【ゲネプロレポート】NHK Eテレで放送中の人気子ども番組『ビットワールド』が、ついに舞台化!

レポート

その名も舞台『ビットワールド THE STAGE』が、2025年7月4日東京・池袋サンシャイン劇場で幕を開けた。

『ビットワールド』は、2007年に放送をスタートし、前身の『天才ビットくん』から数えると今年で25周年を迎える長寿番組。デジタル世界のビットワールドを舞台に、視聴者参加型の企画やコント、アニメ、ゲームなどを融合させ、創造力あふれるユニークな番組として長年にわたり多くのファンに愛されてきた。
そんな『ビットワールド』の世界観を再現し、「愛すべきキャラクターたちと同じ空間を共有する」という夢のような体験が、ついに現実になる。

脚本・総合演出はSUGARBOYの川尻恵太、演出には白鳥雄介を迎え、舞台としてのクオリティも折り紙つき。出演には、いとうせいこう、金子貴俊、中田あすみ、横山だいすけ、ソーズビー・キャメロンといった番組のレギュラー陣が名を連ねるほか、バカリズム(升野英知)が映像出演。
さらに舞台オリジナルキャストとして、上田堪大、小山百代、高橋怜也が参加し、大和悠河が特別出演として華を添える。
また、浅川梨奈、マキタスポーツ、古坂大魔王、増子敦貴(GENIC)など、日替わりで豪華ゲストも登場する。

メディアクトでは、初日に先駆けて行われたゲネプロ公演と、開幕直前取材の模様をレポート。

※物語の核心に触れるような大きなネタバレは避けていますが、事前情報なしで観劇を楽しみたい方は観劇後に読むことをおすすめします。

公演レポート

物語は、マスター(いとうせいこう)とソーイ(中田あすみ)たちが穏やかに暮らす「ミスティータウン」から始まる。ある日、不思議なボタンを押したことをきっかけに、突如現れたブラックホールのようなものに吸い込まれてしまう一行。
彼らが辿り着いたのは、ビットワールドのようで違う新たな世界——その名も「ニュービットワールド」だった。
ミラレタ(金子貴俊)、ヨコヤマン(横山だいすけ)、ゾース(ソーズビー・キャメロン)らも加わり、セイコー(いとうせいこう)たちは出口を探し始める。そんな中、現れたのはこの世界の創造主を名乗る謎の存在・ビットラン(大和悠河)。ビットランは「新たな世界を創る」と告げ、波乱の幕が上がる。

ピンチに陥ったセイコーたちの前に現れるのが、仮想空間総合研究所からやってきたダイゴ(上田堪大)、スミレ(小山百代)、ユタカ(高橋怜也)の3人組。実は彼らはビットワールドのファン=視聴者であり、セイコーたちを助けに来たのだった。
元の世界に戻るために奮闘するセイコーたちの前には、さまざまな試練が立ちはだかる。試練には「カミサマチャンネル」や「ヨコヤマン・ラプソディ」、「宇宙人のミラレタ!」など、番組の人気企画も巧みに組み込まれており、客席とステージが一体となる演出がふんだんに盛り込まれている。
さらに詳細は伏せるが、ファンにとっては嬉しいあのキャラクター、ピンキーマカロンも登場する。会場では声援が出せないぶん、心の中で全力で応援しよう。

数々の試練を乗り越え、無事に脱出――かと思いきや、物語は予想外の展開へ。果たしてセイコーたちは、元の世界に戻れるのか!? その結末は、ぜひ劇場で確かめてほしい。
本作の上演時間は、休憩なしの約1時間50分。笑いあり、涙あり、盛りだくさんの内容に、あっという間に時間が過ぎていく感覚を味わえるはずだ。

本作の魅力のひとつは、視聴者の投稿を採用したことによる豊富なアドリブと日替わり要素。その場で生まれる笑いの化学反応は、生の舞台ならでは。長年番組を支えてきたレギュラー陣の抜群のチームワーク、ボケとツッコミの見事な掛け合いも必見だ。阿吽の呼吸が生むアットホームな空気感は、観客の心まであたたかく包み込む。

そして、今回の舞台を彩るオリジナルキャストたちにも注目したい。
ビットランを演じる大和悠河の存在感は圧倒的。煌びやかな衣装に身を包み、美貌と美声で観客の視線を一身に集める。かつて宝塚で男役トップスターとして活躍した彼女のパフォーマンスは、威厳とユーモアを兼ね備え、今作だからこそ生きる悪役像を見事に体現。どこか憎めないチャーミングな面も持ち合わせており、愛されるヴィランとして物語に深みを与えている。

