【ゲネプロレポート】舞台『鬼滅の刃』其ノ陸「柱稽古・無限城 突入」開幕 “想い”が戦いに意味を与える、濃密な二幕構成

舞台『鬼滅の刃』其ノ陸「柱稽古・無限城 突入」が、6月13日よりMoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000にて開幕した。シリーズ第6作となる本作では、「柱稽古編」から「無限城編」突入までが描かれ、鍛錬の時間と最終決戦の幕開けが、二幕構成の中で鮮やかなコントラストを成している。



一幕では、鬼殺隊の総力強化へ向けた“柱稽古”がテンポよく展開していく。柱それぞれの個性を活かしたラップ調の楽曲が作品全体にリズムを与え、過酷な修行風景でありながらも、キャラクター性を交えながら軽快に見せていく構成が印象的だ。炭治郎(ゲネプロでは阪本奨悟が演じた)のまっすぐさを軸に物語が紡がれていくことで、ただ訓練を並べるだけではない、人と人とのつながりが感じられる時間になっていた。



そして一幕終盤、産屋敷耀哉(演:廣瀬智紀)のもとに鬼舞辻無惨(演:佐々木喜英)が現れてからは、舞台の空気が一変する。柱たちが離れた場所にいながらも、産屋敷の想いを確かに受け取っていることが伝わる演出は、静かな熱を帯びて胸を打つ。なお、この場面では激しい爆音を伴う演出があるため、音に敏感な観客は少し身構えておくとよさそうだ。
二幕は、まさに“常にクライマックス”と言いたくなる密度だ。焼けただれながらもなお立ち続ける無惨、珠世(演:舞羽美海)による“人間に戻る薬”の投与、岩柱・悲鳴嶼行冥(演:チャンヘ)の一撃を受けてもなお復活する異様な生命力。炭治郎や柱たちが集結した先で、物語はついに無限城へとなだれ込んでいく。
この無限城の描写が圧巻だった。
上も下も、右も左もわからなくなるような異空間が、立体的な背景美術と縦横無尽のプロジェクションマッピングによって描かれ、観ているこちらまでその空間へ放り込まれたかのような錯覚を覚える。劇場という枠組みの中で、これほどまでに“落下感”や“迷宮感”を立ち上げてみせる演出は見応え十分だ。



