【レポート&インタビュー】GHETTOプロデュース SHOWTIME Vol.3 【BIG MOUTH〜Halloween Party〜】(服部武雄・島田惇平・山崎洋介)

インタビュー レポート

GHETTOプロデュースSHOWTIME Vol.3【BIG MOUTH】が、2023年10月15日に新宿・Gyoen ROSSO 198にて開幕しました。

舞台となるのは、新宿二丁目に店を構える男性ストリップ『L&J』。興奮と熱気に包まれた夜を生きるのは、一癖も二癖もある男たち。酒より酔える肉体美が魅力のエンターテイメントショーが、今回はハロウィンバージョンで幕を開けます。

メディアクトでは、ブロードウェイを夢見て『L&J』に流れ着いた主人公・遠野ソラ役の服部武雄さんと『L&J』のダンスリーダー・中田潤役の島田惇平さん、演出の山崎洋介さんにインタビューを実施しました。BIG MOUTHの誕生秘話やお互いの第一印象などのエピソードを、赤裸々に語っていただきました。

――初めて足を運ぶ方に向けて、BIG MOUTHやGHETTOの歴史を教えてください。

服部:初演は今から6-7年くらい前になります。今のようにショーという形になったのは今回で3回目で、その前は舞台形式だったんですよね。

当時、僕は舞台に出演しながらショーパブを観に行く機会も増えていました。それが面白くて、「こういう作品をやりたい」と思っていたんです。

山崎:当時、お客さんに「マジック・マイク」という男性ストリップの映画を教えてもらいました。それを観た時に、日本で男性ストリップはまだ普及していないなと思ったんです。GHETTOプロデュースは「新宿の夜」をテーマにしようと考えていたんですが、本気で踊れて肉体がきれいな演者を集めて公演をしたら2.5次元や芝居を超えた新しいジャンルが築けるんじゃないかなと思って、服部に話しました。その時に服部が興味を持ってくれたのが始まりですね。

――BIG MOUTHの始まりは、山崎さんと服部さんだったんですね。島田さんが加入されたきっかけも教えて下さい

島田:山崎さんの知り合いの役者さんが、僕と同じ事務所だったんです。山崎さんがその人に「こういうのがやりたい」って話した時に、僕を紹介してくれて巡り合いました。顔合わせの時まで、他のメンバーは誰がいるか知らなかったんですよ。

――島田さんと服部さんは、そこで初めての共演だったんですよね。お互いの第一印象はいかがでしたか?

島田:これ、言っていいのかな。本当に最悪の出会いでしたよ(笑)。初対面の時は、お互い大嫌いだったんです。いけ好かないオーラがすごくて……。僕の勝手なイメージなんですけど、『こいつ主演で調子乗ってるな』と思って。僕も若かったですからね、当時は。24歳とかだったかな。

山崎:そこまで若くないよ、26~27歳くらいだよ。

島田:僕史上、一番尖っているくらいの時期だったんですよ。あっちもあっちで、多分あんまりいい印象じゃなかったと思いますよ。

服部:よくなかったですね。「なんだこいつ」って思っていました(笑)。

島田:本読みが良くなかったのかもしれないですね。僕の尊敬している先輩が「本読みを200%でやらない奴を俺は信用しない」と言っていたので、その影響もあって僕は本読みを200%でやるんですよ。普通は様子を見たりするんですけど、僕は最初からばーんとやって、距離を置かれることが多いんですよね。若さゆえの尖りもありましたし、僕も、自分で自分を見ていたら嫌いかな。最初はそんな感じでお互い「こいつ嫌いだな』っていう出会いでした。

――ちなみに、本読み当時の服部さんは何%に見えていましたか?

島田:僕の中では3%ですね(笑)。L&Jのダンスリーダーを僕は演じていて、武雄が急に入店してきたいけ好かない奴っていう役柄もあったんですけどね。役の上でばちばちしていたので、そういう目線で見ていたっていうのもあったのかもしれないですね。

――初対面を経て、今の関係性はいかがでしょうか?

