【開幕直前取材】小野塚勇人（劇団 EXILE)＆ 武藤 潤（原因は自分にある。）×富永勇也 主演で贈る新感覚ミステリ・ミュージカル『ルームメイトと謎解きを』（ゲネプロ写真あり）：レポート追記

ミステリ・ミュージカル『 ルームメイトと謎解きを 』 が 2023年11月18日～26日、東京・サンシャイン劇場にて開幕いたします。メディアクトでは開幕に先駆けて行われた「開幕直前取材」の模様をレポートいたします。
また、ゲネプロも模様も写真のみですが、速報でご紹介させて頂きます。ぜひ、ご覧ください。

開幕直前取材

一人一人コメントが寄せられました。

小野塚勇人（劇団 EXILE )：兎川雛太 役
明日から初日を迎えるということで、限られた時間の中で密度の濃い稽古をしてきたので、「ルームメイトと謎解き」の世界を皆さんに見せられるのを楽しみにしています。よろしくお願いします。

富永勇也：鷹宮絵愛 役
ここまで無事に辿り着けたことに安心してると同時に、これから皆さんに見てもらうということで、今までの稽古で培ってきたものを沢山届らられるように頑張りたいと思います。

長江崚行：園部 圭 役
稽古場から和気藹々としつつ、やるときはしっかりやるという座組に入れたことがなによりも楽しいです。男子高校生ノリみたいなものが見ているお客さんが楽しんでもらえるポイントだと思いますので、隅々まで楽しんでもらえるようよろしくお願いします。

加藤 将：志儀 稔 役
ネタバレになるから詳しくは言えないんですけど、人間味のある話だったり、タイトルを見ただけじゃわからないと思うので、役者一人一人が人のため人のためにしていけたらこの作品はすごく素敵な作品になるんじゃないかなって稽古で実感していました。今日もゲネプロおもいっきりミスっても、誰かのためにお芝居しようと思います（外野から「ミスらないで」と突っ込み）。ミスらないようにしますので、今日のゲネプロ最終調整として、今日いない武藤の分も共に頑張っていきます！

山野 光：棗 誠之助 役
ここまで辿り着けたかという気持ちと共に、自分のこの作品の中での役割と、素敵なキャストの皆さまのそれぞれの役割をめちゃくちゃ全うしているなって思って稽古が楽しかったです。今、本番を迎えるのが楽しみです。よろしくお願いします！

健人：有岡優介 役
寮長としてみんなを引っ張っていけるように頑張っていきたいと思います。今回ミステリーということで、色んな登場人物の視点から物語を見ることによって、いっぱい楽しめんじゃないかと思いますので、ぜひぜひ何度も見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

横山賀三：早乙女唯哉 役
本当に面白くて心がウキウキするような楽曲ばかりなので、稽古の時から楽しくて、今からお客様に届けるのが楽しみです。精一杯頑張ります。

松村 優：元村 瞬 役
僕らは男子高校生なので、見て頂く皆さんも等身大の高校生の気持ちで見て頂けたら、より僕たちのノリを楽しんで頂けると思いますので、ここまでやってきて、皆さんに素敵な作品をお届けできればと思っていますので、よろしくお願いします。

加藤良輔：湖城 龍一郎 役
ここまでみんなと一生懸命一緒に積み上げてきたものをしっかり表現して、見に来て下さる皆さんと謎解きをしながら楽しみたいと思います。

陳内 将：大河原先生 役
大河原先生以外の感覚みたいなものを持っている瞬間がございました……そういった点でも見終わって頂いた瞬間、そういうことを言っていたんだなって思えると思いますので、稽古してきたものを精一杯取り組んでいきますので、よろしくお願いします。

青野紗穂：千々石菫子警部・倉林沙 役
皆さんが言ったことがそのままなんですけど、稽古時間が短い中でこのメンバーだからここまで来れたというのもあると思います。先輩方の背中を見ながら来ましたので、見に来て下さる方は手放しで謎解きに遊びに来て頂ければと思います。

鈴木壮麻：郷田忍警部補 役
演出家の板垣さんと作曲の桑原さん達のタッグの組んだ作品に出たいと思っていたので、すごいワクワクしながら稽古をしていました。瞬発力がすごい若者たちを目の当たりにして稽古場で、僕はどうやったらいいんだろうって思っていました。彼らから刺激を受けて、自分なりに楽しい稽古機関を過ごすことができました。この作品を見て頂いて、クラスメイトがソウルメイトになっていくその瞬間を体感して頂けると思います。見終わった後、学校の友達たちの声が聞きたくなる、そんな作品になればと思います。

板垣恭一：脚本・作詞・演出
原作を書評サイトで偶然見つけまして。タイトルを見て、これは芝居になるんじゃないかなという勘と共に、さっそく読み始めて、読み終わって、これはちょっとミュージカルにしたいなって思ったところが最初でございました。まず原作が面白いです。僕はまんまと騙されて犯人が分からなくて、うわーそうなんだーというこの感じを舞台にしたいと思いました。若い男の子がわちゃわちゃとみんなが走り回っている感じがイメージできたので、これはやろうかなって。
あとは音楽の桑原まこさんとタッグを組んでいて、ありとあらゆる無理難題に応えてくれるので、今回はきっとかっこいいものを書いてくれるんじゃないかなって思っていたら、ロックでジャジーでポップスの色も強い……歌っている人には地獄のように難しいようですけど（笑）原作の良さと音楽の良さを伝えたいのと、それを演劇にするということで足せる情報の良さを盛り込んでいるつもりです。とにかく男の子たちが走り回る稽古場の楽しい作品になりましたので、皆さんやる気満々でついてきてくださって。楽しさとシリアスなミステリーをお客さんに届いたらと幸いです。よろしくお願いします。

