【レポート】毎公演、展開も結末も変わる!『グノーシア ザ・ライブプレイングシアター』公開ゲネプロ&囲み取材

レポート

TVアニメ『グノーシア』を原作とした舞台『グノーシア ザ・ライブプレイングシアター』が、2026年8月21日(金)より飛行船シアター(スタァライト劇場)にて開幕する。

人狼ゲームをベースに、SFやループミステリー、個性豊かなキャラクターたちのドラマを融合させた『グノーシア』。今回の舞台版では、TVアニメのキャラクターと世界観を再現しながら、会議パートに『人狼 ザ・ライブプレイングシアター』(人狼TLPT)のシステムを導入。キャストは開演直前にカードによってその公演での役割を知らされ、キャラクターを演じながら全編アドリブで会議を繰り広げる。そのため、毎公演の展開も結末も異なる“一度きり”の物語が生まれるという、演劇と人狼ゲームを掛け合わせたライブ・エンターテインメントとなっている。

今回メディアクトでは、初日公演に先駆けて行われた公開ゲネプロ、そして設楽銀河、生田輝らキャスト陣と演出・松崎史也による囲み取材の模様をレポートする。

公開ゲネプロ

公開ゲネプロでは、アニメのオープニング・エンディング楽曲も取り入れられ、TVアニメから地続きの『グノーシア』の世界へと入り込んでいくような感覚で物語が幕を開けた。

今回行われたのは、公演序盤の「フェーズ①」にあたる形式。1公演の中で5人、7人、9人と参加人数を増やしながら、3回の会議が行われる。公式発表によれば、フェーズ①は8月21日から23日まで。その後、フェーズ②では13人、フェーズ③では15人による会議へと発展していく。

主に人狼のルールを独自の設定に置き換えているのが本作。人狼のルールを理解していれば、違和感なく楽しむことができる。
また、会議の途中でも、コールドスリープしたり、消滅させられたキャラクターが記憶をつかさどる作中の重要なアイテム「銀の鍵」の中に入っているものとして表現。合間合間で状況の解説やルールのおさらいなどをしてくれるため、状況を理解しやすくしてくれる。

最初のループに参加したのは、ユーリ(演:設楽銀河)、セツ(演:生田輝)、SQ(演:佐當友莉亜)、ジナ(演:七海とろろ)、ラキオ(演:田口涼)の5人。ゲームやアニメ第1話を思わせる構図から始まり、まずは『グノーシア』における会議の基本を見せていく。
今回のゲネプロでは、初日にラキオが投票によってコールドスリープ(人狼でいう追放)となり、その夜にはジナがグノーシアから消滅させられる(人狼で言う襲撃)。続く2日目にはSQがコールドスリープとなり、SQがグノーシアだったことから人間側の勝利となった。


続くループでは、ユーリ、セツ、ステラ(演:星波)、しげみち(演:石井由多加)、コメット(演:御寺ゆき)、レムナン(演:⽥⼝司)、SQの7人で会議がスタート。初日は疑いを集めたしげみちがコールドスリープとなり、その夜にはセツが消滅。2日目にはコメットがコールドスリープ、さらにステラが消滅させられ、3日目に残されたのはユーリ、SQ、レムナンの3人となった。
ここからは、それまでの投票行動も重要な判断材料となっていく。すでにコールドスリープとなったしげみちとコメットへの投票先を振り返ると、ユーリとSQはともに二人へ投票している一方、レムナンは……。積み重ねられた行動から疑惑が深まり、最終的にレムナンが2票を集めてコールドスリープ。結果は再び人間側の勝利となった。

あらかじめ決められた台詞を追うのではなく、その場で交わされた言葉や投票によって疑惑の矛先が変わり、それまでの行動そのものが次の議論の材料になっていく。まさに、舞台上でキャラクターたちが実際に『グノーシア』をプレイしているかのような感覚だ。

