【インタビュー】平安初期の蝦夷の族長「アテルイ」をモチーフにした舞台「アテルイ」。主演・アテルイ役の富永勇也さんインタビュー

10月9日（水）、東京・ペース・ゼロ（こくみん共済 coop ホール）で舞台「アテルイ」が開幕する。本作は、平安初期の蝦夷の族長「アテルイ」をモチーフにした作品。悲劇の英雄アテルイとライバル坂上田村麻呂という古代日本屈指の人気を誇る題材を、華やかな衣装に身を包んだ若手俳優陣による勢いのある殺陣と熱量ある芝居でドストレートに描く。

メディアクトでは、主演を務める富永勇也にインタビューを実施。本作への意気込みや自身の役作りなどについて語ってもらった。

――ご出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。

シンプルに、嬉しかったですね。アメツチさんは３年前に『あやかしむすび』に出演させていただいてから、定期的に交流がありました。いろんな仕事が決まるたびに喜んでくれたり、「いつかまた一緒にやりたいね」と密に連絡を取っていたので、こうしてまた機会を与えてくださって嬉しかったです。

――当時の思い出や、今作で楽しみにしていることはありますか。

当時、初めて主演をやらせていただいたんです。千穐楽が終わった時、袖で待っていた皆が「お疲れ様」って迎えてくれて、僕泣いちゃったんですよ。その光景を今も覚えています。すごく温かいし、熱い座組でしたね。

脚本は今回も前回も（山田）英真さんですし、共演したことがある人もたくさんいる座組なので楽しみです。皆色んな現場を踏んできたと思うので、お互いの成長をぶつけあっていい作品にしていきたいと思っています。

――共演される方々の印象はいかがでしょうか。

今回、アンサンブルの方々も僕より年上の方が多いんです。Xを拝見していると僕らに対して「プレッシャーをかけていこう」ですとか、意識の高い方々が集まっているので、すごくいい作品が出来るんだろうなと感じています。

――今作の魅力や、楽しみにしていることを教えてください。

男と男の熱いぶつかり合いですね。信念を持った者同士がぶつかり合うという、「男は絶対好き！」という熱い要素が多いです。今回は殺陣も多くて、少なくとも僕は二百手くらいはありますね。『あやかしむすび』や『三国無双』も二百くらいありましたので、今回も頑張りたいと思います。

アテルイは蝦夷に誇りを持っている愛情が強い人物ですので、蝦夷チームとの掛け合いも楽しみですね。

――富永さんが演じるアテルイという人物や、役作りについて教えてください。

アテルイは情に厚くて、日高見という地に生まれた仲間を大事にしている人物です。周りに対して人一倍強い愛情を抱いています。

ただ、アテルイという人物の名前を史実からお借りしてはいるんですが、アテルイのバックボーンを調べても正史とされる資料がなかなか残っていないんですよね。オリジナルキャラクターも多くて、史実をそのままなぞった登場人物はほぼ描かれていないので、脚本としてどう見せるかを大事にしたいと思っています。今この瞬間に彼らと演じるものを大切にして、アテルイに対する想像を膨らませながら役作りをしていけたらと思います。

――アテルイとご自身の共通点はありますか。

僕は交流が狭く深くタイプなんです。アテルイ程ではないかもしれませんが、好きな人に対する愛情が深いところが共通点だと思います。

――坂上田村麻呂役の谷佳樹さんの印象を教えてください。

まだまだ稽古序盤で会話が増えてきたところなんですが、最初からすごく気さくで人当たりの良い方だなって思いました。稽古初日から台本を持たずに準備をして臨まれている姿から、見習うところが多いと思いました。

――今作は、登場時人物達の信念が一つの核になっているかと思います。富永さんが、ご自身の人生の中で貫き通したいことはありますか。

自分が納得したことをやっていきたいですね。理不尽なことがあったとしても、強い者に巻かれたりしない。カッコつけた言い方になってしまうかもしれないんですが、自分を曲げずに貫いていきたいと思います。

――最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いします。

まだどういう作品になるかはまだ未知数ですが、信頼に足るメンバーが集まりました。英真さんの脚本で、熱い作品になると確信もしています。この作品を観て何を受け取るかは十人十色かとは思いますが、僕たちが演じることで熱量が届いて、皆様の活力になればいいなと思っています。

取材・文：水川ひかる／写真：ケイヒカル