服部:今は仲良いですよ。僕は割と何でも話せますね。リスペクトできるところもあるし、すごい役者だと思っています。当時はそんなところにも気が付かなったですし、「なんだこいつうるせーな」って思っていたんですけど。急にラップ始めるし(笑)。

島田:今でこそ自己紹介でのラップはBIG MOUTHの名物みたいになっているんですけど、最初に始めたのが多分僕なんですよね。本読みで勝手にラップで自己紹介をしたら山崎さんが「じゃあ皆もラップで」って言って、そこからビッグマウスの自己紹介はラップっていう流れができましたね。

山崎:台本には1mmもラップって書かれていなかったんですけどね(笑)。

島田:たまたまみのりん(彩我みのり)がボイパもできたのでね。

服部:他のメンバーもよかったから、うまい具合にはまったんですよね。ありがたいことですね。

島田:うまくいくことも多いですけど、稽古が進むにつれて、いろんな気持ちも積もっていくんですよ。その分仲も深まっていくんですけどね。武雄と初めて飲んだ時に、二軒目でGHETTOに行って、そこで初めてお互い心の底を話し合いましたね。全然記憶にないんですけど、次の日からなぜかすごく仲良くなりました。

服部:何を話したか、僕も全然覚えてないんですよね。確かにGHETTOに行って、何かを話した記憶はあるんですけど……。

山崎:僕は覚えているよ。酔った勢いでJP(島田惇平)が「俺、なんかお前のこといけ好かないんだよね」っていうのを直球で言い出して、武雄も「俺もお前が気に食わねえ」って普通に言い出したんです(笑)。二人とも笑いながら「お前のその斜に構えた感じとか、息の抜き方が気に食わねえ」「つーかお前うるせえ」って言い合っていましたね。

島田:当時は今よりも勢いに任せてやってたいましたからね。次の日からは「おはよう」って普通に挨拶していたと思います。

山崎:誤解がないように言っておきますと、喧嘩には全然なっていなかったんですよ。二人とも笑っていて、「なんだよお前も嫌いだったのかよ」とか言い合っていましたもん(笑)。

――今のお互いの印象は、どのように変化しましたか?

島田:誰目線だって感じですけど、武雄はすごく成長していると思います。最初のBIG MOUTHの頃と比べてお互いいろんな現場で経験を重ねて、「主役を任せられるな、信じられるな」って思うようになりました。たまにいけ好かない顔が覗きますけど(笑)、今は信頼しています。

服部:こんなエネルギーの塊みたいな奴と一緒に芝居をできることが、すごく楽しいです。同い歳の中では一番好きかもしれないですね。

当初はJPのコンテンポラリーもあまりわからなかったんですけど、だんだんと「こういう表現なんだ」っていうのを感じられるようになって、より楽しくなりました。

島田:最初はBIG MOUTHもヒップホップだったり、そういうジャンルのダンスだけだったんですよ。僕がイスラエルに留学をして、2回目のBIG MOUTHの公演の時からコンテンポラリーのシーンが入り始めました。そこから、中田潤の役もFTM(※female to male:生物学的性別が女性で、性の自己意識が男性である)という設定に明確に変わりましたね。葛藤や苦悩を、身体で表現したりしました。

――役の設定が大きく変わった理由は何ですか?

山崎:BIG MOUTHを一番最初に作ったのが約7年前で、キャストの大半は20台半ばでした。等身大の姿を表現したいと考えたら、将来について悩んでいたり、永遠ではなく今この瞬間の恋愛に必死だったり、10代を引きずっていたりというのが一番の葛藤だと思ったんです。今は、キャストも30歳を過ぎています。そうすると、悩みも結婚や出産、子ども、未来につながることになると思いました。だから前の設定を引きずるよりは、今の皆が演じるBIG MOUTHが作りたいと思って設定を変えたんです。

島田:若い時のエネルギーを初演で活かしていたのが、大人になって役者として成長して、表現できることが増えたという技術的な変化もあると思います。

山崎:あとは、僕がシンプルに島田惇平のファンになって、「この人の父親が見たい」と思ったんですよね。どんな表現を見ても、JPは自分のために自分のエネルギーを人に向ける生き物に見えるんです。それだけじゃなくて、自分だけではなく誰かのために頑張るJPが見たいと思ったんです。

島田:今でこそ山崎さんに好きに言えるしキャストもお互い素直に言い合えるけど、初演の時はひどかったですね。好き放題やっていたので……。「このままじゃ遠野ソラが主役なのに、JPが目立ちすぎる」みたいなことを山崎さんに言われて、言い返したこともありました。「だったらあいつが俺以上にやればいいじゃないですか」って。

山崎:2回目の公演の時、稽古終わりに飲みに行ったんですよね。その時に「悪いんだけど主役より君の方が目立っちゃうから、芝居をもう少し抑えてくれないか」っていうことを言ったんです。……でもちょっとして「俺が間違っていた、さっきのは忘れて! 服部が頑張るべきだ! 君は今以上に目立つべきだ!」って言いましたね(笑)。

――最終的には、どうなったんでしょうか?

