【イベントレポート】TVアニメ『【推しの子】』スペシャルイベント 苺プロダクション☆ファン感謝祭(夜の部)

レポート

2023年11月26日に千葉・幕張メッセで行われたスペシャルイベント『苺プロダクション☆ファン感謝祭2023』の模様をレポートします。

『【推しの子】』は、2020年4月より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載がスタートした芸能界を題材にした物語。地方の産婦人科医である主人公・ゴローが、推しのアイドル・アイと出会うも、とある出来事で死んでしまいます。しかし、ゴローはアイの子どもに転生し、さらにとある出来事が巻き起こり……彼女と同じ芸能界の道へ進んで行くことになります。ミステリー要素に加え芸能界の世界をリアルに描いた描写が人気を博し、テレビアニメが2023年4月~6月が好評のうちに終了。最終話で第2期の制作が発表されました。

今回のイベントは、主人公たちが所属する事務所「苺プロダクション」のファン感謝祭というていで行われるスペシャルイベントとなっています。


イベントは「朗読コーナー」「ゲームコーナー」「ライブコーナー」3つの要素で構成されています。最初は「朗読コーナー」になります。

■朗読コーナー

アニメの第1期を振り返る形で、ダイジェストで名シーンをスクリーンに表示し、各キャストが登壇して生朗読で演じます。

ピアノで「STAR☆T☆RAIN」が弾かれ、物語は遡る。はじまりはゴローとアイの出会いのシーンから。

ゴローの元に妊娠の診察にきた16歳の少女、それは推しのアイドル・アイ。動揺を隠せないが、正しい診察を行う。本当にこのまま進めて良いか迷うゴロー。

時間は経過し、星空の下で病院の屋上にて会話する二人。ゴローはここで初めて、アイの「愛」に関する信念と「よくばり」な気持ちを目の当たりし、そんなアイを推すべきことを再認識。アイの子供を産ませることを誓う。

そして、アクアとルビーを育てていくアイだったが、突如、最期の時を迎える。

ルビーはアイドルになるのではないか、親子共演できるのではないか、アクアは役者になるのではないか……二人の将来を期待し、自身が一緒に行動を共にすることを切望し、それに寄り添うことを希う……。それが叶わぬことを冊子、最期だからこそ告げなくてはいけない言葉を探す。それは絶対に嘘ではない……一度も告げたことのないあの言葉。

「愛してる」

時間は経過する。アクアとルビーの高校入学、有馬かなとの再会、実写ドラマ「今日あま」の撮影、を振り返る形で朗読は続いていく。

「今ガチ」ではメンバーである黒川あかねがSNSの誹謗中傷から一時離脱するも復帰。アクアに助けられたことから、恩返しで何かをしたい……B小町のアイに何かあると感じたあかねはアイをプロファイリングしていく。「愛情の抱き方に何かしらのバイアスが有り」「視力は良い」「発達障害の傾向」「15歳あたりから破滅的な行動に改善が見られる」……瞳に星を宿したあかねの声、仕草、表情はまるでアイ同様のカリスマ性を放ち、アクアの視線を釘付けにした。アニメ本編のエンディングテーマ「メフィスト」が奏でられる。

ダイジェストは最終回へ。

ライブシーン、有馬かなのモノローグ。SNSで人気を誇るMEMちょ、アイの才能の片鱗を放つルビーに当てられ自分の存在が希薄になる。幼少期の自分の悲しい投げかけに、悲しく返する有馬かな。

……

「サインはB」がピアノで弾かれるように広い会場に響き渡る。

有馬かなは、客席に3色のペンライト持ってオタ芸を一人で踊るアクアを見つけたことによって、心の不安が吹き飛び、そして彼女の中で勇気が巻き起こる。

「あんたの推しの子になってやる!」

ピアノの旋律は伸びやかに響き渡る。これからの未来を示唆するように最終回の再現を新たな形で描き、ダイジェスト朗読劇は幕を閉じる。

朗読劇終了後は軽くコメント。

アイ役の高橋李依さんは「悲しいから見たくないって思ってしまうと思いますけど、やればやるほどに幸せを噛みしめられるシーンなので、温かくなります」と振り返る。作中の劇伴を担当した伊賀拓郎さんは「アイの優しさとか、最期の言葉とかに寄り過ぎたせいで、残酷におだやかになった。結果、俺も放映観て大号泣した」とコメント。それを受け、ゴロー役の伊東健人さんも「映画館に4回行ったけど、毎回泣きました」としみじみしていました。

