【レポート】舞台「ナナシ-第七特別死因処理課-」人間の人生最後のストーリーを考える死神たちの物語！

本作はDMM TV「2.5次元的世界」オリジナルドラマ企画第１弾「ナナシ-第七特別死因処理課-」の舞台化です。ドラマ版では、エリート部署の第一死因処理課から第七特別死因処理課（通称“ナナシ”）に異動することになったスナオ（演：増子敦貴）目線から描かれるストーリーでした。舞台版となる本作ではナナシのボスであるチョッキュー（演：立花裕大）が、ナナシを立ち上げることから始まる物語となっています。つまり、時間軸としては、ドラマ版よりも前のエピソードとなります。

本作は、主にチョッキュー目線で描かれます。新たな部署を立ち上げることを命じられたものの、その申し出を辞退しようと思っていたチョッキュー。しかし、「震死」を担当するデンデン（演：田中涼星）に後押しされ、立ち上げに奔走することになります。その元に集まったのは、「腹上死」を担当するチャラ目のハズイ（演：高橋祐理）、「殉死」を担当する無口で融通のきかないブコツ（演：相澤莉多）、「焦がれ死」を担当するかわいくぶりっ子気味なツヨビ（演：永田聖一朗）、「呪死」を担当しクールなレイト（演：福澤 侑）と、かなり個性的な面子。
そして、これからナナシとして活動を始めようとするところに現れたのは、天使のオザキ監察官補佐（演：森下紫温）とダラク監察官（演：廣野凌大）。どうやら、蝋燭の不正消火が発生していてそれについて調査しているとのこと。この世界での蝋燭の消火（火が消えると対応した人の命が無くなります）に関しては、事前にどんなストーリーにするかの申請が必要なため、それを行わない消火は禁止されています。ナナシは自分たちに賭けられた嫌疑を解くために、ダラク監察官から命じられた人間の人生最後のストーリーを考えることになり…。

はたして、なぜチョッキューがナナシに配属されたのか。不正消火を画策しているのは誰か。

設定に反して明るくポップな世界観が魅力でもありますが、歌やダンスを交え、テンポよく物語は進んでいきます。かつ、ミステリー要素も多少含んでいて、先の読めない展開に緊張感を持って楽しむことができるでしょう。
ドラマ版では、主人公であるスナオが出会ったナナシの先輩たちは、誰も彼も個性的なメンバーでした。一見、協調性が無いように見えますが、なぜかまとまりのある仲の良い先輩たち。そして、主人公スナオの意欲に反する行動……。この舞台版では、彼らの絆が結ばれる過程が丁寧に描かれ、「死神が死を司る」という世界観の核心的な部分にも提言されています。登場人物の心がどのように揺れ動いていくか、そして、ドラマ版にどのように繋がるかを想像しながら楽しみましょう。

なお、ドラマ版を観ていなくても本作は十分に理解できるため、履修が必須ではありません。ただし、彼らの物語がどのように変遷してくのか、そしてその後を事前に知っていることによる感慨深さを味わいたい場合は、事前にドラマ版の視聴をお勧めいたします。
※ドラマ版の公式HPはこちら（https://info.tv.dmm.com/special/25jigentekisekai/nanashi/）

文：木皿儀／撮影：ケイヒカル

© 舞台「ナナシ-第七特別死因処理課-」製作委員会