【ゲネプロレポート】ミュージカル『憂国のモリアーティ』緋色の研究 Reprise 開幕

レポート

6月27日(土)、東京・天王洲 銀河劇場にてミュージカル『憂国のモリアーティ』緋色の研究 Repriseが開幕した。

原作は2016年より「ジャンプSQ.」(集英社刊)で連載中の人気漫画『憂国のモリアーティ』。19世紀末、繁栄を極める大英帝国・ロンドンを舞台に、腐敗した階級制度を“犯罪”という手段で壊そうとする“犯罪卿”ジェームズ・モリアーティ(演:鈴木勝吾)と、その真意を追い続ける“名探偵”シャーロック・ホームズ(演:平野良)の宿命の対決を描く人気シリーズだ。

2019年の初演以来、生演奏によるピアノとヴァイオリンが紡ぐ重厚な音楽と、圧倒的な歌唱・演技で多くの観客を魅了してきた"モリミュ"。今年は原作連載10周年という節目を迎え、シリーズの原点となるOp.1『緋色の研究』が『緋色の研究 Reprise』として新たな息吹をまとって蘇る。シリーズ初となる2チーム体制で上演されることも大きな話題だ。

メディアクトでは、初日に先立って行われたRepriseチームのゲネプロ公演を劇中写真とともにレポートする。

幕が上がると同時に劇場へ響き渡る、ピアノとヴァイオリンの生演奏。その旋律が流れた瞬間、「モリミュが帰ってきた」と胸が熱くなるファンも多いはずだ。何度聴いても色褪せることのない音楽が、一気に観客をロンドンの世界へと誘っていく。

物語前半では、“犯罪卿”ウィリアム・ジェームズ・モリアーティが誕生するまでの軌跡が描かれる。

革命のため、ウィリアムが掲げた新たな計画は、ロンドン市民を観客に仕立て、社会の歪みを最も鮮烈な形で暴き出す"犯罪の劇場化"。最初の舞台に選ばれたのは豪華客船「ノアティック号」、主演は人狩りの噂を持つ若き伯爵ブリッツ・エンダース(演:内藤光佑)だった。

ウィリアムを演じる鈴木勝吾は、圧巻という言葉では足りないほどの歌唱力で観客を魅了する。力強くもどこか儚さを感じさせるハイトーンは、革命を信じて突き進むウィリアムの覚悟と孤独を鮮やかに表現。その圧倒的な存在感は、一瞬たりとも視線を離せない。

そんなウィリアムを支える兄・アルバート(演:泰江和明)、弟・ルイス(演:百名ヒロキ)の存在も印象深い。

泰江は包み込むような温かな歌声と繊細な芝居で、アルバートの深い愛情と覚悟を丁寧に表現。優しい微笑みや視線のひとつひとつからウィリアムへの絶対的な信頼が伝わり、兄弟の絆に胸を打たれる。

一方、百名はルイスの揺るぎない忠誠心と芯の強さをまっすぐに体現。ウィリアムとともに罪を背負う覚悟を、力強い歌声と真摯な芝居で見事に描き出していた。

さらにモラン(演:佐々木崇)、フレッド(演:新谷聖司)らモリアーティ陣営が魅せる、キレのあるアクションも見逃せない。息の合った立ち回りは迫力満点で、革命を支える"裏の実働部隊"としての存在感を存分に発揮している。

計画が進むなか、ノアティック号でウィリアムと出会うのがシャーロック・ホームズだ。

平野良が演じるシャーロックは、軽妙洒脱で飄々としながらも、鋭い洞察力をのぞかせるまさに"理想のシャーロック"。テンポの良い台詞回しや無駄のない所作は健在で、その自由奔放さと知性が絶妙なバランスで共存している。飄々とした笑みの奥に宿る鋭さが実に魅力的で、観客を惹きつけて離さない。

ノアティック号事件の後、舞台はベイカー街221Bへ。

シャーロックの相棒となるジョン・H・ワトソン(演:橋本真一)が登場すると、一気に作品の空気が和らぐ。橋本は誠実で人間味あふれるジョンを自然体で演じ、自由奔放なシャーロックとの掛け合いは思わず笑みがこぼれるほど息ぴったり。

ハドソン夫人(演:七木奏音)も華やかな歌とダンスで作品に彩りを添え、シリアスな物語の中で観客をほっと和ませてくれる存在となっている。

しかし穏やかな時間も束の間、シャーロックはドレッバー伯爵殺害容疑で逮捕されてしまう。事件解決に挑むシャーロックたちとレストレード(演:伊藤裕一)のやり取りはテンポ良く展開し、推理劇としての面白さも存分に味わえる。

そして、緋色の糸をたぐり寄せた先に待っているのは犯罪卿と名探偵、決して交わることのない二人の長き戦いの幕開け。その瞬間はシリーズの始まりでありながら、これから続く壮大な物語を予感させ、胸が高鳴る。

また、本作を語るうえで欠かせないのがアンサンブルキャストの存在だ。これまでも「モリミュの主役」と称されてきた彼らは、本作でもロンドンの街を生きる民衆や貴族を巧みに演じ分け、作品世界に圧倒的なリアリティを与えている。一人ひとりの表現が舞台全体の厚みを生み出し、観客を物語へと深く没入させてくれた。

『Reprise』と銘打たれた本作は、物語の軸こそ変わらないものの、新曲や新たな演出によって初演とはまったく異なる印象を与える作品へと進化している。長年シリーズを愛してきたファンには新たな発見と感動を、そして本作から"モリミュ"の世界へ足を踏み入れる観客にも、その魅力を存分に味わえる一作となっている。

7年前に始まった物語は、時を経て再び始まりへと帰ってきた。しかしそこに立つキャストたちは、確かな経験と進化を積み重ね、今まで以上の熱量で舞台を彩っている。この新たな『緋色の研究』がこれからどんな景色を見せてくれるのか。モリミュの物語は、まだまだ私たちを熱狂させてくれそうだ。

取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル

■公演概要
ミュージカル『憂国のモリアーティ』緋色の研究 Reprise

公演日程
2026年6月27日(土)~7月19日(日)

会場
天王洲 銀河劇場

原作
三好 輝『憂国のモリアーティ』
(集英社「ジャンプSQ.」連載)

脚本・作詞・演出
西森英行

音楽
ただすけ

出演
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ:鈴木勝吾
シャーロック・ホームズ:平野良
アルバート・ジェームズ・モリアーティ:久保田秀敏/泰江和明
ルイス・ジェームズ・モリアーティ:山本一慶/百名ヒロキ
セバスチャン・モラン:佐々木崇
フレッド・ポーロック:宮島優心(ORβIT)/新谷聖司
ジョン・H・ワトソン:鎌苅健太/橋本真一
ミス・ハドソン:七木奏音
ジョージ・レストレード/ジェファーソン・ホープ:髙木俊/伊藤裕一
レニー・ダブリン男爵:吉田英成
ブリッツ・エンダース伯爵:小南光司/内藤光佑

伊地華鈴
大澤信児
川島大典
木村優希
熊田愛里
白崎誠也
高間淳平
竹内一喜
田中奏
蓮井佑麻
若林佑太
渡辺里佳

Piano:境田桃子/ただすけ
Violin:林周雅

スウィング
岡本拓也
友松克太
本田桃萌

チケット料金
S席(1~2階)13,000円(税込/全席指定)
A席(3階)9,800円(税込/全席指定)

公式HP
https://www.marv.jp/special/moriarty/