【インタビュー】「愛と情熱を持って、皆さまの期待に応えるスペイン代表を演じます」ミュージカル『新テニスの王子様』The Fourth Stage　當間ローズさん＆Sionさん　インタビュー

ーーお二人とも『新テニミュ』初出演となりますが、出演が決まった時の気持ちを教えてください。

當間　実は12〜3年前にも一度、ミュージカル『テニスの王子様』のオーディションを受けたことがあって、結構いいところまで行ったんですが、最終的には受からなかったので。メダノレという役は自分に通じるところがあると思っているので、今回出演が決まって、とても嬉しいです。

Sion　僕は最初は実感がわかなくて、喜びよりも驚きの方が大きかったです。稽古が始まって歌やダンスの練習をしていくうちに、だんだんと「自分がロミオ・フェルナンデスなんだ」と実感するようになりました。『新テニミュ』に興味を持ったきっかけは、同じ事務所の友人たちが出演していたから。チャーリーくん（エルマー・ジークフリート役）、ジェレミー・クロディスさん（ティモテ・モロー役）、ジョエル・ショウヘイくん（ドゥドゥ・オバンドゥー役）と同じ事務所なんですが、彼らが出演していた『新テニミュ』The Third Stageを観に行ったんです。みんな、こんなに歌とかダンスとかできるんだ！ってそこで初めて知って、びっくりしました（笑）。

ーー今回お二人が演じるアントニオ・ダ・メダノレとロミオ・フェルナンデスは、それぞれどんなキャラクターですか？　魅力や、ご自身との共通点があれば教えてください。

當間　メダノレはまだ謎な部分が多いけれど、余裕がある感じのキャラクターです。言葉にせずともただならぬオーラを放っているというか…さっき「自分と通ずるところがある」とか言っちゃったけど、ちょっと違うかもしれません（笑）。僕が目指すべきところですね。

ーーでも當間さんも、すでに佇まいからオーラを感じます。

當間　あ、本当ですか？　気づいちゃいました？　って、嘘です（笑）。メダノレにはまだまだ及びませんね。すごい方だと思います。

Sion　僕とロミオの共通点は髪型です。僕も小さい頃は髪の毛が長くて、腰くらいまであるくるくるの髪型だったんです。今回、母親に「この役を演じることに決まったよ」とロミオの画像を見せたら「Sionの小さい頃に似てるね」と言われました。内面は、ロミオはクールですが、僕はクールではないので…。

當間　本当？

Sion　本当ですよ（笑）。でも自分的には演技をしていて役に入りやすいというか、やっていて楽しいです。ロミオはとにかく弱いところを一切見せず、声のトーンもずっと強気な感じなんですが、それがやりやすいなと思います。

ーーまだ謎も多いスペイン代表を演じるにあたり、役へのアプローチはどのようにしていますか？

當間　まずは原作のメダノレの出演シーンを読み込みました。あとは僕の中では「貴族」「闘牛士」「フラメンコ」、この3つの軸で役作りをしていこうと考えて、中世ヨーロッパの映画やドラマを観たり、フラメンコのショーを観に行ったりもしました。スペイン代表の曲もフラメンコっぽい要素がある曲調なんです。めちゃくちゃかっこいいですよ！

Sion　かっこよすぎて、観ていたいと思いますもん（笑）。

當間　わかる、わかる（笑）。今回出演するチームの中で一番かっこいい曲だというつもりで稽古を重ねています。スペイン代表が出てくると、ガラリと空気が変わるんじゃないかな。

Sion　ロミオはスペイン代表の中では謎は少ない方だと思うんですが、まずは原作を読み込んでイメージを作り込んでいきました。とはいえまだアニメにも登場していないので、「あまり考えすぎずに自分なりの解釈で表現した方がいい」と先輩の佐々木崇さんから助言を受けました。その言葉を大事にしています。

ーー『テニミュ』ファンに向けて「自分はこんな人です！」というアピールポイントはありますか？

當間　愛と情熱、筋肉と優しさの塊です。それをぜひ感じてください！

Sion　自分は歌もダンスも演技も全て初めてなんですが、初めてだと感じさせたくないです。お客さまに経験者なんじゃないかと思わせるくらいの完成度になれるように、頑張ります。

ーーでは、お互いについてはどのような印象を持っていますか？

Sion　もう、頼れる兄貴です。

當間　じゃあ、可愛い弟で（笑）。Sionくんは、多分人見知りなんですよ。最初に会った時も、僕が「よろしくお願いします」と挨拶したら「あっ、はい、すみません」と謎に謝られてしまって（笑）。でも実際に話してみると、すごく明るくて優しい、いい子でした。

