【ゲネプロレポート】「過去を問うな。未来を聞くな」武子直輝×佐奈宏紀が魅せる“動と静”のバディ「時光代理人-LINK CLICK-」ミュージカル開幕

レポート

「時光代理人-LINK CLICK- Game of Rules」THE MUSICALが、6月18日(木)東京・IMM THEATERにて開幕を迎えた。

原作は、中国で制作されたオリジナルアニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』。2021年4月よりbilibili動画にて配信されたのち、中国でのドラマ化、舞台化、そして日本でのアニメ放送など、国境を越えて多彩な展開を見せる人気作だ。

日本では初の舞台化となる今作では、コードネーム「トキ」こと程小時(チョン・シャオシー)を武子直輝、コードネーム「ヒカル」こと陸光(ルー・グアン)を佐奈宏紀が演じるほか、小泉萌香、石井陽菜、上山航平、陽高真白、影山達也、早乙女じょうじ、倉貫匡弘、飯田寅義、加藤大騎、浅見静江などの心強い俳優陣が脇役を固め、脚本・演出を鄭光誠が務める。

メディアクトでは、初日に先駆けて行われた公開ゲネプロの模様を取材した。

動のトキ、静のヒカル。対照的な2人が導くタイムサスペンス

本作の上演時間は、約2時間5分(休憩なし)。上演前の影アナウンスから、早速、原作アニメを彷彿とさせるやりとりがあり、観客の期待を膨らませてくれる。

ステージ上には、モノクロ基調の比較的シンプルな舞台装置。その中央には、時計を模した巨大な文字盤が、時を超えるゲートのように口を開けている。EMOTION CREW(アンサンブル)を含め、約20名が歌い踊る今作では、この舞台装置と映像が、あらゆるシーンで彼らを生き生きと魅せてくれる。

物語が始まる舞台は、繁華街の一角に佇む「時光写真館」。この写真館を運営しているのは、友人同士のトキ(演:武子直輝)とヒカル(演:佐奈宏紀)、そして大家の娘であるリン(演:小泉萌香)の3人だ。

トキとヒカルは、不思議な能力を持っている。

トキは写真の中に「ダイブする」能力を持ち、撮影者の意識に憑依する形で、写真の中の世界を動き回ることができる。

ヒカルは、念視のような形で写真を「視る」能力を持ち、その写真が撮影されてから12時間以内のできごとを知ることができる。

2人はその能力を活かして、写真館の仕事とは別に特殊な依頼を請け負っていた。

たとえば、「経営する飲食チェーンの売上をアップさせるため、元ビジネスパートナーが持ち去った秘密のレシピを知りたい」という依頼。

「恋人の父親から結婚の許可を得るため、武術家である彼の必殺技を見切りたい」という依頼。

「学生時代のバスケ部の友人たちに、伝えられなかった言葉を伝えたい」という依頼。

さまざまな依頼を、トキが写真の中(過去の世界)にダイブし、ヒカルがトキの第三の眼として行動をナビゲートするスタイルでこなしていく。

2人の間には、絶対的な3つのルールがあった。それは、「12時間のタイムリミットを守ること」「ダイブ中はヒカルの指示に従い、過去を決して改変しないこと」、そして「過去を問うな。未来を聞くな」というものだ。

だが、正義感が強く純真な気質を持つトキは、折りに触れ2つ目のルールに抵触してしまう。つまり、過去の改変を避けることよりも、目の前の人を救うことを優先してしまう傾向があるのだ。

写真の外からサポートすることしかできないヒカルは、トキが危うい行動をとるたびに、強い懸念ともどかしさを感じている。

今回受けた依頼の「エマ」のケースも、そうだった。

大手ゲーム会社・チュエダーゲームでCFOのアシスタントを務めるエマ(演:石井陽菜)は、激務と上司のセクハラに耐え、心身をすり減らしていた。親元を離れて一人暮らしをしている彼女は、仕事の悩みについて相談できる相手もなく、限界ギリギリの精神状態だ。

写真にダイブし、エマに憑依したトキは、彼女に共感を覚える。エマの孤独と寂しさを、両親を失った自身の境遇と重ね合わせ、感情移入してしまったのだ。

写真の中で過去を改変すれば、現実も変わってしまう恐れがあり、現実が変われば、世界に矛盾が生じることになる。だから、写真の中にダイブしている間は、ヒカルがすでに「視た」12時間分のできごとに従い、過去を忠実に再現しなくてはならない。

