【インタビュー】「心にちょっとした引っ掛かりが作れたら」小越勇輝&井阪郁巳が初の江戸川乱歩作品で親友役に挑む!甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」


10月11日(金)から東京・天王洲 銀河劇場にて開幕する甦夢THEATRE「黄金仮面―masque doré―」。江戸川乱歩生誕130年を迎える2024年に、今なお愛され続ける長編推理小説『黄金仮面』が舞台化。「日本の三大名探偵」と称される明智小五郎役は小越勇輝、黄金仮面役は岡 幸二郎が演じる。


稽古も佳境を迎える中、メディアクトでは明智小五郎役の小越勇輝、波越警部役の井阪郁巳にインタビューを実施。稽古で見えてきた本作の見どころや、親友役を演じる2人の仲良しエピソードなどを聞いた。
――稽古も中盤に差し掛かっています。現状での手応えはいかがですか。
小越:これがわからないんです(笑)。もちろん稽古は順調に進んでいるんですよ。だけど、自由度の高いシーンが多いので、ここからまだまだ詰めていくだろうなと思うと、手応えと言っていいのかどうか……。どうですか?
井阪:本当に勇輝くんの言う通りで。動きも毎回違うし、彬さん(演出の山崎 彬)が「各々ちょっと自由に動いてみて」と言うことも多いので、ここからどう完成していくのかな、という段階ですね。明智くんは基本ずっと舞台上にいるのですが、僕は出ていないシーンもあるので、そういうときは外側から稽古を観ることもできて。そこで思うのは、台本を読んだときよりも、わかりやすいなという印象です。

――推理ものというとセリフが多い印象があって、さらに歌での表現も加わると、たしかに難しそうだなという印象を持っていました。実際には、わかりやすい作品に仕上がっているんですね。
井阪:そうですね。今回は少年たち(石田 隼、川﨑優作、吉澤 翼、納谷 健、福島海太、増本 尚、平松來馬)が状況説明もしてくれるし、あとはステージングや振付でもきちんと説明されていくので、言葉がちゃんと届けばすごくわかりやすいんじゃないかなと、今の段階では感じています。
小越:そうだね。僕の歌唱パートは主に心情を歌っていて。推理していく部分に関しては、もうとにかく喋っています。べらべら喋っています(笑)。
井阪:2回言った(笑)。
小越:いや、だってすごく喋るじゃない(笑)。とにかく矢継ぎ早に喋っていくので、その中でも、とくに大事な部分がお客さんにちゃんと伝わるようにしたいなと思っています。というのも、全部を伝えようとすると逆に伝わらないことってあると思うんです。なので、そこまで重要じゃないところは、ツラツラっと流れで言っちゃえばいいんじゃないかなと、今は考えています。
――セリフ量が膨大だからこそ、緩急を探っている?
小越:そうですね。明智は「これはこういうことですよね、こうですよね」といったセリフが本当に多い。どういう塩梅で緩急をつけていくといいのか、というのを模索しているところですね。

――全体像が見えてきた中で、お二人が思う見どころや注目ポイントを教えてください。
井阪:黄金仮面を誰が演じるのか、最初から明かしている作品ですし、原作を全然知らないお客さんも観ていたら途中から絶対犯人がわかると思います。それでも波越警部は、事件を解決するために、空回りしながらも必死に突き進んでいくし、明智くんの言葉を90%以上信用して行動していく。その明智くんへの思いって、波越警部にとって本当に強いものなんです。そこは波越警部としての見どころだと思います。なにせ、2人は親友ですからね。
小越:そうね。
井阪:お互いそう思っていたら嬉しいですけど、とにかく波越はめちゃくちゃ明智を親友だと思っています(笑)。
小越:作中ではそこまで2人の関係は深く描かれていないんですよ。一緒にいるシーンも多いわけじゃないですし。その中で、僕らの関係性をどれだけ出していけるのかっていうのも見どころの一つだと思います。
井阪:本番でやってくれるかはわからないんですが、今の稽古では勇輝くんが、慌てふためいてドタバタしている波越警部の服を、ササッと直してくれるんですよ。「落ち着け、波越」という感じで。すごく些細なことなんですが、僕は勇輝くんのそういうところから、「2人ってこういう感じなんだ」というのを受け取ってばかりです。
小越:そうそう。勝手にやっちゃってごめんね(笑)。
井阪:いえ、めちゃくちゃ嬉しいです。僕も明智くんの服を直してあげたいんですが、明智くんいつもビシッとしているから直すところがなくて……。
小越:アハハ。
井阪:代わりに、ひっつき虫のようにくっついています。

