【ゲネプロレポート】READING WORLD×VISIONARY READING 朗読劇『紫苑のもみじ』 開幕

Thanksgiving、AOI Pro.、サンライズプロモーション主催のREADING WORLD×VISIONARY READING 朗読劇『紫苑のもみじ』が、7月17日(金)より日本青年館ホールで上演された。
本作は、世界文化遺産・下鴨神社で上演された『鴨の音』シリーズや、ユネスコ世界記憶遺産を題材にした『約束の果て』『約束の鎮魂歌(レクイエム)』など、歴史ある場所を舞台に唯一無二の世界観を紡いできた朗読劇プロジェクト「READING WORLD」と、「映像で、朗読劇が、物語が、動き出す。」をコンセプトに新たな朗読劇体験を創出するAOI Pro.の「VISIONARY READING」が初めてタッグを組む注目作だ。
メディアクトでは、初日に先立って行われたゲネプロ公演の模様をレポートする。



※ネタバレは避けていますが、まっさらな気持ちで観劇したい方は観劇後に読むことをおすすめします。
「応援席から降りて、自分の人生の主役になる」をテーマに描かれる本作。恋愛や家族、そして自分自身と向き合う姿を描いた、温かなヒューマンドラマが紡がれる。
主人公・雨宮もみじ(演:山根綺)は、誰かを「応援席」から支えることを当たり前として生きてきた女性。しかし結婚を目前に恋人の浮気が発覚し、傷ついた彼女は逃げるように実家へ戻る。
そんなもみじを迎えたのは、変わらぬ優しさで包み込んでくれる家族、そして亡き父・文吾の魂だった。



幼馴染・周大が作った人形「でにがらす」に文吾の魂が宿り、その声は周囲の人々には聞こえるようになる。しかし、不思議なことになぜか娘であるもみじにだけは、その声が届かない――。
一見するとファンタジー作品のようにも思える設定だが、その根底に流れているのは、人と人とのつながりや、言葉にできなかった想いを丁寧に描き出すヒューマンドラマ。誰もが抱える後悔や優しさが静かに積み重なり、観る者の心に深く染み渡っていく。
主人公・もみじを演じる山根綺は、透明感あふれる声で繊細な感情の揺らぎを見事に表現。傷つきながらも少しずつ前を向こうとする姿を自然体で演じ、弱さと強さを併せ持つ等身大のヒロイン像を作り上げた。その豊かな表現力によって、観客は気づけばもみじの心に寄り添っているだろう。
そんなもみじへ長年想いを寄せ続ける幼馴染・周大を演じるのは佐藤流司。人生の大きな決断は迷わず下せる一方で、もみじへの恋だけは何年も拗らせ続ける不器用な青年を、人間味たっぷりに演じている。
朗読劇でありながら、その眼差しや息遣い、わずかな間に込められた感情表現は圧巻。一挙手一投足からあふれ出る真っ直ぐな恋心が胸を打ち、言葉以上に雄弁な芝居で観客を作品世界へ引き込んでいく。コミカルな掛け合いでは思わず笑いを誘い、切ない場面では胸を締め付ける緩急も見事だった。



もみじと周大の恋模様だけでなく、本作ではさまざまな愛の形が描かれる。
父・文吾を演じる山口勝平は、口を開けば憎まれ口ばかりを叩く不器用な父親を好演。一見するとぶっきらぼうな言葉の端々に娘への深い愛情を滲ませ、その絶妙なさじ加減はまさに山口だからこそ表現できる味わいだ。
母・えりを演じる三石琴乃は、明るくチャーミングな存在感で家族を優しく包み込む。柔らかな語り口の中に揺るぎない母の愛情が感じられ、その包容力に心が温かくなる。
さらに、もみじの継父・洋一郎を演じる中井和哉、周大の弟・春道を演じる重松千晴、明るく親しみやすいもみじの先輩・笹野亜子を演じる伊藤かな恵ら、それぞれが確かな存在感を放ち、物語に彩りを添える。
また、一見すると悪役にも思える近藤貴男を演じる熊谷健太郎も印象的だ。ただ嫌われるだけの人物では終わらせず、その人物なりの未熟さや不器用さなどもにじませることで、リアルな人間として立体的に存在させている。
登場人物の誰もが、決して特別な存在ではない。身近にいそうな人、自分自身にも重なる部分がある人ばかりだからこそ、観客は自然と誰かに感情移入してしまうだろう。そのリアリティを支えているのは、実力派キャスト陣による説得力ある演技にほかならない。
山口勝平、三石琴乃、中井和哉ら長年第一線を走り続ける声優陣と、山根綺、佐藤流司をはじめとする魅力あふれるキャストが一堂に会する本作。誰もが一度は耳にしたことのある"声"が目の前で物語を紡いでいく時間は、朗読劇ならではの贅沢な体験となっている。
劇中には、日本青年館ホール周辺や明治神宮外苑の地名も数多く登場するため、観劇後に作品の余韻を味わいながら聖地巡礼を楽しむのもおすすめだ。
美しい景色を舞台に、迷いながらも自分の人生を歩き始める大人たちの姿を描く『紫苑のもみじ』。笑いあり、涙あり、そして観終えたあとにはそっと背中を押してくれるような、家族と恋の物語をぜひ劇場で体感してほしい。
取材・文:水川ひかる










■公演概要
READING WORLD×VISIONARY READING
朗読劇『紫苑のもみじ』
期間
2026年7月17日(金)〜7月19日(日) 計5公演
脚本
灯敦生
演出
岡本昌也(AOI MANAGEMENT)
出演
山根綺 佐藤流司
山口勝平 中井和哉 三石琴乃
伊藤かな恵 重松千晴 熊谷健太郎
会場
日本青年館ホール
東京都新宿区霞ヶ丘町4-1
東京銀座線「外苑前駅」2b出口(徒歩5分)
上演スケジュール
7月17日(金) 19:00
7月18日(土) 13:00 / 17:00
7月19日(日) 12:00 / 16:00
チケット
[料金(税込)]
S席:11,000円(税込)
A席:9,000円(税込)
※未就学児のご入場はお断りいたします。
公演公式 HP https://thxgive.com/readingworld/shionnomomiji
公演公式 X https://x.com/readingworld_jp
主催:Thanksgiving AOI Pro. サンライズプロモーション
「©Thanksgiving/AOI Pro./サンライズプロモーション」