アクア役の大塚剛央さんは「アイのシーンから(自分が)出てくるのはダメですね」と涙を堪えて、切り替えて朗読していたようで。「アフレコをしている時って音楽を聴きながらやることはないじゃないですか。今回は生演奏で贅沢で、余計気持ちも乗ってきますね」と感情が大きく動かされるという感想を述べていました。

黒川あかね役の石見舞菜香さんは、プロファイリングシーンについて「アフレコだとタイミングとか決まっているのですが、今日みなさんの前で披露した形は、音楽に載せて自分のタイミングで演技ができたのですごく楽しかったです」(昼の部では、このシーンは別の朗読でした)。

MEMちょ役の大久保瑠美さんは「アフレコの時は尺が決まってここに収めてってのがあるんですけど、今日の朗読は伊賀さんが生演奏で合わせてくれているおかげで自由にできました」。また掛け合いで、ルビーが支えるシーンのセリフなどについてルビー役の伊駒ゆりえさんは「ルビーちゃんの良い所が詰まったセリフだし、彼女を表す大事な台詞のひとつなので、今改めてやらせて頂く意味があるって思いました。これから2期に向けて進んでいくにあたって、今日の朗読が改めてルビーちゃんを考えられた時間となりました。」

朗読の締めにあたる部分を担当した有馬かな役の潘めぐみさん「昼の部もサインはBがすごかったんですけど、夜の部も……伊賀さん!!」とピアノを伴奏した伊賀さんに向かって立ち上がってアピール「最後のセリフがすごい勢いで来たから、こっちも演奏で返して」と、息の合ったやりとりについて互いに褒め称え合っていました。

実際にアニメに出てきたシーンを生で演じるだけではなく、ピアノの生演奏がセリフに息を吹き込み、それに呼応するように役者の言葉にも熱がこもり、相乗効果で良いものが生み出される。まさに「生ならでは」という朗読でした。

朗読コーナーが終わると、次はゲームコーナーになります。

■ゲームコーナー

お仕事シミュレーションYouTube用の動画撮影をせよ!

苺プロダクション(あかねは劇団ララライ)のタレントたちが、どんな仕事をしているかを少しだけご覧頂こうという趣旨。一人ずつ抽選ボックスからくじを引き、そこに書いてあるお題に沿った内容で、YouTuberっぽいことをするということになります。

進行は伊東さんのため、彼以外の全員が何かする形になります。

衣装の推しポイントを1分間で紹介してみた」の高橋李依さんは、全体的にアイをイメージしたということと、髪飾りのうさぎは(横槍)メンゴ先生が顔を入れてくれたことをアピールされていました。その次の挑戦は「ムーンウォークにチャレンジしてみた」と大塚剛央さん。はじめて挑戦するムーンウォークはぎこちなかったのですが、途中で靴が脱げ、そのおかげでちょっとスムーズになり、丁度良い感じに盛り上がります。1分間の中で徐々に変化していく部分が見ごたえありましたね。

1分間で感謝祭のステージを紹介してみた」の伊駒ゆりえさんは会場狭しと、下手から上手までハンディカメラを引き連れ紹介してくれました。全体的にキラキラしている部分が多いということが分かりましたが、残念ながらあっという間に1分は終わってしまいます。潘めぐみさんは「私のモーニングルーティン」ということで、朝6時半に目覚め、洗顔、歯磨き、朝食、という流れを客席に白いライトを付けさせて盛り上げていました。最終的に時間ギリギリになってしまい、食パンを咥えて自席に戻る……というラブコメアニメの定番シーンを演じられていましたね。

下手な演技してみた」の石見舞菜香さんは、台本の読み合わせを行います。シーンは「今日あま」のクライマックスシーン。ドラマの主役として石見さん、有馬かな役を潘さんが演じますが、石見さんは「私、メルト君推しなんです」と言いながら鳴嶋メルトっぽい喋り方でやりきりました。