だが、トキにとっては目の前で起きていることも立派な現実だ。目の前の事態を良い方向へ進められそうな選択肢を、どうしても捨てきれない。

エマに憑依中の真夜中、彼女の母親から届いた温かいメッセージに、トキはつい一言だけ返信してしまう。そのちょっとした「改変」が、のちに取り返しのつかない事態へ発展していくとは思わずに。

コミカルな描写から始まり、無数の衝撃的展開を経て、重厚でドラマチックなストーリーへとなだれ込んでいく、本作。ミュージカルという土台の上に、非常に骨太なストレートプレイの表現をかぶせ、見事に融合させている。

「動」のトキと、「静」のヒカル。対比の美を持つ彼らを、武子直輝と佐奈宏紀という、表現力に定評のある2人の俳優が熱演。共演経験も多い武子・佐奈ならではの、息がぴったり合ったコンビネーションで、トキとヒカルの絶妙なバランスと関係性を描く。

ステージ上で太陽のような存在感を放つ武子は、大胆でありながら繊細な表現が得意だ。細やかな仕草の一つひとつにトキを宿らせ、彼の純粋さや、ときに行き過ぎる正義感にすら、観客の心を共鳴させてしまう。

一方の佐奈は、圧倒的な独自の「華」を持っている。エネルギッシュな佐奈の魅力が、寡黙なヒカルを役の内側から照らし、クールな表情の底に潜む、泥臭い熱さを暴き出す。

トキの能力を発動させる2人の「片手タッチ」は、武子と佐奈の解釈が加わることで、より人間味を強く感じるシーンとなっている。任務ごとに異なる「タッチ」に注目するのもおすすめだ。

個性的な脇役の一人ひとりからも、目が離せない。リン(演:小泉萌香)は、トキとヒカルの一番の理解者として、彼らへの温かな愛情を感じさせる。リンの友人シュー・シャンシャン(演:陽高真白)の天真爛漫な愛らしさ、その想い人ドン・イー(演:影山達也)の不器用な優しさは、シリアスな物語にいっときの清涼感を与えてくれる。

約2時間という凝縮された時間の中で、一人の女性の生き様を強烈に描くエマ(演:石井陽菜)。リウ・ミン(演:上山航平)は、その不気味な存在感でストーリーの随所に起伏を与える。

また、エマの両親を演じる加藤大騎、浅見静江、ズゥー・イエ/リウ・ジンの二役をこなす早乙女じょうじが、欠かせないキャラクターたちを通して物語を彩る。もちろん、原作では今後のキーパーソンとなっていくシャオ・リー(演:倉貫匡弘)、チェン・ビン(演:飯田寅義)の刑事コンビも見逃せない。

アンサンブルも含め、歌とダンスと芝居の全てで、生き生きと「人」を描く今作。スマホでの撮影が身近になった現代に、「写真」を通してタイムループする物語に、あなたもぜひダイブしてほしい。

「時光代理人-LINK CLICK- Game of Rules」THE MUSICALは、6月18日(木)~28日(日)東京・IMM THEATEにて上演。一部公演にて、特典配布やアフタートークも開催される。また6月25日(木)18:00公演、6月28日(日)13:30公演については、DMMTVにて独占配信も予定されている。

取材・文:豊島オリカ、撮影:ケイヒカル

■公演概要
「時光代理人 -LINK CLICK- Game of Rules」THE MUSICAL

原作

bilibili動画配信
オリジナルアニメーション
『時光代理人 -LINK CLICK-』

脚本・演出

鄭光誠

作曲

李嘉笛(FeiJi)

振付

BUNTA

出演

トキ/程小時(チョン・シャオシー):武子直輝

ヒカル/陸光(ルー・グアン):佐奈宏紀

リン/喬苓(チャオ・リン):小泉萌香

エマ/呉麗華(ウー・リーホワ):石井陽菜

劉旻(リウ・ミン):上山航平

徐姗姗(シュー・シャンシャン):陽高真白

董易(ドン・イー):影山達也

朱叶(ズゥー・イエ)/劉晶(リウ・ジン):早乙女じょうじ

肖力(シャオ・リー):倉貫匡弘

陳彬(チェン・ビン):飯田寅義

エマの父親:加藤大騎

エマの母親:浅見静江

公演期間

2026年6月18日(木)
~6月28日(日)

会場

IMM THEATER

公式サイト
https://www.stage-link-click.com/

ライブ配信販売ページ
https://www.dmm.com/digital/stage/-/theater/=/name=stage-link-click/

©bilibili/BeDream
©LINK CLICK-GAME OF RULES THE MUSICAL PROJECT