上田堪大演じるダイゴは、3人の中でのリーダー的な存在。IQ200の天才という役どころだ。クールに決めつつ、仲間をさりげなくフォローする姿に信頼感がにじむ。長身から放たれる説得力と落ち着いたトーンの声は、舞台の要石ともいえるだろう。共演者をさりげなく支える立ち回りも見どころで、いとうせいこうに台詞や立ち位置を自然に教えてくれる“介護”もみどころと語られたりと、舞台裏での信頼も厚い。

小山百代が演じるスミレは、自信のなさが前面に出るちょっと後ろ向きなキャラクター。しかし可憐なルックスと声色に反してキレのあるギャグを挟んだり、テンポの良いやりとりで場をかき回す。特にヨコヤマンやゾースとの掛け合いは小気味よく、ギャップの魅力にやられる観客も多いだろう。

高橋怜也のユタカは、軽快なチャラ男ポジション。アスミンに連絡先を聞くなど一見お調子者の面が目立つが、場を明るくするムードメーカーで憎めない。これまで寡黙でクールな役が多かった高橋にとって、ユタカは新境地とも言える挑戦だ。アドリブも日替わりも全力でこなす姿は、役者としての無限の可能性を感じさせてくれた。

番組レギュラー陣と舞台オリジナルキャストが一堂に会した今作は、新しいビットワールドを体現する舞台となった。ゲネプロ中も会場内には笑いが溢れており、本番を重ねるごとに、その勢いと一体感はさらに増していくことだろう。
キャストたちは視聴者たちからの投稿に全力で応え、ときに翻弄されながらも、柔軟に作品に取り込んでいく。視聴者と共に創るという番組のスピリットが、舞台でも息づいているように感じられた。

舞台『ビットワールド THE STAGE』は、子どもから大人まで、誰もが自然と笑顔になれるエンターテインメントだ。笑いあり、涙あり、全力のエンタメがぎゅっと詰まった唯一無二の体験を、ぜひ劇場で味わってみてほしい。きっとあなたの心にも、忘れられない時間が刻まれるはずだ。

◆開幕直前取材

ゲネプロ直前に行われた開幕直前取材には、番組レギュラー陣と舞台版キャストが勢ぞろい。
いとうせいこう、金子貴俊、中田あすみ、横山だいすけ、ソーズビー・キャメロン、上田堪大、小山百代、高橋怜也、大和悠河、そして初日・千穐楽のゲストである浅川梨奈が登壇し、終始笑いにあふれるにぎやかな会見となった。

浅川が「今回、初日と千穐楽にゲストで出演させていただきます。私が一番最初にしゃべるのも恐縮なんですが……」と口火を切ると、横山からすかさず「びしっと決めちゃってよ!」とツッコミが入り、会場の笑いを誘った。

それに対し浅川は、「センパイたちがいつもこんな雰囲気なんですよ!(笑) だから完成されている空間にゲストで登場するのが心配だったんですが、いつものビットワールドな空気なので安心していますし、皆さんが作り上げたビットな世界を見るのが個人的にも楽しみです。キャラの濃い人たちの中に入っても浮かない、素晴らしい空間。賑やかな皆さんなので、私もゲストとして楽しませていただきたいと思っています」と笑顔でコメントした。

続いて、ソーズビーが「ゾースだ!笑いあり、涙あり!危機ばかり!大変だよ! たぶんお前ら10分くらいで“こんな感じでビットワールド舞台化するんだな”って思うんだろうけど……見てろよ!」と熱弁。
金子から「そのキャラでいくの!?」とツッコミが入るも、「十代からこの役やってると、これでアドリブとかもやるだろ? だから無理なんだよ!(笑)オレが言いたいことは、……気をつけろだ!」と、ソーズらしさ全開で意気込みを語った。

横山は「ヨコヤマン役の横山だいすけです。ソーズを見習って……」とマイクを構えると、「来たらわかるよ、最高だ〜〜〜よ♪」とおなじみの美声で締め、拍手と笑いが起こった。

中田は「稽古はひと夏の部活のように、全員が一丸となって頑張ってきました。ビットワールドらしい作品となっていますので、どっぷり世界に浸っていただければと思います。よろしくお願いします」と、丁寧に挨拶した。

