【ゲネプロレポート】「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 3」ゲネプロ公演&囲み取材レポート

レポート

アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のスピンオフストーリーを描く、舞台シリーズ第3弾にして最終章「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 3」が2024年3月15日(金)に東京・THEATER MILANO-Zaで幕を開けた。

メディアクトでは、初日に先立ち実施されたゲネプロ公演と囲み取材の様子をお届けする。

ゲネプロレポート

主人公は、かつて公安局刑事課三係に監視官として所属していた九泉晴人(演:鈴木拡樹)。とある機密計画の真相に触れた九泉は、シリーズ第一作目で同じ監視官の嘉納火炉(演:和田琢磨)と対立後に休職し、過去の記憶が曖昧になっている。現在は、心理カウンセラーの林崎仁哉(演:多和田任益)のもとでカウンセリングを受けていた。

物語は、九泉が “再び“ある計画の被験体として選ばれたと告げられたところから始まる。

うつ病を自認しており記憶のおぼつかない九泉だが、海堂自我監視官(演:和田雅成)率いる公安局刑事課三係に復帰することになる。公安局刑事課三係は、海堂をはじめ新しい執行官のメンバーが揃っていた。
柄が悪いが憎めない鹿取尊(演:田村心)は、過去に海堂と何か関わりがあったようだが、それを口にすることはない。激しさの中に時折見せる切ない眼差しが、観客の心を掴む。

菊池修司が演じる水落涼介は、この作品の太陽のような存在だ。職場にギターを持ち込んで練習をする姿は眩しく愛らしいが、一本筋の通ったカッコよさも光る。元国防軍兵士の馬場吾郎(演:中村祐志)は、気は優しい力持ち。コミカルな笑いを誘うシーンとアクションシーンのギャップが凄まじい。三係最年少の青蓮院洸也(演:春本ヒロ)は、映画好きでおとなしい青年だ。個性豊かな面々だが、海堂を中心にまとまる姿からは彼らの信頼関係が窺える。
九泉は復帰早々、彼らと共に学者殺しの事件の捜査を行うことになる。

事件の犯人は、犯行に使用された凶器などから殺すことに躊躇いのない人物だと推測されるが、街頭スキャナにはそれらしき人物の反応はなかった。そこで三係は、前触れもなく突如色相悪化した暴徒たちが出現するここ最近のサイコハザードとの関連性が高いと見て、一連の事件の捜査を進めていく。
捜査を行ううちに、殺害された学者と「イリュージオ(演:山本咲希)」という人気歌手の事件への関わりが浮かび上がっていく。イリュージオの声を聞いて自らの異変に気がついた九泉は、イリュージオのライブを阻止しようとライブ会場へ乗り込む。
事件の鍵を握るイリュージオの正体、九泉や海堂の過去とは――。結末を見届けた際には、正義の在り方や自分らしさについて、深く考えさせられることになるだろう。

PSYCHO-PASSの世界は、シビュラシステムが下す完璧に正しい判断によって成り立っている。しかしシリーズ第一作目、第二作目を通して、登場人物はもちろん、観客もその“正義”の在り方を問われ続けていた。

冒頭から小さな違和を積み重ねていく奥深い脚本は、今作も深見真が担当する。隠されていた真実が徐々に明らかになっていくストーリーにのめり込むうちに、一時間五十分の公演時間はあっという間に過ぎてしまう。

また、前作に引き続き可動式のセットや映像を駆使した演出も健在だ。多くの照明や映像を用いて表現された世界観は、今作も圧巻。映像を投影しながら動くセットは、まるでひとつのアトラクションのように仕上がっている。パズルのように切り替わっていく光景を見ているうちに、観客は自身がPSYCHO-PASSの世界に入り込んだような錯覚を覚えるのではないだろうか。

シビュラシステムに管理された世界は無機質さを感じさせるが、そこに役者の熱が絡み合うことで一気に深みが増す。映像演出により独特の世界観を構築しながらも、生きた人間の温度を感じられるのも舞台PSYCHO-PASSの大きな魅力だ。

囲み取材

囲み取材には九泉晴人役を演じる鈴木拡樹、海堂自我役の和⽥雅成の2名に加え、総合演出の本広克行と演出の元吉庸泰の4名が登壇。

今作の見どころや、作品を作るうえでの苦労などについて語った。

――本作の見どころについて教えてください

鈴木:シリーズ通して、人間の苦悩を描いている作品です。僕が演じている九泉もですが“生きる苦悩を”感じています。また、人間とは何かを追求する作品となっており、今作でもそれぞれの感じ方を描いていますので、それを自分に置き換えて考えてくださればと思います。「人間とは」「自由とは」を考えられる、深い作品になっているところが見どころです。

和田:シリーズ最終章、僕が出演するのは初めてなんですけども、今作らしい三係ができあがったんじゃないかと思います。愛せる執行官のメンバーが揃ったので、そこが魅力だと思っています。

元吉:映像や照明、音響などの演出はありますが、一番の見どころは俳優たちが芝居を一生懸命やっている姿だと思います。この世界の中でどうやって生きるかを突き詰めるためにずっといい稽古をしてきましたので、ぜひ注目していただければと思います。

本広:本作はアニメ版から考えると、かなり長い年月が経っています。メディアミックスなので漫画や小説などもあり、全体的に走っています。舞台版の最終章となった時に僕がずっと演出をしていてはダメだろうと思い、新しい方にどんどん入っていただきました。今回の元吉さんの演出もぴったりだと思いますし、僕も観客として楽しめるような気持ちでやってまいりました。

――苦労したことは?