Sion　慣れると大丈夫なんですけど、初対面の場がダメなんです。キャスト全員での顔合わせの日も、初対面の人ばかりでものすごく緊張しました。学校の初登校の日もすごく苦手でした。

當間　あはは、新学期とかね（笑）。

Sion　そう、友達を作りたいんだけど自分から行けないという…。

當間　その壁を取り払うと明るい性格が出てくるんだね。

Sion　そうです。ローズくんはその壁を取り払ってくれた一番最初の方です。

當間　あら、嬉しい。

Sion　稽古場でも一番最初に話しかけるのがローズくんで、ずっと隣に座ってます。

當間　可愛いんですよ、本当に。稽古場では座る席が決まっているんですが、それも隣なので、ずっと二人で「ここどうする？」って相談してます。

ーーお互いに心強い存在ですね。

當間・Sion　はい！

Sion　ローズくんの最初の印象は…さっきも話したように、初対面の場では僕があまり話せなかったせいで「大きい人だな」という印象しかなかったんですが（笑）。僕が一番印象に残っているのは一緒に歌の稽古をした時ですね。すごく歌が上手で驚きました。思わず隣で聴き入ってしまうくらい。

當間　Sionくんも歌うパートだから、聴くだけじゃなく歌ってくださいよ？（笑）でも嬉しいな、ありがとうございます。

Sion　今後も、何か困ったことがあったら頼らせてください！

當間　任せてくれー！…と言っても、僕も初の2.5次元ミュージカル作品で、わからないことばかりだけど（笑）。

ーーそもそも、お二人は『テニミュ』シリーズ以外の2.5次元ミュージカル作品には触れたことはありますか？　2.5次元ミュージカル作品について、どのようなイメージを抱いていましたか？

當間　僕は友人が出ている作品を何度か観に行ったことがあります。2.5次元ミュージカルはやっぱり原作があって、それにどう近づけていくかが大事なのかなと思っています。その中でも『テニミュ』は再現性がすごく高い作品だという印象です。

Sion　僕も『ハイキュー!!』の舞台に友人が出ていたので観に行ったことがあります。スポーツ系の2.5次元ミュージカルはたくさん体を動かさないといけないので、原作を再現するために役者がものすごく努力をしているんだなと思いました。

ーー実際に『新テニミュ』の稽古に参加されてみての感想はいかがですか？

當間　正直、想像よりは大変ではありませんでした。舞台を観ていると、みんな走り回りながら歌ったりお芝居をしたりしていて、すごいじゃないですか。だから稽古でもすごい走ったりしてるのかな？とか想像していたんですが、稽古では体力を温存するためにも、抜くところは力を抜いていて。なのにみんな、レベルが高いんです。それぞれ見えないところで努力してるんだろうなと思いました。

Sion　僕も全く同じ意見で、みんな多分帰ってからたくさん練習してるんだろうなって思います。例えば教わったばかりの振付を、次の日にはみんな完璧に踊れるようになっていて。自分だけできてない！みたいな。そういう先輩の姿を見ていると焦りますね。

ーー他のチームの方との交流はありますか？

Sion　僕はドイツ代表のみんなとは結構話す機会が多いです。手塚国光役の手島章斗くんは、前に出演していた『川越ボーイズシング』を観に行った時に話したりもしました。

當間　ドイツ代表は事前稽古が一緒だったもんね。僕はトリスタン・バルドー役の鮎川太陽さんと劇中でちょっと絡みがあるので、その関係でお話ししました。ある日の稽古帰り、鮎川さんが僕を家まで送ってくれたこともありました。

Sion　稽古場では常にいろんな先輩に「ここはどうしたらいいですか？」って聞いて、教えてもらっています。

當間　ダンスに関しては越前リョーガ役の井澤勇貴さんが、毎回「大丈夫か？」って聞いてくれたり、「ここの手の形はこうやって合わせようか」とか提案してくださって、頼りっぱなしです。

Sion　あと、僕は劇中でドライブBを打つシーンがあるんですけど、越前リョーマ役の今牧輝琉くんに教えてもらいました。輝琉くん曰く「ドライブBのフォームは身体能力を活かして作った」らしいです。