ループは二人の「エンジニア」が出現する9人会議へ

休憩を挟んだ後半では、このフェーズ最大となる9人での会議へ。
参加するのは、ユーリ、セツ、シピ、ジョナス(演:⾕⼝賢志)、ククルシカ(演:野元空)、沙明(演:平賀勇成)、オトメ(演:林千浪)、夕里子(演:田上真里奈)、ラキオ。人数が増えたことで情報量も一気に増し、これまで以上に複雑な議論が繰り広げられていく。

なかなか議論が進まない初日、口火を切ったのは夕里子だった。自身が「エンジニア」であることを宣言すると、それを否定するようにジョナスもエンジニアを名乗る。人狼ゲームでいう「占い師」にあたるエンジニアが二人現れたことで、どちらを信じるのかという新たな問題が生まれた。この日はエンジニア候補の二人を残し、それ以外から投票する流れに。ラキオとシピが3票ずつを集めて決選投票となり、最終的にシピが7票を集めてコールドスリープ。その夜にはオトメがグノーシアに消滅させられた。

迎えた2日目、夕里子はユーリを「人間」と判定。ジョナスも同じくユーリを「人間」と判定した。対立するエンジニア候補の双方から人間判定を受けたことで、ユーリは信頼できる存在となる。一方、会議の焦点は「夕里子とジョナス、どちらを信じるのか」へ。堂々とした振る舞いを見せるジョナスが信頼を集め、夕里子へと疑いの目が向けられていく。投票の結果、夕里子がコールドスリープとなり、その夜にはユーリが襲撃された。

3日目に残されたのは、セツ、ジョナス、ククルシカ、沙明、ラキオの5人。ここまでゲームが続いている以上、すでにコールドスリープとなったシピと夕里子の両方がグノーシアだった可能性はなくなった。少なくとも1体のグノーシアが、まだこの5人の中に潜んでいることになる。そして気になるのは、エンジニアを名乗るジョナスがここまで襲撃されずに生き残っていること。本物のエンジニアであれば、グノーシアにとって厄介な存在である。なぜジョナスは残されているのか――そんな疑念も生まれるなか、ジョナスはエンジニアとして調査した結果、ククルシカがグノーシアだったと宣言する。
会議は、それまでの発言だけでなく、過去の投票先や行動にまで及んでいく。ククルシカとジョナス、果たしてどちらを信じるべきなのか。最終的にセツとラキオがジョナスを信じ、ククルシカへ投票。3票を集めたククルシカのコールドスリープが決定した。

しかし、夜は訪れなかった。
告げられたのは、グノーシア側の勝利。グノーシアを担当していたのはセツとジョナス。ここまで積み重ねてきた推理と選択の先で、人間側はグノーシアを排除しきることができなかったのだ。

5人、7人、そして9人。人数が増えるにつれて、単純な発言の真偽だけでなく、役職、投票履歴、襲撃された人物、誰が誰を疑い、誰を信じていたのかまでが推理材料となっていく。特に9人会議では、一つの発言によって、それまで信じていた人物が突然怪しく見えたり、逆に疑っていた人物の行動に筋が通って見えたりと、議論のたびにキャラクターへの印象が変化していく面白さが強く感じられた。

そして、ここで起きた出来事はあらかじめ決められた物語ではない。キャストたちがその場で考え、疑い、信じ、投票した結果として、この日の物語と結末が生まれている。公開ゲネプロで描かれた「グノーシア側の勝利」も、この一公演だけのものだ。

観客自身も“乗員”の一人として推理に参加できる

本作では、舞台上のキャストだけでなく、観客もゲームに参加できる。劇場では紙の回答用紙が配布され、物語や会議での発言を手掛かりに、誰がグノーシアなのか、そして各キャラクターがどの役職なのかを推理していく。全役職正解、グノーシアのみ正解でそれぞれ異なるデジタル特典も用意されており、ただ議論を見守るだけでなく、観客自身も“乗員”の一人として参加できる仕組みだ。