――明智の見どころはいかがでしょう。
小越:これまでいろんな方が明智小五郎を演じているので、僕の明智のビジュアルを見て「こういう感じなんだ」と驚いた方も多いと思います。そこをいい意味で武器にしていけたらいいですね。あと、明智は天才だけど、突き詰めていく努力家だとも思っていて。突き詰めた人が持つ“変人っぽさ”や、ヘラヘラしたところからビシッとしたときの切り替えとかを見せていけると、ユーモアがあって面白いのかな。だから、そこが見どころになるのかなと感じています。
――一緒に稽古をしてきて、お互いに役と似ているなと思うところはありますか。
小越:真面目でまっすぐ。あと、「はい! やります!」みたいな単純さもきっとあるんだろうなと感じています。波越警部ってちょっと抜けているところもあって可愛らしいキャラクターなんですよ。そこは稽古で見ていても、郁巳くんの構いたくなるような愛されキャラにリンクしているなと思います。
井阪:(しみじみと)めっちゃ嬉しい。僕から見た勇輝くんと明智に共通するのは、真ん中にいる人というところですね。セリフ量も圧倒的に多いのに、セリフを入れてくるのが誰よりも早いし、稽古後もずっと残って確認をしているし。圧倒的主人公感が本当にすごいです!
小越:やめてくださいよ。照れちゃう。
井阪:まだまだ喋れますよ! 勇輝くんのすごいところ!
小越:もう、恥ずかしいので途中から半分くらい聞き流してます……。いつも必死でやっているだけですが、でも、ありがとうございます(照)。

――親友役を演じるお二人。稽古場での仲良しエピソードはありますか。
小越:野球の話しかしてない(笑)。
井阪:会った瞬間に「大谷さん打ちましたね」「そうだね」みたいな感じです(笑)。僕も野球が大好きなんですが、 勇輝くんはめちゃくちゃコアなところまで情報を知っているんですよ。最初、話した時点で「あ、この人“通”だ」とピンときたので、顔を合わせる度に野球トークをしています。
小越:僕自身、あまり自分から芝居の話とかしないんですよ。
井阪:たしかにそうですよね。だから僕、最初、勇輝くんってご飯とか行かないタイプなのかなって思っていたんですが、誘われたら100%行っていますよね?
小越:うん、予定さえ空いてれば絶対行く。
井阪:ですよね。他のキャストから「勇輝くんとご飯行ったんだけど」って聞いたとき、本当にびっくりして(笑)。直接、勇輝くんに聞いてみたら、自分からは誘わないけど誘ってもらったら行くよと教えてもらって。僕はまだ一緒に行けていないので、残りの稽古期間、積極的に誘っていきたいなと思っています。
小越:僕が誘ったら、相手がどう思うのかなって気にしちゃうんですよ。だから、自分からは誘えなくて。
――でも、誘ってくれたら嬉しい?
小越:嬉しいです。
井阪:そうなんだ! それを知れて僕は嬉しいです!
一同:(笑)


――他に、稽古で印象に残っているエピソードはありますか。
井阪:勇輝くん、女中のシーンとかよく爆笑していますよね。
小越:僕はゲラなので、すぐ笑っちゃうんですよ(笑)。
井阪:少年たちは兼役で女中をやったり刑事をやったりするのですが、この前の稽古では、川﨑優作くん(中井英利役)がキャラの濃い女中を演じていて、かなり強烈でした(笑)。
小越:そうそう(笑)。少年キャストはとくに、ふざけたところとふざけていないところの紙一重をそれぞれが探っている感じです。でも、本番ちょっと怖いよね。
井阪:そうですね。
小越:少年たちは大真面目にふざけているので、絶対に笑えちゃうシーンって出てくると思うんですよ。お客さんも少年たちに引っ張られて笑っちゃうと思うんですよね。
井阪:その中で、僕らはセリフも芝居も止められない。
小越:どんな空気感になるのか、これは本番になってみないとわからないので、怖いですしし楽しみでもあります。


