【レポート】ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の制作発表記者会見

レポート

11月23日、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の制作発表記者会見が東京都・品川プリンスホテルで行われた。

原作は、シリーズ累計発行部数1億2,000万部を誇る荒木飛呂彦の大人気コミックシリーズ。人間の誇りと勇気を描き上げる〈人間讃歌〉をテーマに、頭脳戦と肉弾戦で織りなされる熱いストーリーテリング、独特のポージングに代表される大胆にして緻密な画力と色彩、独創的にしてインパクトのあるセリフ回しと擬音の数々など、唯一無二の世界観が多くのファンを魅了し続けている。

会見には、キャストの松下優也、有澤樟太郎、宮野真守、清水美依紗、YOUNG DAIS、東山義久、廣瀬友祐、別所哲也、演出・振付の長谷川寧が登壇。新たな特報PVも解禁となった。

作品に掛ける意気込みについて、長谷川は「今回初めてキャストが揃ったんですが、見ていて面白そうだな、と思いました。ミュージカル畑にいる演出家ではないので、新しいアプローチで作品を作っていけたらと思います。ここにいる方々とだったら出来ると信じておりますのでよろしくお願いします」とキャスト陣への信頼を覗かせた。

主人公、ジョナサン・ジョースター役の松下は「皆さん元気ですか!」と元気に挨拶した後、「今からすごくわくわくしています」と興奮気味に語る。Wキャストの有澤が「この役を演じたい人が何人いただろうか、この作品に入りたい人が何人いただろうかと思うと身が引き締まる思いでいっぱいです」と緊張した面持ちで語ると、すかさず松下から「手を上げてもらった方がいいんじゃないですか(笑)」と突っ込みが入るシーンも。

ジョジョの宿命のライバル、ディオ・ブランドー役の宮野は「ジョジョという作品がミュージカルになると聞いて非常に驚きました。重要な役を演じさせていただくことを光栄に思っています」とコメント。宮野曰く『ジョジョ顔をしている』キャスト陣を見ながら、「濃い面子で最高の舞台を作り上げたいと思っていますのでよろしくお願いします」と語った。

ジョナサンの想い人であり、メインキャストの中で紅一点となる清水は、「世界でも大人気の作品の初となる舞台化にキャスティングしていただけて、嬉しい気持ちでいっぱいです。楽曲もすごく楽しみですし、豪華なキャスト、演出家の寧さんと一緒にこの作品をたくさんの方に届けていけたらと思っています」と意気込みを語った。

スピードワゴン役のYOUNG DAISは、今作がミュージカル初出演となる。「熱くフレッシュな気持ちを大切にしながら、皆さんをお迎えできるように頑張っていきたい」とのこと。

ウィル・A・ツェペリ役の東山義久は、もともとジョジョの大ファンで、原作も何度も読み直していたと振り返る。「広瀬くんの回を客席からも見たい」とWキャストならではの楽しみ方も語った。同じくツェペリを演じる広瀬は、「この作品の一部になれることを光栄に感じております。初演ならではの苦しみや苦悩があると思うのですが、いろんな壁を乗り越えて初日まで頑張っていきたいと思っています」と述べた。

ジョジョの父親であるジョースター卿を演じる別所哲也は、出演が決まった際に「ジョジョ役ですか?」と聞いたというお茶目なエピソードを明かしつつ、「この作品の深さ、運命とは何か、生きるとは何か、皆さんと冒険が出来ればと思います。世界からの熱い視線も感じています。台本、衣装、音楽、ひとつひとつがきらきらと輝いて、興奮の欠片がどう結晶化するのか、皆さんと冒険させていただきたいと思っています」と作品への気持ちを真摯に語った。

作品を作るうえでの演出プランについて、長谷川は今までの経験を活かし「色々なジャンルを掛け合わせて総合芸術として作品を届けられたら」と語った。今作では、“普通の舞台ではいないスタッフ”が揃っているとのこと。アパレルやヘアメイクをはじめとした多彩な才能が結集しているとのことで、作品への期待が高まる。

