【オフィシャルレポート】林⼀敬らが天才的名探偵の⻘春時代を好演。ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが⼀⾼時代の犯罪』 東京公演が開幕︕

レポート

演出家・野坂 実が2021年に始動した、世界の名作ミステリーを丁寧に舞台化するプロジェクト「ノサカラボ」。
2023年8・9⽉には、⾼⽊彬光による推理⼩説・神津恭介シリーズを初めて舞台化し好評を博した。2024年3⽉8⽇(⾦)に、神津恭介シリーズ第⼆弾『わが⼀⾼時代の犯罪』が⼤阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホールで開幕。主演は第⼀弾に引き続き林⼀敬が務め、⼩園凌央、関翔⾺、⾼橋曽良、⼩⼭⿓之介、滝佑⾥、細⾙圭、加藤雅也、能條愛未・中野郁海(Wキャスト)、⽚岡鶴太郎(特別出演)と、若⼿からベテランまで多彩なキャストが集結している。
3⽉20⽇(⽔・祝)にスタートする東京・サンシャイン劇場公演を前に、演出・構成の野坂 実、林 ⼀敬、⼩園凌央、加藤雅也、⽚岡鶴太郎による囲み取材と公開舞台稽古が⾏われた。

囲み取材

⼤阪公演を経て、東京初⽇を迎えるにあたっての⼼境や意気込みを聞かれた林は「稽古の時点でチームワークが良いカンパニーでしたが、⼤阪公演を経てさらに良くなった実感があります。たくさんの⽅に⾒てほしいですね」と⾃信を⾒せ、⼩園も「もともと仲が良いんですが、特に⼀⾼⽣グループは修学旅⾏みたいな雰囲気でした。もしかしたら当時もこんな感じだったのかなという感覚も芽⽣え、⼤阪公演が先にあって良かったと思います」と頷く。

加藤が「⼤阪公演からスタートするのは僕にとって初めて。新鮮ですがいいなと思いました。2⼈はすごくいいことを⾔っていましたが、さっきまでは(⼤阪で)終わった感じがあって再演みたいな気分ですねと話していました」と暴露し、林と⼩園が慌てる⼀場⾯も。⽚岡は「皆さんがおっしゃっているように、⼀⾼⽣たちが修学旅⾏で私はその引率の先⽣という感じ(笑)。⼤阪はリピーターの⽅も多くいらっしゃいました。何回⾒ても楽しい作品ですので、ぜひ楽しみにしていてください」と呼びかけた。
野坂は「神津恭介は⽇本三代名探偵の1⼈ですが、あまり知られていません。でも、舞台を⾒てリピートしてくださる⽅が多くて嬉しいなと思っています。また、個⼈的には林くんがどこまで成⻑するかも楽しみ。前回は内海(光司)さんがすごくフォローしてくれていて、今回は林くんが先輩として若い3⼈をどう⾒てあげるのか楽しみにしていました。⼤阪公演でお気に⼊りの中華屋さんに連れて⾏くつもりだと⾔っていて……」と座⻑の成⻑を語りだすが、林が「誘ったら断られちゃいました(笑)」と明かし、⼩園が「2⼈で⾏きました︕」と話して⼀同は爆笑。代わりに⼤阪公演では後輩とたこ焼きを⼀緒に⾷べたそうで、林は「(関)翔⾺の誕⽣⽇祝いを兼ねてご飯に⾏こうと⾔ってるんですけど、また断られたらやだな……」とぼやいてはいたが、終始座組みの仲の良さが垣間⾒えるやり取りを披露していた。
野坂は「若い彼らを鶴太郎さんや加藤さんといった先輩たちがニコニコ導いてくれています。年齢が離れているけどチームとしてまとまっている。しっかりディスカッションをするメンバーが揃っているので、年齢による壁もない、仲の良い座組だなと思いますね」と、カンパニーの魅⼒をまとめた。
前作に引き続き神津を演じる林は、「今回は学⽣時代。天才探偵が⽣まれる前の話です。前回は探偵として依頼を受け、事件を解決する話なのでわちゃわちゃしたにぎやかさはありませんでした。今回は先ほど話に出た後輩3⼈、僕と⼩園くんが⼀⾼⽣。みんなキャラクターが⽴っていて、楽しいシーンが多いと思います」と⾒どころを語る。
また、ホームズとワトソンに例えられることもある神津と松下。演じる林との関係を聞かれた⼩園は「僕らは本当に仲が良くて、稽古中も⼤阪公演が終わってからもご飯に⾏っています。神津と松下は凸凹コンビだと思うんですが、プライベートでもそう。お互い⾜りないところを埋め合える関係なので、舞台上で表現できたらいいなと思います」と笑顔を⾒せた。
⼤⼈ならではの⽬線で注⽬ポイント教えてほしいという質問が出ると、加藤は「難しい質問」と悩みつつ「ミステリーって登場⼈物を⾒ると犯⼈のあたりがつく。その中でどう話を展開させるかという意味で、⾯⽩く作れていると思います」と答える。
前回とは違う役で再び出演する⽚岡は「前回の私は神津と対峙する役でしたが、今回は神津の先⽣。前回⾒ていただいた⽅には、その違いも楽しんでもらえるかと思います。今回は神津に対してアドリブを⼊れづらいので、他の⼀⾼⽣をあたふたさせようかと考えています」とお茶⽬に語った。
最後に、公演を楽しみにしている⽅に向けて野坂は「稽古場でも皆さんがすごく話し合って作ってくれました。コミュニケーションを取れているので、お芝居も濃くて⾒応えがあります。推理ものの難しさ・硬さをできるだけなくしましたし、顔と名前を⼀致させるために皆さんに頻繁に出てきていただいて、覚えようとしなくても話の筋がわかるようにしています。気楽に⾒にきていただけると嬉しいです」とアピール。林は「僕からすると⼆度⽬の神津なので、前回からの成⻑を⾒てもらいたいです。座組の仲の良さも舞台から伝わると思いますし、神津の推理⼒にも注⽬しながら本作を楽しんでいただけたらと思います」と締め括った。
今回は神津恭介が第⼀⾼等学校(⼀⾼)に通っていた時の事件を描いた表題作『わが⼀⾼時代の犯罪』と、その続編とも⾔える『輓歌』の2編を組み合わせた作品。時系列としては舞台第⼀弾である『呪縛の家』より前であり、若かりし頃の神津や松下が描かれる。

