【ゲネプロレポート】『FF』シリーズが初の舞台化『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』レポート！　主演：吉⽥仁⼈（M!LK）／武藤 潤（原因は⾃分にある。）

『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』が、2月23日（木・祝）～3⽉3⽇（⽇）にヒューリックホール東京にて上演される。メディアクトでは、上演に先駆け実施されたゲネプロのレポートをお届けします。
なお、本舞台に出演する吉⽥仁⼈さん（M!LK）武藤 潤さん（原因は⾃分にある。）のお二人には事前にインタビューを実施してますので、そちらも合わせて読んでみて下さい。

→【インタビュー】初主演・吉田仁人(M!LK)と双子の兄弟を演じる武藤 潤(原因は自分にある。)に注目！　『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争THE STAGE』インタビュー | メディアクト (mediact.info)

物語は赤き獅子の国リオニスの若き王子モント・リオニス（演：吉⽥仁⼈「M!LK」）を中心に進行します。争いごとを好まず、列強とは共存すべきと考えているが、リオニスの王エルデ・リオニス（演：前川泰之）の指示により戦線へと繰り出しています。半面、モンドの双子の弟はシュテル・リオニス（演：武藤 潤「原因は⾃分にある。」）は、剣の腕は父親譲りの実力者だが、父エルデの命により戦場に出ることは叶わなく、不信感を募らせていました。
この作品の根本はこの関係性が重要となっており、戦いを好まないモントが戦場に駆り出され、実力者のシュテルが燻る。このことにより、両者の感情が揺れ動いていくことが描かれており、それが大きな戦争のぶつかり合いに加え、複雑な人間関係が物語に厚みを与えます。モントのまっすぐな仲間を思う姿勢や戦いぶりは主人公たる眩しさを放ち、父に認められないシュテルの悔しさ、そして自分を信じる力強さはライバルキャラクターとしても感情移入ができます。
物語が進むにつれ、様々なキャラクターの思惑が明かされていきます。なぜ、このような行動を取ったのか、ということの答え合わせがいくつも連なっていく部分はとても気持ち良く楽しめます。

シュテルとモント。すれ違う運命の双子を好演！

左：エルデ王と王妃ヘレナ・リオニス（演：鈴⽊紗理奈）。息子を常に案じる二人。
右：モントはホルンの王妃マシュリ―（演：川上千尋「NMB48」)との出会いにより、強くなることを決意する。

クリスタル教のサーダリー・クルステア（演：浦野秀太「OWV」）は、シュテルに対して「力になりたい」と交渉する。

本作から感じられるテーマは「戦争」と「葛藤」です。

小国ですがとある理由のため列強から一目置かれている「リオニス」、それをせん滅しようとする「フェネス」、フェネスとは同盟国である「ホルン」、目的のために暗躍する暗躍する「クリスタル教」。様々な思惑からそれぞれがどの立場で戦うのかという全体構造の見通しはしやすくなっていますが、ここに様々な戦略や情報戦や人間関係が加わることで「どんなことを画策しているか」ということを考える楽しみが生まれます。

また、個々の人物の思惑と行動指針があるのも重要で、これにより様々な「葛藤」が生まれます。そして、それぞれのキャラクターが葛藤を抱えながら、成すべきことを成そうとするからこそ、ドラマが生まれていくわけです。
たとえば双子の父親、リオニスの王エルデ。彼は代々受け継がれるしきたりを守らなければいけない「王」という立場と、息子のことを考えたい「父」の立場を常に抱えています。無口な性格であまり語らない部分も息子との確執が生まれてしまいます。そんな中で彼が取った行動は……二人の息子を信じるからこその行動で、それに対するシュテルの本音を叫ぶシーンは、それまでの過程を思うと胸がギュっと掴まれるような気持にされました。重ねてきた葛藤が結んだドラマといえます。

「戦争」の大きな流れの中に埋まる人間の「葛藤」をぜひご覧ください。

最後に。本作は「FINAL FANTASY」の名を冠してはいますが、ご紹介の通り、戦争の構図と人間模様を理解して楽しむ作品となっております。したがって、「FINAL FANTASY」を全く知らない人でも、楽しむことができる作品です。もちろん、原作を普段から楽しんでいる人には、その世界が具現化されていることに大きな喜びを感じることでしょう。その感動をぜひ、劇場でお楽しみください。

写真：©︎岩田えり