また、シリーズを通して描かれている『人間賛歌』というテーマについては、社会的格差が生まれている現代と産業革命が起きた当時のロンドンの時代背景などにも触れ、「ファンタジーではなく、リアルさを持ち帰って欲しいと思いながら作っています」と語った。

役が決まった当時、松下はディオ役ではなくジョジョ役に抜擢されたことを周囲に驚かれたと振り返る。身内をはじめ友人の友人など広い範囲の知り合いから連絡をもらい、プレッシャーを感じていると語りつつ、今から楽しみと前向きな表情を覗かせた。

有澤は役へのプレッシャーを明かすと共に、最近共演していたなだぎ武さんからずっと大切にしていたジョジョのフィギュアを託されたエピソードを披露。様々な人の思いを託された身として、頑張っていきたいとのこと。

「何を隠そう、僕は巷ではちょっと有名のある声優なんですけど……。ちょっと人気もあるんですよ(笑)」と前置きをし、会場を沸かせた宮野。今までジョジョに関する作品のオーディションに参加したこともあったとのことだが、実際に作品に携わるのは今作が初めてとなる。「初ジョジョがミュージカルになるとは思っていなかったのでびっくりしましたが、僕はジョジョの中では一部が大好きなので、ディオを演じられるのはこのうえない喜びです。プレッシャーはもちろんありますが、僕の初ジョジョをミュージカルに捧げました。繊細に彼の心情を描いていきたいと思います」と述べた。

自身とエリナについて「正反対」だと言う清水は、「気高く心美しく気丈な女性を私が演じられるのかと不安な部分も正直ありましたが、キャストの皆さんの足を引っ張らないように頑張りたい」と語った。

今作は、歴史のある帝国劇場での上演についても注目が寄せられている。帝国劇場が初めてとなる松下は「今まで観客として見ていた景色と、ステージから見える景色との違いを楽しみたい」と語り、清水は「いつか帝国劇場に立ちたいなと学生時代から夢を抱いていました。こんなに早く立たせていただけることを嬉しく思います」と夢が叶う喜びを笑顔で述べた。

宮野が帝国劇場に立ったのは2017年。ミュージカル『王家の紋章』でも主人公の宿命のライバルを演じたと振り返ると同時に、それ以降に積んだ様々な経験をすべてぶつけたいと語った。

帝国劇場に何度も立ったことのある別所からは、「自分が吸い込まれたり飲み込まれたりするような思いを重ねながら、色々な作品に立たせていただきました。ステージに立つと2000人の観客の熱気、気迫、お気持ちにぐっと押されるんです」と重みのあるコメントが。「その思いに負けるな!」とキャスト陣の背を押し、「帝国劇場は地下6階までありまして、そこにリハーサルルームがございます。9階には稽古場がございますので、こちらの自販機でお水を買って下さい」と実用的なアドバイスをして笑いも誘った。

会見中には、原作で好きなシーンや台詞についての質問も。「めちゃくちゃあるんですよ!」と興奮気味の松下。『ジョナサンが木に触れたら花が咲くシーン』をはじめ、ブラフォードとの戦闘シーンをあげた。原作屈指の名シーンの中の『この「痛み」こそ「生」のあかし この「痛み」あればこそ「喜び」も感じることができる」という台詞を引用し、「この台詞は今作に通ずるところもあると思います。楽しんで演じたいとは思いますが、絶対に大変なところもあると思うので、その痛みを喜びに代えていきたい」と原作ファンならではの熱い思いを語った。

各々が好きなシーンをあげる中、宮野は「ディオは名シーンも名台詞もたくさんありすぎてキリがないので、あえてディオが言われた台詞を言いたいと思います」と前置き。ジョジョファンならば誰もが知る名台詞、『さすがディオ!おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!』を選んだ。