舞台稽古で披露されたのは冒頭20分ほど。林演じる神津と智恵⼦(能條愛未・中野郁海)が10年の時を経て再会するプロローグの後、⼀⾼⽣の⽇常から物語がスタートした。
松下(⼩園凌央)は、親近感の湧く語り⼿として客席と物語を繋いでくれる。短いシーンながら神津への尊敬や信頼がしっかり伝わってきて微笑ましい。プレイボーイの⻘野(関翔⾺)、上昇志向が強い飯島(⾼橋曽良)、変わり者の妻⽊(⼩⼭⿓之介)と、学友たちも個性豊か。エリートだが⼦供らしさも残る⾼校⽣たちのやり取りが楽しく、その輪に⼊ると神津の⼀際落ち着いた物腰や聡明さが⽬を惹く。⼀⽅、師である天沼教授(⽚岡鶴太郎)とのシーンではまだ未熟な⼀⾯も⾒え、ギャップが魅⼒的だ。
⼀⾼⽣たちの若さや勢いが眩しいぶん、⼤⼈たちの存在感も際⽴っている。軽いように⾒えて頼もしい天沼、優秀な実業家であり⼀⾼出⾝の先輩である⽔町(加藤雅也)、彼の有能な秘書である稲⽥(細⾙圭)、秘密を抱えているらしい章⼦(滝佑⾥)らが物語にどう関わってくるのか、続きが気になる公開稽古だった。

舞台写真(大阪公演のもの)

<あらすじ>
時は1938年。⽇中戦争が泥沼化する中、神津恭介と松下研三が通う第⼀⾼等学校(⼀⾼)には優秀かつ個性的な学⽣たちが数多く在籍している。ある時、彼らの寮を⼀⼈の⼥性が訪ねて来る。意外にも普段⼥っ気のない妻⽊という学⽣に会いに来たのだった。妻⽊と⼥は連れ⽴って去って⾏くが、同じく同級⽣である飯嶋と⻘野がその⼥を知っているらしい反応を⾒せたことを、神津は訝しく思う。
その⽇の夜、寮に戻って来た妻⽊の提案で肝試しが⾏われることになる。⼀⾼の時計塔の上まで登って帰って来れば汁粉をご馳⾛するという彼の誘いに乗って、松下、⻘野、飯嶋が参加することになる。飯嶋の後に時計塔に登った妻⽊が⼀向に戻って来ず、⼀同は不審に思って階段を駆け上がる。しかし妻⽊はどこにもおらず、神津のマントのみが置いてあった。妻⽊は忽然と姿を消してしまったのだ。
神津と松下は彼の⾏⽅を独⾃に捜査することになり、⽔町家へと赴く。そして、更なる事件に巻き込まれるのだった……。

<公演概要>
神津恭介シリーズ『わが⼀⾼時代の犯罪』

演出・構成︓野坂 実
脚本︓須⾙ 英
⾳楽︓村井邦彦、上野耕路
原作︓⾼⽊彬光(光⽂社⽂庫)
出演︓
林 ⼀敬/⼩園凌央/能條愛未、中野郁海(W キャスト)/
関 翔⾺ ⾼橋曽良 ⼩⼭⿓之介 滝 佑⾥/
細⾙ 圭/加藤雅也/⽚岡鶴太郎(特別出演) ほか
※⾼橋曽良の「⾼」は正しくは「はしご⾼」です。
【東京】2024年3⽉20⽇(⽔)〜3⽉31⽇(⽇)
場所︓サンシャイン劇場(東京都豊島区東池袋 3-1-4 サンシャインシティ ⽂化会館 4F)
3⽉20⽇(⽔)18︓30開演◆
3⽉21⽇(⽊)14︓00開演◇
3⽉22⽇(⾦)14︓00開演◇/18︓30開演◇
3⽉23⽇(⼟)12︓00開演◆/17︓00開演◆
3⽉24⽇(⽇)12︓00開演◇/17︓00開演◇
3月25⽇(⽉)休演⽇
3⽉26⽇(⽕)14︓00開演◆
3⽉27⽇(⽔)14︓00開演◆/18︓30開演◆
3⽉28⽇(⽊)14︓00開演◇
3⽉29⽇(⾦)14︓00開演◆/18︓30開演◆
3⽉30⽇(⼟)12︓00開演◇/17︓00開演◇
3⽉31⽇(⽇)12︓00開演◆
◆…能條愛未 ◇…中野郁海
チケット料⾦(全席指定・税込)︓S席 前売 9,500円/当⽇ 10,000円
A席 前売 8,500円/当⽇ 9,000円
公式サイト︓https://nosakalabo.jp/kamizu-02/
<主催・問合せ> 株式会社ノサカラボ
TEL︓050-3159-9601 MAIL︓info@nosakalabo.jp WEB︓https://nosakalabo.jp