――改めて今作、どんな作品になりそうでしょうか。意気込みとともに読者へのメッセージをお願いします。
井阪:江戸川乱歩作品が初めてという人にとっては、僕もそうだったのですが、難しいんだろうなというイメージを持っている人も多いと思います。でも、この作品は楽な気持ちで来てくれたら、楽しめるというか。最初はもしかしたら「これってどういうことなんだろう?」と思う部分もあるかもしれないけれど、最後まで観てもらえれば「そういうことか、あれがここに繋がっているのか」と納得できるし、楽しめる作品になっていると思います。僕は今回、波越警部役を演じますが、実は、今年に入ってすぐの頃に、「幅広い役がやりたい。例えば、年齡も上がってきたし警部とかやってみたいな」と言っていたんですよ。そうしたら、この作品で波越警部役をいただいて。「やっぱり神様っているのかな」と嬉しかったことを覚えています。そんな波越警部役、頑張りたいと思います!
小越:原作が面白いのはもちろんで、ストレートプレイとしてやっても面白い作品だと思います。そんな作品を今回は「甦夢THEATRE」という形で、歌劇でもミュージカルでもない。でも歌は歌うという、新しい形で「黄金仮面」を現代に蘇らせることによって、演劇の面白さも表現できるんじゃないかと思っていて。演劇っていろんな形の面白さがあると思いますが、この作品は「そんなのアリ?」とか、観る度に癖になるとか、そういったタイプの舞台の面白さが味わえる作品だと思います。観にきてくださった皆さんの記憶や心に、ちょっとした引っ掛かりが作れたらいいなと思う作品です。初めて挑む江戸川乱歩作品で、明智小五郎役を託していただいたからには、精一杯頑張ります。

取材・文:双海しお/写真:ケイヒカル
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ヘアメイク:
小越さん/佐々木渚香
井阪さん /齊藤沙織
スタイリスト:小田優士
衣装:小越さん/
・Karaln(03-6231-9091)
・JUN OKAMOTO(03-6455-3466)
井阪さん /
・JUN OKAMOTO(03-6455-3466)
公演概要
タイトル 甦夢 THEATRE「黄金仮面―masque doré―」
期間・劇場 2024 年 10 月 11 日(金)~10 月 20 日(日) 天王洲 銀河劇場
原作 江戸川乱歩『黄金仮面』
演出 山崎 彬
脚本 石井幸一(一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド)
音楽 油井誠志(Avex Music Creative Inc.)
作詞 三ツ矢雄二
出演 明智小五郎 役 小越勇輝
波越警部 役 井阪郁巳
小林芳雄 役 佐藤永典
大鳥不二子 役 小林由佳
鷲尾侯爵 役 高橋良輔
山田風太 役 石田 隼
中井英利 役 川﨑優作
中島河太 役 吉澤 翼
坂口大吾 役 納谷 健
松本清太 役 福島海太
木々太郎 役 増本 尚
高木 彬 役 平松來馬
黄金仮面 役 岡 幸二郎
チケット情報 <一般発売日>2024 年 9 月 8 日(日)10:00
<料金>(全席指定・税込)
【平日】 S 席:10,000 円 S 席サイドシート:10,000 円/
A 席:8,000 円 A 席サイドシート:8,000 円
【土日祝】S 席:11,500 円 S 席サイドシート:11,500 円/
A 席:9,500 円 A 席サイドシート:9,500 円
公演に関するお問い合わせ ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/
チケットに関するお問い合わせ サンライズプロモーション東京
0570-00-3337(平日 12:00~15:00)
主催・制作 ネルケプランニング
【公演概要】https://www.nelke.co.jp/stage/theatre_ougon/
【公式 X】https://x.com/theatre_ougon
ハッシュタグ:#そむテアトル #黄金仮面
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