今回の9人会議では、2日目のコールドスリープが決定した段階までの情報をもとに推理を行った。焦点となったのは、エンジニアを名乗ったジョナスと夕里子のどちらを信じるか。筆者は、最初にエンジニアを宣言した夕里子について、議論を動かす意図に加え、自身がコールドスリープ候補となることを避ける狙いもあったのではないかと判断。一方のジョナスは、その宣言に追従して名乗り出たように見えた。さらに2日目、夕里子が先にユーリを人間と判定し、その後ジョナスも痕から同じ判定を宣言したことから、筆者は夕里子を真のエンジニア、ジョナスをグノーシアと予想した。

そこまでは正解だった。
しかし、もう1人潜伏していたセツには気づくことができず、発言をうまく合わせながら票を散らしているように見えた沙明をもう1人のグノーシアと予想してしまった。キャラクターとして自然に振る舞いながら、その裏ではそれぞれが別の役割を背負っている。
一筋縄では正体を見抜けないからこそ、自分自身で推理し、疑い、そして時には見事に騙される面白さも大きい。

囲み取材の模様

公開ゲネプロ前には、ユーリ役・設楽銀河、セツ役・生田輝らキャスト陣と、演出を手掛ける松崎史也による囲み取材も行われた。

初のアドリブ劇への挑戦について、設楽は「『大丈夫なのか、俺は』という心臓バクバクの状態からのスタートだった」と振り返る。一方、『人狼TLPT』で即興劇の経験を積んできたキャストたちの存在もあり、「ものすごく安心感のある稽古ができました」と語った。
通常の舞台とは異なり、キャスト自身にもその日のストーリーや結末は分からない。「『どっちに行くんだ?』『今日はどの話になるんだ?』と思いながら、みんなで作り上げていく。それが本当に楽しくて、今回の『グノーシア』の見どころナンバーワンと言っていいくらい、僕はそこに期待しています」と、本作ならではの魅力を語った。
また生田は、観客に配られる「回答用紙」に言及。「誰がグノーシアなのか」「誰が何なのか」をキャラクターとともに推理できることについて、「客席参加型というか、エンターテインメントの真髄みたいなところが詰まってると思います」とコメント。「『私も作るんだ』ぐらいの気持ちで楽しんでいただけたら」と呼びかけた。

SQ役の佐當友莉亜は、舞台ならではの魅力として「会議の全貌をずっと見られる」ことを挙げる。アニメやゲームでは会話している人物が中心に描かれる一方、舞台では全員を同時に見ることができる。「話していないキャラクターが誰と目線を合わせていたり、誰とコソコソ話していたりするのかな、とか。とにかく目が足りない舞台になると思います」と、その楽しみ方を紹介した。
ラキオ役の田口涼は、多彩なバックグラウンドを持つ俳優たちが集まったことで生まれる「化学反応」に注目。そして「しげみちというキャラが見どころです(笑)」と付け加え、笑いを誘った。
ジナ役の七海とろろは、それぞれのキャラクターが「どうやって信じていくのか」「どうやって疑っていくのか」という過程に注目してほしいとコメント。さらに、言葉を話さないククルシカが舞台上の議論へどのように参加するのかも見どころとして挙げた。

最後に設楽は、「全21公演、本当に『一度として同じ作品はない』というくらい、毎回日替わり要素も多かったり、会議ではすべてアドリブということで、展開がすべて変わってきます」とアピール。「何回観ても楽しめる、普段の演劇とは違う観劇体験ができるんじゃないかな」と期待を寄せた。

そして松崎は、本企画が約3年前から動き始めていたことを明かし、自身が長年携わってきた『人狼TLPT』、2.5次元演劇、さらにTVアニメ『グノーシア』での経験を本作へ注ぎ込んだと語る。ゲーム、アニメの物語を受けて舞台で何ができるのか。その答えとして舞台チームが掲げたのが、「終わらない『グノーシア』を作る」というものだった。
「『グノーシア』って、まだこんなに遊べるよね」という、新たな見え方、新たな遊び方。それを観客と一緒に楽しみたい――。公開ゲネプロで目の当たりにした、キャスト自身にも行方の分からない物語は、まさにその言葉を体現するものとなっていた。