鈴木:たくさんありました。舞台を作るにあたってはいろんなことを気にしなければいけないですし、この作品にもそういったことはありました。ただ、やはりキャストが良かったおかげで、苦悩というよりも楽しさが上回った状態で作品を作ることができました。

和田:拡樹くんは一作目にも出ていて、二作目にも本人は出演こそしていませんがそこにいるイメージがありましたので、そこに追いつかなければいけないなと思っていました。まだ正直自分の中で葛藤していたり追いつけていないないと感じる部分もあるので、劇場とお客様と一緒になって追い付いていきたいと思います。

元吉:苦労よりも、楽しさが勝っていました。個人的には、僕は一作目の時には僕は観客席にいましたし、アニメはリアタイ勢のファンでしたので、そんな作品にどういうエッセンスを取り入れて、どういう風に演劇作品として演出をするかという心構えの部分が大変でした。初めて本広さんと打ち合わせをした時は緊張しましたが、本当に優しく導いて下さいました。

本広:PSYCHO-PASSって、正直理解するのが難しいんですよ。深すぎて、何回も悩むんですよね。脚本も悩みましたが、それも面白さにつながっていると思います。

――お客様にメッセージをお願いします。

鈴木:『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』シリーズのファイナルになります。皆様にしっかりお届けしますので、第三弾から観た方もぜひ遡って観ていただきたいですし、五年間応援してくださった方には完結をお届けしますので、すっきりした気持ちで見届けていただけたらと思います。

和田:僕は今回からの参加になります。今回から観る方も多いかと思いますが、初めての方でもしっかり楽しめるように皆さんが作ってくださったので、心配せずに観にきていただけたらと思います。

元吉:この世界、この時代というものを体感していただけたらと思います。この街自体を楽しんでいたける舞台になっていると思いますので、よろしくお願いします。

本広:難解さを諦めるのではなく、楽しんでいただけたらともいます。難しい台詞もありますが、アクションとのバランスも格好いいので、初めて観る方にも楽しんでいただける作品になっています。よろしくお願いします。

記事:水川ひかる/写真:ケイヒカル

【公演概要】
タイトル︓『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 3』


公演⽇程︓
<東京>2024 年 3 ⽉ 15 ⽇(⾦)〜3 ⽉ 24 ⽇(⽇)
THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6 階)
<⼤阪>2024 年 3 ⽉ 28 ⽇(⽊)〜31 ⽇(⽇)
⼤阪・森ノ宮ピロティホール

チケット販売︓
<一般発売>
チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/psycho-pass-stage/
【Pコード:524-618】

ローソンチケット
https://l-tike.com/psycho-pass-stage/
【Lコード:33183(東京公演)、52637(大阪公演)】

イープラス
https://eplus.jp/psycho-pass-stage/

※未就学児⼊場不可 ※営利⽬的の転売禁⽌
※公演中⽌を除き、払い戻しはいたしません。予め御了承下さい。
※⾞いす席をご利⽤のお客様はチケットをご購⼊の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。
※お席の場所によりましては舞台・映像・演出の⼀部で⾒えづらい箇所がございます
※出演者及び公演スケジュールは予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。

出演︓
九泉晴⼈︓鈴⽊拡樹 海堂⾃我︓和⽥雅成
林崎仁哉︓多和⽥任益(梅棒) ⿅取尊︓⽥村⼼ ⽔落涼介︓菊池修司
⾺場吾郎︓中村祐志 ⻘蓮院洸也︓春本ヒロ /⾼橋駿⼀ ⼯藤潤⽮ ⼭本咲希
嘉納⽕炉︓和⽥琢磨(映像出演)
⽯澤友規 池之上頼嗣 松岡歩武 森本⻯⾺ ⼭川源太 藤⽥真澄 若尾颯太 篠原雅史
原作︓サイコパス製作委員会
総合演出︓本広克⾏
脚本︓深⾒真
⾳楽︓菅野祐悟
演出︓元吉庸泰 演出補︓荒井遼 脚本協⼒︓私オム
アクション監督︓奥住英明(T.P.O.office) 美術︓⽯原敬(BLANk R&D INC.)
照明︓吉川ひろ⼦(クリエイティブ・アート・スィンク) ⾳響︓今村太志(サウンドクラフトライブデザイン社) 映像︓横⼭翼
⾐裳︓桃⽊春⾹ ヘアメイク︓河村陽⼦ 舞台監督︓⼤友圭⼀郎
宣伝美術︓⽯塚丈仁(Rotterdamʻs doing.) 宣伝写真︓本多⼤介(エーケーエー)
DOMINATOR 協⼒︓株式会社 Cerevo
プロデューサー︓千葉悦⼦(room NB)、深澤耕輔(FAB)
制作︓room NB、FAB
主催︓舞台「サイコパス 3」製作委員会

舞台公式サイト︓https://psycho-pass-stage.com
舞台公式 X(旧 Twitter)︓https://x.com/PSYCHOPASSstage

©サイコパス製作委員会 ©舞台「サイコパス3」製作委員会