最後に小野塚さんから締めの言葉を頂きました。

僕は今年で30歳で、約年齢の半分の役を挑戦させて頂くということで、その頃の自分を思い出して、稽古場から男子校のノリみたいなことをやってきましてん……今が一番若いなって思っています。
この作品を通して、ミステリーの謎を解くドキドキ感と青春の生き生きと演じている姿を見て、パワーとかエネルギーを受け取ってもらえると思いますので、ぜひ劇場でお待ちしています。元気をもらいに来てください！

観劇レポート（2023年11月26日追記）

本作は、高校在学中に「無気力探偵面倒な事件、お断り」でデビューした注目の若手作家・ 楠谷佑 原作による、全寮制男子校 × 本格ミステリ 『 ルームメイトと謎解きを 』（ポプラ社刊）が、オリジナルミュージカルとして日本初演となります。

本作は、男子高校の寮生活が描かれる青春群像劇と、そこに暗い影を落とすシリアスさ、ミステリー作品としての情報精査と証明を軸に繰り広げられる推理劇が折り重なって構成されています。本作はミュージカルです。学生寮でのやりとりでは明るい楽曲で楽しい生活を彩り、事件が起きてからは重厚な楽曲がシリアスな雰囲気を生み出します。生演奏が実施されていることもあり、物語に躍動感を与えてくれます。

序盤では、彼らが寝食をともにする「あすなろ館」にまつわる登場人物の人間関係が描かれていきます。霧森学院の生徒、教師、職員……あすなろ館の住人で空手の実力者・兎川雛太（演：小野塚勇人（劇団 EXILE )）と同じ部屋に新たな住人として鷹宮絵愛（演：富永勇也）がやって来るところから始まります。人との交流には難があり動物にしか興味を示さない絵愛ですが、洞察力が優れ、些細なことから物事を察する能力を持っています。熱血漢の雛太と変人の絵愛は水と油のような性格でうまくかみ合いません。
この二人の関係性が物語の展開ごとに少しずつ変化していくことが本作の魅力の一つで、序盤ではうまくいかない二人ですが、とある事件をきっかけに少しずつ距離が縮まり、殺人事件を解き明かすために奔走する兎川に感化されるように絵愛も心を通わせるようになっていきます。必死に行動を全力で起こす小野塚さんの演技が周りを惹き込み、見る物を前のめりにしてくれます。半面、クールに推理を披露する富永さんですが、それに加えて徐々に熱のこもった推理になっていく部分も見ものです。まずはこの二人の関係性が変わっていく、青春物語として楽しみましょう。

本作は二部構成の作品です。一部ではキャラクター達の関係性の紹介、そこで巻き起こるトラブルなどが描かれ、最後に殺人事件が起きて幕を閉じます。事件自体はいわゆる密室殺人にあたり、それも容疑者となる8人にはアリバイが無いように見えます（誰でも犯行は可能だった）。二部では推理に必要な情報が集まっていき、それらを元に真相を解明していくわけです（一部でも重要な情報はありますので、様々な行動や事象に目を光らせておくのがオススメです）。しかし、本来であれば探偵役になるであろう絵愛も容疑者に含まれております。彼のために奔走するのが、あすなろ館の住人で唯一容疑者から外れた雛太。彼は、信頼している、そして友人として認めている絵愛のために、他の容疑者や関係者を聴取し、それを絵愛に共有していきます。

物語の軸としてシリアスな人間ドラマが骨子にあるため、作品としての満足度を底上げしてくれます。ミステリー作品ではありますので、殺人事件の真相に迫ることで様々な人間関係が明るみになっていきます。推理披露シーンは様々な時系列を洗ったり（タイムライン精査）や犯行時刻以外の時系列でも犯人が行うべき行動ができたか否かの判断によって犯人を絞っていきます。いわゆる消去法で特定していく形になりますが、それが丁寧に説明されていくことと、そのシーンを再現したりすることでとても理解しやすく処理されていきます。真相解説はミステリー作品の華です。それが徐々に、そして確実に真相に迫っていくような進行の仕方は見事で、観客がさらに物語に引き込まれていきます。

本作は、単純な青春群像劇だけではありません。人が人として感じる感情、なぜこの犯行を行ったかという動機、複雑に絡み合う人間模様が紐解かれてていくにつれ、その感情が客席に伝播し様々な感情が渦巻きました。
何が大切なのか、何を大切にして生きていくのか……序盤のさわやかな楽しい青春物語が「尊い」ものとして輝くように感じることができるでしょう。ミステリーとしても青春群像劇としても楽しめる濃密な時間を過ごせました。

本記事の公開タイミングでは公演は千秋楽を残すみとなっております。ですが、ストリーミング配信や、原作小説で物語を感じることはできます。
今後、ストリーミング配信を観る方や、原作小説を読む方は、その時々の感情のままに物語をお楽しみください。彼らの鮮やかな気持ちを等身大で体験し、物語の世界に没入してください。彼が感じる少しだけ青臭い、それでもまっすぐなものをそのまま受け取ることを願っています。

文：木皿儀／撮影：ケイヒカル