誰にも話していない、推しの子の裏話」を行う大久保瑠美(MEMちょ役)は「なんでも喋っちゃうタイプ」ということで、お題が難しいと悩んでいましたが……今日のイベントのライブ衣装についての話をすることに。ほぼ完全再現ができているのですが、一部できなかったことについてを説明してくれました。1分間でうまくまとめて紹介し、今後のライブシーンに期待を持てるような形で終えるという完璧な仕事をこなしており、さすがMEMちょという印象を持ちました。

わちゃわちゃとゲームコーナーも盛り上がり、告知などを挟んだのち、ライブコーナーに移行します。

■ライブコーナー


●セットリスト
・01 アイドル/高橋李依(アイ役)
・02 フルムーン…!/潘めぐみ(有馬かな役)
・03 ピーマン体操/潘めぐみ(有馬かな役)with 大塚剛央(アクア役)・石見舞菜香(黒川あかね役)・伊東健人(ゴロー役)・Lynn(斎藤ミヤコ役)・村田太志(ぴえヨン役)
・04 ぴえヨンブートダンス/村田太志(ぴえヨン役)with 大塚剛央(アクア役)・石見舞菜香(黒川あかね役)・伊東健人(ゴロー役)・Lynn(斎藤ミヤコ役)
・05 HEART's♡ KISS/高橋李依(アイ役)
・06 STAR☆T☆RAIN/伊駒ゆりえ(ルビー役)・潘めぐみ(有馬かな役)・大久保瑠美(MEMちょ役)
・07 サインはB/伊駒ゆりえ(ルビー役)・潘めぐみ(有馬かな役)・大久保瑠美(MEMちょ役)・高橋李依(アイ役)


様々な選択肢がある中、予想を大きく嬉しく裏切る形になったのは1曲目「アイドル」です。この楽曲はアニメのOP主題歌としてYOASOBIがリリースした今年を代表する1曲。赤坂アカさん書き下ろし小説「45510」を原作とした楽曲で、「45510」はアイと共に過ごした元B小町のメンバーらしい人物の目線で描かれており、アイの死後、アイへの複雑な感情が綴られています。そういった経緯を持つ楽曲をアイ役である高橋さんの声で聴ける奇跡が、記念すべき公演の1曲目となりました。高橋さんは、力強く、かわいく、艶やかに、楽しそうに会場を盛り上げ、最高のスタートを切ってくれます。最後に「ありがとう!」と締める、高橋さん。

歌唱後、進行のため出てきたゴロー役の伊東さんは余韻に浸っており「喋りたくない」と吐露……。

2曲目3曲は、有馬かなの2曲。

藩さんは「Full moon…!」のPVの白いワンピースに近い衣装を身に纏い、有馬かなと同じ髪型になって登場。「Full moon…!」はイメージビデオのようなPVしかないため、振り付けは今まで存在していませんでした。したがって、サビの部分、手で満月を再現するよう手を回したり、星が降り注ぐような仕草は初披露でした。しっとりと歌い上げた後に歌われるのは子役時代の有馬かな最大のヒットソング「ピーマン体操」。みんなで一緒に歌うということで、大塚さんや石見さんが登壇、さらにサブステージでは、斎藤ミヤコ役のLynnさん、ぴえヨン役の村田太志さんがサプライズで登場。会場を盛り上げてくれます。会場全体でピーマン体操を踊るという異様……素晴らしい光景!