全21公演は、期間によって3つのフェーズに分けられている。8月21日~23日のフェーズ①では5人・7人・9人の3回の会議、8月25日~28日のフェーズ②では13人による会議、そして8月29日~9月6日のフェーズ③では15人全員による会議が行われる。
今回の公開ゲネプロでも、5人から7人、9人と人数が増えるほど、飛び交う情報や人間関係、疑うべき相手が増え、議論の複雑さと熱量が高まっていくことを実感できた。それが13人、そして15人になったとき、どれほど濃密な会議とドラマが生まれるのかにも期待したい。

一方で、即興による会議とゲーム展開が大きな軸となるため、一公演の中ですべてのキャラクターの背景や関係性をじっくり掘り下げる作品ではない。本作から『グノーシア』に触れても楽しめるが、ゲームやアニメを通してそれぞれの性格や関係性をあらかじめ知っておけば、「このキャラクターなら、こう疑うのか」「この状況で、この人物を信じるのか」といった言動の一つひとつを、より深く味わえるだろう。

そして、本日8月21日18時30分から行われる初日公演は、アニプレックス公式YouTubeチャンネルにて全編無料ライブ配信を実施。副音声リアルタイムコメンタリーも用意されている。
公開ゲネプロとはまったく異なる、どんな物語と結末が生まれるのか。一度として同じ物語にはならない『グノーシア』。その瞬間にしか存在しないループを、ぜひ劇場、そして配信で体験してほしい。

取材・文:木皿儀、撮影:ケイヒカル


配信情報

『グノーシア ザ・ライブプレイングシアター』では、全公演のライブ配信を実施。8月21日(金)18:30の初日公演はアニプレックス公式YouTubeチャンネルで全編無料配信され、本編とは別に副音声リアルタイムコメンタリーも配信される。8月22日(土)以降の全20公演は「Confetti Streaming Theater」にて有料ライブ配信され、アーカイブは10月6日(火)23:59まで視聴可能。

8月21日(金)18:30 初日公演・無料ライブ配信

[視聴URL]https://youtube.com/live/gGhv1-XT19I
[副音声 視聴URL]https://youtube.com/live/vI-5VGu031E

8月22日(土)~9月6日(日)有料ライブ配信
1公演:3,300円(税込)
5公演セット:12,500円(税込)
全20公演セット:45,000円(税込)
アーカイブ視聴期間:2026年10月6日(火)23:59まで

https://www.confetti-web.com/@/gnosia-streaming

なお、配信視聴者もLINEを利用した推理・投票企画に参加可能となっている。

公演概要

『グノーシア ザ・ライブプレイングシアター』

公演期間:2026年8月21日(金)~9月6日(日)
会場:飛行船シアター(スタァライト劇場)
全21ステージ

出演
設楽銀河(ユーリ役)
生田輝(セツ役)
伊藤優衣/佐當友莉亜(SQ役)
田口涼/永石匠(ラキオ役)
寺島絵里香/七海とろろ(ジナ役)
石井由多加/柳木ガリ(しげみち役)
星波/中村裕香里(ステラ役)
田上真里奈/春咲暖(夕里子役)
御寺ゆき/はぎのりな(コメット役)
高地真吾/澤田拓郎(シピ役)
谷口賢志/古屋敷悠(ジョナス役)
野元空/橋本彩花(ククルシカ役)
椙山さと美/林千浪(オトメ役)
健人/田口司(レムナン役)
川上将大/平賀勇成(沙明役)

スタッフ
原作:TVアニメ『グノーシア』
脚本:池永英介
演出:松崎史也
制作協力:人狼TLPT、桜庭未那(オラクルナイツ)、五町麻衣子(オラクルナイツ)
ステージング:梅棒

HP:https://gnosia-anime.com/stage/

©Petit Depotto/Project D.Q.O. ©グノーシアTLPT製作委員会