當間　すっごい跳ぶもんね、跳躍力！

Sion　うん。ロミオもリョーマと同じ左利きなので、輝琉くんはダンスやフォームのちょっとした動きでも、すごく参考にさせてもらってます。

ーーちなみに、お二人は実際にスペインを訪れたことはありますか？

當間　僕はあります。去年、ヨーロッパの国をいくつか周る旅行をして、バルセロナとサンティアゴに行きました。サンティアゴ・デ・コンポステーラという大聖堂があるんですが、そこで行われるミサのピアニストをしている日本人の方と知り合って、ミサを見せていただいたんです。あまりに素敵で思わず泣いてしまいました。その1ヶ月後くらいに、メダノレ役に決まったんです。もしかしたら、コンポステーラで何か（メダノレと）繋がったのかもしれないですね。

Sion　すごい！　僕はスペインには行ったことないんですが、8年くらいサッカーをやっていて今でもサッカーが好きなので、スペインに行って生でサッカーを見てみたいです。見ました？

當間　サッカーは見てないなぁ。でも、フラメンコショーは観たよ。一番前の席で観ることができたんだけど、ダンサーさんがターンするたびに長いスカートが顔に当たるくらい近い席でさ。

Sion　へぇ〜！　迫力が凄そうですね。

當間　汗もすごい飛んでくるんだけど、みんな気にせずに熱狂しながら観るみたいな感じで、情熱的だった。スカートが鼻の前に来るたびに、すっごくいい薔薇の香りがするんだよね。それが印象的でした。

Sion　ご飯はどうでした？

當間　ご飯もおいしかったよ。フラメンコショーはだいたい食事がついていて、食事をして時間になるとショーを観るっていう流れになってるんだけど、ご飯を食べてワインを飲んで、フラメンコに酔いしれるっていう。

Sion　いいなぁ、行きたい。行きましょうよ。

當間　いいよ、一緒に行く？

Sion　いやでも、冷静に考えるとちゃんとお金を貯めないと…。

當間　あはは！（笑）今、海外はどこも高いからなぁ。

Sion　役的にも、スペインはいつか行ってみたいですね。それとは別に、キャストの皆さんとも旅行してみたい。国内でもいいけど、やっぱり海外がいいな。

當間　みんなで行ったら楽しそうだね。いっそのこと、ドイツ、フランス、スペインって物語に登場する国を全部周ってみるとか。

Sion　あと、タイも行きたい。僕、タイ料理が好きなんです。

ーーQ.P役のパース・ナクンさんはタイでも活躍されていてタイ語も話せるので、案内してもらえそうですね。

Sion　確かに！あとは、ケン・レンドール役のアイル・シオザキさんには、アイルランドに連れて行ってもらえますね。

當間　全部周るには、どれだけ時間がかかるんだ？（笑）でも、楽しそうですね。

ーー舞台が始まるのは夏真っ只中ということで、夏の思い出を一つ教えてください。

Sion　夏なぁ…嫌いだからなぁ。ずっと家に閉じこもってます（笑）。

當間　あはは（笑）。でも難しいですね、この質問。夏って思い出しかなくないですか？

Sion　小さい頃の思い出だと花火とか、プールとか？　江戸川の花火大会に行ったことがあるんですが、花火との距離がすごく近くて、周りに建物もあんまりないので、すごく綺麗に見えるんです。

當間　花火が好きなら、僕の地元の静岡においでよ。浜名湖の湖上花火っていうのが有名で。湖の上で花火を打ち上げるから、花火が半円形に見えて綺麗だよ。

Sion　へぇ〜、気になるけど、今年の夏は公演期間中で行けないね（笑）。

當間　確かに（笑）。僕の夏の思い出を一つ挙げるとしたら沖縄ですね。毎年、夏は大体ダイビングをしに行ってるんです。そこで見るウミガメちゃんが可愛いんですよ。

Sion　ウミガメ、見たことない。産卵シーンとか見てみたいです。

當間　産卵シーンを見てみたい…？

Sion　え、ウミガメの産卵って有名じゃないですか？

ーー泣きながら卵を産むって言いますよね。世界各地でいろんなものを見てきている當間さんは、見たことは…？

當間　さすがにないなぁ（笑）。

Sion　（笑）。

ーーでは最後に、公演を楽しみにしているファンの皆さんに向けて一言ずつメッセージをお願いします。

Sion　まだまだ謎の多いスペイン代表ですが、とにかく熱い情熱を感じ取っていただけたら嬉しいです。皆さんの期待を超えられるように頑張って練習して本番に臨みます。

當間　今回、スペイン代表は初めましてになりますが、僕たちも愛と情熱を持って演じるので、それを感じてもらえたらと思います。スペイン代表、本当にかっこいいです。皆さん、原作を読んで期待されていると思うのですが、その期待にしっかり応えられるスペインチームが舞台に立っていると思います。楽しんでいただけたら嬉しいです！

取材：井上明日香／写真：ケイヒカル