楽曲終了後、石見さんに「上手だったよ」と潘さんが告げると、「かなちゃんに負けたくなくて頑張りました」と一言。バチバチな今後のアニメ展開を示唆するようなやりとりに、会場も盛り上がります。

ピーマン体操」が身体を動かす曲だったので、次の4曲目は「ぴえヨンブートダンス」。引き続き体を動かします! メインステージにいた大塚さんと石見さんは、サブステージのLynnさんと村田さんと入れ替わります。曲が始まると、ステージ上でも会場中でもブートキャンプが行われる中、大塚さんはサボって突っ立っていました。石見さんが「アクア君、どうしたの?」などと声をかけますが、無視してやっている振りを続けます。脱力系のアクアを再現する形で、サボっていたようですね。

5曲目は再び高橋さん。元B小町の楽曲「HEART's♡KISS」。

「この赤一つ一つにみんなにエールを送って、明日からの力になったら良いなって思いながら歌います」と、赤いペンライトで埋め尽くされた会場に投げかけてスタート。途中、「L・O・V・E・L&Y」を手で表現する振りがあるので、それを一緒にやることをレクチャー。互いに力を合わせ、前に進んでいく応援ソングを、会場と一体となって元気いっぱいに盛り上げてくれました。高橋さんのアイらしさ、アイだからこそ人を惹きつける魅力が詰まって、会場全体がうねりとなって盛り上がるのを実感します。司会として進行している伊東さんも「最高です……」と語彙力を失っていました。

最後の2曲は新生B小町が登場。歌う曲は「STAR☆T☆RAIN」。振りは-New Arrange Ver.-。ほぼ完全再現された衣装で登場し、ボルテージは一気に沸騰。

曲が始まると、スクリーンに最終回のライブシーンが映し出され、それとシンクロするようにメンバーも動いていきます。無邪気なルビーのように楽しむ伊駒さん、指先の振りまでしっかりMEMちょな大久保さん、有馬かなのように皆を支える潘さん。

フルコーラスのため今まで見れなかったパートの振りが初披露されたり、大サビ前の「ついてきて」が全員で「ついてきて!」と声を投げかけるライブバージョンとなっていたりと、今までは見ることができなかった新鮮さも兼ね備えています。思い起こされるアニメの記憶と、それ以上のライブ……そこには躍動する新生B小町が存在していました。

楽曲披露後、「ウソみたい、白がある」という藩さんのセリフには、最終回の想いがあるのかもしれません。

最後の曲は「サインはB」。楽曲としては-New Arrange Ver.-。この曲は、「うりゃおいうりゃおい」など、いわゆるコールがしやすく、最も会場が盛り上がる曲です。引き続きB小町ですが、1番が終わり、2番になると高橋さんも合流します。新旧B小町の邂逅に会場はさらに沸きます。目を合わす高橋さんと伊駒さん。朗読劇でも演じられたアイの最期のシーンが脳裏をよぎり、心が震えます。それは、「いつかアイドルとして、親子で共演できれば……」というアイの願いが近い形で成就したからかもしれません。
サイリウムを持ったゴロー&アクアが終盤には登場するという構図も含め、全てが一体となり、【推しの子】というコンテンツの特別な一つのゴールが形作られたような気さえします。

以上3つが主だったコーナーのレポートとなります。

■配信アーカイブ

細かいキャストのやりとりや、イベントが終わる際に各キャストのコメント、前説や第2期のキービジュアルなど、さらに盛りだくさんの内容となっております。配信アーカイブは12/3(日)まで視聴が可能ですので、会場に足を運べなかった方、行ったけどもう一度観たい方、ぜひ配信アーカイブで何度もこの感動を味わってください。

配信アーカイブは下記にて販売(視聴期限は、12/3まで)
https://t.co/LFiT8DpLLM



開催概要

TVアニメ『【推しの子】』スペシャルイベント 苺プロダクション☆ファン感謝祭

HP:https://ichigoproduction.com/news/index00720000.html

開催日:11月26日(日)
開催時間:
〈昼の部〉開場12:30~ 開演13:30~
〈夜の部〉開場17:30~ 開演18:30~
会場:幕張国際研修センターシンポジウムホール
 幕張メッセ 国際展示場9-10ホール
出演者:高橋李依(アイ役)、大塚剛央(アクア役)、伊駒ゆりえ(ルビー役)、潘めぐみ(有馬かな役)、石見舞菜香(黒川あかね役)、大久保瑠美(MEMちょ役)、伊東健人(ゴロー役)
サプライズゲスト:伊賀拓郎(音楽)、Lynn(斉藤ミヤコ役)、村田太志(ぴえヨン役)

チケット料金:8.800円(税込)

Ⓒ赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会