【インタビュー】平安初期の蝦夷の族長「アテルイ」をモチーフにした舞台「アテルイ」。田村麻呂の右腕である幸武を演じる猪野広樹インタビュー

インタビュー

10月9日(水)、東京・ペース・ゼロ(こくみん共済 coop ホール)で舞台「アテルイ」が開幕する。本作は、平安初期の蝦夷の族長「アテルイ」をモチーフにした作品。悲劇の英雄アテルイとライバル坂上田村麻呂という古代日本屈指の人気を誇る題材を、華やかな衣装に身を包んだ若手俳優陣による勢いのある殺陣と熱量ある芝居でドストレートに描く。

メディアクトでは、田村麻呂の右腕である幸武を演じる猪野広樹にインタビューを実施。本作への意気込みや自身の役作りなどについて語ってもらった。

――ご出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。

最初はアテルイっていう人のことを知らなかったんですよ。台本を読んで嘘だろと思ったんですけど(笑)、蝦夷のことを調べて知ることが出来ました。史実に基づいた作品を演じるのは好きなので、嬉しさがありましたね。

――脚本を読んだ感想や、今作の見どころを教えてください。

今作は朝廷側と蝦夷側に分かれていて、どちらの正義もあるという分かりやすい作品かと思います。ただ、登場人物の過去が掘り下げられていないので、それぞれが作っていく必要があると思いました。僕が演じる幸武についても「なぜ田村麻呂についていくのか」「どうして三好がついてくるのか」など、書かれている以上の部分を深めていきたいと思っています。

見どころは、殺陣がカッコいいですね。アンサンブルの方々もプロ意識が高いですし、殺陣にも個性があるんです。一撃一撃が重い登場人物もいて、それを受ける側も普通より吹っ飛んだり、そういう個性が出てきたのが面白いですね。殺陣は久しぶりなんですが、楽しいです。今回は久しぶりに髷もあるので、そこはちょっと大変そうですね。

――幸武を演じるにあたって、役づくりのポイントを教えてください。

幸武は当て書きらしいんです。口数は少ないけど、心に熱いものを秘めているという…(笑)。そこはしっかりと踏襲していきたいですね。

朝廷には帝がいますが、そういう政治的なところには絡んでいないんじゃないかな、とは思います。田村麻呂についていくために、とにかく戦うことに特化したような人物かと思います。平安初期って、武士はまだいないんですよね。だけど幸武は、剣の腕がすごく立つ。それはDNAが理由かもしれないし、朝廷で教えられていたからかもしれない。田村麻呂についていく前は拾い子だったかもしれない、親は亡くなってしまって一人で生きていかなきゃいけない、生きる術を見つけるために強くなったのかもしれない……そこで田村麻呂に拾われてついていく忠義を感じていたのかな、などを考えています。説得力を持たせるために、過去を想像しながら役作りをしていきたいですね。

――演じるうえで、楽しみにしていることはありますか。

幸武は実在してない人物なので、オリジナルだからこそ楽しい部分があります。自分の中の想像を膨らませて、作品に良い影響を与えるようにしていきたいと思います。

三好(演:前嶋 曜)という人物が僕の下についているんですが、彼がどうして幸武についてきているのか、どうして幸武は三好の世話をしているのか…。世話をするように田村麻呂に言われたのかな、自分と似た境遇だったから剣術の指南をしているのかな、など、いろいろ考えています。そういう関係性を少しずつ作っていくのも楽しいですね。

――幸武と猪野さんご自身に共通点はありますか。

この人についていくって決めたら、ついていきます。お世話になった人には足を向けない、というところですね。

――主演の富永さんや坂上田村麻呂役の谷さん、他のキャストさんの印象を教えてください。

アテルイも田村麻呂も膨大な台詞があるのに、初日からしっかりと入れてきているところが素晴らしいな、と。ただ、残念ながらアテルイと舞台上では絡みがないんですよね。

全ちゃん(橋本全一)は7年ぶり、祥ちゃん(日向野祥)は5年ぶりくらいかな。もっさん(本川翔太)も3年ぶりで、皆久しぶりすぎて距離感を考えているところです(笑)。

全ちゃんはずっと変わらないですね。見た目はいかついのに一人称「僕」なんですよ。変わらない可愛さがありますね。

――今作は、登場時人物達の信念が一つの核になっているかと思います。猪野さんが、ご自身の人生の中で貫き通したいことはありますか。

いっぱいありますね。さっきのお世話になった人には足を向けないっていうのもそうですし。意識していたわけではないですけど、気が付いたら義理は大事になっていました。

あとは、言葉も大事にしています。言葉を扱う職業なので、人から出てきた言葉も気をつけて聞くようにしていますし、「今はどういう意味で言ったんだろう?」と一つ一つを深く考えるようにしています。

――先日誕生日を迎えられたばかりですが、32歳の目標などはありますか。

「そうぞう」ですね。想うと創る、2つの意味です。

年を重ねるたびに、どういう考えが必要なのかという想像力が大事だと感じるようになりました。言葉の裏側に何があるのか想像力を働かせたり、今まで想像しえなかったところまで広く考えていきたいです。それが役者としても人間としても、何をするにしても生きてくると思います。

今まで10mしか掘れなかった部分をもっと深いところまで掘って、理解したうえで良いものを創造していきたいと思います。創造のために想像する、今年はこれでいきたいと思います。

――最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いします。

久しぶりに殺陣をやらせてもらいます。相変わらずちょっぱやな、殺意で薙ぎ倒していくような殺陣を久しぶりに見ていただけるんじゃないかなと思っています。意外と年齢層が高い座組ですので、それぞれが生きてきた人生をしっかりと投影して作品に重みを出したいですね。

こういう時代があったんだなというのを、お客様にも想像してもらえたらと思います。劇場にわざわざ足を運んでくださるので、せっかくだったらお客様と一緒に楽しいものを作りたいというか…。無限に広がっていく作品を見せられたらと思っています。

取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル

<公演概要>

アメツチ舞台「アテルイ」

出演:
アテルイ   富永勇也 
坂上田村麻呂 谷佳樹 

モレ    谷水力 
ユウヒ   日向野祥
トウカク  橋本全一 
ハヤテ   阿部快征
セキトウ  本川翔太 
百済王俊哲 高田淳 
多治比浜成 土田卓 
巨勢野足  丸山正吾 
三好    前嶋曜

幸武    猪野広樹 

大伴弟麻呂 佐藤アツヒロ

澤田圭佑 中野貴文 桐谷直希 佐松翔 清水龍平 岡将士 田中翔大 清水優志 相澤景太

日程:2024年10/9(水)〜10/13(日)全9公演予定
会場:スペース・ゼロ(こくみん共済 coop ホール)
東京都渋谷区代々木2-12-10 こくみん共済 coop 会館
アクセス:JR新宿駅南口 徒歩5分
京王新線/都営大江戸線/都営新宿線/新宿駅6番出口 徒歩1分

チケット(全席指定・税込):10,000円
一般販売中
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/aterui/
イープラス https://eplus.jp/aterui/
カンフェティ https://www.confetti-web.com/@/aterui
公式SNS X:https://x.com/aterui_stage
公式ホームページ:https://ateruistage.com/

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