二幕で主に描かれるのは、蟲柱・胡蝶しのぶ(演:門山葉子)と上弦の弐・童磨(演:浦井健治)の戦い、そして我妻善逸(演:植田圭輔)と上弦の陸・獪岳(演:一色洋平)の戦いだ。いずれも単なるバトルシーンではなく、そこに至るまでの感情の積み重ねが、対峙そのものに強い意味を与えている。
しのぶと童磨の一戦では、スモークを用いた冷気の表現も効果的で、舞台上に漂う不穏さがより濃く立ち上がる。長尺の歌唱で魅せる童磨は、強さ、威厳、そして余裕を兼ね備えた存在として描かれ、しのぶをじわじわと絶望へ追い込んでいく。その一方で、姉を奪われた過去を抱えながら決死の攻撃へ踏み込むしのぶの姿が、戦いに深い感情の輪郭を与えていた。
善逸と獪岳の戦いもまた、本作の大きな見どころだ。雷の呼吸・壱ノ型しか使えない善逸と、それ以外の型を使える獪岳。兄弟弟子としての敬意と、鬼へ堕ちた相手への怒りがぶつかり合うこの一戦は、善逸という人物が抱えてきた思いを真正面から浮かび上がらせる。技の応酬の派手さだけでなく、その奥にある感情のぶつかり合いが強く印象に残った。
本作の二幕構成は、一幕を“準備”、二幕を“本番”として明確に役割分担しているからこそ、見応えがある。一幕で積み上げた人間関係や覚悟があるからこそ、二幕の戦いは派手なだけでは終わらない。ピークへ向けて加速度的に熱量を高めていく運びも見事で、その先にまだ続きが待っていることまで含めて、大きな期待を抱かせる内容だった。
改めて感じるのは、『鬼滅の刃』という作品が、やはり“人の想い”を大切に描く物語だということだ。善逸の祖父や兄弟子への想い。しのぶの姉、そして継子の栗花落カナヲ(演:井手柚花)への想い。産屋敷耀哉からの柱たちへの想い。そうしたさまざまな感情が丁寧に紡がれているからこそ、戦いは単なる勝敗ではなく、ひとつひとつに意味を持つ。生身のキャストが演じるからこそ伝わる熱量を通して、そのことを改めて実感させられる舞台だった。
また、ゲネプロに合わせて実施された会見でのコメントが到着したいので追記する。
初日会見コメント
◆竈門炭治郎役 阪本奨悟 (Wキャスト)
こうして無事に誰 1人かけることなく、初日を迎えられることが本当に嬉しく思います。
ここから本当の戦いが始まりますので、しっかり稽古で積み上げたものを、たくさんのお客様に精一杯届けられるように頑張りたいと思います。
◆竈門炭治郎役 髙橋 颯 (Wキャスト)
僕自身初めて挑戦することが多かったので、周りの方に支えてもらいながら今日を迎えることが出来ました。
ここから本番が始まるので、すべて恩返しするような気持ちで演じていけたらと思っています。
◆竈門禰󠄀豆子役 髙橋かれん
カンパニーで1か月間積み上げてきたものを、これからお届けできることを本当に嬉しく思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
◆我妻善逸役 植田圭輔
非常に良い空気感で、稽古が出来ました。2人の炭治郎がそれぞれの背中で引っ張っていただいたので、今日ここまで来られたと思っております。まずは初日、そしてここから最後まで精一杯走り切りたいと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。
◆胡蝶しのぶ役 門山葉子
再びこうして、しのぶとして舞台に生きられることを嬉しく思います。
カンパニー一丸となって作りあげたこの作品が初日を迎え、お客様にお届けできると思うと、今はとてもワクワクしています。約5年ぶりに柱が集結するので、柱一同気合が入っています。ぜひそこも注目していただけたらと思います。
◆鬼舞辻󠄀無惨役 佐々木喜英
「いつか無限城でお会いしましょう」ということを、2020年の初演からずっと話していました。
ようやく夢が叶って本当に嬉しく思っております。初演の頃から「無限城のシーン楽しみだね」と話していたので、今回こうして初演メンバーも帰ってきて嬉しく思いますし、最高の舞台を作り上げたいと思います。
◆獪岳役 一色洋平
「無限城でお待ちしております」という言葉が僕にも響いていて、お客様をそして何より我妻善逸を、無限城にて心よりお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
◆童磨役 浦井健治
この舞台「鬼滅の刃」のカンパニーの絆というものは、心と心が繋がりあっていて、それが「鬼滅の刃」の作品自体とリンクしていると思っています。
数々の試練を乗り越え、炭治郎と禰󠄀豆子が成長していく過程を経て、ついに無限城まで来るので、今回この新しい劇場で花咲かせたいと思っております。皆様応援のほど、よろしくお願いいたします。
取材・文:木皿儀/写真:ケイヒカル

























■公演概要
舞台『鬼滅の刃』其ノ陸 柱稽古・無限城 突入
公演期間
2026年6月13日(土)~6月28日(日)
劇場
MoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000
原作
『鬼滅の刃』 吾峠呼世晴(集英社ジャンプコミックス刊)
脚本・作詞・演出
元吉庸泰
作曲・音楽監督
和田俊輔
出演
竈門炭治郎:阪本奨悟/髙橋颯(Wキャスト)
竈門禰豆子:髙橋かれん
我妻善逸:植田圭輔
嘴平伊之助:佐藤祐吾
不死川玄弥:内海太一
栗花落カナヲ:井手柚花
冨岡義勇:高橋駿一
宇髄天元:辻凌志朗
時透無一郎:下村未空
胡蝶しのぶ:門山葉子
甘露寺蜜璃:川崎愛香里
伊黒小芭内:宮本弘佑
不死川実弥:前田隆太朗
悲鳴嶼行冥:チャンヘ
珠世:舞羽美海
愈史郎:佐藤永典
産屋敷耀哉:廣瀬智紀
鬼舞辻無惨:佐々木喜英
獪岳:一色洋平
童磨:浦井健治
©吾峠呼世晴/集英社
©舞台「鬼滅の刃」製作委員会



