大胆に行き来する。その変化は細やかな表情、台詞回し、歌声にまで宿り、観客は月が崩れていく瞬間をリアルに目撃することとなる。力強く芯のある歌唱には確かな表現力があり、月という複雑な人物を生きた人間として立ち上げていた。


三浦宏規が演じるLは、圧倒的な存在感で舞台を支配する。独特の姿勢や歩き方、視線の動かし方などLの異質さを再現しながらも、上品で透明感のあるオーラが三浦ならでは。歌唱は音色の美しさ、余韻の操り方、フレーズの緩急が巧みかつ力強さも感じられる。月との二重唱は緊張感が張りつめ、天才同士の心理戦の火蓋が切られる「ゲームの始まり」では、ふたりの正義が歌を通して激しく衝突する。

この物語のもう一人の主人公ともいえるリュークは、浦井健治が怪演。初演で月を演じた浦井が真逆の存在である死神へ転じたことで、作品に新たな躍動が生まれている。愛嬌のあるコミカルさと、人間離れした不気味さの落差が見事。柔軟な身体表現と遊び心ある芝居が融合し、浦井健治にしかできないリュークがそこにいた。

弥海砂(ミサミサ)役の鞘師里保は、立った瞬間に視線を奪う華と存在感を持つ。アイドルらしい明るいオーラに加え、月への盲信や危うい感情の揺れを一曲ごとに細やかに表現。愛らしさと狂気の境界を行き来する、ミサミサに欠かせない魅力を見事に体現していた。

夜神総一郎役の今井清隆、そして10年ぶりにレムとして戻ってきた濱田めぐみらベテラン勢も圧巻だ。今井の重厚な存在感は作品全体に深みを与え、濱田の歌声は繊細さと力強さを併せ持ち、レムの愛と悲しみを客席に届けていた。

本作は原作のストーリーを踏襲しつつ、大胆なアレンジを加えた演出が特徴。天才同士の心理戦という原作の核心を残しながら、デスノートを手にしたことで生まれる葛藤、欲望、狂気、恍惚といった生身の感情がより前面に押し出されている。重厚でダイナミックな全編オーケストラのサウンド、キャストのエモーショナルな歌声、ストーリーが相互に響き合い、舞台はより進化していた。

ゲネプロ公演にも関わらずトリプルカーテンコールとなった本作。10年の集大成であり、ここから新たな伝説が始まることを予感させる。原作ファンもミュージカルファンも、新たな“新世界”をぜひ劇場で目撃してほしい。

その他、加藤清史郎も含めた公演写真を下記にまとめる。

取材・文:水川ひかる

■公演概要
『デスノート THE MUSICAL』

原作:「DEATH NOTE」(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス)
脚本:アイヴァン・メンチェル
作曲:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ジャック・マーフィー
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
演出:栗山民也

日程:
2025年11月24日(月・振休)~12月14日(日)
 東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
2025年12月20日(土)〜23日(火)
 大阪府 SkyシアターMBS
2026年1月10日(土)~12日(月・祝)
 愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2026年1月17日(土)・18日(日)
 福岡県 福岡市民ホール 大ホール
2026年1月24日(土)・25日(日)
 岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ 大劇場

キャスト:
夜神月:加藤清史郎 / 渡邉蒼
L:三浦宏規
弥海砂:鞘師里保
夜神粧裕:リコ (HUNNY BEE)
死神レム:濱田めぐみ
死神リューク:浦井健治
夜神総一郎:今井清隆
俵和也 / 石丸椎菜 / 岩橋大 / 大谷紗蘭 / 小形さくら / 尾崎豪 / 上篠駿 / 川口大地 / 神田恭兵 / 咲良 / 田中真由 / 寺町有美子 / 照井裕隆 / 藤田宏樹 / 増山航平 / 町屋美咲 / 松永トモカ / 望月凜 / 森下結音 / 安福毅 / 德岡明 (スウィング) / 森内翔大 (スウィング)

公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/deathnote2025/

©大場つぐみ・小畑健/集英社