【ゲネプロレポート】舞台『魔道祖師』邂逅編 世界初の舞台化で重厚な世界観と複雑な人間ドラマを描き出す!

レポート

舞台『魔道祖師』邂逅編が、3月22日より東京・シアターHで幕を開けた。

原作は、作家の墨香銅臭(モーシャントンシウ)により、中国のオンライン小説サイトで連載されたBLファンタジー小説。
世界初の舞台化となる今作は副題として“邂逅編”と銘打ち、重厚な世界観と複雑な人間ドラマを描き出す。

メディアクトでは、初日に先立ち行われたゲネプロの様子をレポート。

< STORY >

世は岐山温(きざんウェン)氏が暴虐の限りを尽くし、民が苦しみにあえぐ時代。
姑蘇藍(こそラン)氏・雲夢江(うんむジャン)氏・蘭陵金(らんりょうジン)氏・清河聶(せいがニエ)氏をはじめとする仙門の修行者らは力をあわせ、温氏の討伐に成功する。
なかでも夷陵老祖(いりょうろうそ)である魏無羨(ウェイ・ウーシエン)は貢献を果たしたが、強大な力を持つ鬼道に手を染めたがゆえに人々に恐れられ、やがて身の破滅を招いてしまう。

そして十三年後。
呪術によって蘇った魏無羨は怪事件に出くわし、宿命の相手、姑蘇藍氏の藍忘機(ラン・ワンジー)と再会する。
事件を追ううちに十三年前の真相に迫ることとなり―――
2人の激動の運命をめぐる物語が始まる。

公演レポート

本公演は二幕構成で、途中休憩を挟み、上演時間は約2時間30分に及ぶ。

第一幕では、呪術によって蘇った魏無羨が、宿命の相手である姑蘇藍氏の藍忘機と再会するまでが描かれる。
第二幕では、雲深不知処での座学に参加した二人の出会いを描く過去編へと遡る。

脚本・演出を手掛けたのは伊勢直弘。原作への深いリスペクトが感じられる構成で、物語を丁寧に紡いでいるため、初心者でもすんなりと作品世界に入り込める。何も知らない状態で観ても十分に楽しめる脚本だ。

映像演出も本作の大きな魅力のひとつ。ステージをフルに活用し、登場人物の名前や重要なワード、壮大な風景がスクリーンに映し出される。妖魔や邪鬼が跋扈する古代中国の世界観を、臨場感たっぷりに表現している。

重厚な世界観を支えるのは、実力派の俳優陣。
主演を務める金子隼也は、本作が舞台初挑戦とは思えない堂々たる演技を披露。真摯に舞台に立つ姿や熱量が、魏無羨の自由奔放さや無垢な一面と重なる。膨大な台詞と多彩な動きを要する役柄ながら、軽やかに舞台を駆け抜ける姿に目を奪われる。
もう一人の主演、藍忘機を演じるのは廣瀬智紀。原作でもその容姿が称賛されるキャラクターだが、藍忘機の魅力は見た目だけではない。所作まで洗練されており、そこに立つだけで空気が引き締まるほどの存在感を放つ。台詞はもちろん、眼差しや微細な動きのひとつひとつに魏無羨への想いが滲み出ており、言葉以上に雄弁に感情を語る繊細な芝居が印象的だ。その表現力によって、物語の核心へと自然に観客の意識を誘う。

姑蘇藍氏の門弟・藍思追を演じるのは安藤夢叶。聡明で礼儀正しく、時折垣間見える無邪気さを絶妙に表現し、役の魅力を存分に引き出している。
同じく門弟の藍景儀役には土屋直武。藍景儀は朗らかで正義感が強く、真っ直ぐな性格の持ち主だ。それぞれの繊細な役作りはもちろん、2人が築く“にこいち”の関係性にも注目したい。舞台上での何気ない目配せや仕草が彼らの絆を感じさせるのは、舞台ならではだ。

そして、藍思追・藍景儀と並ぶいわゆる子ども組の一員、金凌を演じるのは田村升吾。やや我儘な性格ながら、その根底にある勇敢さや実直さを見事に表現し、キャラクターの魅力を際立たせている。

