ドリライ史上最多人数が集結！ ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン Dream Live 2024～Memorial Match～東京公演レポート

5月31日（金）、東京・有明アリーナにてミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン Dream Live 2024～Memorial Match～（通称・ドリライ）東京公演が開幕した。本公演は、2020年9月に始動した『テニミュ』4thシーズンの楽曲によるライブイベントであり、このイベントをもって現・青学（せいがく）キャストは『テニミュ』4thシーズンから卒業となる。

※本記事は、公演内で歌われる曲名、演出内容に触れています。まだ観“戦”前であり情報を目に入れたくない方は、ライブ観“戦”後に本記事をご覧ください。

ドリライ史上最多人数が集結し、30曲以上のテニミュ4thシーズン劇中曲などで構成される本公演。公演開始時間10分前、青学（せいがく）1年生トリオの堀尾聡史（演：りょうた）、加藤勝郎（演：戸塚世那）、水野カツオ（演：市川愛大）がメインステージに登場し、「ドリライイロハ～飲むの？」の曲とともに諸注意を観客に伝えるところからスタート。六角中のオジイ（演：うじすけ）もトリオと一緒に華麗なステップを見せ、本編開始前から場内は熱気でいっぱいに。

メインステージに青学（せいがく）メンバーが現れると、青学（せいがく）をイメージした青のペンライトの光でいっぱいになった場内から、割れんばかりの声援が飛ぶ。まずは青学（せいがく）メンバーによる「Prince of Tennis〜4th season〜」から。そこへ、曲の途中からかつての対戦校のメンバーたちが集結してくる。青一色だった場内のペンライトが、思い思いの“推し校”カラーになっていくさまは壮観だ。

「ガンガンいくよ！」とリョーマ（演：今牧輝琉）が声を上げると、曲は「ガムシャラエンジョイ」へ。雨天の重い空気を吹き飛ばし、早くも夏が訪れた気分にさせてくれる明るい曲だ。ここで率先して盛り上げるのは桃城（演：寶珠山 駿）。ほぼ全員が全身でノリノリになりながら腕を振り回し場内をあおる中、直立不動の手塚（演：山田健登）、腕を組み仁王立ちの真田（演：早川大弥）など、そのキャラらしい動きも楽しめる。

弾けるようなオープニングが終わり、ドリライはいよいよ本編へと突入。事前におこなっていたインタビューで青学（せいがく）のキャストたちからも「大好き」とそのタイトル名が多く挙がった「Best of the best」を皮切りにドリライは進んでいく。

対戦校同士の絡み、衣裳チェンジ、夏祭りなど、本公演では見られないお楽しみがあるのもドリライならでは。さらに今回のドリライは、ライブコンサートとして楽しいだけではなく、4thシーズンの『テニミュ』をはじめから通して観てきたファンにとっては何とも感慨深いシーンが盛りだくさんな作りになっている。テニミュ4thシーズンを振り返るような構成になっており、公演のときの振り付けそのままで歌われる曲もあるので、これまでの公演の思い出がよみがえってくるだろう。

それと同時に、同じ曲・同じ振り付けだからこそ、この数年間の彼らの成長を強く感じることができる。歌唱力、表現力、そしてキャラクターとの“なじみ”。特に青学（せいがく）のキャストは、2021年5月のミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンお披露目会からまる3年もの間ずっと役と向き合ってきている。役に対する思い入れはひとしおだろう。まだまだ彼らが演じる『テニスの王子様』のキャラクターを舞台上で観ていたい。そう強く願ってしまう。

また、公演終盤には大きなサプライズ曲が用意されている。この曲をテニミュ4thシーズンの青学（せいがく）メンバーが歌うことは大きな驚きであり、テニミュ4thシーズンを卒業する彼らの名を曲中で呼べることは大きな喜びだ。

これまでのテニミュ4thシーズンは、直近ではカーテンコールで声援を送れるようになったものの開始当初は声出しができず、熱い気持ちは拍手で伝えるのみだった。「選手宣誓」で「思い切り学校名とキャラクターの名を呼べたら…」と悔しい思いをしてきたファンも多いだろう。その気持ちはぜひ今回のドリライで晴らしてほしい。さらに、氷帝学園の生徒のひとりとして氷帝コールができるシーンも用意されている。

ドリライ史上最多人数でおこなわれる今回の公演だが、青学（せいがく）をきちんと立てながらも、対戦校たちにも見どころがきちんとあるのがうれしいポイントだ。特に、青学（せいがく）の桃城、海堂（演：岩崎悠雅）と、緑山の季楽（演：成瀬遙城）ら各校の“2年生”たちが歌う「コンビプライド」は、衣裳にも注目してほしい。

そして1年生トリオが、本作座長の今牧について「誰もひとりにしない人」とインタビューで語っていたが、このドリライでもその今牧のその精神を感じるシーンが多く用意されている。

これだけの人数に見せ場を用意し、名曲は外さず、MC、芝居も盛り込んだイベントをぎゅっと制限時間内におさめるのは相当な苦労があったことだろう。テニミュ4thシーズンを大きく振り返ったような気持ちのまま、最後のフィナーレの時間をキャラクター・キャストたちとともに過ごしてドリライは終了する。寂しいだけでは終わらず、胸躍るライブイベントなのはさすがドリライと言うべきだろう。しかしやはり寂しいのは正直な気持ちだ。最後まで悔いなく、そして油断なく、現青学（せいがく）の彼らの卒業を見送りたい。

公演は6月2日（日）まで、東京・有明アリーナにて。現・青学（せいがく）最後の姿を、ぜひその目に焼き付けてほしい。

※本記事に置いて、写真は、神戸公演のものも含まれています。

取材：広瀬有希

©許斐 剛／集英社・テニミュ製作委員会