【レポート】劇団鹿殺しの凱旋公演、“Shoulderpads”2バージョンが上演

2025年11月30日。劇団鹿殺しが下北沢・駅前劇場へ帰ってきた。
しかも今回は、なんと3作同時凱旋公演という前代未聞の挑戦である。
上演されるのは、英語と日本語を大胆にミックスした劇団鹿殺し Shoulderpads 凱旋公演 UK Version「Galaxy Train」(English Japanese Mix)、日本語のみで上演される 2Shoulderpads SP Japanese Version「銀河鉄道の夜」(Japanese only)、そして劇団鹿殺し abnormals(アブノーマルズ)による「銀河鉄道の朝」の3作だ。
メディアクトでは、このうち UK 版と JP 版の初日公演をレポートする。夏のエディンバラ公演を経て、さらに研ぎ澄まされた今の鹿殺しの魅力をお届けしたい。


原作は、日本児童文学を代表する名作・宮沢賢治「銀河鉄道の夜」。
ジョバンニ(演:菜月チョビ)は病気の母を支えながら、昼夜問わず働く日々を送っている。貧しく、口数も少ない彼は、同級生のザネリ(演:島田惇平)たちにいじめられ、唯一の友達は幼馴染のカンパネルラ(演:丸尾丸一郎)だけ。二人は銀河を旅するという夢を共有し、秘密のノートに『銀河鉄道』の物語を書き綴っていた。
しかし星祭りの日、アルバイトに向かうジョバンニをよそに、カンパネルラはザネリたちと祭りへ出かけてしまう。
深い孤独のなか、ひとり「天気輪の丘」にいたジョバンニの前に、ずぶ濡れのカンパネルラが突然現れる。
「銀河鉄道に乗ろうよ」。
その一言から、二人の奇妙で、美しく、切ない旅が始まる。
やがて旅の途中、カンパネルラは星祭りの日に起きた“ある事件”を思い出す。
ジョバンニとカンパネルラの旅の終着点に何が待つのか。ぜひ劇場で確かめてほしい。
JP版とUK版は、基礎となるストーリーは同じ。違いは一部の出演メンバーと「日本語で演じられるか、英語混じりで演じられるか」という点くらいだ。とはいえ英語がわかるかという心配は不要。
UK版はあらすじの配布があり、使われている英語もシンプルで、さらに随所に日本語が織り交ぜられているため、感覚的に理解できる。
それ以上に、この作品は言葉がなくても伝わるのでは、と強く思わせてくれる。
役者が放つ凄まじい熱量そのものが、物語の核を直接観客へ届けてくれるからだ。



JP版で物語を理解してからUK版を見るもよし、UK版のクレイジーな英語表現を楽しみつつJP版で深く味わうもよし。どちらから観ても満足できるが、両方観劇すると作品の立体感が一気に増す。ぜひセットでの観劇を推したい。
今作の魅力として自由な観劇スタイルも外せない。
なんと今回は、蓋つき飲み物OK、お喋りOK、歓声OK。昨今の観劇マナーのあり方も演劇文化として大切だが、すべてを解き放って楽しめる空間もまた、演劇の醍醐味だ。
実際、客席では笑い声や手拍子が次々と起こり、会場全体に心地よい一体感が満ちていた。見知らぬ誰かと同じ瞬間に感情を共有し、同じ温度で笑い、最後には深い感動へと沈み込む。これは劇場という場所でしか味わえない特別な体験である。
序盤は笑いが絶えなかった空間が、物語が進むにつれしんと静まり返り、その静謐が一層の深みを生む。
シンプル過ぎる衣装、テンポの軽妙なやり取り、絶妙なツッコミに気を取られがちだが、作品の核には生と死の美しさや切なさ、そして人生を照らす光が確かに息づいている。
緻密に組み合わされた要素が、驚くほどの純度で結晶化し、この作品の強度を生み出しているのだ。



前評判も伝手もない異国の地、エディンバラ。そこに文字通りその身ひとつで乗り込んだ彼らが、現地で喝采を浴びたのも納得の作品である。
取材・文、写真:水川ひかる














劇団鹿殺し3作品同時上演概要
期間・会場:2025年11月30日(日)〜12月7日(日)@下北沢 駅前劇場
1.Shoulderpads 凱旋公演UK Version
「Galaxy Train」 (English Japanese Mix)
◆原作 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
(北村想 作「想稿銀河鉄道の夜」からの⼀部引⽤あり)
◆脚本 丸尾丸⼀郎
◆演出 菜⽉チョビ
◆⾳楽 タテタカコ、伊真吾
◆振付 伊藤今⼈、浅野康之
◆出演
菜⽉チョビ、丸尾丸⼀郎、橘輝、浅野康之、島⽥惇平、⾕⼭知宏
上演時間は60分を予定しております。
2.Shoulderpads SP Japanese Version
「銀河鉄道の夜」 (Japanese only)
◆原作 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
(北村想 作「想稿銀河鉄道の夜」からの⼀部引⽤あり)
◆脚本 丸尾丸⼀郎
◆演出 菜⽉チョビ
◆⾳楽 タテタカコ、伊真吾
◆振付 伊藤今⼈、浅野康之
◆出演
菜⽉チョビ、丸尾丸⼀郎、橘輝、浅野康之、島⽥惇平、ゲスト1名
上演時間は60分を予定しております。
3.劇団鹿殺しabnormals (アブノーマルズ)
「銀河鉄道の朝」
◆脚本・演出 丸尾丸⼀郎
◆出演
橘輝、浅野康之、藤綾近、メガマスミ、川平花
/島⽥惇平、丸尾丸一郎、他ゲスト1名
/町⽥⻘、東美伽
上演時間は60分を予定しております。
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⼀般 3,900円 / パンフ付き 5,800円 / U-25 2,500円 / U-18 1,000円
(税込・全席⾃由・整理番号付・前売当⽇共通)
※U-25、U-18の受付は、11⽉9⽇(⽇)12:00より⾏う⼀般発売以降になります。
※先⾏販売特典、パンフレットは、公演当⽇に公演受付でお渡しをさせていただきます。
10⽉25⽇(⼟)12:00〜11⽉2⽇(⽇)23:59 公式・プレイガイド先⾏販売
11⽉9⽇(⽇)12:00〜 ⼀般発売開始
公式X : @shika564 お問い合わせ : ticket@shika564.com
特設サイト https://shika564.com/ekimae2025/