金凌の叔父であり、雲夢江氏の現宗主・江澄を演じるのは和田琢磨。魏無羨とは幼少期を共に過ごしたが、現在は邪道に手を染める者を夷陵老祖と疑い次々と捕えていく。苛烈で攻撃的な性格を、堂々とした佇まいで見事に演じきった。

姑蘇藍氏の現宗主であり、藍忘機の兄・藍曦臣を演じるのは小松準弥。穏やかで包容力のある性格を丁寧に表現し、『世家公子の風格容貌格づけ』第一位にふさわしい優雅な佇まいを見せる。

さらに、聶懐桑役の安井一真、金子軒役の武子直輝、藍啓仁役の村田充といった実力派俳優たちが作品の世界観をより一層盤石なものにしている。

礼儀作法を重んじる世界観が徹底されているのも印象的で、登場人物たちの立ち振る舞いやお辞儀の角度に至るまで、細部にわたり緻密に演じられている。さらに、坂部剛による音楽も作品の雰囲気を引き立てる重要な要素となっている。

また、舞台のために新たにビジュアルが制作され、これまでに『魔道祖師』のイラストを数多く手掛けてきたGearousがメインイラストレーターとして参加。舞台『魔道祖師』製作委員会と共同でキャラクターデザインを手掛け、原作の世界観を忠実に再現している。

舞台化にあたって特に注目すべきは、キャラクターの細かな表情や仕草の再現度の高さだろう。魏無羨の軽妙洒脱な雰囲気や、藍忘機の寡黙ながらも魏無羨を見つめる眼差しの深さが、温度を感じさせる演技で巧みに表現されている。ファンならば思わず息を呑む場面が随所に散りばめられている。
また、雲深不知処での座学シーンでは、藍忘機が魏無羨に対して抱く微かな感情の芽生えが繊細に描かれており、二人のやり取りの中に込められた関係性の変化が堪能できる。

舞台ならではの演出が加わることで、原作の魅力を再発見できる仕上がりになっている本作。キャスト・スタッフが一丸となって創り上げた作品は、原作ファンのみならず、初心者にも存分に楽しめるものとなっている。
本作は、いわば序章であり、物語の始まりに過ぎない。広大な世界は、これからさらに広がっていくだろう。

舞台『魔道祖師』邂逅編は、3月30日(日)まで東京・シアターHにて、4月4日(金)~6日(日)に京都・京都劇場で上演される。

公演写真

キャストコメント

魏無羨 役:金子隼也
ついに皆様に舞台『魔道祖師』邂逅編をお届けできることを嬉しく思います。今作が初舞台の僕は、右も左もわからず、稽古に入るまでは正直不安だらけでした。でも、実際に稽古が始まると、カンパニーの皆様が僕を支えてくださり、その不安が徐々に消え去っていきました。
本番では魏無羨として舞台上を天真爛漫に駆け回りたいと思います。
舞台ならではの『魔道祖師』の世界を楽しんでいただけたら嬉しいです。

藍忘機 役:廣瀬智紀
『魔道祖師』、初の舞台化という大事なプロジェクトに身を置けることをとても光栄に思います。邂逅編ということで、金子くん演じる魏嬰としっかり影響を与え合い、互いに共鳴する様をお届けしていけたらと思います。また、藍忘機の繊細な感情表現にも注目していただければ幸いです。世界中で愛され、様々なメディアミックスがされている作品ですが、舞台『魔道祖師』も同じ熱量で愛していただけるよう、精一杯努めてまいりますので最後まで楽しんでいただければ幸いです。

江澄 役:和田琢磨
世界的に人気を博しているこの『魔道祖師』の舞台に携わることができて光栄です。多くの方に注目されるプレッシャーはありますが、千秋楽まで気を抜くことなく努めてまいりたいと思いますのでどうぞご声援の程よろしくお願いいたします。個人的なことになりますが、久しぶりに京都劇場に立てることも、とても楽しみにしております。

