【観劇レポート】2024年4月21日、GHETTOプロデュース　SHOWTIME Vol.5 【BIG MOUTH〜Wake Me Up〜】が一夜限りの幕を開けた。

2016年の初演から、回を重ねるごとにパワーアップし続けてきた『Big Mouth』。シリーズを通して「酒より酔える肉体美」「ちょっと大人なエンターテイメント」を掲げており、今作でもその魅力を存分に浴びることができる。

メディアクトでは、公演当日の様子をレポート。今作の見どころを、撮り下ろし写真とともにお届けする。

今作の会場は、新宿・Gyoen ROSSO 198。普段はライブやイベントも行われているショーパブだ。客席とステージの境界がほとんどなく、観客を夢うつつが曖昧になった不思議な世界に誘い込む。

BIG MOUTHの世界に初めて飛び込む観客は、「メンズストリップとは何ぞや」と不安になるかもしれないが、心配は不要である。鍛え上げられた肉体美を前にすると、自然とテンションが上がってしまうのだ。ポールダンスやコンテンポラリー、更にはオタ芸と、一瞬たりとも目を離せないショーはすべてが作品の“サビ”に思えてしまうほど魅力に溢れている。

また、一部のショータイムでは、なんとキャストの衣装に購入したチップを挟むこともできる。馴染みのない世界に緊張してしまうかもしれないが、ここは思いっきり楽しむのが吉。「店に入ってから出るまですべてに酔いしれろ！！」を推す今作。酒とキャストに酔えば酔う程、BIG MOUTHの世界を楽しむことができるだろう。

ステージに立つキャストたちは、揃いも揃って魅力的だ。

主演の服部武雄は、多彩な表現で観客の心を掴む。ダンスはもちろん、表情や背中で感情を語る繊細な芝居にも注目したい。

島田惇平は、しなやかな肉体とコンテンポラリーで今作も無二の存在感を放っていた。ステージに深みと説得力を持たせる身体表現で、物語を牽引する。

美しいポールダンスで会場を魅了するJaLeCoに一期崎礼雄、鍛え上げられた肉体でブレイクダンスを披露する彩我みのりと、他にもBIG MOUTH箱推しになってしまいそうな濃い面々が揃っている。ぜひとも推しダンサーを見つけて、一夜の夢を全力で楽しんで欲しい。

ほとんどゼロ距離で繰り広げられるショーに凄まじい衝撃を受けるが、今作の魅力はそれだけではない。様々な事情を抱えた男たちが、泥くさく不器用に生きる物語にも胸を打たれる。人間の弱さや欲望、その中に見える希望を描いた脚本は秋山豊によるもの。

物語は、前作までの舞台であったメンズストリップショーの店、『L&J』が閉店したというショッキングなところから幕を開ける。『L&J』を買い取った新たなオーナーは金儲けにしか目がない男で、主人公のソラ（演：服部武雄）は、未来（演：井関友香）とそのお腹に宿った命を守るために、日々葛藤しながらステージに立ち続けていた。楓（演：結城駿）や響（演：田中翔太）といった新しいメンバーを迎えるが、店はなかなかうまくいかない。

一人でもがき続けるソラだったが、物語の終盤では『L&J』のリーダーだった潤（演：島田惇平）の呼びかけによってかつての仲間たちが集結し、ソラは再び未来を掴み取ろうとする。

夜の世界で生きる男たちが放つ光を、ぜひその目に焼き付けて欲しい。

実はこのBIG MOUTHシリーズ、初演から今までの間に設定が少しずつ変わっている。それについて、過去のインタビュー（https://mediact.info/interview_info/7851/）で演出家の山崎洋介は「（キャストの）等身大の姿を表現したい」「今の皆が演じるBIG MOUTHが作りたいと思った」と語っている。今後キャストが更に年齢や経験を重ねることで、新たな物語が生まれるのではないだろうか。

今作で、より一層魅力を増したように思えるBIG MOUTH。今後の展開にも期待が高まる。

記事：水川ひかる