続く金子は「今回は、宇宙人のミラレタを演じさせていただきます」と挨拶をし、その真面目な語り口に対し、周囲からは「何キャラ?」「こんなキャラ見たことないよ」と小声でツッコミが入り、和やかな雰囲気の中「キャラクターはビットワールドで何年もやっていますが、舞台は初めてです。舞台の中ではアドリブも無茶振りも多いので、私がやっていることは本当に無茶苦茶です。ただただ楽しんで、笑っていただけたらと思います」と続けた。

大和は「このような大変キャラの濃い皆さんに敵対するビットランという役をさせていただきます。25年間も愛され続けている作品に出演できて本当に光栄に思っています。皆さんに負けないように、思いっきり敵対していきたいと思います」とコメント。

上田は「最初は僕たち舞台を主にやっているキャストが、ビットワールドの皆さんにどう溶け込んでいけばいいか、どう交わっていけるかと思っていましたが……せいこうさんを“ケア”することによって、だいぶ距離が縮まりました(笑)。本番中もせいこうさんのケアをしつつ頑張ります。他の舞台とはまた違った楽しみ方があると思うので、ぜひ楽しんでください。まずは僕たち自身が楽しんでいきたいと思っていますので、よろしくお願いします」と、現場での交流を振り返りつつコメントをした。

小山は「私たち3人は舞台オリジナルキャラクターです。どんなキャラクターか、皆さんぜひ楽しみにしていてください。暑い中頑張って稽古してまいりましたので、皆さんにお届けできるのが楽しみで仕方がないです。毎公演、日替わりで全然違うものになると思いますので、何度も劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです」と、作品の幅広い楽しみ方をアピール。

高橋は「今回、舞台チームとビットワールドチームが融合して、稽古中はいろいろ試行錯誤して作ってきました。最後にお客様のアイデアと共にこの作品は完成します。ぜひ、最高に面白い作品を一緒に創り上げていきましょう」と、観客とともに作る舞台の魅力を強調した。

最後に、いとうせいこうが「今みんなが説明してくれましたけど……。僕は、決まったことに立ったり言ったりってことができないので、後ろで必ず(堪大が)介護をしてくれるんですよ(笑)」と語り始め、「小さい声で教えてくれる人がいても、気にしないで楽しんでください。ハラハラしている感じも、僕は楽しいです。毎日やるたびに違う解釈が生まれる舞台になっていると思いますので、ぜひ2回3回と楽しんでいただけたらと思います。『こんなやり方の舞台もあるのか』と、周りの方にもぜひ宣伝をお願いします」と笑顔で締めくくった。

取材・文:水川ひかる/写真:ケイヒカル

舞台『ビットワールド THE STAGE』 公演概要>

【タイトル】 舞台『ビットワールド THE STAGE』
【脚本・総合演出】 川尻恵太(SUGARBOY) 【演出】 白鳥雄介
【出演】 上田堪大 小山百代 高橋怜也 / 大和悠河(特別出演)
金子貴俊 中田あすみ 横山だいすけ ソーズビー・キャメロン
升野英知(映像出演)
いとうせいこう
日替わりコーナーゲスト出演者:浅川梨奈 升野英知 マキタスポーツ 古坂大魔王 増子敦貴(GENIC)(出演順)
【公演日時・会場】 2025年7月4日(金)~13日(日)東京・サンシャイン劇場(豊島区東池袋3丁目1-4)全12公演
【日替わりコーナー・出演者】


【チケット料金】 特典付SS席16,000円、一般S席9,500円、U18席5,000円(税込)
※U-18席は各公演数量限定/一般発売より販売開始。来場時に18歳以下のみ購入可。公演当日「当日引換券受付」にて、年齢明記の身分証提示の上、座席指定
券と交換。U-18席は、2名以上の場合はお並びのお席をご用意できない場合がございます。
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。 ※本公演のチケットは「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券
」として販売いたします。主催者の同意のない有償譲渡は禁止されています。
【チケット販売】
2025年4月19日(土)10:00~ オフィシャル先行 申込開始
イープラス:https://eplus.jp/bitworld-official/
2025年5月24日(土)10:00~ 一般発売開始
イープラス:https://eplus.jp/bitworld/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/bitworld/
ローソンチケット:https://l-tike.com/bitworld/
【問い合わせ】 サンライズプロモーション東京:0570-00-3337(平日12:00-15:00)
※会場等、上記問合せ窓口以外にお問い合わせいただいても、ご回答できかねますのでご了承ください。
●公式HP:bitworld-stage.com
●公式X:@bitworld_st
●企画・制作:ディレクションズ
●主催:『ビットワールド THE STAGE』製作委員会