今作の音楽を手掛けるのは、ロックを軸に革新的な楽曲を多く生み出してきたフランスを代表するミュージカル作曲家ドーヴ・アチア。既に仮歌を聴いたというキャスト陣からは、揃って「カッコいい」という感想が飛び出した。別所が「音楽についてカッコいい以外の表現をするとしたら、ジョジョという作品自体が持っている筆圧、アバンギャルドさが感じられました。星の輝きを持った楽曲も泥くさい楽曲もあり、人間くさい楽曲をどう歌い上げるのかご期待いただければと思います。『ジョジョがミュージカルになるとこうなるのか』ということが楽曲に込められていますので、どうぞご期待下さいませ!」と締め、1時間に渡る会見は終了した。

記事:水川ひかる/撮影:ケイヒカル

STORY(物語)
この物語はメキシコから発掘された〈謎の石仮面〉にまつわる
2人の青年の数奇な運命を追う冒険譚である!
19世紀、イギリス――。貴族階級の一人息子、ジョナサン・ジョースター(松下優也/有澤樟太郎)は、“ジョジョ”の愛称で呼ばれ、父ジョースター卿(別所哲也)の厳しくも温かい教育の下で“本当の紳士”になるよう育てられていた。そのジョースター家に、スラム街で生まれ育ったディオ・ブランドー(宮野真守)が養子として迎え入れられる。病死した父ダリオ・ブランドー(コング桑田)が、かつてジョースター卿の命を救った恩人であったため、ジョースター家に引き取られたのだった。二人は対等に育てられ、逞しく成長していくが、ディオは、“ジョジョ”の全てを奪おうと画策していた。愛犬ダニーや友人たち、初恋の相手エリナ・ペンドルトン(清水美依紗)、ついにはジョースター家の財産までも次々と侵略していこうとする。ディオの邪悪な企みに気が付いた“ジョジョ”は、ロンドンの貧民街・食屍鬼街(オウガーストリート)に向かい、そこで仲間になったスピードワゴン(YOUNG DAIS)の協力を得て、ディオの陰謀に加担したワンチェン(島田惇平)を連れて屋敷に戻る。絶体絶命となったディオは、ジョースター家に飾られている、闇の力を持つ<謎の石仮面>を利用し、強大な力を得る。圧倒的な力を手にしたディオに対抗するため、“ジョジョ”は〈謎の石仮面〉を追い続けるウィル・A・ツェペリ(東山義久/廣瀬友祐)の厳しい修行に耐えて〈波紋法〉を体得し、スピードワゴンとともにディオとの決着をつける旅に出る。一方、ディオは切り裂きジャック(河内大和)や伝説の騎士たちなどを従え、邪悪な帝国を築いて“ジョジョ”の訪れを待つ。“ジョジョ”とディオの長きにわたる因縁が、その奇妙な冒険が、いま始まる̶̶。

公演概要

原作:荒木飛呂彦
「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊)
演出・振付:長谷川寧 音楽:ドーヴ・アチア 脚本・歌詞:元吉庸泰
音楽監督:竹内 聡
アレンジメント・バンドマスター:蔡 忠浩
歌唱指導:山川高風/西川光子
美術:BLANk R&D
照明:齋藤茂男
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:久保嘉男(yoshiokubo)
ヘアメイク:奥平正芳
特殊メイク:快歩
アクションアドバイザー:HAYATE
振付助手:田路紅瑠美
演出助手:末永陽一/時枝正俊
舞台監督:菅田幸夫
舞台監督補:足立充章
編曲:長谷部光祐/竹内秀太郎
音楽監督補・稽古ピアノ:若林優美
稽古ピアノ:境田桃子
音楽コーディネート:東宝ミュージック(株)
制作:中谷佑子
アソシエイトプロデューサー:渡邊 隆/塚田淳一
プロデューサー:鈴木隆介/馬場千晃
宣伝フォトグラファー:間仲 宇
宣伝アートディレクション:三嶋章義

【東京公演】 帝国劇場
2024年2月6日(火)初日~2月28日(水)千穐楽
チケット一般前売日:2023年11月25日(土)
【全国ツアー公演】
札幌文化芸術劇場 hitaru
2024年3月26日(火)初日~3月30日(土)千穐楽
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2024年4月9日(火)初日~4月14日(日)大千穐楽

製作:東宝
ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』 公式サイト
https://www.tohostage.com/jojo/


©荒木飛呂彦/集英社