服部:そういう会話がされていたことも知らなかったですね(笑)。でも、結果的にいいものが出来上がったんじゃないかと思います。

島田:どこかで、お互いを意識するんですよね。こいつが素敵な表現をしたら影響されますし。お互いそれを言葉にはしないけど、お互いが予想していなかったところまでいけたんじゃないかなと思っています。

山崎:いい座組ですね、本当に。

――BIG MOUTHの魅力について教えてください。

服部:エンターテイメント性ですね。すごくリアルなお芝居なので、嘘をついたら怒られますし、舞台上で唾をかけられたり水をかけられたりっていうのはなかなか経験しないことですし(笑)。お芝居の中身がないと「今何を考えた?」って聞かれたりするんですけど、それも楽しいですね。舞台をやっていて、対話していると感じることができますので。

ダンスもたくさんありますし、この距離でエンターテイメントを見ることはなかなかないですよね。一日限りのイベントにはなりますが、時間を忘れて楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います。

島田:距離感は大きな魅力だと僕も思います。いろんなキャパシティの劇場がありますが、僕が一番演じていて楽しいのは50-100人の劇場なんですよ。演者の汗も筋肉の動きも見えて、吐息も聞こえてきて、すべてが見える。演者は嘘がつけない。そんな空気の中にお客様もいるという距離感が、すごく好きです。大きな劇場になるとどうしてもお客様を感じながら芝居をするというのが難しくなってしまうんです。遠いからこそ表現できることも多くありますが、生身で演じるライブ感を味わいたいし味わって欲しいです。このBIG MOUTHは目の前で裸の男たちが踊って喧嘩して、うるさいくらいにいろんなものを浴びることができます。武雄も言っていましたが、リアルを感じられる作品だと思います。

ショーパブという環境上芝居の仕方も特殊で、客席と舞台という境目が消えて一体感が生まれますし、他の劇場では味わえない魅力を感じられると思います。

――常に進化し続けるBIG MOUTHですが、今後40代、50代の苦悩を描いていく予定はありますか?

山崎:当然あります。皆ありがたいことに舞台が忙しくなってきているので、どれくらいのペースで中身が変えられるかは難しいと思うんですが……。同じ演目だけど違うものを見てもらいたいですし、この世界っていくらでも広げられると思うんですよ。例えば今はソラの方にフォーカスが当たっているけど、潤の方にフォーカスが当たるように作っていくのも面白そうですね。この人たちの体が壊れるまで酷使してやろう、と思っています(笑)。

島田:最終的に50代になって、全部のダンスパフォーマンスがゆっくりとした舞踏になるんでしょ。

山崎:肉体が劣化して、夢破れた皆が「あの時の夢を取り戻そうぜ!」って奮闘する内容も楽しいかもしれないですね。

――最後に、ファンのみなさまへメッセージをお願いします。

島田:いっぱい酒を飲んで、だらだらと感じてください。しっかり魅せる準備は出来ていますので、ただそこに身を委ねてくれれば、楽しい空間に連れて行きます。

服部:楽しんでいただけたら、それが一番ですね。もちろんストーリーがあるので観ながら考えるところもありますが、そんなことよりも「あの時間、なんか楽しかったな」と思って欲しいですし、そういう時間を提供できたらと思っております。ご来店お待ちしております。

記事:水川ひかる/撮影:ケイヒカル

■公演概要
GHETTOプロデュース SHOWTIME Vol.3 【BIG MOUTH〜Halloween Party〜】

脚本:秋山豊
演出:山崎洋介

【キャスト 】
服部武雄
井関友香
島田惇平
彩我みのり
一期崎 礼雄
マペヲ

【タイムテーブル】
2023年10月15日(日)15:00〜/19:00〜
(ロビー・客席開場は開演の30分前になります)
【チケット】
料金:5,500円(税込・全席自由席・ワンドリンク付)
【ハロウィン特典】
公演当日、ハロウィン仮装をしてご来場いただいたお客様には特典のプレゼントがございます。

【会場】
Gyoen ROSSO 198
(新宿区新宿1-19-8 サンモール第7ビルB1F)
【お問い合わせ先】
GHETTOプロデュース:ghettoproinfo@gmail.com
【企画・製作】
GHETTOプロデュース
公式HP:https://ghettopro.amebaownd.com/