藍曦臣 役:小松準弥
舞台『魔道祖師』邂逅編の開幕直前、改めて出演が決まった時に世界的に愛されている『魔道祖師』の舞台化に胸が踊ったこと、同時に多くの方が楽しみにしてくださっていることを思い出しました。演出の伊勢直弘さんが創造する舞台『魔道祖師』邂逅編、カンパニー全員で心を一つにし、楽しみにしてくださる皆様のお気持ちを胸に、毎公演大切に舞台版の藍曦臣を生きたいと思います。また、華やかな衣裳と、流れるような殺陣も注目ポイントの一つだと思うので、物語と共に楽しんでいただけたら幸いです。

金凌 役:田村升吾
ついに『魔道祖師』の世界をお届けできると思うと楽しみでしかたありません。向き合えば向き合うほど金凌という役への愛が溢れてきますし、彼の生き様を丁寧に届けたいなと思っています。
金凌の注目ポイントは、やはり弓と剣での殺陣です。僕自身弓は初挑戦ですし、二刀流はやっぱりカッコいいです。
『魔道祖師』の世界を存分にお楽しみください。

藍思追 役:安藤夢叶
ついに『魔道祖師』が始まります。世界初舞台化という事で、沢山の方に待望されている今作を皆様にお届けできるのが凄く楽しみです!皆様の記憶に深く刻み込めるような素敵な藍思追をお届けできたらなと思います。また、僕個人としては、この作品に触れていくなかで藍忘機の可愛さに気がついて更に好きになりました。ぜひそこにも注目していただきたいです!

藍景儀 役:土屋直武
今回の見所としては殺陣だと思います。剣を武器として使っており、普段の振り方や動き方、身体の使い方とは違ったので、華麗にかつ、大きく魅せることに凄く苦労しましたが、どうすれば綺麗に見えるかを日々研究してきました。
今作の稽古では姿勢、所作、殺陣などいろんなことを学んできました。一つひとつ丁寧に、観てくださる皆様に届けていきます。カンパニー一同千秋楽まで頑張りますので応援よろしくお願いいたします。

聶懐桑 役:安井一真
とても人気な作品なので、出演が決まった時は嬉しさもありましたが、プレッシャーのほうが大きかったです。稽古期間を終え、自分達が創りあげたものが観劇してくださる皆様にどう届くのかとても楽しみです!舞台ならではの臨場感でお届けする舞台『魔道祖師』邂逅編。ぜひ楽しみにしていてください!

金子軒 役:武子直輝
中国のメガヒット作品に出演させていただける嬉しさとプレッシャーが同時にありました。
演劇ならではの『魔道祖師』がお客様からどう見えるのか楽しみです。
金凌がかっこいいです。自分が親の立場になる役なので、子が頑張っている姿が凄く勇ましく、嬉しいす。
舞台の『魔道祖師』をぜひ楽しんでください。

藍啓仁 役:村田 充
大変お恥ずかしながら、出演が決まる前は『魔道祖師』のことは存じ上げませんでした。ここ日本でも数多くのファンの方がいるということを知り、身が引き締まる思いです。
原作とそのファンの皆様に対して、失礼のない役作りをすると共に、きっちりと存在感を示し作品に貢献したいと存じます。

公演概要


【 Staff 】
原作:『魔道祖師』墨香銅臭
脚本・演出:伊勢直弘 音楽:坂部 剛 メインイラストレーター:Gearous

【 Cast 】
魏無羨 役:金子隼也 藍忘機 役:廣瀬智紀
江澄 役:和田琢磨 藍曦臣 役:小松準弥
金凌 役:田村升吾
藍思追 役:安藤夢叶 藍景儀 役:土屋直武
聶懐桑 役:安井一真 金子軒 役:武子直輝
藍啓仁 役:村田 充

大塚優希 小野俊介 坂本和基 櫻原智美 鈴木翔流 仲島瑠太 広瀬 蓮 光永ヒロト 宮園博之 来夢


【 Ticket 】
<チケット料金(税込/全席指定)>
前方指定席(1階前方5列以内) ¥15,000
一般指定席 ¥12,500
注釈付き指定席(※) ¥9,800
(※)舞台・映像・演出の一部が見えにくい可能性のあるお席です。
  お席によってはスピーカーが近く、音量が大きい場合がございます。
https://l-tike.com/mdzs_stage